K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

林 和生
文学部 史学科
教授
Last Updated :2019/07/13

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    林 和生, ハヤシ カズオ

所属・職名

  • 文学部 史学科, 教授

学位

  • 文学修士

本学就任年月日

  • 1996年04月01日

研究分野

  • 歴史地理学、地域研究(中国)

研究活動

論文

  • 「明清時代、廣東の墟と市-伝統的市場の形態と機能に関する一考察-」, 『史林』, 第63巻第1号, 69, 105, 1980年01月01日, 史学研究会, 中国・広東省の市場の伝統的呼称である「墟」と「市」について、明清時代に刊行された地方志を史料に検討を加え、墟・市は市場における売買の形態を指し、開催期日、商品構成、規模、商圏により比較的厳密に区分されていたこと、そして時代が下がって売買の方式が複雑化になると墟・市の範疇では区分できなくなり、墟・市は単なる市場の呼称として用いられるに至ったことを論証した。さらに市場の商圏が村々の枠を越えた社会領域を形成する基礎となったことも明らかにした。
  • 「民国代における華中・華南の商業集落」, 『人文』, 第27集, 85, 116, 1981年03月01日, 京都大学教養部, 近代中国に存在した中心集落の大部分を占める商業集落について、それらの歴史的空間的展開過程、形態と内部構造、定期市と常設店舗との関係、郷村社会における商業集落の役割等を、広西省・四川省の地方志を史料に用いて検討した。その結果、定期市が大部分の商業集落を発生させ、発達させた基盤であったことを明らかにした。さらに卸売・小売・集荷・出荷といった商業的機能の違いをもとに商業集落を区分して、中心集落の階層的システム構造を想定した。
  • 「都市と農業-神戸市を事例として-」, 『都市地理学の諸問題』, 126, 135, 1982年06月01日, 大明堂, 大都市の市域内で営まれている農業が直面している問題を、神戸市北部での実態調査をもとに論じ、都市農業の役割は、都市住民に新鮮な農産物を供給することにあるだけでなく、大都市の自然環境と緑地の保全にとっても重要であり、市民に安らぎと憩いの場を提供する社会的役割を積極的に評価して、都市の機能システムの重要な構成部分として、都市農業を組み入れるべきことを提起した。
  • 「中国近世の地方都市の一面-太湖平原の鎮市と交通路について-」, 『空間・景観・イメージ』, 139, 159, 1983年09月01日, 地人書房, 中国近世の地方都市の空間構造を解明する目的で、経済の最先進地帯で鎮市や集市が最も発達し密集して立地している長江下流の太湖平原を対象地域に、宋代から清代にいたる鎮市の発達とその空間的展開過程、鎮市の繁栄を支えた郷村の商業経済の発達、鎮市と水上交通路との関係について検討し、巨大な仲買機構として国内商業と地場流通とを接合させる役割を担ってきた江南地方の鎮市群の機能とそれらの実態を明らかにした。
  • 「中国近世における地方都市の発達-太湖平原烏青鎮の場合-」, 『中国近世の都市と文化』, 419, 454, 1984年03月01日, 京都大学人文科学研究所, 中国近世の地方都市の都市発達史を解明するため、江南地方の太湖平原で大規模に発達した鎮市の一つである烏青鎮を事例に、鎮市の歴史的発展とその経済的・社会的背景を、地方志を主たる史料に用いて検討した。二省三府の境界上に立地した烏青鎮の成立と商業都市への発達の歴史的経過、および鎮市群の成立と発展をもたらした周辺農村への商業経済の浸透について論究し、さらに地方都市の内部構造の特徴を地図化して論証した。
  • 「『一統路程圖記』と中国近世の商業路について」, 『人文地理学の視圏』, 399, 410, 1986年04月01日, 大明堂, 明清時代に全国を股に掛けて活躍した商人集団(客商)が、商取引や旅行の手引きとして編纂した「士商必携」の一つである『一統路程圖記』を史料に、中国近世における全国的な商業路の復元を試みた。史料は最も有力であった新安商人が集積した商業活動に必要な情報を集大成したもので、路程の列挙に加えて、路程ごとに掲載された運輸手段と交通・道路事情・治安状況に関する詳細な記事をもとに、経済が最も発展していた江南地方の商業ネットワークの結合の実態を解明した。
  • 「丹波山地における村落の空間構成と社会構造-兵庫県多紀郡西紀町本郷区の事例-」, 『日本の農山漁村とその変容』, 255, 272, 1989年06月01日, 大明堂, 同族的結合が比較的強く残存している丹波山地の村落の空間構成と社会構造を解明するため、兵庫県多紀郡西紀町本郷区を事例地域にして実地調査を行った。ムラ・マキ・組といった小地域集団と同族集団、講集団の空間構成に関する聞き取り調査を行って、それらの特性、相互間の空間的整合関係などを検討した。そして地縁的小地域集団であるマキが同時に同族連合体でもあり、血縁単位でもあったことを究明し、マキが丹波山地の村落の社会的基礎単位であることを指摘した。
  • 「中国の地方都市-鎮・小城鎮-」, 『東アジア(世界地誌ゼミナール1)』, 123, 131, 1991年01月01日, 大明堂, 中国の地方都市の呼称である鎮・鎮市の性格と機能の歴史的変遷を唐宋時代から明清時代までたどった。現代中国では小城鎮と呼ばれる地方都市が郷鎮企業の集積地となって、農村の商工業化を牽引する機関車の役割を果たしていること、また人民公社の解体後に表面化した農村の大量の労働力余剰の受け皿となって、農民の大都市への人口流出を防止していること、さらに農村空間の中心地として都市と農村の経済的格差を解消するうえでも重要な役割を果たしていることを指摘した。
  • 「現代中国における郷鎮工業の発展について-上海市郊県を事例として-」, 『福井大学教育学部紀要』第Ⅲ部(社会科学), 第46号, 45, 72, 1993年07月01日, 福井大学教育学部, 農村空間に立地する郷鎮工業は、改革開放下の中国の経済発展を牽引する機関車の役割を担っているが、その発展過程と現況について、中国最大の経済中心地である上海市の郊県を対象地域にして実地調査に基づき検討を加えた。この地域の郷鎮工業が上海市の国営企業の下請け・分工場として、部品の生産・加工と製品組立を分担することから発展し、経営を安定させている。またこの地域では農村労働力の過半数が工業に従事し、さらに農村の総生産額の3/4以上を工業が占めるようになって、郊県の経済の基幹部門が農業から工業に完全に移行したことを指摘した。
  • 「江南運河を支える鎮市の繁栄」, 『月刊しにか』, 第4巻第7号, 39, 44, 1993年07月01日, 大修館書店, 中国において江南大運河を軸として発展した全国レベルのマクロな物資流通システムと、農村における鎮市や集市を中心地とするミクロな地場流通システムとを結びつける結節点の役割を果たしてきた江南地方の水郷鎮の、明清時代における繁栄状況を明らかにした。さらに鎮市が有する都市でもなく農村でもない行政支配上の空白地域であった特異な特徴についても、その特徴を活用してたくましく生き抜いてきた人々の様々な活動から論じた。
  • 「新中国建国前後の商業政策と集市貿易」, 『歴史地理学』, 第38巻第2号, 14, 27, 1996年03月01日, 歴史地理学会, 現代中国の経済は左右に大きく揺れ動いた政治に振り回されてきたが、農村の物資の流通において今日にいたるまでも重要な役割を果たしている集市貿易について、国民党軍と日本軍との戦闘に明け暮れた共産党の商業政策が党の根拠地や支配地域での集市貿易にどのように反映されたかを考察した。私営商業を利用し改造し、同時に公営商業部門と供銷合作社を強化するという結党後間もない共産党の基本政策が、新中国建国後も商業の基本政策となったこと、根拠地経済を強固にするために集市貿易を盛んにする施策が実施されたことを指摘した。
  • 「鄭州市における郷鎮企業の発展とその変容-鞏義市の3鎮を事例に-」, 『中国鄭州市住民の生活空間』, 95, 129, 1996年03月01日, 名古屋大学文学部地理学教室, 沿海地域と内陸地域の郷鎮企業の存在形態の地域差を明らかにするため、河南省の省都である鄭州市の管轄下にある鞏義市の3つの鎮で郷鎮企業を実地調査して検討した。鞏義市の郷鎮企業は農村経済の活性化、余剰労働力の受け皿、農家所得の増加、地方政府の財源確保といった郷鎮企業設立の初期の目的を実現して、さらに企業自身の発展を目指して企業集団化や株式合作化などを進めていること、地元資源利用・労働集約型の企業から高度加工・技術集約型の企業に、また地元立地指向から技術・資本・消費地立地指向への変化が見られることを指摘した。
  • 「新鄭市における郷鎮企業の存在形態とその発展方向」, 『改革開放下の河南省新鄭市の変容』, 113, 150, 1997年03月01日, 京都大学大学院文学研究科地理学教室, 中国・河南省の省都である鄭州市の管轄下にある都市の一つである新鄭市を対象地域として、主に農畜産物を生産・加工している郷鎮企業の存在形態について調査した。鄭州大都市圏のなかで農畜産業が比較的発達している新鄭市では、冷凍鶏肉加工やデンプン加工、漬物一次加工など、農畜産業の安定、規模拡大の促進し、農家所得の増大を目的に、地元で生産・産出する農畜産物や地下資源を原材料として加工し、付加価値を付ける業種の郷鎮企業が多い。これが沿海地域の郷鎮企業にない内陸地域の郷鎮企業が有する特徴の一つであることを指摘した。
  • 「生活空間の知覚と行動-人文地理学における行動的アプローチの発達」, 『國學院雑誌』, 第98巻第3号, 50, 66, 1997年03月01日, 國學院大學, 人間の意志決定過程と行動を研究する行動的アプローチの発達を通して、第二次世界大戦後における人文地理学の新たな研究動向を概観した。そして、この分野での日本の地理学者の貢献はまだ少なく、欧米諸国で次々に提起される新しい方法論や分析手法、研究成果をいぜんとして消化・吸収している段階で、独自の視座や方法論にもとづいた研究成果をあげるにいたっていないことを指摘した。しかし1990年代後半より世界に発信できる研究成果が主として若手研究者によって蓄積されつつあることも強調した。
  • 「登封市の鉱工業の発展と郷鎮企業-鉱山地域の郷鎮企業の存在形態」, 『河南省登封市の市場経済化と地域変容』, 103, 138, 1998年03月01日, 京都大学大学院文学研究科地理学教室, 中国・河南省の省都・鄭州市の管轄下にあり少林寺で有名な登封市を対象地域として、石炭、石灰石、ボーキサイト、石材など地下資源を産出する郷鎮企業の存在形態について調査した。経済改革が進む中国では、燃料としての石炭、セメント・建材の原料としての石灰石や石材・ボーキサイトの需要は増大する一方であるため、地下資源を生産・販売する企業の業績は概ね順調である。しかし経営が順調であるがために、生産・販売にのみ傾斜し、付加価値を増す加工業や技術集約的分野への進出は全体的に遅れ将来への展望が見いだせていないことを指摘した。
  • 「綿陽市における工業企業の発展動向-旧国営国防工業企業の変身を中心に-」, 『内陸工業都市綿陽市と周辺農村の変容』, 76, 108, 2002年03月01日, 京都大学大学院文学研究科地理学教室
  • 「経済改革下における広西チワン族自治区の墟市」, 石原潤編『農村空間の研究 下』, 177, 194, 2003年03月01日, 大明堂
  • 「経済改革下の郷鎮企業の発展方向」, 『内陸中国の変貌 改革開放下の河南省鄭州市域』, 97, 153, 2003年11月01日, ナカニシヤ出版
  • 「「西部大開発」で変貌する内陸中国」, 『地理教育のグランドビジョンを考える』, 23, 26, 2004年03月01日, 日本地理学会地理教育専門委員会
  • 「中国近世における水陸交通の展開」, 『領域と移動 アジアの歴史地理1』, 213, 229, 2007年06月20日, 朝倉書店
  • 「県の性格(福井県)」, 『中部圏 日本の地誌7』, 600, 611, 2007年04月25日, 朝倉書店, 吉川博輔
  • 「福井(坂井)平野とその周辺」, 『中部圏 日本の地誌7』, 621, 633, 2007年04月25日, 朝倉書店
  • 「内陸工業都市綿陽の変貌」, 『変わり行く 四川』, 27, 50, 2010年02月10日, ナカニシヤ出版, 中国有数の軍需工業都市である四川省綿陽市における国営軍需関連工業企業の軍民転換の実態を現地調査にもとづいて多くの事例から論述した。また中国の核兵器開発の中心であった国家級の研究所群が「四川科学城」というサイエンスパークを組織し、高度な軍事技術の産業化を進めている状況についても現地調査をもとに論じた。
  • 台地と川がつくった魅力あふれる街・渋谷, 『歴史のなかの渋谷:渋谷から江戸・東京へ』, 2011年03月10日, 雄山閣

Misc

  • 「西部大開発」政策によって変容する西北中国のいまをリアルに描く : 石原潤編 西北中国はいま, 東方, 376号, 2012年06月05日, 東方書店
  • 人文地理学会編『人文地理学事典』, 歴史地理学, 56巻4号, 2014年09月20日, 歴史地理学会

講演・発表

  • 「「三線建設」地区における国有企業改革と西部大開発」, 2001年03月01日, 日本地理学会2001年度春季学術大会(於 敬愛大学佐倉キャンパス)
  • 「近世江南地方の鎮市と社会-太湖平原の開発の進展と中心集落の発展-」, 国史学会12月例会, 2004年12月18日
  • 「中国江南の水郷古鎮」, 国史学会12月例会, 2007年12月01日

競争的資金

  • 19500878, 文化的景観の価値評価方法の確立に関する基礎的研究, 文化財保護法や景観法に基づく文化的景観の保全事業実施にあたり、保全対象となる文化的景観の選定にあたっては、文化的景観のAuthenticityを学術的・客観的に評価する必要がある。本研究では、「一関本寺の農村景観」と「遊子水荷浦の段畑」を主たる事例として、景観の価値評価を試行し、次のような5つのステップから成る基礎調査が有効であると判断した。(1)明治初期地籍図などに記録された伝統的景観の特質の解明、(2)伝統的景観(地籍図)と現景観との精密な比較、(3)近代以降の景観変化の過程とメカニズムの解明(土地利用パターンや作物、地割など)、(4)伝統的な景観要素残存の背景を地域の社会・経済・文化的側面から考察、(5)現景観の活用可能性の考察と保全の方向性の提示。なお、上記の作業をヴィジュアルに活用するため、GISの導入と時系列統合マップの構築が有効であることも確認した
  • 16520491, 福祉国家の日中比較に関する地理学的研究, 前年度の調査、分析を踏まえ、今年度は以下のような研究をおこなった。;第一に、福祉国家の日中比較に関して、昨年度に引き続き、日本と中国の福祉レジームの類似点と相違点についての文献調査を実施した。その結果、日中両国は高齢者介護における家族主義を共有することが明らかになった。だが、中国では息子やお手伝いさんが家庭介護の大きな役割を担っている点で日本とは異なる。また、福祉サービスの運営主体の分析と上海市における現地調査から、弾力的な助成政策を通じて、民間組織や地域組織が福祉供給に参入することで(福祉の多元化)、サービスの整備が進んでいる状況が明らかになった。このような中国都市における福祉は、流動人口の低賃金労働を前提とする点で自由主義レジームの要素を多分に有すると位置づけられる。;第二に、柴が1995年に実施した大連市の生活活動調査のデータを用いて、高齢者の活動時間と外出活動に関して分析し、日中比較を試みた。その結果、高齢期以前とは時間・空間の利用の仕方が大きく変化する傾向の強い日本の高齢者に比べ、中国都市の高齢者は自宅近くの比較的狭い範囲に収まる余暇活動空間を非高齢者と共有していること、一方で、女性の就業率が高い中国では、現役世代には確認されなかったジェンダーによる生活活動・生活活動が、高齢期には現われることも明らかになった。;第三に、上海市の高齢者の日常活動(購買、受療、余暇)とその活動空間に関して、高齢者の属性、利用する交通手段、活動に費やす費用、居住地区・環境による違いなどに注目し、総合的に描き出した。;第四に、再開発が進む上海市について、上海市2000人口普査資料の分析により、全年齢層による都市内移動については、その大部分が中心部から郊外への移動であること、高齢者の移動理由については、都市計画による転居・引越しが2/3を占めることが明らかになった。また、市内の5地区で高齢者に対するアンケート調査を実施し、その地域的パターンを分析した結果、高齢者においては、大半が地域内の移動であり,全年齢層のように離心的な移動が卓越するわけではないことが明らかになった。;以上の研究を通じて、経済成長が中国都市高齢者の空間的分布、都市空間の利用、福祉供給の空間性に及ぼす影響の一端が明らかになった。
  • 13610394, 『入唐求法巡礼行記』に関する文献校定および基礎的研究, 1.『入唐求法巡礼行記』古写本について所蔵関係の確認調査;平成13・14年度において、古写本の現在の所蔵について確認し、東寺観智院本・津金寺本の写本及び刊本の所在を確認、また校訂本・訓読本・注釈書について、日本及び韓国・中国における発刊状況について調査した。;2.『入唐求法巡礼行記』巻1の校訂と読み下し文作成;巻1の校訂と読み下し文作成作業が完了する。校訂については、東寺観智院本の影写本を元に1字毎の詳細な校訂を行い、それをデータベース化することにより、文字について横断的に検索することが可能となった。読み下し文についてもデータベース化が完了している。;3.『入唐求法巡礼行記』巻1の注釈作成;巻1の注釈作成作業については約3分の2程度完了している。;平成15年度には、注釈作成過程において、現地踏査の必要性が生じたため、中国山東半島で現地踏査を行った。成果として、従来比定されていた地名の誤りを発見し、また新たに地名比定が可能な地点が明らかになった。;4.『入唐求法巡礼行記』関係資料集の作成;これについては予算の関係上、行うことができなかった。;5.『入唐求法巡礼行記』関係文献目録の作成;『巡礼行記』関係文献の集成・文献目録作成は日本で出版されたものは完了したが、中国・朝鮮の文献収集については作業を完了できなかった;6.『入唐求法巡礼行記』の内容に関連した研究論文の作成;平成16年4月17日及び平成16年9月18日に研究会を行い、これについて成果報告書に研究論文として掲載する。
  • 11691018, 中国四川盆地における生活空間の変容に関する研究, 3年度にわたって、中国科学院成都山地災害・環境研究所、および四川省成都市・綿陽市・西昌市各人民政府の全面的な協力の下に、大都市成都市とその近郊農村、地方工業都市綿陽市とその周辺農村、および観光都市西昌市とその周辺の少数民族地域を含む農村地域において調査を行った。調査項目は、都市発展と都市環境、商業の変貌と自由市場の発展、小城鎮の育成、郷鎮企業の展開、国営企業の改革、農村の土地利用・景観の変貌、農家経営の実態、グリーンツーリズムと観光政策等である。調査方法は、観察・聞き取り・アンケート・統計処理等である。;この結果、市場経済化の進展に伴い、内陸部(西部)の四川省においても、1)大都市・地方都市・観光都市のいずれもが、市街地の拡大・改造を急激に進めているが、それぞれ深刻な環境問題をも抱えていること、2)国営・集体営商業の衰退に反して、私営商業と自由市場の急激な発展が見られること、3)小城鎮育成策が進められているが、その発展は沿海部ほど顕著ではないこと、4)その要因としては、郷鎮企業の不活発性が挙げられること、5)国営企業は軍需から民需への転換を進め、従業員宿舎の払い下げをほぼ完了したこと、6)農業の商業化が進み、果樹や蔬菜作が拡大していること、7)しかしながら農家所得の上昇は、出稼ぎ収入にも大いに依存していること、8)「農家楽」と呼ばれるグリーンツーリズムの発生が認められ、地方政府は観光開発に大いに重点を置いていることなど、興味深い事実が明らかにされた。
  • 10680089, 現代中国農村における集市貿易の実態と変容に関する地理学研究, 本年度は昨年度に引き続き、中国関係の図書・資料を豊富に所蔵する図書館・研究機関で近現代の中国の集市貿易に関する記事と様々な地図資料、統計資料の収集につとめた。また広東省で墟市のデータベースを作成し、墟市ごとに立地、規模、出店数、墟期、参加者数、主要商品等の属性を入力した。そして異なる地域において、集市貿易と集市(墟市、街市、場市、集市)の実態とその変容について比較分析した。さらに経済政策の揺れによる集市貿易の変化を、中華人民共和国建国から経済の改革開放政策実施後まで詳細な資料分析にもとづいた解明を試みた。研究の成果は以下のようにまとめることができる。;1.建国後の集市貿易は、左右に揺れる経済政策のため度々評価が180度変わり閉鎖を繰り返した。しかし大躍進や文化大革命の時期でも日常生活の必要から厳しく取締まられても数多くの集市が交易活動を続けた。;2.経済の改革開放政策の実施後、集市貿易は全面的に再開され、市場経済を農村に浸透させ商品の取引を活発化することで経済発展を牽引する役割を期待された。人々が現金収入を得る最も手っ取り早い方法であるため、集市の数は1980年の1997年には約8万7千と倍以上に増加している。;3.集市貿易の有様は都市と農村で、また経済発展水準の違い、社会や文化の違いなどにより地域により大きな違いがある。一般的な傾向としては定期市から毎日市・常設市へ、市場も街路沿いや広場の露店から建物内の店舗へ、また高層化しつつある。;4.集市貿易は多数の人々が参集するため、単に商品の売買の場であるだけでなく、明清時代同様、様々な機能が集積する中心地としての役割が大きく、娯楽施設などの建設も進められている。
  • 07041010, 中国河南省における都市及び農村住民の生活空間, 3年度にわたって、河南省科学院及び鄭州広域市人民政府の全面的な協力の下に、大都市鄭州市とその近郊農村、地方都市新鄭市とその周辺の平地農村、及び観光都市登封市とその周辺の山地を含む農村地域において調査を行った。調査項目は、都市化と都市発展、商業の変貌と自由市場の発展、郷鎮企業の展開、農村の土地利用・所有と農産物流通の変化、並びに都市及び農村住民の生活空間の変容である。調査方法は、観察・聞き取り・アンケート・統計処理等である。;この結果、改革解放後、1)大都市、他方都市、観光都市のいずれにおいても都市化が進展し、市街地の拡大・改造が顕著であること、2)商業活動が著しく活性化したが、国営・協同組合営商業の相対的衰退と、私営商業・自由市場の急激な発展のコントラストが見られること、3)内陸地域でもあるにもかかわらず郷鎮企業の一定の発展が見られるが、それには資源・技術・企業家精神の存否により、著しい地域差があるということ、4)生産請負の進展により、農業の個別経営化と商業化が進み、一部では登記されぬ土地開発や新たな生産物流通チャンネルの発生が認められること、5)都市部では「単位」制度の崩壊による職住の分離傾向、農村部では兼業化に伴う通勤や出稼ぎ現象の発生により、住民の生活空間がいずれにおいても拡大と多様化の傾向を見せていることなど、興味深い事実が明らかにされた。

教育活動

担当授業

  • 史学基礎演習C, 2019, 過去に生きた人々の様々な活動や考え方は文字史料や古地図・絵図、絵画に記録・表現されています。地図・絵図の歴史は文字よりも古く、たとえ文字を持たない社会でも地図・絵図を描き日常生活に活用していました。彼らは日々の生活のなかで得た有用な情報を地図や絵図に描いて蓄積・共有し、地図をとおして互いの意志の疎通をはかったり、また自分たちの世界観を地図に表現したりしてきました。| 地図や絵図には、それらが作られた時代の知識や情報が凝縮されて詰め込まれています。古地図や絵図を解読することは、その時代の歴史や社会を読みとることにもなります。また、過去の人々が頭の中に描いていた地理像を知ることもできます。この授業では、近世末に刊行された江戸切絵図の読解を通して江戸・東京の都市空間を考えていきます。具体的には、当時ベストセラーだった尾張屋板の江戸切絵図(32枚)を受講生は1枚ずつ担当して絵図に描かれた範囲を実際に歩いてもらいます。そして現代図との比較から現代に残る江戸の歴史的景観(道路や橋・坂道、土地や町の区画、建物、神社・寺院、庭園・緑地、大名屋敷の位置・地形など)を探し出し、さらに絵図の範囲内での江戸末期~明治~大正~昭和~平成の間の都市景観の変化について順番に報告してもらいます。| また教室で古地図や明治・大正期の旧い地形図上で地名、土地利用、景観などを手がかりに、地表に歴史の痕跡を見出して、それを生み出した人々の営みや意図を読み取る作業もおこないます。|さらに、休日などを利用して古地図や地形図を携えて大学の周辺を一緒に歩いて渋谷の成り立ちを考えたり、東京近郊に出かけて様々な歴史的景観を観察する「ブラタモリ」的エクスカーションも実施します。
  • 史学展開演習I(地域文化と景観), 2019, 地域文化と景観コースの私の演習では、眼前に展開する都市や村落などの様々な景観の成り立ちとその変化・仕組みや、地域が育んできた祭礼・伝統行事・芸能など伝承文化、京都・江戸・大坂などの都市で培われた諸文化などをテーマに取り上げます。| 前期の演習Ⅰでは、受講生諸君それぞれが関心をもつテーマに関連した学術論文や専門図書を読み、さらに都市や農村に残る様々な歴史的景観や祭礼・伝統行事・芸能などの実地調査を通して歴史学や地理学の基本的考え方や課題、研究方法などを身につけて、卒業研究などに活用できることをめざします。受講生には自分で検索した学術文献の批判的な読解や、実地調査などをもとに報告資料を作成・配布して報告してもらい、活発な質疑・討論を通して互いに課題に対する理解を深めていきます。また研究の資料である古地図や絵図、絵画史料、文書史料などを読解し研究に活用する技法も学びます。休日を利用したエクスカーションや見学会、実習旅行も実施したいと考えています。| 受講生諸君の卒業研究で取り組みたいテーマは非常に多岐にわたっていますので、受講生それぞれの関心やテーマに合わせて研究方法などの個別指導も積極的に行います。
  • 史学展開演習II(地域文化と景観), 2019, 地域文化と景観コースの私の演習では、眼前に展開する都市や村落などの様々な景観の成り立ちとその変化・仕組みや、地域が育んできた祭礼・伝統行事・芸能など伝承文化、京都・江戸・大坂などの都市で培われた諸文化などをテーマに取り上げます。| 後期の演習では、名所番付などに掲載された江戸時代の行楽地や景勝地、あるいは今に残る歴史的な都市や町並み・村落、伝統的生業景観などについて、絵図・古地図や絵画資料、古文書、文献資料などで事前に研究したうえで、実際に現地を訪れて実地調査を行ってそれぞれの景観の特徴やその歴史的変遷などを考察します。この作業を通して歴史学や地理学の基本的考え方や課題、研究の視座や方法などを学習して、卒業研究などに活用できることをめざします。受講生には自分で検索した学術文献の批判的な読解や、最低1回の現地での実地調査などをもとに報告資料を作成・配布して報告してもらい、活発な質疑・討論を通してテーマに対する理解をいっしょに深めていきます。また研究の資料である古地図や絵図、絵画史料、文書史料などを読解し研究に活用する技法も学びます。休日を利用したエクスカーションや見学会、実習旅行も実施したいと考えています。| 後期は、受講生諸君の卒業研究のテーマの決定や提出した第一次卒業論文題目にもとづいて具体的に卒業研究を進めるための個別指導にも力を入れます。
  • 史学情報処理 初級, 2019, コンピュータは今や日常生活でも学術研究でも必要不可欠な道具になっています。また難しいプログラミング言語やぶ厚いマニュアルを理解していなくても、だれでも容易にコンピュータを操作できるようになりました。しかし、ある程度コンピュータの操作に習熟していれば、もっと効率よく、また的確に必要な情報の検索や処理、そして発信を行うことができます。| この授業では、コンピュータ操作の初心者を対象に、コンピュータを使用して歴史研究に関連した文字情報や画像情報・数値情報の処理技術と文献データベース等の構築方法を実習を通して学び、またインターネットを活用して歴史学・地理学・考古学などに関連した様々な情報にアクセスし検索するノウハウの習得をめざします。さらにPower Pointを使って、歴史をテーマにプレゼンテーションを作成して、自ら情報を発信する技法の練習もします。| この授業の基本的な方針は、「習うより慣れろ!」です。授業でパソコン操作に失敗すればするだけ技能は上達します。
  • 史学情報処理 初級, 2019, コンピュータは今や日常生活でも学術研究でも必要不可欠な道具になっています。また難しいプログラミング言語やぶ厚いマニュアルを理解していなくても、だれでも容易にコンピュータを操作できるようになりました。しかし、ある程度コンピュータの操作に習熟していれば、もっと効率よく、また的確に必要な情報の検索や処理、そして発信を行うことができます。| この授業では、コンピュータ操作の初心者を対象に、コンピュータを使用して歴史研究に関連した文字情報や画像情報・数値情報の処理技術と文献データベース等の構築方法を実習を通して学び、またインターネットを活用して歴史学・地理学・考古学などに関連した様々な情報にアクセスし検索するノウハウの習得をめざします。さらにPower Pointを使って、歴史をテーマにプレゼンテーションを作成して、自ら情報を発信する技法の練習もします。| この授業の基本的な方針は、「習うより慣れろ!」です。授業でパソコン操作に失敗すればするだけ技能は上達します。
  • 文化景観各論II, 2019, 日本の近世・近代における都市と村落の様々な景観がもつ特徴と、それらの形成および変化のプロセスとメカニズムの解明を目指す授業です。具体的には近世の城下町や在郷町・宿場町などの都市的景観の形成と内部構造のプラン、近世および近代の開発にともなって形成された特色ある村落景観の形成と付随する土地利用システムや生活様式、近世の交通の発展と旅の諸相などにかかわる諸問題を取りあげます。様々な歴史的景観のもつ意義や意味について考察することを通して、都市研究、農村研究などにおける景観論的視座からの問題意識とそのアプローチの独自性を明らかにしていきます。
  • 地域文化と景観特殊講義, 2019, 中国を代表する河川である黄河と長江を取りあげ、二大河川の流域で展開した歴史と地理を考える。| 古来より中国では「江」といえば長江を、「河」といえば黄河をさした。中国を象徴する二つの大河は、黄河文明と長江文明という二大古代文明を育んだ中華世界の母なる河川でもある。長江は長さ約6300㎞、黄河は約5460㎞とさほどの差はないが、流域面積は黄河は長江の約4割に過ぎず、年間流出量は黄河は長江の17分の1に過ぎない。自然的な面では、黄河は長江の雄大さに及ばないが、下流部は旧石器時代から人類居住の地であり、とくに関中平原から中原にかけては夏・商から北宋代まで歴代王朝の都が置かれた中華文明の発祥・揺籃の地であり、漢民族の心の拠り所としての存在感は長江をしのいでいる。| しかし長江流域は南北朝以来、中国の歴史を支える穀倉として、また文化の淵藪として数多くの文化人を生みだした。宋代以降、中国経済の核心地域は黄河下流の中原地方から稲作を柱に農業開発が進展した長江下流部の江南地方に移行し、現在に至っている。|  授業では、まず黄河と長江を概観し、古代の漢民族の地理認識と世界観をさぐる。続いて史料と古地図をもとに歴代王朝が黄河の源流を探索した歴史をたどる。流域に住む人びとは、絶えることなく流れる黄河の発源地に対して古代より強い関心をもっていた。長江では、流域の自然環境の変遷や自然災害、下流部の江南デルタでの干拓による大規模な農業開発の進展、縦横に走る水路の結節点に生成・発達した小商工業都市(鎮市)の歴史的景観の特徴などを主要なテーマにする。| 方志(地方史誌)や古典籍などの文字史料に加えて、古地図や絵図などをできるだけ用いて授業を進めていきたい。また、POWER POINTを用いて、できるだけ地図や写真などをスクリーンに提示する。
  • 國學院の学び(渋谷学), 2019, 創立120周年記念事業として行われた渋谷学研究会は、しばらく休眠していましたが、平成20年度から新しい陣容で再開し、着実に研究活動を進めています。本年度後期、皆さんに、渋谷を多面的に知っていただき、また地域研究のあり方を知っていただくため、総合講座として開講することとしました。講師は毎回異なり、それぞれの分野から渋谷を取り上げます。
  • 総合講座(渋谷学), 2019, 創立120周年記念事業として行われた渋谷学研究会は、しばらく休眠していましたが、平成20年度から新しい陣容で再開し、着実に研究活動を進めています。本年度後期、皆さんに、渋谷を多面的に知っていただき、また地域研究のあり方を知っていただくため、総合講座として開講することとしました。講師は毎回異なり、それぞれの分野から渋谷を取り上げます。
  • 史学導入演習, 2019, 本授業の前半では、本学の史学科生として充実した学生生活を送るために必要な基礎知識や能力、姿勢を培う。具体的には以下の4つを学ぶ。|(1)「学びの場」である史学科の歴史やカリキュラム、特徴を理解する|(2)大学での学び方、生活のマナーを身につける|(3)学修に必要な知識・情報(書籍・論文)の入手の仕方、情報ツールの活用法、学習・研究上の倫理(ルール)を知る|(4)学んだことをまとめ、考えたことを仲間に伝えるための発表の技術、文章作成術を身につける||本授業の後半では、各自が専攻しようとするコースでどのような研究をする場なのか、実際の研究にふれて、その概要を知る機会とする。|
  • 地域文化各論II, 2019, 人々(=社会集団)は地域の自然環境から受ける様々な制約や可能性を、新たな発想や新技術の導入などによって徐々に克服しかつ利用しながら、地域の自然環境に適応した独自の生活のシステム(生活様式)や生業形態、また地域ごとに特徴ある個性的な歴史的景観(生活空間)を造りあげ、またそれらを作りかえてきました。これら地域ごとに特色ある生活様式と生業形態、生活空間をまとめて地域文化と呼びます。また地域文化を構成する要素、例えば「方言」などは空間的な広がりを有しています。その分布を地図に表現することで、「方言」という要素がもつ特性を見いだすことができます。さらに全体である地域文化そのものも空間的広がりをもち、類似した地域文化の空間的な範囲を文化領域として地図に表現することができ、そこからそれぞれの地域文化がもつ個性を考えることができます。| 授業では、地域文化やそれを構成する諸要素の空間的広がりを表現した地図を読み解きながら、それらの特性や個性を歴史的過程をふまえて理解します。
  • 史学応用演習(地域文化と景観), 2019, 卒業論文の完成という最終目標をめざして、各自の卒業論文のテーマの研究の進展に応じて中間報告を行い、全員で討議して内容を深めていく。卒論作成に必要な資料収集や分析方法、具体的な論文構成や執筆方法に関する指導も随時行っていく。|受講生は少なくとも必ず四回は発表をすることとし、第一回は卒論テーマに関する研究史の整理と研究課題の設定、第二回と第三回は実際の卒業研究の進行状況に応じた中間発表とし、第四回では卒論の章節に従った最終報告とする。他の受講生の発表を批判的に聞き、積極的に発言して意見を表明するすることは、自己の研究の自省と思考能力の鍛錬につながるものであるから、意欲的に授業に参加してもらいたい。授業以外でも、できるだけ個人指導を研究室にて行います。
  • 卒業論文, 2019

オフィスアワーの実施時期・曜時

  • 2018

学外活動

学協会活動

  • 人文地理学会, 1972年04月
  • 歴史地理学会, 1973年04月
  • 東洋史研究会, 1978年04月
  • 日本地理学会, 1983年04月
  • 市場史研究会, 1990年04月
  • 国史学会
  • 日本国際地図学会
  • 歴史地理学会
  • 史学研究会