K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

松本 貴文
観光まちづくり学部 観光まちづくり学科
准教授
Last Updated :2023/12/21

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    松本 貴文, マツモト タカフミ

ホームページ・researchmap等のリンク

所属・職名

  • 観光まちづくり学部 観光まちづくり学科, 准教授

学歴

  • 2007年04月, 2011年03月, 修了, 熊本大学, 大学院社会文化科学研究科公共社会政策学専攻
  • 2005年04月, 2007年03月, 修了, 熊本大学, 大学院文学研究科地域科学専攻
  • 2000年04月, 2005年03月, 卒業, 熊本大学, 文学部地域科学科

学位

  • 2011年03月25日, 博士(学術), 熊本大学, 社会学・社会福祉学関係, 博学第209号, 現代農村の社会変動と集落の再編

職歴

  • 2017年04月, 9999年, 独立行政法人水産大学校, 非常勤講師
  • 2017年04月, 9999年, 下関市立大学, 経済学部, 准教授
  • 2014年04月, 2017年03月, 下関市立大学, 経済学部, 講師
  • 2011年04月, 2014年03月, 尚絅大学, 文化言語学部, 助教
  • 2010年04月, 2012年03月, 熊本総合医療リハビリテーション学院, 非常勤講師

本学就任年月日

  • 2021年04月01日

研究分野

  • 環境
  • 農村

研究活動

論文

  • 再生可能エネルギーと農村経済の発展戦略 : ドイツ・バイエルン州の現地調査と日本への示唆, 山川 俊和; 藤谷 岳; 松本 貴文, 大阪産業大学経済論集, 22, 1, 61, 82, 2020年10月, 大阪産業大学学会
  • 村研アーカイヴス : 調査と方法 エンブリーの須恵村研究の今日的意義, 松本 貴文, 村落社会研究ジャーナル = Journal of rural studies, 26, 1, 13, 23, 2019年10月, 日本村落研究学会 ; 2007-
  • 再生可能エネルギーの導入で集落はどう変わるのか:―熊本県上益城郡水増集落の事例から―, 松本 貴文, 西日本社会学会年報, 17, 0, 63, 74, 2019年, 西日本社会学会,

    本稿の目的は、熊本県上益城郡水増集落における、太陽光発電事業の導入を核とした地域再生活動の事例研究を通じて、新たな自然資源利用が地域の持続可能性にどのような影響を与えるのかを明らかにすることである。従来、農山村の持続可能性については、経済的・社会的基盤という観点から議論されてきたが、農山村の暮らしと切り離すことができない自然環境とのかかわりにも目を向ける必要がある。水増集落では、共有地管理への危機感から、集落として太陽光発電事業の導入を進め、集落が誘致した企業とともに、発電・売電事業の枠に収まらない「むらづくり」を進めてきた。その結果、集落では共有地をはじめとする自然環境とのかかわりが増大し、人と自然との関係の再構築が進んだことで、経済的価値のみならず、地域内外の人々の間に社会関係や社会集団の形成を促すなど、社会的価値の創造にもつながっている。そのような成果を通して、事業は住民の地域観にも影響を与えており、集落の持続可能性に対しても、肯定的な効果が生まれつつあることが明らかとなった。

  • 農村の結婚問題と新しい連帯の形成―熊本県A町の結婚促進事業を事例として―, 松本貴文, 西日本社会学会年報, 12, 2014年
  • 主体から見た農村における結婚問題の構造, 松本 貴文, 尚絅大学研究紀要 A.人文・社会科学編, 45, 0, 35, 49, 2013年, 学校法人 尚絅学園 尚絅大学研究紀要編集部会, 本論文では,主体の側の観点から見た農村の結婚問題の構造と有効な支援の方法について事例研究をもとに考察した。その結果として,まず,結婚問題は(1)農村の集団主義と現代社会の個人主義との矛盾,(2)出会いの場に参加するための高いコスト,(3)農村男性の社会的孤立の3つの要因によって生じていることを指摘した。そのうえで,A町の結婚促進事業は,気軽に参加できる出会いの場の構築と,社会的な連帯の構築を支援することによって結婚問題の解決に大きな成果をあげていることを指摘した。
  • 現代農山村における共同性--熊本県上益城郡山都町I地区の事例から, 木村 亜希子; 松本 貴文; Ozsen Tolga, 熊本大学社会文化研究, 8, 147, 162, 2010年, 熊本大学, In the past, unification of rural community had been discussed in macro aspects such as social norms and land property. However, in recent years, by changing social and economical backgrounds, macro aspects mentioned above have been switching to micro aspect, which considers and/or discusses the \integration and "communality" on rural society from the viewpoint of individual relationships and/or networks. Nowadays, researches that are focusing on this micro aspect have been increasing. In this paper, we also focused on "communality" and discussed about it from the viewpoint of micro aspect through a case study on I district in Yamato City, Kumamoto Prefecture. \ As a result, some findings given below were elucidated.\1."Communality" of people in rural community, is shaped by several norms and partner change that depends on the differences in the internalization of norms, \2. Meaning of "communality" differs by internalization of norms, \3.Differences given above cause some conflicts in the community.
  • リスク論から見た過疎問題―過疎の構造転換と「リスク社会」―, 松本貴文, 西日本社会学会年報, 7, 17, 27, 2009年
  • 過疎農山村の若者定住問題―高校生の進路をめぐって―, 徳野貞雄; 松本貴文, 西日本社会学会年報, 6, 35, 48, 2008年
  • 現代農村における未婚化への対応と地域社会の変容 : 生活構造論の視点から (特集 グローバル化と農村・過疎化), 松本 貴文, 社会学評論 = Japanese sociological review, 71, 4, 541, 558, 2021年, 日本社会学会 ; 1950-
  • 環境保全からみた地域社会の変容 : 福岡県柳川市の事例から, 松本 貴文, 社会分析 = Social analysis, 48, 67, 82, 2021年, 日本社会分析学会

Misc

  • 地域在住の高年齢者のプレフレイル(前虚弱)と現在歯数の関連性:横断研究, 林 辰美; 松本 貴文, 下関市立大学論集, 64, 2, 1, 11, 2020年09月, 下関市立大学学会
  • 再生可能エネルギーと地域コミュニティ : バイエルン州グロースバールドルフ村の事例から, 松本 貴文, 下関市立大学論集 = Shimonoseki City University review, 63, 3, 1, 10, 2020年01月, 下関市立大学学会
  • 三浦典子・横田尚俊・速水聖子編著『地域再生の社会学』 学文社,2017年,336頁,3,400円, 松本 貴文, 西日本社会学会年報, 16, 0, 135, 136, 2018年, 西日本社会学会
  • ブックガイド さまざまな角度から実情を克明に描き出す 中国新聞取材班著 中国山地 過疎50年, 松本 貴文, 農業と経済, 83, 11, 113, 113, 2017年11月, 昭和堂
  • 内発的発展論の再検討 : 鶴見和子と宮本憲一の議論の比較から, 松本 貴文, 下関市立大学論集 = Shimonoseki City University review, 61, 2, 1, 12, 2017年09月, 下関市立大学学会
  • 書評 『地方創生の正体 : なぜ地域政策は失敗するのか』山下祐介・金井利之著, 松本 貴文, 社会分析 = Social analysis, 44, 143, 145, 2017年, 日本社会分析学会
  • 地域共創研究 下関市におけるまちづくりの現状と課題, 松本 貴文, 地域共創センター年報 = Annual review of the Shimonoseki University Institute for Collaborative Community Development, 9, 1, 17, 2016年, 下関市立大学地域共創センター
  • 『ジオツーリズムとエコツーリズム』深見聡著, 松本 貴文, 社会分析, 43, 166, 168, 2016年, 日本社会分析学会
  • 特定奨励研究 地域づくりの影響と課題 : 中国地方の事例から, 松本 貴文, 地域共創センター年報, 8, 67, 86, 2015年, 下関市立大学附属地域共創センター
  • ブックガイド 青木辰司著『転換するグリーン・ツーリズム--広域連携と自立をめざして』, 松本 貴文, 農業と経済, 76, 13, 96, 96, 2010年12月, 昭和堂

著書等出版物

  • ジレンマの社会学, 三隅, 一人; 高野, 和良, ミネルヴァ書房, 2020年10月
  • 地域社会学入門 : 現代的課題との関わりで, 山本, 努, 学文社, 2019年09月
  • 2017年03月
  • 暮らしの視点からの地方再生 : 地域と生活の社会学, 牧野, 厚史; 松本, 貴文; 徳野, 貞雄, 九州大学出版会, 2015年04月
  • 市町村合併と村の再編 : その歴史的変化と連続性, 日本村落研究学会; 庄司, 俊作, 農山漁村文化協会, 2014年10月
  • 観光メディア論 = Tourism & media, 遠藤, 英樹; 寺岡, 伸悟; 堀野, 正人, ナカニシヤ出版, 2014年05月

競争的資金

  • 20H01575, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), ポスト農業社会の食・農・自然に視点をおいた農業社会学の構築
  • 19H01562, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 過疎地域と地方都市間の関係分析による人口減少社会モデルの生活構造論的構築
  • 18K12938, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 若手研究, 新たな「複業体制」の構築を通した集落再生, 本研究の目的は、新たな自然資源活用法を開拓し多様な生業を複合させる地域システムを形成する試み(これを「複業体制」の構築と呼ぶ)についての事例研究を通じて、こうした試みが地域社会に与える影響を解明することである。 2018年度は、自然資源活用法の具体例として再生可能エネルギーに着目し、国内外における事例についての文献調査と、再生可能エネルギー先進国としてしられるドイツ農村での事例調査を実施した。 文献調査からは、再生可能エネルギー事業が農村における新たな生業構築のための非常に重要な手段となりうることが確認できた一方で、日本におけるその普及が企業を中心として進められており、農村の生業構築という点では十分に機能しきれていないことが明らかとなった。 こうしたことを受けて、ドイツ調査では、小規模兼業農家を中心に村民の共同出資によって再生可能エネルギー事業を実施し、地域社会の発展に成功しているバイエルン州の農村を対象として、住民から再生可能エネルギー事業の開始が村の生活にどのような影響を与えたのか聞き取りをおこなった。 その結果明らかになったのは、事業が単純に雇用の拡大などにつながっているだけでなく、村内のボランティア組織の活動をより活発化させるための手段として機能しており、農家の+α所得してだけでなくコミュニティ形成にもつながっているということであった。例えば、住民の大半が何らかの形で関与しているサッカークラブや音楽隊の活動が、再生可能エネルギー事業からの利潤によって支えられ、住民がボランティアや楽しみの場として参加する活動の形成につながっていた。このように、自然資源の活用は単に所得の獲得を目的とした生業の生成だけでなく、社会構築につながりうる可能性がある。
  • 17K00695, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 再生可能エネルギーを活用した持続可能な農山村のまちづくり:ポストFITを展望して, 研究の実施計画に沿って、再生可能エネルギーを活用した農村発展について、政策、産業、コミュニティの3点から分析を進めた。とくに、メンバー内およびゲストを招いて、複数回の研究会を実施し、研究チームにおける認識の共有を深めた。その成果は、西日本社会学会などの国内学会、国際エコロジー経済学会やInternational Studies Associationなどの国際学会において報告し、また、査読付きを含めた論文あるいは書籍の一部として発表した。なお、再生可能エネルギーと農村発展に関するフィールドワークについては、最終年度の研究の総括や今後の研究の発展可能性も意識しつつ、北東北の木質バイオマス発電、千葉県のソーラーシェアリング、バイエルン州およびドイツ南部農村などの地域で調査を実施した。
  • 17K04136, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 熊本震災における実践的支援体制の構築に向けての社会学的研究, 研究代表者の徳野貞雄は、ふるさと発・復興志民会議と連携して御船町・山都町等での復興支援活動事業を支援するとともに、その過程を科学的に検討し続けた。特に、御船町中山間地の南田代集落および水越集落において「T型集落点検」を行った。その結果、南田代集落にも水越集落においても、震災被害に加え過疎化・高齢化の進展が地域維持に強く影響していることが判明した。また、他出子が熊本市を軸に益城町等の近隣市町村に居住していることが、調査分析で判明した。このことから、復興対策として他出子の活用をベースとした復興行動計画を御船町に提示し、南田代集落および水越集落の人々と「お鍋プロジェクト」や「つばめの学校プロジェクト」を展開し、特にどんど祭りを他出子との協働システムとして実施した。住民の多くは、この地域社会学的な分析による計画的プロジェクトに、理解と協働関係を持って参加してくれた。この実践過程の成果を、現在分析中である。 研究分担者の藤本延啓は、震災復興にかかわる中間支援団体である「西原村rebornネットワーク」の代表として各種活動を行いながら、西原村を中心に、復興支援活動および関連する参与観察を継続している。さらに、昨年度において行っていた被災地におけるミクロレベルの動きへの着目と記録、および昨年度の成果論文からから発展させ、被災地域におけるミクロ-マクロリンクを観察・考察の軸足として、被災(地・者)分析にかかわる理論・概念化に向けて調査・考察を行った。その成果については、2019年度内に学会発表等を行う予定である。 研究分担者の松本貴文は、山都町中島地区における震災後の集落活性化対策として、集落ぐるみでの太陽光発電の誘致と経営について考察を深めている。また、そのために2018年度にドイツのクリーンエネルギー等との環境問題にも関心を示し、研究を継続している。
  • 16H03695, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(B), 過疎地域の生活構造分析による人口減少に対応する地方社会モデルの再構築, 地域社会の維持再生の要件を生活構造分析によって把握した。個々人が社会構造にアクセスするパタ-ンの総体を生活構造とし、生活条件の不利性の高い離島地域(徳之島の伊仙町など)を対象地域として人口再生産基盤・家族安定基盤・生活ネットワーク・生活安定基盤の現状を把握した。こうした人口減少地域の生活構造の把握を起点として、人口減少社会における地域社会の維持再生モデルの再構築を行った。
  • 15K03846, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 小河川の利用を軸とした川と人の生活環境史, 掘割再生活動で知られる福岡県柳川市の掘割および農業用水路について、その利用の歴史的変遷について聞き取りを中心とした調査を実施し、現状を把握した。さらにその作業を通じて、この地域の水と人の関係に生じている課題を把握し、課題解決に向けた人々の活動についても分析と検討を行った。課題は都市部と農村部とでは異なるが、共通する課題として水管理の担い手の確保が課題となっていることがわかった。
  • 20H01575, ポスト農業社会の食・農・自然に視点をおいた農業社会学の構築, 農業近代化政策の影響および販売農業と自給的な農的活動と消費者の関係について、複数の農村地域で、農家、住民の生活との関係に焦点をあてて、農という営みについての詳細調査を行う。さらに、研究会での討議により、食と農の関係の疎遠化の問題と自然資源管理の問題のつながりを、生活のなかでの食、農、自然の連関性に即して明らかにし、ポスト農業社会における農業社会学の構築と結びつける。特に、食と農、自然環境をいかした村づくりの計画手法を、日本の農業社会学の核心的な研究領域に位置づけ、提示できるようになるところまでを研究の到達点とする。;本研究では、食・農・自然という3つの視点から、ポスト農業社会の農村生活に照応する農業社会学の構築を目指す。2021年度は、昨年度にひき続き、研究実施計画にそって、フィールド調査と研究会とのサイクルを重視して調査研究を進めた。その際、コロナ感染症の拡大という状況下における効率的な研究を進めるために、オンライン形式での研究会を実施した。調査研究では、①食・農・自然環境からみた農業近代化政策の評価、②販売農家の農業および自給的農業と消費者との関係、③食と農、自然環境をいかす村づくりの計画手法という3つのコアとなるプロジェクトについて、研究会を実施した。研究会では、①個人の活動、②農家・農村・女性の活動、③生活組織化の様相、④物的対象(自然環境等)への働きかけ、⑤経済活動と消費者との関係の5アスペクトについて、それぞれのフィールドで調査を続行した。また、年度の後半には、共通の調査地である、大分県の都市に近い山村集落において、住民の方々への面接調査を実施した。その結果、以下の知見を得た。当該集落では、地元住民が立ち上げた農業組織(農事組合法人)主導の有機農業化が、大都市からの移住者を招きいれ、移住者とその家族が集落の農業と生活を支える担い手になるという、循環構造が形成され始めている。こうした循環構造の形成は、ポスト農業社会という状況に農業集落の人びとが主体的に対応した結果だといえる。また、鳥獣害、防災をテーマとした一連の講演会を、当該集落で実施した。研究成果の公表については、本年度発刊された山本努編著『よくわかる地域社会学』(ミネルヴァ書房)に、牧野厚史、靏理恵子、藤村美穂、福本純子が研究成果の一部を用いて分担執筆した。さらに、令和2年球磨川水害の調査結果をはじめ、鳥獣害を含めた、農村地域の地域防災に関わるいくつかの研究成果が公表された。;共通フィールドとしている大分県山村については、順調に調査が進んだが、その他の調査拠点で実施予定の調査については、コロナ感染症拡大の影響を受け、調査スケジュールを一部変更した。;変更した調査スケジュールによる調査研究を実施する。
  • 19H01562, 過疎地域と地方都市間の関係分析による人口減少社会モデルの生活構造論的構築, 本研究では、急激な人口減少下にある九州・中国地方の過疎地域と、過疎地域を内包する地方都市圏の維持のあり方を検討する。その際、過疎地域のみでなく、過疎地域と地方都市間の人の移動と社会資源へのアクセシビリティに注目し、人々の生活実態の動態的な把握を行うことで、人口減少に対応し得る広域的な社会モデル構築を目指す。;本研究では地域生活構造分析を採用し、時間・空間・社会関係・経済の4アスペクトを交差させながら、地域社会の維持再生の要件を検討する。それらをふまえて地域人口基盤、家族ネットワーク安定基盤・家族支援、生活ネットワーク拡張・生活支援、生活基盤といった地域社会維持モデルを検討する。;本研究では、過疎地域住民と地方都市住民の生活構造を包括的に把握するための方法論として地域生活構造分析を行った。2021年度に山口県萩市田万川地区で実施した社会調査結果をもとに、人口減少社会における地域社会の維持モデルを提示した。その結果、過疎高齢者は配偶者と子どもに強く頼っていること、近距離に居住する他出子は、高齢者自身が入院した際の世話といった緊急時の対応にとりわけ期待されていることなどが明らかになった。このことから、世帯と家族との関係から形成され、日常型移動に支えられた過疎地域と地方都市との関係を過疎地域維持モデルとして提示した。;人口減少社会としての過疎高齢者に対する生活支援は、その対象を過疎農村地域の高齢世帯に限っているために世帯としての高齢者と家族としての他出子との関係を捉えきれておらず、また、日常型移動社会となった過疎農村地域の実態を把握する視点も弱いといえ、結果として、過疎農村地域の人々の生活を十分に把握できていなかった。本研究の学術的意義としては過疎農村地域住民と地方都市住民の生活構造分析を行うことで、こうした課題解消に方向性を提示している点にある。;また、過疎高齢者と、近隣の地方都市に居住する他出子との間で授受されている社会的サポートの実態をもとに生活支援のあり方を提示したことはひとつの社会的意義である。
  • 18K12938, 新たな「複業体制」の構築を通した集落再生, 本年度は、福岡県柳川市でのフィールドワークを中心に研究を進めた。2022年6月、10月、2023年2月の計3回柳川市を訪問し、柳川市役所の関連部署や地域住民に対する聞き取り調査のほか、掘割清掃活動の観察を行った。これらの調査を通して、掘割に対し多様な人々が様々な目的をもって関りを持っており、その結果として、掘割が柳川市のシンボルとして機能していることが明らかになった。このようなシンボルの存在は、人々が地域に関わる機会の創造につながっており、外部の掘割に関心を持つ人々を含めたコミュニティの再生・再構築に寄与しているだけでなく、本研究のテーマである「複業体制の構築」を支える基盤となっている可能性がある。なお、以上の議論の一部をまとめた論文を、日本社会分析学会監修、室井研二・山下亜紀子編著『シリーズ生活構造の社会学2 社会の変容と暮らしの再生』に寄稿した。;もう1つの主要な研究対象地域としてきた熊本県あさぎり町については、本年度も新型コロナウイルス感染症の影響により、調査を実施することができなかった。しかし、昨年度までの研究成果の一部については、日本村落研究学会企画、高野和良編『年報村落社会研究59 生活者の視点から捉える現代農村』に寄稿した論文にまとめた。;本年度は柳川市でのフィールドワークを積極的に実施し、これまでの研究成果の一部を論文の形で刊行することができた。一方で、自然資源の活用を通した複業体制の構築とそれに基づく集落再生のメカニズムを検討するという本研究の問題設定に対し、最終的な結論を導くには至らなかった。また、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、あさぎり町で予定していた調査も実施できなかった。したがって、研究の進捗状況については「やや遅れている」と判断した。;新型コロナウイルス感染症の影響によって遅れているフィールドワークについては、早急に実施をする必要がある。とりわけ、昨年度全く調査が実施できなかったあさぎり町については、追加調査を速やかに実施する必要がある。;そのうえで、今後はこれまで実施してきた事例研究を整理し、理論化を図っていく作業に力を入れる。次年度こそは最終的な研究の成果を取りまとめたい。
  • 17K04136, 熊本震災における実践的支援体制の構築に向けての社会学的研究, 東日本大震災等での研究成果等を踏まえ、熊本震災直後から、「ふるさと発・復興志民会議」という中間支援組織をつくり、震災復興のための様々な活動を行ってきた。西原村では、「西原百姓応援団」という農業ボランティア組織を形成・運営した。御船町では震災実態アンケート調査に基づいた地区座談会を開催した。また、山都町では、棚田復興ボランティア活動等を主導した。このような事業を、実践的観察という手法を用いて科学的に記録すると共に、社会学的に分析した。;震災後の生活支援や地域支援のサポートを行うにあたり、直後にはやる気があって地域社会をよく知っている人が、一番最初の中核的人材となり、震災支援の突破口を開く。次に、その人達と行政や研究者が協議してボランティア的に展開しながら、災害の中間支援組織の形成に進む。そして、国や行政、企業等のシステム的な支援体制と地域の固有性を結びつける中から、災害復興の事業メカニズムを見出だすことが出来た。
  • 17K00695, 再生可能エネルギーを活用した持続可能な農山村のまちづくり:ポストFITを展望して, 本研究では、再生可能エネルギーと農山村の持続可能な発展について、実態解明と政策の方向性を検討した。研究成果は、以下の3点に大別される。(1)ドイツ農村における再エネ利用と地域経済・地域コミュニティの役割について、現地調査を重ね経済学・社会学から学際的に分析したもの(藤谷・松本・山川2019;松本2020)。(2)日本の農山村における再生可能エネルギー利用と地域コミュニティの相互作用の連関を、社会学的に解明したもの(松本2019)。(3)日本の再生可能エネルギー普及政策の成果と課題を、農山村の内発的発展の観点および比較政治経済学的研究としてまとめたもの(Yamakawa 2018;2019)。;研究成果の学術的意義としては、国内調査とドイツ調査の成果を踏まえ、ポスト・固定価格買取制度時代の日本の農山村における再生可能エネルギー活用への政策含意を析出した点である。研究期間を通じて、(1)農山村地域開発の観点からの再生可能エネルギー普及策の成果と課題、(2)農山村での再エネ活用に地域コミュニティが果たした影響とコミュニティの変容など、重要な論点を学際的に検討することが出来た。農山村地域が再エネの活用を通じた発展戦略の現状や政策的課題を論じたことの社会的意義は大きいと考える。今後も、学会報告や現地調査の内容を論文として公表するとともに、研究成果全体を束ねた書籍を出版できるように努める。
  • 16H03695, 過疎地域の生活構造分析による人口減少に対応する地方社会モデルの再構築, 地域社会の維持再生の要件を生活構造分析によって把握した。個々人が社会構造にアクセスするパタ-ンの総体を生活構造とし、生活条件の不利性の高い離島地域(徳之島の伊仙町など)を対象地域として人口再生産基盤・家族安定基盤・生活ネットワーク・生活安定基盤の現状を把握した。こうした人口減少地域の生活構造の把握を起点として、人口減少社会における地域社会の維持再生モデルの再構築を行った。;本研究で採用した生活構造分析によって、離島地域の人々は隣接する地方都市との間を移動しながら教育や医療などの社会サービスを活用しつつ、生活を維持している実態が把握できた。このため、隣接する地方都市との関係を十分に検証し、人の相互移動と社会資源へのアクセシビリティの実態把握に基づいた離島地域の生活支援策の検討が必要であるといった、政策論的、社会的に意味のある知見が得られた。
  • 15K03846, 小河川の利用を軸とした川と人の生活環境史, 掘割再生活動で知られる福岡県柳川市の掘割および農業用水路について、その利用の歴史的変遷について聞き取りを中心とした調査を実施し、現状を把握した。さらにその作業を通じて、この地域の水と人の関係に生じている課題を把握し、課題解決に向けた人々の活動についても分析と検討を行った。課題は都市部と農村部とでは異なるが、共通する課題として水管理の担い手の確保が課題となっていることがわかった。;現代の地域社会では、川離れが指摘される一方、地域によっては、観光等の新しい資源利用のための活動も観察されるようになっている。それらの機能は生活機会充実機能と呼べる。こうした河川からの利益を享受するには、無秩序な水資源利用や水質劣化、通水機能低下、災害などの資源利用上のマイナス面を避けるために、人々が組織的に川に手を入れていくことが必要となる。こうした諸課題は、環境社会学におけるコモンズ論の内容に位置づけられる。本研究では、こうした生活機会充実機能の実態を小河川の流域という広がりで調査し、歴史的に形成されてきた地域固有の「水社会」との関連性においてそれらの実態を明らかにした。
  • 22H00906, 過疎内包型地域圏の生活持続モデルの構築と検証:地域生活構造分析による解明, 本研究は、過疎地域と地方都市との関係を過疎内包型地域圏(以下、過内地域圏と省略)と捉え、地域生活構造分析に基づく人口減少に対応し得る過内地域圏の社会モデルの構築と検証を行うことを目的としている。;生活構造には様々な定義が存在するが、ここでは個々人が社会構造にアクセスするパターンの総体として捉え、これを時間アスペクト、空間アスペクト、社会関係アスペクト、経済アスペクトから把握し、これに行政連関アスペクトを加え、これら各アスペクトに対応する観点として、「人口・世代の再生」、「生活範囲の拡大」、「社会関係の維持」、「生活基盤の維持」を設定し、過内地域圏の維持に関する社会モデルを構築し検証する。

教育活動

担当授業

  • 社会学概論, 2022, (概要)| 人間は、社会的存在である。私たちは社会の中に生きているが、社会のことをどれくらい知っているのだろうか。社会は、個人間の相互作用から、家族やコミュニティのような集団・組織、さらには国家と国民の関係に至るまで様々であり、その範囲も非常に幅広い。社会学は、このように広範で複雑な社会の現象を分析し、その構造と変動を明らかにする学問である。| この科目では、社会が人々の行動や思考にどのような影響を与えるか、また、社会構成員はそれにどう反応し、社会を創り上げてきたかを理解するために、社会学の基礎概念、理論、手法を幅広く紹介する。「近代化」という共通の問いを念頭に置きながら、各回では、政治、経済、技術、文化の諸要因とともに、家族や地域社会、都市と農村、個人の日常生活がどのように変容してきたかを学ぶ。それをふまえ、社会を多面的、かつ批判的に捉えるための思考力を身につけ、社会の問題と向き合い、より良いあり方を考えるための手がかりを模索する。||(オムニバス方式/全15回)||教員A:松本(1~5回、14回担当)| 近代化と中間集団(家族、コミュニティ、組織など)の変容過程について学ぶ。第1回は、授業全体の導入として社会学がどのような社会的背景のもとで誕生したのかを説明する。第2回から第5回までは、近代化が社会と個人を結ぶ中間集団に与えた影響について説明する。第2回は、近代化がもたらした社会変動の方向性について、いくつかの視点(マルクス主義、機能主義)を紹介する。そのうえで、こうした社会変動がもたらした流動性の高まりが中間集団に与えた影響について説明する。第3回は、地域社会(コミュニティ)に焦点をあて、シカゴ学派の都市社会学や日本の農村社会学・都市社会学の成果を紹介する。第4回は家族に焦点をあて、伝統的家族の解体から近代家族の成立、さらには現代の個人化の流れを取り上げる。第5回は組織に着目し、官僚制や科学的管理法などの組織の原理から、現代のフレキシブルなネットワーク型の組織の登場までを紹介する。第14回では授業時試験を実施しポイントを振り返る。||教員B:河(6~9回、14回担当)| 社会学の基礎概念と主要理論について学ぶ。第6回では、社会を構成する要素である自己と他者の概念をふまえ、関係性や相互作用について説明する。自己と他者の間におけるコミュニケーションの仕組みを理解し、個人と組織の関係性を読み解くための概念的道具を身につける。続いて、第7回から第9回までは、社会学の土台を築き、思考の枠組み・分析手法の発展に貢献した代表的な人物(ミード、デュルケーム、ウェーバー、パーソンズ)と業績に注目しながら、権力や秩序、システムをめぐって「近代化」という問いがどのように探究されてきたかを確認する。第14回では、授業時試験を実施しポイントを振り返る。||教員C:潘(10~15回担当) | さまざまな文化・社会事象に注目し、社会学の視座、手法と諸概念を学ぶ。第10回から第12回までは、都市と階層・階級を軸とし、シカゴ学派やブルデューなどの理論を手掛かりとして、人々の移動、集結、資本(経済、文化、社会関係資本)とその背景にある社会的構造を探究する。第13回と第15回(オンデマンド配信)では、「ネットワーク」にまつわるさまざま理論(ソーシャル・ネットワーク、アクターネットワーク)を網羅的に学習し、社会的なものは人間だけではなく、ものと場所の能動性について考察し視野を広げる。社会学の「リレーショナルターン(関係性論の展開)」と近年台頭した学説について探索する。第14回では、授業時試験を実施しポイントを振り返る。
  • 社会調査法入門, 2022, 私たちは日々、様々な社会調査の結果を目にしている。国が実施する国勢調査やマスメディアによる世論調査はその一例である。こうした社会調査の結果が、ときに社会を動かす大きな原動力となることもある。現代社会の生活と社会調査は、切っても切れない関係にあるといってよい。|社会調査はまた、学問にとっても非常に重要な道具である。社会について新たな知識を獲得するためには、理論的な思考や既存資料の分析だけでなく、実際に自ら現場(フィールド)に出て、情報を収集する必要に迫られることも少なくない。|この授業では、社会調査の基本的な考え方や、調査票調査や参与観察など代表的な社会調査の技法について説明し、市民として求められるリサーチ・リテラシーに関する知識や、実際に自身で社会調査を実践する際の基礎となる知識を提供する。
  • 導入ゼミナール, 2022, 1年次前期の必修となる本科目では、観光まちづくり学部での学習を始めるにあたり、大学における主体的な学修の方法を理解し、基礎的な学修能力を身につけることを目的とする。|具体的には、初歩的なアカデミックスキルとして、文献検索・引用の作法や、論理的な記述方法に基づいたレポートの作成方法を修得する。また、 他者と協働して課題に取り組むためのディスカッションやプレゼンテーシ ョンの作法について、観光やまちづくりにかかわる課題を通して実践的に身につける。
  • 基礎ゼミナールA, 2022
  • 地域と環境の社会学, 2023
  • 社会調査法入門, 2023
  • 導入ゼミナール, 2023
  • 基礎ゼミナールA, 2023
  • 地域と環境の社会学, 2023, グローバルな気候変動や格差・貧国の拡大を背景として、「持続可能な社会」についての社会的な関心が高まっている。そして、持続可能な社会を実現するためには、国際機関や国家による上からのルール作りや支援だけでなく、身近な地域社会(コミュニティ)を単位とした、日常生活のなかでの共同(協働)や環境への働きかけが必要であるとの考えが強まっている。|この授業では、社会学の中でも地域社会(コミュニティ)の仕組みや、社会と環境とのかかわりに関連する領域である、農村社会学、地域社会学、環境社会学の基礎的な考え方について学び、これからの地域社会による環境(山、川、景観など)の保全と利用のあり方について考えていく。その際、「生活」という視点を1つの軸とし、地域住民の生活とのかかわりに重点を置く学説や実践事例を中心に紹介していく。こうした作業を通して、ボトムアップ型の持続可能な社会を実現するためにどのような仕組みが必要なのか、具体的に考えていく。|
  • 社会調査法入門, 2023, 私たちは日々、様々な社会調査の結果を目にしている。国が実施する国勢調査やマスメディアによる世論調査はその一例である。こうした社会調査の結果が、ときに社会を動かす大きな原動力となることもある。現代社会の生活と社会調査は、切っても切れない関係にあるといってよい。|社会調査はまた、学問にとっても非常に重要な道具である。社会について新たな知識を獲得するためには、理論的な思考や既存資料の分析だけでなく、実際に自ら現場(フィールド)に出て、情報を収集する必要に迫られることも少なくない。|この授業では、社会調査の基本的な考え方や、調査票調査や参与観察など代表的な社会調査の技法について説明し、市民として求められるリサーチ・リテラシーに関する知識や、実際に自身で社会調査を実践する際の基礎となる知識を提供する。
  • 導入ゼミナール, 2023, 1年次前期の必修となる本科目では、観光まちづくり学部での学習を始めるにあたり、大学における主体的な学修の方法を理解し、基礎的な学修能力を身につけることを目的とする。|具体的には、初歩的なアカデミックスキルとして、文献検索・引用の作法や、論理的な記述方法に基づいたレポートの作成方法を修得する。また、他者と協働して課題に取り組むためのディスカッションやプレゼンテーシ ョンの作法について、観光やまちづくりにかかわる課題を通して実践的に身につける。
  • 基礎ゼミナールA, 2023, 本科目は1年次後期に開講する少人数制の選択科目のゼミナールである。担当教員が専門分野に従って提示する課題の中から2つに取り組むことで、観光まちづくりに関連する各専門分野のより個別的な内容にふれるとともに、観光まちづくりへの多様なアプローチを実践的に学んでいく。また、導入ゼミナールで身につけたアカデミックスキルを実際の研究やプロジェクトに近い形で活用する。|本科目の履修を通して、自らの興味・関心を観光まちづくりの関連分野でどのように位置づけ、掘り下げていくことができるのかを考える。

学外活動

学協会活動

  • 環境社会学会, 2018年, 9999年
  • 日本社会学会, 2013年, 9999年
  • 日本社会分析学会, 2009年, 9999年
  • 西日本社会学会, 2007年, 9999年
  • 日本村落研究学会, 2007年, 9999年

学外委員等活動

  • 2019年09月, 9999年, 日本村落研究学会, 理事
  • 2019年09月, 9999年, 日本社会分析学会, 編集委員
  • 2018年03月, 9999年, 西日本社会学会, 年報編集委員
  • 2014年04月, 2016年03月, 西日本社会学会, 年報編集委員