K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

柴田 保之
人間開発学部 初等教育学科
教授
Last Updated :2019/07/10

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    柴田 保之, シバタ ヤスユキ

所属・職名

  • 人間開発学部 初等教育学科, 教授

学位

  • 教育学修士

本学就任年月日

  • 1987年04月01日

研究分野

  • 重度・重複障害児の教育、知的障害者の社会教育

研究活動

論文

  • 「体を起こした世界 その2・感覚と運動の働き」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第25号, 32, 57, 1991年01月01日, 國學院大學教育学研究室, 障害が重く重複した寝たきりといわれるような子どもとの教材を介した関わり合いにおいて、子どもがこちらの働きかけに応じて支えられながら体を起こしていくような状況で、感覚や運動はどのような働きをし、そのことが姿勢の保持や外界の構成とどのように関係しているかということを考察した。その際、具体的な働きかけの事実を念頭に置きつつも、原理的に述べることを心がけた。
  • 「外界への働きかけの始まり」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第26号, 1, 20, 1992年01月01日, 國學院大學教育学研究室, 重度重複障害児の教育に関して,寝たきりの状態からしだいに座位が確立してくる段階において,外界への働きかけが,どのようにして生まれ,発展していくかについて,自己の身体への働きかけの意義と,外部の対象に向けられた運動における,瞬発的運動から持続的な運動への発展について,実践に即しつつ検討を加えた。その際,運動の調節に果たす感覚や姿勢の役割,運動の時間的特質などに着目しつつ考察を進めた。
  • 「重度・重複障害児における空間の構成」, 47, 55, 1992年11月01日, 特殊教育総合研究所, 一人の女児との教材の工夫を通した数年に及ぶかかわり合いの事実をもとに,重度重複障害児において,操作の場としての手もとの水平面という空間が,いかにして高次化していくかについて整理し,操作の場としての手もとの水平面の高次化の一般的な道筋を,仮説的に提示した。また,併せて,コミュニケーション障害及びコミュニケーションという概念の吟味,心理学的な診断の意味の検討などを行った。
  • 「感覚と運動の織りなす世界の始まり」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第27号, 1, 25, 1993年01月01日, 國學院大學教育学研究室, 重度重複障害児の教育に関して,運動を起こす前に感覚的な受容に基づいてあらかじめ運動を方向づけするようになる前の段階の運動について,感覚と運動がどのようにからみ合いながら,より調整され,方向づけられた運動へと発展していくかということについて,それぞれの運動を,対象の取得,対象の操作,対象への到達というように分類し,それぞれについて,姿勢の果たす役割や,運動の空間的特質などに着目しながら考察を加えた。
  • 「障害者の社会教育に関する実践的考察」, 『國學院雑誌』, 第94巻第1号, 1, 13, 1993年01月01日, 國學院大學, 障害者の社会教育の一環として行われている町田市障害者青年学級の実践に関して,実践を支える3つの柱-自治的集団,文化的創造活動,生活という主題-を整理し,活動の中で成長を遂げる障害者の姿をとらえるための人格の発展のモデルをエリクソンの人格の発達のモデルに依拠しつつ,障害の受容の問題とともに,提起し,さらに,障害者の文化的創造活動を,民衆文化として,その意味を考察した。
  • 「対象物の空間的な関係づけへの道程」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第28号, 15, 39, 1994年01月01日, 國學院大學教育学研究室, 重度重複障害児の教育に関して,離れた二つの対象を,あらかじめ空間的に定位した後に,操作を通して関係づけるという運動が生まれてくるための必要条件が,どのようにして成立してくるかという問題について,4の論文に示した段階の持続的な運動のさらなる発展を整理することによって,明らかにしようと試みた。その際,独立した二つの対象が主体にとって構成されるということの意味や,空間の構成などについて考察を加えた。
  • 「対象物の空間的な関係づけへの道程 その2-終点の状態の確認と先取りの萌芽-」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第29号, 23, 41, 1995年01月01日, 國學院大學教育学研究室, 重度重複障害児の教育に関して,離れた二つの対象を,あらかじめ空間的に定位した後に,操作を通して関係づけるという運動が生まれるための必要条件として,上記5の論文で,論じ残してきた,運動の終点の状態の確認について整理し,終点の状態の確認からいかにして運動の先取り的な感覚の受容が生まれてくるかということについて,仮説的に検討を加えた。
  • 「イーヨーの心の世界へ」, 『國學院雑誌』, 第96巻第10号, 1, 13, 1995年10月01日, 國學院大學, 大江健三郎著『新しい人よ眼ざめよ』の障害のある主人公イーヨーの心の世界について、彼が死の恐怖を克服していくプロセスと、どのようにして大人への歩みを進めていくかということをめぐって、イーヨーの独特の認識の仕方を検討しながら、考察をくわえた。
  • 「歩君の切り拓いてきた世界」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第31号, 1, 20, 1997年01月01日, 國學院大學教育学研究室, ある一人の視覚障害を伴った障害の重い子どもと自作の教材教具を介した関わり合いに関して、その時間的な経過を追いながらまとめた。そして、物を容器に入れるという行為を主とした、対象を操作する活動を中心にしながら、その背後に存在する姿勢のバランスや運動感覚の問題、あるいは空間の構成の問題などについて考察をくわえた。
  • 「少年は特異な存在か」, 『ひと』, 29, 36, 1997年10月01日, 神戸連続児童殺傷事件と呼ばれた事件の容疑者の少年の心の世界について、その特異性よりも、思春期の入り口に立った少年に共通なものを明らかにするために、岡真史君、杉本治君というみずから命を絶った二人の少年の残した詩や文章などを参照しながら、自己の解体と懐疑のまなざしがいかにして生じてくるかということなどについて考察をくわえた。
  • 「障害者青年学級の創作歌」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第32号, 1, 20, 1998年01月01日, 國學院大學教育学研究室, 知的障害者の社会教育の現場である町田市公民館の障害者青年学級の活動の中で作り出されてきた20数曲に及ぶオリジナルソングに関して、その歴史的な経過や創作のプロセスなどを検討することによって、知的障害者の社会教育の意味について考察をくわえるとともに、そうした創作活動を民衆文化の創造という観点からまとめた。
  • 「限定された空間における視覚的世界~障害の重い子どもとの関わり合いの事実から」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第33号, 58, 72, 1999年01月01日, 國學院大學教育学研究室, 一人の障害の重い子どもと自作の教材教具を介して関わる中で、一定の限られた空間的な広がりの中で起こるビー玉のような大きさの物の運動に対して深い集中を示すという事実に出会い、それに関連した一群の教材を工夫する中で生まれた事実についてまとめるとともに、そうした行動の背後の意味について考察を行なった。
  • 「深く秘められた思いとの出会い-表現手段を手に入れるまでの純平君の歩み-」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第35号, 1, 19, 2001年03月01日, 國學院大學教育学研究室, 重度の脳性マヒをもつ少年純平君が、当初は「はい-いいえ」の表出もおぼつかないとされていたが、学習の進展の中で、ひらがなを理解することができることがわかり、さらに、押す-引くという2つの動作のスイッチでパソコンを操作して文章をつづることができるようになった。そして、自分の障害や仲間の死をめぐる深い文章を書くにいたるようになった。本稿は、そのプロセスのまとめと考察である。
  • 「「知的障害」という言葉の成立のかげに-ある知的障害者のリーダーの死-」, 『國學院雑誌』, 第102巻第7号, 1, 12, 2001年07月01日, 國學院大學, 近年、「知的障害」という言葉が広く用いられるようになったが、その背後には、この呼び名の当事者が名づけられる客体から名づける主体へと変わったという重要な変化があった。その功労者の一人高坂茂氏は、町田市障害者青年学級の参加者として成長を遂げ、パリの国際会議やスウェーデンへの研修旅行に参加することを経て、日本最初の当事者活動の会を設立する中心メンバーとなった。しかし、2000年3月職場の事故で突然亡くなった。本稿は、志半ばで倒れた高坂茂氏の業績をたたえたものである。
  • 「障害児教育とコミュニケーション」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第36号, 15, 57, 2002年03月01日, 國學院大學教育学研究室, 都内の養護学校で行った「ことばの前のことばを育てる」「コミュニケーション」という二つの講演記録からなる。前者は、行為的認識と象徴的認識の問題について、主体的認識と客体的認識を対比させながら整理し、自閉的という意味についても考察をくわえ、後者では、発達のモデルの整理をした後、障害児教育の実践場面において、コミュニケーションをどのように考えていくかについて検討をくわえた。
  • 「重度・重複障害児の空間の構成と学習の過程」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第37号, 95, 141, 2003年03月01日, 國學院大學教育学研究室, 重度重複障害児との教育的な関わり合いについて、筆者がよってたつ理論的立場を、初期の学習から文字や数といった記号の操作の学習にいたるまでを、4つの水準として整理し、空間(身体および外界に関する空間)の構成のプロセスと関係付けながら、概括的に述べ、さらに、その関わり合いを媒介するものとしての自作教材教具の紹介も行った。なお、本稿は、都内の養護学校における報告の記録に基づいたものである。
  • 「手の自発的な活動の始まりと姿勢の働き」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第38号, 1, 19, 2004年03月01日, 國學院大學教育学研究室, 障害が非常に重く重複した二人の子どもに対して、長期にわたる個別的な関わり合いを継続することによって、意図的な手の運動を生み出したりその運動を発展させたりすることができたが、その経過をたどることによって、手の自発的な運動の始まることの問題、その際に果たす姿勢の調整の役割などについて考察をくわえた。また、あわせて運動が反復されることの意味などについても検討した。
  • 「障害者青年学級での自己変革と自立生活」, 『月刊社会教育』, 第48巻第9号, 11, 16, 2004年09月01日, 国土社, 知的障害者の社会教育の現場である町田市障害者青年学級における、参加者の自己変革と自立生活の問題について、この青年学級の参加者であり、また日本の知的障害者の当事者活動の草分け存在でありながら職場の事故で2000年に亡くなった高坂茂氏の歩みをたどることによって、具体的に明らかにした。
  • 「バランスの動的な安定の確立 かなえさんの新しい自分の発見」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第39号, 131, 143, 2005年02月01日, 國學院大學教育学研究室, 手の運動がすでに活発に起こっており、座位が確立し始めた障害の重い子どもに対して、手の操作を発展させるための様々な教材を試みる中で、しだいに手の運動を起こしながらその手の運動に応じた上体のバランスをとることによって、安定した姿勢が確立した事例について、その関わり合いを整理し、常同行動や垂直軸の確立などの問題について考察をくわえた。
  • 「一人一人が輝く授業をつくるために」, 『肢体不自由教育』, 第169号, 4, 10, 2005年03月01日, 日本肢体不自由教育研究会, 肢体不自由児教育において一人一人が輝く授業をいかにつくるかということに関して、特別支援教育への移行という現状に触れながら、手作りの教材を通して関わるという教育に関して、ほぼ50年に及ぶその教育の歴史を概観し、その教育の理論的背景を、学習の道筋にそいながら整理しつつ、現代の課題を明らかにした。
  • 「障害の重い子どもの言葉の世界の発見-あおいさんの言葉の世界の広がり-」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 11, 35, 2006年03月01日, 國學院大學教育学研究室, 障害が重く、言葉を有しているか否かの判断も困難であったある一人の女児との関わり合いの中で、パソコンを通じて言葉の世界が発見され、その世界が広がっていったプロセスについて、その働きかけの実際について報告し、考察を加えた。あわせて同じような状況にある子どもたちが言語表現を行う際にどのような方法が可能であるかについて整理と検討を行った。
  • 「物に触れることから文章を綴るまで-元気君の10年間の歩み-」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第41号, 97, 113, 2007年02月01日, 國學院大學教育学研究室, 肢体不自由と知的障害を併せもつとされてきた元気君が、10年間の学習の中で、物に触れる学習から始めて、2つのスイッチを用いたパソコンのワープロソフトで複雑な思いを文章によって表現するようになった。ここには、本来は運動障害の影響が大きいために意図的な運動を起こすことができない元気君の行動を、認知的な水準を表すという誤った見方をしてしまったことが関係しており、結果的にその力を低く見積もることとなってしまっていた。本当の子どもの力を見ぬくことの重要性の再検討が迫られている。
  • 「研ぎ澄まされた心と言葉―閉ざされていた障害の重い人々の言葉の世界―」, 『國學院大學教育学研究室紀要』, 第43号, 35, 83, 2009年02月10日, 國學院大學教育学研究室, 障害が重いために、言葉を有していないと見なされてきた人々が、実は言葉を有していたという事実が少しずつ明らかになってきているが、本論文では、筆者が出会ってきた人々の言葉を、その内容からいくつかに分類し、さらに、それらの言葉が障害という条件の中でいかに研ぎ澄まされてきたものであるかを明らかにした。
  • ある障害の重い子どもの言葉の世界の発見とその展開―三瓶はるなさんのとの関わり合い―, 國學院大學人間開発学研究, 第1号, 10, 16, 2010年02月28日, 國學院大學人間開発学会, 幼少期から関わり合いを続けてきた重度重複障害と見なされてきた少女が、中学生になって初めてパソコンによって言葉を綴り、さらに、その言葉が豊かになり、詩を綴ったり、歌曲を作ったりするようになって、大学の講義でスピーチをするにいたるプロセスについてまとめるとともん、そのような表現を可能にしたスイッチの援助の方法についてまとめた。
  • 「ちいさいころからはな(したかった)」 井上神恵さんの言葉の発見と見えてきた心の世界, 重複障害教育研究会第38回全国大会発表論集<第1日目>, 29, 38, 2010年08月05日, 財団法人重複障害教育研究所, 5歳から関わり合いを初め29歳を迎えた重度の脳性麻痺と未熟網膜症を併せ持つ女性に対する働きかけの記録。本稿では、特に、長い間、言語を有することが気づかれないままにいて、27歳で初めてパソコンによって言葉を綴るようになった彼女の言葉に焦点をあててまとめた。
  • 「言語の生成に関する知的障害の新しいモデルの構築に向けて」 , 『國學院大學人間開発学研究』, 第2号, 5, 23, 2011年02月28日, 國學院大學人間開発学会,  これまで豊かな言語表現を有しないとされてきたり、実際に表出された言語の背後に豊かな言語表現が存在すると考えられてこなかった様々な障害のある人々について、その内的言語が表出されていくプロセスについて仮説的なモデルを立て検討した。これは、従来の知的障害という概念を根本から問い直す作業でもある。
  • 「重度・重複障害者のとらえた東日本大震災」 , 『國學院大學人間開発学研究』, 第3号, 53, 87, 2012年02月29日, 國學院大學人間開発学会,  2011年3月11日に起こった東日本大震災に際して、これまで言葉を有しないとされてきた障害の重い多数の方々が、その思いを関わり合いの中で述べたが、その言葉を内容ごとに整理して考察を加えた。
  • 「秘められた内的言語の表現を目ざして ~その方法の発展と対象の広がりの歩み~」, 研究報告書, 平成24年3月, 93, 105, 2012年03月01日, 公益財団法人重複障害教育研究所, これまで言語表現を有しないあるいは発達段階的に低い水準にあるとされてきた障害のある人々の秘められた内的言語の世界を明らかにしてきたプロセスについて、重度の身体障害者者に始まり、重症心身障害児者を経て、重度の知的障害児者、自閉症児者、盲重複障害児者、中度から軽度の知的障害児者へと対象が広がる過程としてまとめ、あわせて、それを支えた方法の歩みとしてまとめた。
  • 「『自閉症』の新しい理解を目ざして」, 『國學院大學人間開発学研究』, 第4号, 71, 84, 2013年02月01日, 國學院大學人間開発学会,  自閉症者とスイッチとパソコンを用いたコミュニケーションの援助を行うことで、見かけとは異なり、その内面には私たちと何ら変わらない言葉があることや、見かけの行動や言葉の中には意図に反して起こっているものがあることが、実践を通じて明らかになってきた。本論文では、そのことがどのような経過を通して明らかになったかについて時間を追って整理し、表現された言葉を紹介した。また、併せてこの事実は、現在の自閉症理解の常識とは大きく異なるものだが、この事実をもとにしながら現在の自閉症理解の問題点を簡単に整理した。
  • 「学部教育において教員養成への理解をどう広めるか」, SYNAPSE, 2015.JAN, 16, 18, 2015年01月30日, ジアース教育新社, 國學院大學人間開発学部において、学部教員の間で教員養成の意識がどのように共有されていったかということを、初年次教育をめぐる取り組み、教育実習や教育インターンシップの取り組み、人間開発学会のシンポジウムの取り組み、地域貢献の一環としての夏季教育講座などに対する取り組みを紹介する中から、明らかにしていった。これらは、本学部が新設の学部であるからこそ大胆に取り組むことができたものであった。
  • 「命の価値 相模原事件の被害者の真実」 , 『教育』, 2017年6月号, 11, 18, 2017年06月01日, かもがわ出版
  • 「内なる言葉の世界への架橋」, 『研究紀要』, 第6巻第7号, 2017年03月31日, 公益財団法人重複障害教育研究所
  • 「新しい出生前診断と知的障害当事者の言葉」, 『人間開発学研究』, 第7号, 31, 50, 2016年02月29日, 國學院大學人間開発学部,  2012年夏、新しい出生前診断の方法が新聞で報道され、マスコミを中心にして様々な議論がなされた。しかし、今回は、過去の出生前診断の議論では何らかのかたちで存在した公的な歯止めがないまあm、現実に診断は実施に映され、妊婦の自己決定に委ねられるかたちで選択的中絶が事実として行われるようになった。しかし、その選択的註善津に関する当事者であるダウ症者を含む知的障害当事者の意見がまともに取り上げられることはほとんどないまま、事態は推移している。多くの知的障害当事者にとってては、選択的中絶は、これから生まれてくる仲間の存在が認められないということにおいても、また、今活きている自分たちの存在の否定につながるという意味においても、とうてい容認しうるものではない。本稿では、公の議論の場から外されたまま、その意見がほとんど取り上げられることのない知的障害当事者の出生前診断に対する様々な言葉を聞き取り、整理し、考察を加えた。
  • 「先天性盲聾児に対する点字や指文字による言語教育の可能性」, 『人間開発学研究』, 第9号, 57, 72, 2018年02月28日, 國學院大學人間開発学部, わが国の盲聾児の教育は、昭和20年代から30年代にかけて山梨県立盲学校において取り組まれた教育が始まりであり、その影響のもとにその後の実践は取り組まれてきた。しかし、盲聾児の教育はその実態把握からいまだ手探りの状況にあり、点字や指文字による言語の獲得は困難であるとの言説や知的障害の存在に言及する言説も存在する。しかし、筆者が関わった4人の先天性の盲聾児は、学習の停滞を経験しながらも、点字の学習が可能になり、そのうちの3人は言語の獲得にいたった。そして、そのいずれの実践にも、いったんは陥った停滞を打ち破って言語の学習へと飛躍するプ ロセスが存在していた。本稿では、その4人の盲聾児に対する実践の記録をもとに、そうした飛躍がどのようにしてもたらされ、その後の言語獲得の学習へと発展することができたのかということに焦点をあて、検討をくわえた。

Misc

  • 楠原彰著『学ぶ、向き合う、生きる 大学での「学びほぐし」―精神の地動説の方へ』, 國學院雑誌, 第115巻第1号, 26, 29, 2014年01月15日, 國學院大學, 國學院大學に長年にわたって在職して先年退職された楠原彰氏の著書『学ぶ、向き合う、生きる』に対して、同じ研究室に属し、かつ、同書の中心をしめる総合講座の講義に共に参加した立場から、紹介をした。同書は、楠原氏の本学の教壇に立つまでの遍歴と、本学の教壇での変遷の歴史を述べながら、学生たちを現場に出会わせることを目指したもので、現在の大学の教育のあり方を深く問い直すものである。

著書等出版物

  • 『みんな言葉を持っていた―障害の重い人たちの心の世界―』, オクムラ書店, 2012年03月08日, 障害が重いためにこれまで言語獲得の前の段階にあると見なされてきた子どもたちが実は豊かな内的言語の世界を有していたことが筆者自身の実践研究の中から明らかになってきた。本書では、まず、筆者自身が聞き取った33名の障害の重い子どもが創作した詩を紹介し、障害の重い子どもに言葉があるということの理論的な検討を行ない、4人の障害の重い子どもとの長年にわたる関わり合いについて詳述し、さらに、実際の援助方法を紹介した。
  • 『沈黙を越えて』, 萬書房, 2015年05月11日, 従来の常識では、言語獲得以前や言語獲得の初期の段階にあるとされてきた重度の肢体不自由を伴う重症児にも豊かな内的言語が存在することがパソコンと自作のスイッチを通して明らかになり、さらに、援助方法の発展の中で、重度の知的障害児・者においても同様のことが明らかになり、言語の表出を阻むものが、意図通りに運動できない、あるいは意図に反して運動が起こるという現象であることも明らかになった。本書では、これらを事例に基づきながら整理した。
  • 「遷延性意識障害を有する中途障害者に対するコミュニケーションの援助」, 國學院大學人間開発学部, 2015年02月28日, 第6号
  • 「意思表出に困難を抱える障害者が語る津久井やまゆり園事件」, 國學院大學人間開発学部, 2017年02月28日, 第8号, 津久井やまゆり園における重度知的障害者殺傷事件について、被害者と同じように「意思疎通できない」とされる重度の知的障害者の言葉を介助つきコミュニケーションを通して聞き取り、その意見を.1.亡くなった被害者はどういう人だったのか、2.優生思想について、3.容疑者を許すことについて、4.被害者が匿名にされたことをめぐって、5.亡くなった被害者の追悼と鎮魂、の5点にわたって整理し論述をくわえた。被害者と立場を同じくする重度の知的障害者は、亡くなった被害者は言葉を有しかつ豊かな思索をしていた存在であること、優生思想は新型出生前診断の際に広く見られた考えとして世間に蔓延しているが、自分たちを人間として尊重する考えもしっかりと存在していること、被害者は本来は匿名にされるべきではないが匿名にせざるを得なかった事情があること、亡くなった被害者を正しく理解しなければ本当の鎮魂はできないことなどを語った。

講演・発表

  • 重度肢体不自由児・者における文字学習に関する一考察:パソコンによる自己表現の試み , 日本教育心理学会総会発表論文集, 2002年08月09日, 日本教育知り学界, 脳性マヒ等の障害により運動機能に障害があって、明確なコミュニケーションの手段を持たない重度肢体不自由児・者に対して、ステップスキャン方式の自作ワープロソフトを組み入れたパソコンと自作スイッチを用いて関わることにより、文字による意思表示が可能になった。本研究ではその中の13名表現手段の水準、スイッチ操作の運動の空間的分化の度合、時間的分化の度合、学習の内容の水準に関して整理しまとめた。得られた結論として、①yes-noの表現の有無を文字学習の必要条件と考えてはならないこと、②普及しているオートスキャン方式に困難があっても、ステップスキャン方式で文章を綴ることのできる可能性があるということ、③予想を凌駕する深い文章内容が綴られることがあり、相手の可能性の計り知れなさに謙虚であるべきことなどが明らかとなった。

競争的資金

  • 20402068, ヨーロッパにおける先天性盲ろう児の共創コミュニケーションに関する調査研究, 本研究では、ヨーロッパにおける盲ろう児の言語発達研究の最近の成果である「共創コミュニケーション」という新たなパラダイムの内容と課題について情報収集を行い、かつ我々が取り組んでいるコミュニケーション研究と比較検討を行うことを目的としている。本研究において、これまで理論構築とともに教育現場への応用研究に携わってきた英国や北欧の教育研究機関や研究者を訪問し、かつ国際盲ろう学会(Deafblind International)が主催するワークショップに参加して情報収集を行った。さらにこの研究に取り組む英国の研究者を日本に招聘し研究交流を実施した。その結果、共創コミュニケーションの基本的概念とその特徴、さらに我が国のこれまでの取り組みと共通する視点が確認された。

教育活動

担当授業

  • 人間開発基礎論(人間力育成の人間学), 2019, 人間の持つ資質・能力は、潜在的に隠れているものも含め、できうる限り引き出され、「開発」されなければならない。そのためには、人間の資質・能力の「開発」を保障・支援する実践的な科学の構築が必須となる。このような人材育成の観点から「人間開発」を実現するためには、教育学・人間発達学、体育学・生理学といった人間科学の理論を中心とする学際的領域を開拓し、体系的な実践指導を行うことによって「人間力」の開発を図る必要がある。そこで本講義では、初等教育の視点、健康体育の視点、子ども支援の視点から、本学部が求める「人間開発」の理念に向けて、その基底となる基礎的理論を追究する。
  • 特別な教育的ニーズとインクルーシブ社会, 2019, インクルーシブ教育の理念や、日本のインクルーシブ教育システムの概要及び障害児教育の歴史を紹介した後、具体的な実践事例をもとにしながら、それぞれの障害に即して障害のある子どもの姿と関わり合いのあり方について検討を加えていく。さらに、通常学級に在籍する特別な教育的ニーズを持つ子どもである「発達障害」と呼ばれる子どもたちの姿や外国籍の子ども、経済的な困難をかかえる子どもたちの姿とその子どもたちを含めた学級作りについて具体的に紹介する。さらに、本講義は介護等体験の事前指導科目でもあるので、障害者や高齢者等の社会福祉施設の現状等についての紹介も行って胃いく。
  • ボランティアと社会参加, 2019, インクルーシブ教育の理念や、日本のインクルーシブ教育システムの概要及び障害児教育の歴史を紹介した後、具体的な実践事例をもとにしながら、それぞれの障害に即して障害のある子どもの姿と関わり合いのあり方について検討を加えていく。さらに、通常学級に在籍する特別な教育的ニーズを持つ子どもである「発達障害」と呼ばれる子どもたちの姿や外国籍の子ども、経済的な困難をかかえる子どもたちの姿とその子どもたちを含めた学級作りについて具体的に紹介する。さらに、本講義は介護等体験の事前指導科目でもあるので、障害者や高齢者等の社会福祉施設の現状等についての紹介も行って胃いく。
  • 発達と学習, 2019, 本講義では幼児期から児童期を経て青年期にいたる認識の発達に関してピアジェやエリクソンの理論を土台にしてあきらかにしていくとともに、そうした発達の特性をふまえた学習のありかたについて、就学前の言葉の学習や数の学習の始まりから、小学校において展開される様々な教科学習、さらに思春期から青年機にかけての抽象的な思考などについて、具体的な事例をもとにしながら検討をくわえていく。
  • 肢体不自由児の教育, 2019, 肢体不自由児教育の歴史的位置づけ、制度的位置づけや教育課程の特徴について講義し、肢体不自由児に対する教育のあり方について、実際の事例研究の映像資料をもとに、具体的な教育的関わり合いの姿を通して明らかにしていく。
  • 専門基礎演習, 2019, 前期の初等教育学科の初年次教育(導入基礎演習・野外活動実習)の成果をふまえ、2年生から始まる実践的・専門的学修の準備として位置づけられる科目です。初等教育学の基盤となる「教育実践」「教育データ分析」「教職のための自己・適性理解」を演習形式で学び、他者との対話や発表、自己分析を中心した学びを通して、実践的・専門的学修に対する意欲とスキルを高めていきます。
  • 演習(人間開発学部), 2019, 演習では、障害児・者の教育やその周辺領域のことに関して受講者みずからが課題としているものを尊重しながら、できるだけ実際の障害児・者との具体的な関わり合いの事実をもとにしながら、問題を深め合っていく。
  • 発達と学習, 2019, 本講義では、幼児期から児童期を経て思春期、青年期にいたる認識の発達に関してピアジェやエリクソンの理論を土台にして明らかにしていくとともに、そうした発達の特性をふまえた学習のありかたについて、就学前の言葉の学習や数の学習の始まりから小学校において展開される様々な教科学習、さらに思春期から青年期にかけての抽象的な思考などの具体的な事例をもとにしながら検討をくわえていく。
  • 重度・重複障害児の教育, 2019, 本講義では、障害の種別を越えて重度・重複障害と呼ばれる子どもたちの教育について、私自身の具体的な関わり合いをもとに講義を進めていく。その中で、どんなに障害の重い子どもであってもその子ども自身の感じ方を持って生きており、奥行きの深い存在であるということを明らかにするとともに、見かけの障害の重さにも関わらず、豊かな言葉の世界を秘めた子どもたちの存在などについても言及していく。
  • 演習・卒業論文(人間開発学部), 2019, 卒論執筆に向けて、実践的研究の進め方とその進捗状況の報告、及び、その指導を行い、論文執筆の指導を行う。

オフィスアワーの実施時期・曜時

  • 2018

学外活動

学協会活動

  • 日本教育心理学会, 1981年04月
  • 日本発達心理学会, 1990年04月
  • 日本特殊教育学会