新しい刑事政策(第6回) 「犯罪をした高齢者の特性とそれに応じた対応」, 安田恵美, 法学セミナー, 69, 9, 87, 92, 2024年08月, 日本評論社
フランスにおける「効果的で意味のある刑罰」をめぐる立法と議論 : 「再犯防止」と「社会参加の促進」に向けた施策と実践に対する批判的考察, 安田恵美, 国学院法学, 61, 4, 2024年03月, 國學院大學法学会
高齢受刑者等への対応に関わる「専門家」間の協働関係, 安田恵美, 法律時報, 96, 3, 21, 25, 2024年03月, 日本評論社
日仏の刑務所制度の表象を超えて, 安田恵美=VANDERSTUKKEN,O= BENBOURICHE,M., 国学院法学, 61, 3, 2023年12月, 国学院大学法学会
Le système pénitentiaire japonais.
Approche comparée entre le Japon et la France, Megumi YASUDA, Olivier VANDERSTUKKEN, Massil BENBOURICHE, Les Cahiers de la sécurité et de la justice, 2023年09月19日, l'Institut des hautes études du ministère de l'Intérieur
Le système pénitentiaire japonais et la gestion de la délinquance au Japon
Dépasser les représentations par l’approche culturelle, Megumi YASUDA, Olivier VANDERSTUKKE Massil BENBOURICHE, Cahiers de la sécurité et de la justice, 2023年05月03日, l'Institut des hautes études du ministère de l'Intérieur
新型コロナウイルス感染症対策としての早期釈放制度活用の可能性 : フランスにおける2020年3月25日のオルドナンス2020-303号の経験から, 安田恵美, 国学院法学, 59, 4, 89, 128, 2022年03月10日, 國學院大學法学会
刑務所医療の枠組みにおける新型コロナウイルス感染症対策とその課題, 安田恵美, 都市と社会, 5, 36, 41, 2021年03月, 大阪市立大学都市研究プラザ
刑務所拘禁による「社会的排除」を回避するための施策に関する一考察, 安田恵美, 現代の社会病理, 34, 39, 54, 2019年09月30日, 日本社会病理学会
教育講演:高齢犯罪者の社会復帰と権利保障, 安田恵美, 日本フォレンジック看護学会誌, 5, 2, 91, 104, 2019年07月31日, 日本フォレンジック看護学会
拘禁の継続と相いれない受刑者に対する自由刑の裁量的執行停止の運用に関する一考察, 安田恵美, 法学雑誌, 64巻, 4号, 971, 1010, 2019年03月31日, 大阪市立大学法学会
第1章刑務所出所者の社会で更に生きるチカラとそれを支える人々のチカラの醸成, URP「先端的都市研究」シリーズ13『先端的都市研究拠点2017年度公募型共同研究によるアクションリサーチ』, 2018年03月01日
フランスにおける治療を理由とする刑の執行停止制度の改革 , 罪と罰, 55号1巻, 2017年12月01日
高齢犯罪者と「社会的排除」, 法学セミナー, 62巻11号, 2017年11月01日
拘禁の弊害と社会復帰 , 法学セミナー, 62巻11号, 2017年11月01日
筆者より, 安田 恵美, 犯罪社会学研究, 42, 0, 2017年, 日本犯罪社会学会
高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とその手段としての早期釈放制度の積極的運用(6・完) , 大阪市立大学法学雑誌, 62巻1号, 2016年03月01日
高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とその手段としての早期釈放制度の積極的運用(5) , 大阪市立大学法学雑誌, 61巻4号, 2015年11月01日
高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とその手段としての早期釈放制度の積極的運用 (五), 安田 恵美, 大阪市立大學法學雜誌, 61, 4, 863, 923, 2015年11月, 大阪市立大学
高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とその手段としての早期釈放制度の積極的運用(4), 大阪市立大學法學雜誌, 61巻3号, 2015年09月01日
高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とその手段としての早期釈放制度の積極的運用(四) (大阪市立大学法学研究科法曹養成専攻創立10周年記念講演会), 安田 恵美, 大阪市立大學法學雜誌, 61, 3, 596, 638, 2015年09月, 大阪市立大学
「高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とそのための早期釈放制度の積極的運用(3)」, 「法学雑誌」, 61巻1号, 370, 429, 2015年03月01日, 大阪市立大学法学会
「高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とそのための早期釈放制度の積極的運用(2)」, 「法学雑誌」, 60巻2号, 572, 622, 2014年03月01日, 大阪市立大学法学会
「福祉的ニーズを持つ被疑者への起訴猶予」, 「法学雑誌」, 60巻3・4号, 171, 230, 2014年03月01日, 大阪市立大学法学会, 刑事司法の手中に置かれた障がいを有する人や高齢者といった、福祉的ニーズを有する人々における供述の任意性の確保や、処分・量刑決定における福祉的ニーズの斟酌の在り方が問題とされている。これらの「入口支援」のうち、とりわけ、被疑者段階における起訴猶予に向けた福祉的支援については、各機関が試みている。しかし、実際にヒアリングを行った結果、被疑者段階における入口支援が非常に困難であることが明らかとなった。その根底には期間の短さや情報の少なさといった問題を生み出している、刑訴法 条の「境遇」という文言の理解の違いがあると思われる。すなわち、福祉的ニーズを有する被疑者に対する起訴猶予を選択する基準として、福祉的支援が確保されているところまで必要となるのか否か、という点である。この点、検察の中でも一貫していないように思われる。ただし、更生保護法条は、検察は「(福祉的支援の)必要があるときに」更生緊急保護に関する情報提供の義務を課せられている。この規定にかんがみれば、検察官の役割は福祉的ニーズを確認し、本人の支援への同意を確認するところまでであり、支援の確保は考慮されるべきではない。もっとも、起訴猶予を積極的に運用することについては、検察官の権限を増大させ、捜査の糾問化をもたらすおそれがあることから、慎重な検討が必要であろう。しかし、起訴猶予が積極的に用いられ、ダイバージョンにおいて大きな役割を担っている現状にかんがみれば、起訴猶予における福祉的配慮について理論的検討を行う必要があると思われる。
「受刑者における『塀の外で死ぬ』権利」, 「犯罪社会学研究」, 38号, 170, 185, 2013年10月01日, 日本犯罪社会学会, 受刑者の中には、がんにり患し終末期を経て死亡した者が少なからずいる。その一方で、同じく末期がんにり患している受刑者であっても、自由刑の執行停止を用いて早期釈放する場合もある。その対応の違いの背景には帰住先がみつかったかどうか、という事情がある。しかし、このような受刑者本人の力のみではどうにもならない事柄によって死ぬ場所が変わる、というのは大いに問題がある。これは死ぬ場所の問題のみならず、受刑者として死ぬか、一市民として死ぬかという受刑者本人の尊厳に深くかかわる問題だからである。そこで、受刑者の権利として、塀の外で死を迎えるための制度を整備してきたフランスの議論から示唆を得て、受刑者の塀の外で死ぬ権利に関する議論の必要性を指摘した。
「高齢受刑者の医療を受ける権利の保障とそのための早期釈放制度の積極的運用(1)」, 「法学雑誌」, 60巻1号, 1, 79, 2013年09月01日, 大阪市立大学法学会, 近時、日本の刑務所において人に人が歳以上の高齢受刑者である。彼らの多くは、生活に困窮し、生きるために軽微な財産犯を繰り返している。それゆえ、高齢者犯罪への対応の在り方については刑事政策のみならず、社会政策全般において検討がなされつつある。しかし、実際に刑務所の中で高齢受刑者に対してどのような処遇を行うべきか、についてはあまり議論がなされていないように思われる。そこで本稿では高齢受刑者処遇においては医療的福祉的対応の充実がまずは必要であることを示した。それは、高齢受刑者と非高齢受刑者の質的違いは、医療的・福祉的ニーズの多様性・複合性にあると考えるからである。生きていなければ社会復帰はできない。さらに、健康であるほうが釈放後の受け皿の範囲が広がる。それゆえ、医療的・福祉的対応の充実は必要不可欠である。刑務所では当該高齢受刑者のケアを十分に行うことができない場合には、刑の執行停止(刑訴法条)を用いて早期釈放することが必要である。なぜならば、諸法の要請にかんがみれば、高齢受刑者の生命および健康の維持は自由刑の執行に優先されなければならないからである。
「高齢受刑者の尊厳を基礎とした処遇に向けて」(学位論文), 2013年03月01日, 高齢者は非高齢者よりも体力が減退し、病気のリスクが高い。それ故フランスでは高齢犯罪者に対して、より拘禁を回避し、刑務所内でも手厚い治療と介護を行ってきた。一方、日本の刑事司法においては「高齢者」の扱い方に関する指針がない。その結果、拘禁されやすく、かつ刑務所内でも特性に応じた処遇は行われていない。この対応は諸法の要請に反している。そこで、現行制度においては高齢受刑者を早期釈放することが必要である。
高齢者犯罪における所得保障制度の犯罪予防的役割の重要性(ニ・完): フランスにおける高齢者犯罪の動向と高齢者に対する所得保障の発展の関係を素材に, 安田恵美, 法学雑誌, 2010年12月01日, 大阪市立大学法学会
高齢者犯罪における所得保障制度の犯罪予防的役割の重要性(一): フランスにおける高齢者犯罪の動向と高齢者に対する所得保障の発展の関係を素材に, 安田恵美, 法学雑誌, 2010年03月01日, 大阪市立大学法学会
「フランスにおける高齢者の経済状況と高齢者犯罪」(修士論文), 2009年03月01日, 生活困窮を原因とした高齢者犯罪の予防策として、より手厚い所得保障は効果的なのか。この点について、より実証的に検討すべく、本稿では、高齢社会に到達しているが、高齢者犯罪が少ないフランスを比較対象として、高齢者の生活状況、所得保障状況等と高齢者犯罪の動向を検討した。その検討から、フランスでは高齢者の生活水準の引上げによる困窮状況の改善が高齢者による軽微な財産犯の抑止になっていることを明らかにした。
治療を理由とした刑の修正を受ける人々の居場所と援助 : 尊厳をもってケアを受ける(受け入れ先紹介実用ガイドブック), フランス刑事立法研究会;井上 宜裕;安田 恵美, 法政研究, 83, 4, 941, 967, 2017年03月10日, 九州大学法政学会, はしがき 治療を理由とした刑の修正を受ける人々の居場所と援助
フランスにおけるカップル間暴力行為者に対する保護観察付司法統制処分の試行, 井上 宜裕=大貝 葵=安田 恵美, 国学院法学, 61, 2, 2023年09月01日, 国学院法学法学会
フランスの刑事施設における高齢者の特性を考慮した処遇の実践, 安田 恵美, 国学院法学, 61, 1, 2023年07月, 国学院大学法学会
フランスにおける再犯概念に関する研究の20年(2000年ー2020年), Raphaël BECQUES、安田恵美訳, 国学院法学, 59, 3, 115, 149, 2022年, 國學院大學法学会
犯罪をした高齢者の社会復帰とそれに向けた支援 (名城大学法学部創立70周年記念シンポジウム 高齢社会における法・政策上の課題), 安田恵美, 名城法学, 71, 2, 26, 35, 2021年, 名城大学法学会
シンポジウム「高齢社会における法・政策上の課題」, 伊川 正樹
関 ふ佐子
安田 恵美
柳澤 武
前田 智彦, 名城法学, 71, 2, 1, 63, 2021年10月25日, 名城大学法学会
フランス刑事施設等参観記録, 井上宜裕、金澤真理、寺嶋文哉、徳永元、安田恵美, 國學院法学, 57, 3, 35, 59, 2020年03月, 國學院大學法学会
公益奉仕労働, Zarianta ABDOULHAMID, 安田恵美訳, 國學院法学, 2019年07月10日, 國學院大學法学会
「書評 この人が選ぶこの一冊 山本譲司著『覚醒』」, 「ホームレスと社会」, 6号, 115, 2012年07月01日, 「ホームレスと社会」編集委員会
治療を理由とした刑の修正を受ける人々の居場所と援助 : 尊厳をもってケアを受ける(受け入れ先紹介実用ガイドブック), 法政研究, 83巻4号, 2017年03月01日
La criminalite et le systeme penitentiaire au Japon, YASUDA,Megumi, Conférence annuele pour la FRAMAPAD / UFRAMA de Dijon, 2024年09月13日
「意思決定や意思表示が苦手な高齢犯罪者等」, 安田恵美, 沖縄県地域生活定着支援センター、令和5年度罪に問われた高齢・障害者の地域生活移行支援セミナー, 2024年03月05日
「自律的な生活再建を支える専門家の役割、刑事政策的・比較法的観点からのコメント」, 安田恵美, 第11回ERCJ 講演会「受刑者の出所後支援を考えるー社会参加と再犯防止」, 2023年12月10日
Japon et France, ーComparaison des dispositifs pénitentiaires., YASUDA,Megumi, Groupe Multiprofessionnel des Prisons, 2022年10月04日
再犯防止から社会参加へ
~日本の外から日本の高齢受刑者のくらしをながめる~, 安田恵美, 2021 よりそいセミナー 記念講演会, 2021年09月15日
テーマセッションA 高齢出所者の地域生活によりそうー専門性の限定をめぐって, 安田恵美, 第48回犯罪社会学会, 2021年10月16日
日本における高齢受刑者, 安田恵美, ランス大学犯罪学研究会, 2021年12月06日
フランスと日本における高齢受刑者処遇, 安田恵美, La reception de bienvenue, La direction d'administration penitenaitire, Ministere de la justice, 2021年06月22日
『犯罪をした高齢者の社会復帰とそれに向けた支援』, 安田恵美, 名城大学創立70周年記念シンポジウム「高齢社会における法・政策上の課題」, 2021年12月06日
若手の刑事政策研究者の立場から テーマセッションE「刑事政策学の復権Ⅳ:刑事政策学のこれから, 安田恵美, 日本犯罪社会学会第45回大会, 2018年10月21日
日本およびフランスにおけるセクシャリティと未成年にたいする性暴力, 安田恵美ほか, 第10回フランス語圏国際性暴力学会, 2019年06月13日
[高齢犯罪者の権利保障と社会復帰」, 安田恵美, フォレンジック看護学会第5回学術集会, 2018年09月02日
「フランスにおける犯罪をした人の社会包摂」, 2012年03月01日, 釜ヶ崎まち再生フォーラム3月定例会
「フランスにおける犯罪をした人の社会包摂―高齢犯罪者を中心に」, 2012年03月01日, 大阪府人権協会よりそいネットおおさかよりそいサロン
「高齢受刑者への早期釈放の積極的運用に向けて」, 2013年01月01日, 刑法学会関西部会
「刑務所出所後の『居場所』と『出番』の確保に向けて」, 2015年03月01日, 新しい自立化支援塾「刑余者を受け入れる地域文化醸成のための講座」
プレ企画1.刑事司法との連携を考える ~事例報告から弁護士との連携を探る~, 2017年06月01日, 第52回公益社団法人日本精神保健福祉士協会全国大会・第15回日本精神保健福祉士学会学術集会
刑務所ぐらし、シャバぐらし―更に生きる本人のチカラ、支援者のチカラ, 2016年09月30日, 岡山司法福祉ネット研修会
刑務所出所後の「居場所」と「出番」の確保にむけて, 2016年09月09日, あいぽーと徳島「人権教育啓発リーダー養成講座」
Le sens de la peine privative de la liberté des condamnés très âges au Japon, 2017年09月08日, 於フランス、Reims大学
La situation de l’infraction au japon, 2018年03月13日, 於フランス、REIMS大学
19KK0312, 2019, 日本学術振興会, 科学研究費 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A)), 刑務所出所者等の主体的な社会参加とそれを促進するための支援に関する日仏比較研究
20K13354, 2020, 日本学術振興会, 科学研究費若手研究, バルネラブルな刑務所出所者等の「社会参加」促進に向けた施策に関する研究
17K13635, 高齢犯罪者における「社会復帰」概念に関する理論的実証的研究, 本研究では、理論研究および実態調査を行い、「高齢犯罪者の社会復帰」、および「高齢犯罪者の社会復帰を促進するための支援」のありかたについて、日仏比較研究を通して明示することを試みた。理論研究としては、刑事法のみならず社会的排除や社会的バルネラビリティに関する諸研究からも重要な示唆を得ることができた。また、実態調査としても日仏の刑務所、民間の支援機関等を訪れ、日仏の実務を比較する作業も行った。それらの研究活動を通して、高齢犯罪者の社会復帰(支援)の文脈における本人に対する意思決定支援・情報提供、専門家等へのアクセス、心身の健康を維持するためのケアの必要性に関する研究成果のアウトプットも行った。;近時の再犯防止推進に関する一連の施策において、高齢出所者等への対応も重要な位置に置かれている。生活の基盤を築くための支援が必要とされ、諸機関においてそれらを実現するための試みも行われている。本研究は、高齢者のバルネラビリティに着目しつつこれらの試みを理論的に整理した点に学術的意義がある。より公的サービスを受けることが多い高齢出所者においては意思決定支援やサービスに関する情報提供がより重要であるが、この点に関する議論は不十分である。今後議論を展開していくための基礎として、まずはその重要性について近接領域の議論を参照しながら、明らかにした点にこの研究の社会的意義がある。
15H06595, 高齢犯罪者に対する自由刑の意義に関する理論研究, 本研究では、高齢犯罪者を刑務所に拘禁することについては、むしろ弊害の方が大きく、彼らの社会参加、そして社会復帰を大きく阻害している現状を把握することができた。高齢犯罪者においては、非高齢犯罪者よりも刑務所拘禁の弊害が大きく、さらにその弊害を除去するための積極的な処遇・支援も十分ではない現状において、高齢犯罪者が抱える諸問題は刑務所拘禁によってより複合化・多様化している。そこで、そのニーズや特性に応じた支援や関わり合いといった、社会復帰の前提をなす、「社会参加(≒社会内で生活するために必要なもの、サービス等が用意されている状態)」の観点から拘禁を回避することが、より一層重要であろう。
26245008, 刑事司法と福祉の連携に関する試行モデルの検証と制度設計のための総合的研究, 本研究は、刑事司法と福祉の連携をめぐる試行モデルの運用を刑事司法と福祉の両側面から検証し、課題を明らかにするとともに、刑事司法と福祉の連携の在り方を探求し、その具体的な制度設計を行うことを目的とする。;(1)試行モデルの実績調査と評価研究として、地域生活定着支援センター活動の実態調査と評価研究を継続して行った。各県の定着センターの活動状況について訪問・面接の方法で実態調査を行い、調査結果の分析・評価の中間まとめを行った。これについては、司法福祉学会で報告した。;(2)比較法的研究では、①メルボルン大学のスタッフと共同研究を行い、2016年9月に立命館大学朱雀キャンパスにおいて、社会内処遇と司法福祉セミナー「テクノロジーを用いた社会内モニタリング―オーストラリアにおける監視社会の拡大と障がいのある人の自律的な社会復帰のあり方から考える―」を開催した。②イギリスの保護観察制度の改革、ドイツのバーデン・ビュルテンベルク州における保護観察の民間委託とその後の国営化への回帰ならびにドイツにおける施設内処遇から社会内処遇への移行マネジメントについて研究を継続した。③フランスにおけるアソシアシオンの活動、韓国における条件付起訴猶予制度の実態などについても調査を継続した。;(3)理論的、制度的研究では、執行猶予制度、累犯加重制度、判決前調査制度、刑の個別化と裁判制度、起訴猶予などのダイバージョン制度と福祉との連携のあり方、刑事収容施設法・更生保護法などと福祉の連携について研究を継続した。;(1)試行モデルの実態調査と評価研究として、①地域生活定着支援センター活動の実態調査について、これまで全国28箇所のセンターの訪問・聞き取りを終了した。それらの調査結果の分析・評価を行い、取りまとめの作業を始めている。②刑務所に配置された社会福祉士の活動の実態調査と分析については、旭川大学の朴氏を招き、報告と質疑を行うとともに、本研究の成果報告にも協力を得ることになった。;(2)比較法的研究として、①2016年9月19日立命館大学において、メルボルン大学のアリソン・ヤング教授とスチュワート・ロス博士を招き、社会内処遇と司法福祉セミナー「テクノロジーを用いた社会内モニタリング―オーストラリアにおける監視社会の拡大と障がいのある人の自律的な社会復帰のあり方から考える―」を開催した。ヤング教授「犯罪予防としてのテクノロジーを用いた監視の拡大」、ロス博士「テクノロジーを用いた自律的な社会内処遇プログラム」の講演に基づき活発な討論を行なった。②2016年8月30日に韓国の江原大学においてセミナーを開催し、「日本における司法福祉の現状」の講演を行い、活発な質疑応答を行なった。③ドイツ、フランス、韓国については、刑事司法と福祉の関係をめぐる制度およびその運用実態に関する調査を進めた。;(3)理論的、制度的研究では、安田恵美『高齢犯罪者の権利保障と社会復帰』ほか多数の本研究に関する公表論文を得た。学会報告等として、日本犯罪社会学会(10月30日甲南大学)において、「刑事司法と対人援助」及び「社会福祉からみる連携の展望と課題」の報告を行なった。また、日本司法福祉学会(8月28日甲南大学)において、本研究の中間まとめ「地域生活定着支援センター全国調査にみる犯罪をした人の社会復帰支援の現状と課題」の報告を行なった。;(1)実態調査として、①地域生活定着支援センター活動の実態調査について、これまでに全国28箇所のセンターの訪問・聞き取りを終了したが、そのほか数箇所のセンターの調査を終えた後、全体の分析・検討を経て、全体のまとめを行なう。②諸外国の制度とその運用の実態調査に関しては、特に、ドイツ、フランス、韓国、台湾等の補充的調査を進め、その取りまとめを行なう。;(2)比較研究として、①共同研究として、本研究の分担者及び協力者とメルボルン大学のスタッフ及び院生との合同セミナー(2017年9月京都)を開催する。また、ドイツの研究者を招聘し、ドイツの再社会化法案及び移行マネジメントに関する講演会を開催する。②アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、韓国等におけるダイバージョン制度と福祉の連携に関する研究を進める。;(3)理論的・制度的研究として、犯罪行為者の社会復帰支援の理論的根拠とその制度的方法に関する研究を進める。そのための合宿研究会を開催し、各担当者の報告・討論を経た後、論文にまとめる。;(4)以上の作業を経て、本研究の成果を本にまとめ、2018年3月末までに出版する。
20K13354, バルネラブルな刑務所出所者等の「社会参加」促進に向けた施策に関する研究, 近年、刑務所出所者等に対する生活支援の充実がはかられており、学術研究も活発に行われている。しかし、そもそもの問題である「早期釈放制度の消極的な適用」という問題の解決に向けた理論的検討は未だ不十分である。本研究では、日仏の理論研究および刑事施設等への実態調査を踏まえて、特にバルネラブルな受刑者・出所者その上で早期釈放制度の活用と刑務所出所者等のスムーズな社会参加の促進が必要であることを理論的に示す。;2022年度は、コロナ禍の影響のため、予定していた調査研究をすべて行うことはできなかったが、大阪を中心に刑務所出所者等への生活支援を行っている諸機関を訪問し、支援者に話を聞くことができた。そこでは、専門性に基づく支援、「専門性」を超えた支援の実践について、知見を得た。本研究を開始した当初は、「刑罰執行」「犯罪者処遇」にかかわる諸機関が受刑者・刑務所出所者が抱えるすべての問題に対応することの限界に着目し、刑事政策を限定する方向で専門家による専門性に基づいた支援体制について検討をしていた。しかしながら、2022年度の調査を通して、「非専門家」(ここでは、法学、教育学、社会学、心理学、医学等の専門的な知見に基づき、犯罪者処遇にかかわっている者を「専門家」として理解している)による支援の実践に関する知見もえることができた。そこで、改めて、この点についてそれぞれの違いに着目し、検討を深める。;また、2022年度に実施した調査により意思決定支援の重要性についても改めて確認することができた。特に刑務所出所後すぐに社会福祉サービスを受ける際の同意について、本研究が検討対象としているヴァルネラブルな受刑者の中には、一層意思決定が難しい人々が少なからず存在していることから、彼らへの意思決定支援に関する情報の収集および検討を現在も継続して行っている。;なお、2022年には本研究の成果の一部として一本論文を執筆したが、未公刊である。;2022年度はなおコロナ禍の影響があり、フィールドワークの機会は限定された。そのため、予定していた調査のうち終えることができなかったものもある。また、当初の問題関心に対する研究活動を行うなかで、本研究を遂行するにあたり検討しておくべき点が複数見つかり、それに対する検討作業を行っていたため、当初予定していたアウトプット作業は進んでいない。;今後の研究は、①これまでの研究活動を通して明らかになった課題に対する検討、②研究成果のアウトプットの二つの作業を行う。①としては、ヴァルネラブルな刑務所出所者等に対する意思決定支援について、近接する領域の専門家および実務家等へのヒアリングを通して、検討を深めることとする。必要に応じて、補充調査を実施する。また、②については、現在初校を待っている論文や執筆中の論文があり、引き続きそれらに関する作業に取り組む。
19KK0312, 刑務所出所者等の主体的な社会参加とそれを促進するための支援に関する日仏比較研究, 本研究では、刑務所を出所した人々が社会復帰をしていくために必要な支援について、当事者と支援者という軸、日本とフランスという軸、理論と実践という軸の3つの軸を設定し、調査を行う。ここでの研究目的は、「社会復帰」概念の明確化ではない。社会復帰には内心の変化も含まれうることに留意しながら、出所者等が社会で「更に生きていく(=更生)」ことを支える生活基盤の構築・再構築に着目している。;実態調査のみならず、フランスにおける「社会参加」という考え方に着目した理論研究も進めることにより「刑務所出所者等」の当事者の意思決定に基づく社会参加を促進するためのモレのない施策の基礎となる理論の構築も試みる。;2022年度は、2021年度に収集したデータや資料の整理・分析作業を中心に行った。2021年に行った調査はフランス司法省の協力を得て行ったものであり、かつ公的な機関に対する調査がメインであったため、国の方針に沿った内容のデータが多くを占めていた。そこで、平行して、フランスの状況についてより多角的な視点からの検討するための情報を収集する作業も行った。;2022年8月~9月と2023年3月に渡仏し、補充調査等を実施した。具体的には、高齢受刑者処遇にかかわっている心理士等の対人援助職や弁護士等に対する高齢者犯罪・高齢受刑者の実態に関する追加のヒアリングの実施、国立図書館・大学図書館での文献収集、フランスにおいて犯罪者処遇や刑罰制度について研究をしている研究者への聞き取りを行った。また、日仏比較を行うために、日本における実態調査も行った。日本ではコロナ禍の影響により、刑事施設への参観が困難であったため、社会内処遇や刑務所出所後の支援に関わっている人・機関に調査を行った。;また、これまで行ってきた研究活動についてのアウトプット作業も始めたところである。成果としては、10月4日にオンラインで開催されたGroupe Multiprofessionnel des Prisons主催のウェビナーでの報告(Japon et France,Comparaison des dispositifs penitentiaires.)、Megumi YASUDA=Olivier VANDERSTUKKEN=Massil BENBOURICHE, Le systme penitentiaire japonais et la gestion de la delinquance au Japon (Cahier de la securite et de la justice no57)がある。これらに加えて、未公開であるが、フランス司法省に調査報告を2本(仏語)提出した。当該報告書については、若干の加筆修正をしたうえで、日本語に翻訳し、日本においての公刊を予定している。;現在、データ整理・分析、補充調査、そして論文執筆等のアウトプットに向けた作業を行っている。とりわけ、補充調査について、遅れが生じている。すなわち、予定していた調査を終えることができていない状況である。日仏比較をするための日本の調査については、コロナ禍の影響により、日本国内の刑事施設への訪問ができない状況である。また、フランス調査についても、コロナ禍の影響や年金改革に対するストライキやデモの影響で予定していた刑事施設等の参観やインタビューを予定していた専門家・実務家との面会のうち実現しなかったものもある。また、3月にフランスにおいて実施した調査の一部については、フランスからの帰国時に調査メモや資料(個人情報等取扱に倫理的配慮が必要な情報は含まれない)を入れた荷物が紛失し、現段階で手元に戻ってきていない。そのため、それらを用いた研究活動には着手できていない状況である。;2023年度中に補充調査を終了させるべく、現在調査の調整を行っている。本研究を遂行するにあたり、とりわけ重要な機関へのヒアリングを9月以降に予定している。また、アウトプットについても、現在日本語および仏語で論文執筆を進めているところである。論説にくわえて、フランスで入手した資料を日本で紹介するべく、翻訳作業等も進めている。
JP20K13354, バルネラブルな刑務所出所者等の「社会参加」促進に向けた施策に関する研究, 近年、刑務所出所者等に対する生活支援の充実がはかられており、学術研究も活発に行われている。しかし、そもそもの問題である「早期釈放制度の消極的な適用」という問題の解決に向けた理論的検討は未だ不十分である。本研究では、日仏の理論研究および刑事施設等への実態調査を踏まえて、特にバルネラブルな受刑者・出所者その上で早期釈放制度の活用と刑務所出所者等のスムーズな社会参加の促進が必要であることを理論的に示す。;令和5年度は、令和5年4月に公表された第二次再犯防止推進計画の分析と、ヴァルネラブルな受刑者および刑務所出所者に対する意思決定支援について研究活動を行った。;第二次再犯防止推進計画を分析するにあたり、生活を行う上での「支援」や心身の健康を維持するための「ケア」と「再犯防止」に特化した施策との違いについて理論的な整理を行った(その内容については、令和5年12月に開催されたERCJ主催のイベントおいて「コメント」という形で報告を行った)。とりわけ、フランスにおける社会(再)参加と社会的排除の議論から示唆を受けて、理論研究を行った。その上で、実際に刑務所出所者等の受け入れや、生活支援等を行っている諸機関・専門家にヒアリングを行い、第二次再犯防止推進計画が実践に及ぼしている影響や再犯防止への意識について知見を得た。また、比較検討を行っている、フランスにおいても、再犯防止に向けた施策と生活支援との関係性が問題となっていることから、それらの議論についても分析を行っている。そこでの再犯防止に向けた施策は、心理学の諸理論・諸研究を基礎とする、RNRモデルに立脚したものである。そこで、実際にフランスにおいて再犯防止プログラムの実施に関わっている心理士にもヒアリングを行いながら、理解を深めているところである。;これらの調査研究を経て、第二次再犯防止推進計画を分析する上で「意思決定支援」の重要性を改めて確認した。そこで、近時地域生活定着支援センター等が行っている、特別調整に向けた意思決定支援の現状について、調査を行っている。;コロナ禍の影響による研究計画の遅れ、また、研究プロジェクト開始後に示された新たな施策の分析作業の実施という事情から、当初の研究計画よりもやや遅れている。;現在、とりわけ意思決定支援に関する実態調査および、フランスとの比較法研究を行っている。コロナ禍の影響による研究計画の遅れ、また、研究プロジェクト開始後に示された新たな施策の分析作業の実施という事情から、研究の進捗状況はやや遅れている状況である。そこで、今後の研究活動をより円滑に行うためには、近接領域の研究者および実務家に協力を仰ぎながら、計画的に作業を進める必要がある。例えば、実態調査については、被収容者あるいは刑務所出所者に対する社会復帰に向けた支援のあり方について社会調査を行ったことがある研究者の協力を得ながら準備を進めている。また、比較法研究については、実態調査のうち、遠隔でできる分については遠隔で行っている。
JP19KK0312, 刑務所出所者等の主体的な社会参加とそれを促進するための支援に関する日仏比較研究, 本研究では、刑務所を出所した人々が社会復帰をしていくために必要な支援について、当事者と支援者という軸、日本とフランスという軸、理論と実践という軸の3つの軸を設定し、調査を行う。ここでの研究目的は、「社会復帰」概念の明確化ではない。社会復帰には内心の変化も含まれうることに留意しながら、出所者等が社会で「更に生きていく(=更生)」ことを支える生活基盤の構築・再構築に着目している。;実態調査のみならず、フランスにおける「社会参加」という考え方に着目した理論研究も進めることにより「刑務所出所者等」の当事者の意思決定に基づく社会参加を促進するためのモレのない施策の基礎となる理論の構築も試みる。;フランスにおける高齢受刑者の中には、性犯罪のかどで有罪宣告を受けた者も少なくない。そのような場合において、仮釈放等にかかる手続きにおいて、当該被収容者の危険性・再犯リスクに関する評価が必要とされることもある。そこで、2023年はフランス司法省行刑局の協力を得て、国立アセスメントセンターにおける危険性・再犯リスクアセスメントについて調査を行った。とりわけ、2023年9月には、フレーヌ国立アセスメントセンターを訪問し、実際に被収容者の危険性・再犯リスクのアセスメントを行っているチーム(心理士、保護観察官から構成される)にヒアリングを行い多くの知見を得た。そこから、発展して、生活や心身の健康の維持に関する支援と再犯防止プログラムの関係性に着目し、調査研究を行っている。その活動を通して、既決のみならず、被疑者被告人に対する危険性・支援の必要性に関するアセスメントの実践についても、グッドプラクティスを収集することができた。これらの研究活動の成果の一部については、国学院法学等において公表している。;また、以上のような法制度および実践の分析のみならず、いわゆる「司法と福祉」の連携のあり方について、理論的な検討も深化させるべく、フランスの研究者・実務家と共同研究を行っている。具体的には、犯罪者処遇・満期釈放者をも含む刑務所出所者への対応における、保護観察官等と対人援助職の関係について、フランスの保護観察官、再犯防止プログラムを実施している心理士、刑事法研究者等と定期的に対面・リモート両方において研究会を行った。その研究会での議論から得られた知見については、共同研究者と共同で論文を執筆し(フランス語、日本語)、公表した。;
;コロナ禍の影響を受けて、フランス滞在の予定を大きく変更をせざるを得なかった。長期の在外研究から帰国後は、授業がない、長期休みの期間にフランスに短期滞在し調査を実施しているが、短い滞在期間では行うことができる研究活動も限られており、アポイントも予定通りに取れないことが多い。オンラインでの会議やヒアリングも行ってはいるものの、時差があるため、機会は限られている。したがって、コロナ禍の影響による当初の計画からの大幅な遅れについては、未だ取り戻せていない状況である。;日本とフランスにおいて、被収容者や刑務所出所者にたいする再犯防止推進関係の方策と生活支援に向けた方策が大きく変わってきている。この流れは、コロナ禍が落ち着いてきた2023年において一層加速したように思われる。本研究申請時には予測すらできなかった法制度や各種施策が打ち出され、それらの整理および実態調査もしなくてはならなくなっている。;そこで、効率的に調査研究を進めるべく、現在フランスの研究者等との共同研究体制を強化して、研究活動を行っている。オンライン研究会の回数を増やし、フランス滞在時に行う研究活動の準備をより一層入念にするようにしている。;現在は、調査研究のみならず、本研究の成果をまとめる作業にも取り組んでいるが、その作業においても、専門的知識を有し、日本語とフランス語に精通している専門家の協力・助言を受けながら、作業を進める予定である。