白川郷荻町集落の魅力を守り育む住民主体のまちづくり, 石山千代, 住宅会議120号「特集:世界遺産とまちづくり」, 2024年02月29日, 日本住宅会議
観光まちづくりと住民 : 妻籠宿の事例から考える持続可能な観光, 石山千代, 都市問題, 113, 10, 57, 68, 2022年10月01日, 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所
観光まちづくり学部始動, 石山千代, 教育開発ニュース, 26, 2022年10月01日, 國學院大學
景観紛争を乗り越えて実践される鞆の浦の町並み保全型まちづくりの現状と計画的課題, 阿部由香里、松井大輔、西川亮、石山千代, 都市計画論文集, 56, 3, 508, 515, 2021年10月25日, 公益社団法人日本都市計画学会
集落景観を観光資源とする地域の人口減少時代のマネジメントに関する考察
―京都・美山・北村かやぶきの里の保存会と駐車場有料化に至った経緯に着目して―, 石山千代, 日本観光研究学会全国大会学術論文, 2020年12月01日, 日本観光研究学会, 集落の景観保存と駐車場有料化を中心的に担ってきた京都・美山・北村かやぶきの里保存会に着目し、有料化に至った背景と経緯を明らかにすることを通して、集落景観を観光資源とする地域における人口減少時代の地域主体のマネジメントが以下5つの段階をふんで展開していったことを考察した。(1)目指すべき理念と規範の明示・共有(2)景観保存と地域経済の両立を目指す体制の構築(3)新たな主体・要素の受入れ(規範の運用の見直し)(4)地域の理念と規範の統合,共有と調整の仕組み(5)地域課題とリスクに備えての自主財源確保
地方小都市における歴史的空間の保全・活用による段階的な街区再編に関する研究-多雪地域の歴史的市街地、青森県黒石市旧商家町のコミセとカグジに着目して, 北原麻理奈,石山千代,窪田亜矢, 日本建築学会計画系論文集、86(779), 161, 171, 2021年01月01日, 日本建築学会
耕作放棄地の再生利用によるワイン産地形成過程に関する研究-長野県東御市における小規模ワイナリーを事例として, 福﨑 剛, 石山 千代, 窪田 亜矢, 日本建築学会計画系論文集、86(780)、日本建築学会, 493, 503, 2021年02月01日, 日本建築学会
地域の”らしさ”を守り育てる住民憲章, 石山千代, ふるさと新聞, 6, 7, 2020年04月30日, かやぶきの里保存会ふるさと編集委員会
第52回文化文政風俗絵巻之行列, 石山千代, 広報妻籠宿(公益財団法人妻籠を愛する会), 133, 2020年02月
観光客増加期における経済的恩恵の地域内での還元方策に関する研究, 石山千代・窪田亜矢, 第34回日本観光研究学会全国大会学術論文集, 281, 284, 2019年12月
「地域ならではの風物詩」の創出と継続が「生きた景観」を支える, 石山 千代, 日本建築学会大会都市計画部門研究懇談会資料『生きた景観マネジメントの実践』, 39, 42, 2019年09月
集落・町並み保全地域における住民憲章の現代的意義に関する一考察 妻籠宿、白川郷荻町、竹富島における昨今の動向から, 石山 千代, 日本建築学会大会学術講演梗概集.都市計画, 449, 450, 2019年09月
集落・町並み保全地域における自主規範を軸とした空間的・社会的調整システムの構築に関する研究, 石山 千代, 東京大学大学院工学系研究科博士論文, 1, 422, 2019年03月
集落・町並み保全地域における交通環境整備に関する一考察, 石山 千代; 窪田亜矢; 西村幸夫, 日本建築学会学術講演梗概集(東北)農村計画, 97, 98, 2018年09月
集落・町並み保全地域における地域主体の調整システムの構築と調整課題の変遷に関する研究:妻籠宿における住民組織と保存審議会に着目して(1968-2003), 石山 千代; 窪田 亜矢; 西村 幸夫, 都市計画論文集, 53, 3, 1239, 1246, 2018年, 公益社団法人 日本都市計画学会, 妻籠宿の住民組織と保存審議会での議論に着目して、集落・町並み保全地域における地域主体の調整システム構築過程と調整課題の変遷を総合的かつ中長期的に解明した。住民憲章に基づき住民組織内に設置された統制委員会は、設立直後から景観、商売・営業、交通、売買、運用組織等、幅広い調整課題を扱い、自身の公正さと実効性を高める今日に至る組織運営の仕組みを集中的に検討・実装していた。町条例制定後は保全審議会と共に調整課題に対応する体制が確立したが、私有財産の所有や利用に関わる商売・営業、交通、売買関係は、中長期に及び、再燃しやすい調整課題であり、住民組織が主体的に扱っていた。重伝建選定後は、土地建物売買等に対応できる財団法人の設立、効率的運営のための組織統合など、住民組織の形態を変革しながら調整システムを強固なものにしていった。全期にわたり、行為と場所の性質等を踏まえた調整がされており、特に1980年代以降は慎重な過程を経た上での柔軟性を見出すことができた。それらの過程で、「住民憲章」は生活や営業等の欲求との間の距離感を計りながら具体的調整を促す原点かつ、調整内容に説明責任を課す存在であった。
集落・町並み保存地区における自主規範の法制化の過程に関する研究 妻籠宿における住民憲章の二段階法制化を事例として, 石山 千代; 窪田 亜矢; 西村 幸夫, 日本建築学会計画系論文集, 740, 2637, 2647, 2017年10月, 日本建築学会, Tsumago-juku is an old post town along Nakasenndo in Nagano Prefecture and the pioneer of historical village preservation in Japan. In 1971, after the completion of a memorial project marking the 100<sup>th</sup> anniversary of Meiji, the residents of Tsumago-juku established a Residents' Charter in an attempt to protect the town's historical buildings, their surrounding natural environment, and residents' lives from both internal and external risks(Fig. 1).<br> At first, the Residents' Charter was not legally binding; however, in 1973, the local government of Nagiso Town passed a municipal ordinance for the preservation of Tsumago-juku (1<sup>st</sup> legislation). Such an advanced step for the preservation of historical buildings and their surroundings helped initiate the establishment of preservation districts for groups of historic buildings (hereinafter, the Denken policy) in 1975. In 1976, Tsumago-juku, along with six other districts, was designated as cultural property under the Denken policy (2<sup>nd</sup> legislation).<br> This paper elucidates the two-stage legislation process of the Residents' Charter by procuring and analyzing the minutes of the local assembly and the Council for the Preservation of Tsumago-juku. Moreover, it also considers the significance and limitations of the legislation of the voluntary rule, the relationship between the Residents' Charter and legislation, and the conceivable actions of the local community.<br> The 1<sup>st</sup> legislation process of the Residents' Charter involved the following four main points: the significance of the legislation of the Residents' Charter, publicness of Tsumago-juku and its relation with other areas, property rights of residents, and residents' agreement (Table1). Tsumago-juku used a comprehensive perspective to address these points and limited the legislation to a single phrase: “We won't destroy.” They also emphasized the necessity of rigorous maintenance of the Residents' Charter and considered systems such as a special account for paid parking for balance adjustment between areas, especially between Tsumago and other areas. On the 2<sup>nd</sup> legislation process, discussion was concentrated on the area for preservation and practicable adjustments of the operation mechanism between local circumstances and national rules.<br> The legislation guaranteed the preservation of Tsumago-juku by making it a part of ongoing preservation projects. Besides, it allowed for the reevaluation of the characteristics of Tsumago-juku under different frameworks concerning its publicness. However, compromises were made on some points, such as the area for preservation(Fig3.→Fig. 4→Fig. 6) and changes to be implementation(Fig. 2→Fig. 5). To put it differently, the legislation became a limited tool for the local community, and realizing this, they formulated local systems such as a Control Committee and thought up other measures (Table2 and Fig. 7). Thus, they succeeded in developing a comprehensive system to satisfy the requirements mandated by the Residents' Charter.
Creating Voluntary Rules of, by, and for the Residents at the Earliest Stage of Preservation, Chiyo ISHIYAMA; Aya KUBOTA; YukioNISHIMURA, International Conference of Asian-Pacific Planning Societies, 2017年08月
妻籠宿における住民憲章制定(昭和46年)に至る過程に関する研究:集落保存初動期における自主規範の創出, 石山 千代; 窪田 亜矢; 西村 幸夫, 都市計画論文集, 51, 3, 328, 335, 2016年, 公益社団法人 日本都市計画学会, 我が国における「もっとも初期の住民憲章」であり今日まで約半世紀、運用されている「妻籠宿を守る住民憲章」の起源、すなわち地域が集落保存という新たな方向に舵を切る時に、自主規範としての住民憲章を制定することに着目する点に独自性がある。制定の背景を整理し、制定の過程自体を明らかにすることを通じて、私有財産や自らの生活・生業のあり方を左右しうる住民憲章が広域で合意形成されえた要因と自主規範の制定が集落保存初動期に果たしうる役割を考察した。集落保存の初動期に自主規範を考えることは、地域の置かれている状況を理解し、今後起こりうることを具体的に考え、地域の理念等を徹底的に話し合う重要な機会である。住民間での具体的議論の蓄積による合意形成につながり、一人一人の覚悟、「自律」につながるプロセスと捉えられる。これを促すベースをより良くつくる必要条件として、慎重かつ段階的プロセスと外部主体の活用、集落保存実施以前からの先見性ある対応、事業と計画上での部落間バランス調整と憲章制定の契機があげられる。自主規範が持続的に機能するには明解さも重要ゆえ盛り込める範囲には限界があり、運用システムの構築で補いうる。
観光に対する住民意識に関する基礎的研究, 福永 香織; 後藤 健太郎; 石山 千代, 日本観光研究学会全国大会学術論文集, 27, 321, 324, 2012年12月, 日本観光研究学会
人間の「喜び」と「生きがい」を生む観光地づくり(鈴木忠義氏インタビュー稿), 梅川智也; 石山千代, 観光文化, 215, 2012年10月
観光地における魅力的な食の提供に向けた課題, 堀木 美告; 石山 千代; 中島 泰, 日本観光研究学会全国大会学術論文集, 21, 293, 296, 2006年12月, 日本観光研究学会
紹介 サンティアゴ巡礼の道(スペイン)のおしえ--寛大でスピリチュアルな道のつくりかた, 石山 千代, 高速道路と自動車, 49, 10, 55, 58,4, 2006年10月, 高速道路調査会
視点 鞆、その風景を守り育てるために--鞆まちづくり工房から, 石山 千代, 観光文化, 28, 4, 28, 31, 2004年07月, 日本交通公社
NPOとの協働による新しい観光の実現にむけての研究, 麦屋弥生; 堀木美告; 石山 千代, 日本観光研究学会全国大会学術論文集, 18, 97, 100, 2003年12月
都市ストックの継承と創造に配慮した学校跡地の計画に関する研究—東京・京都・神戸の実態からの考察, 石山 千代, 東京大学大学院工学系研究科修士論文, 1, 169, 2003年03月
鞆の浦における小さな改善の積み重ねによるまちづくりの実践 : その1 鞆の浦を巡る状況とまちのプランづくり(2002年度大会 (北陸) 学術講演梗概集), 堀崎 真一; 石山 千代; 後藤 倫太郎, 学術講演梗概集. 計画系, 1, 23, 24, 2002年06月, 日本建築学会
鞆の浦における小さな改善の積み重ねによるまちづくりの実践 : その2 大学研究室によって提示されたまちのプラン(2002年度大会 (北陸) 学術講演梗概集), 後藤 倫太郎; 石山 千代; 堀崎 真一, 学術講演梗概集. 計画系, 1, 25, 26, 2002年06月, 日本建築学会
鞆の浦における小さな改善の積み重ねによるまちづくりの実践 : その3 まちでの小さな活動の実践(2002年度大会 (北陸) 学術講演梗概集), 石山 千代; 後藤 倫太郎; 堀崎 真一, 学術講演梗概集. 計画系, 1, 27, 28, 2002年06月, 日本建築学会
鞆 再生への提案, 東京大学都市デザイン研究室有志, 造景, 36, 47, 51, 2002年
鞆雑誌2001-まちづくりってなんだろう?, 東京大学都市デザイン研究室有志, 自費出版 (但し、H&C財団支援あり), 2001年12月
震災復興小公園と小学校の関係に関する研究 - 52箇所の空間構成と利用の変遷過程を中心に -, 石山 千代; 北沢 猛; 西村 幸夫; 窪田 亜矢, 都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning, 36, 235, 240, 2001年10月, 日本都市計画学会
震災復興小公園と小学校の関係に関する研究, 石山 千代, 東京大学工学部卒業論文, 2001年03月
歴史・文化観光とその振興施策に関する基礎的研究(JTBF観光文化振興基金), 2014年
観光・交流に対する住民意識に関する研究(JTBF観光文化振興基金), 2011年
福島県観光関連復興事業実施計画策定の支援等(観光庁), 2012年
佐野市観光の経済波及効果調査, 2012年
観光地域づくりに関する調査(観光庁), 2011年
由布市観光基本計画, 2010年
休暇取得・分散化の促進に関する調査 (観光庁), 2009年
台東区観光ビジョン策定業務, 2009年
千代田区観光施策推進にかかる調査等支援, 2006年
集客交流経営人材育成事業に関する調査(経済産業省), 2005年
三重県観光データ・観光客満足度評価調査, 2005年
地域雇用創造推進事業(温泉地づくりアドバイザー・岡城の魅力づくりアドバイザー業務・おもてなし講習会実施@竹田市), 2007年
地域観光の地域自立型産業への展開に向けての研究(釧路公立大学地域経済研究センターとの共同研究), 2005年
観光ルネサンス補助制度評価検討事項関連調査 (国土交通省), 2005年
新・喜多方市観光戦略プロジェクト策定調査, 2006年
美しい観光地づくりのための計画論に 関する研究(JTBF観光文化振興基金), 2004年
新京都市観光振興推進計画(後期おこしやすプラン), 2005年
釧路・根室地域観光振興調査, 2005年
千代田区観光ビジョン策定調査, 2005年
観光とNPOに関する研究—NPOとの協働による国内観光の再生の可能性を探る (JTBF観光文化振興基金), 2003年
千代田区観光ビジョン策定に伴う実態調査, 2004年
三重県観光振興検討調査, 2004年
リゾート調査事業の効果等に関する調査(国土交通省), 2004年
国際観光に資する地域資源活性化方策調査(文化庁), 2003年
塩沢町観光交流振興計画策定調査, 2003年
シーニックバイウェイ北海道制度の地域診断手法検討調査, 2003年
22H01667, 2022, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 歴史文化遺産の保存と活用に資するイコモス「遺産影響評価」の拡張と実装に関する研究
10, 2021, 公益財団法人サントリー文化財団, 研究助成「学問の未来を拓く」, 「復興」という理念を棄却する:被災者の実践にみる復原的意味
20K14897, 2020, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業(科学研究費補助金), 地域外主体の受入れと施策連携による廃校活用計画論の構築に関する研究
19K23548, 2019, 日本学術振興会 科学研究費助成事業, 科学研究費助成事業(科学研究費補助金), 町並み保全地域における自主規範の実態把握及び調整システム構築・運用指針の作成
20K14897, 地域外主体の受入れと施策連携による廃校活用計画論の構築に関する研究, 本研究課題は、少子高齢化に伴い全国的に増加の一途にあり、活用及びその持続性が課題となっている廃校施設を対象とし、従来の活用計画の検討過程で重視されてきた①地域の中で学校が担ってきた役割の尊重②地域の課題や要望への対応に加え、今後は③地域外主体の受入れと④敷地内に留まらぬ施策連携という視点の導入が急務であるとの認識に基づき実施する。;廃校活用における地域外主体の受入れ実態整理を行い、持続的な事例を抽出し、上記4つの視点をいかに導入、調整、統合させてきたのかという観点からの中長期的分析と関連する多主体への調査による課題把握と評価を行い、新たな廃校活用計画論の構築を目指す。;2022年度は、廃校施設等活用状況実態調査、廃校施設事例集、出版物、新聞等を基に、廃校活用後の利用者として地域外主体を幅広く受け入れ、かつ、一定程度持続している事例を全国から抽出した。そして、抽出事例を対象として、統廃合決定時期から活用開始後までの中長期的なプロセス解明を行い、本研究が定めている4つの視点【視点①地域の中で学校が担ってきた役割の尊重・視点②地域の課題や要望への対応・視点③地域外主体の受入れ・視点④敷地内に留まらぬ施策連携】が、いかに導出され、調整、統合されてきたかという観点から整理・分析を行った。この作業自体は次年度に続くが、統廃合決定段階(すなわち閉校前)からの実質的な議論・手続きの開始、暫定活用の導入、プロポーザルの活用、設計上の工夫(特に、中間的な領域の創出)、テナント募集時の条件設定、各段階での地域住民と多様な部署の巻込み、社会環境及び対象施設の利用・経営状況等を踏まえた弾力的な運営方法の見直しが4つの視点のバランス調整において重要であることが明らかになりつつある。;研究代表者が産休及び育休を取得したため。;2022年度に実施できなかった抽出事例を対象とした現地調査を実施し、活用実態及び課題を詳細に把握した上で、各事例の評価と事例間の比較分析を行い、学術論文等の執筆を行いながら考察を深めていく。また、廃校活用の事業主体として新たに地域外主体を受け入れてきた事例についても、同様の分析を行い、これまでの研究成果とあわせて、地域外主体の受入れと施策連携による廃校活用計画論の構築を目指す。
19K23548, 町並み保全地域における自主規範の実態把握及び調整システム構築・運用指針の作成, わが国の町並み保全地域は、その魅力の根幹にある特性(私有財産の連たんから成る生活の場 ・歴史的な空間構成 ・伝統的共同体の存在)ゆえ、近代的な法規制とそれを前提としたプロセスだけでは魅力維持も関係者の合意形成も難しく、一定の地域単位での景観に留まらない包括的かつ丁寧な調整の仕組みが求められている。;本研究は、法的拘束力のない地域独自の自主的な規範に着目して、わが国の町並み保全地域における制定・運用実態と課題の全体像を把握し、一定の運用確立地域の自主規範を軸とした調整システム構築過程と調整内容の解明、比較分析を行い、地域の空間的・社会的条件を踏まえた持続的な調整システム構築・運用指針を提示する。;わが国の町並み保全地域で制定・運用されてきた自主規範は、先進地域の影響を受けながらも、各地域の状況に応じた推敲と試行錯誤の賜物である。約半世紀の実績を有する先進地域では運用上の慎重な見直しをしても基本理念は変えず、自主規範が課題対応の拠り所となり、保全対象の再認識を促す役割を果たし今日に至る。重伝建地区選定後に自主規範を制定した地域も多く、不動産売買や利用方の問題、まちづくりの転換点等が契機であった。自主規範を軸とした空間的・社会的調整システムには、町並み保全と地域経済の持続可能な関係を目指す仕組み、新たな主体や要素を地域らしく受け入れる仕組み、地域が抱えるリスクへの備えが求められている。;町並み保全地域における1960年代から今日までの自主規範の伝播と各地での制定・運用に関わる試行錯誤を複数の論文に取り纏め、自主規範を軸とした調整システム構築・運用に求められる要件を導き出し、持続可能な観光という観点から捉え直して論文と書籍に取り纏めた。上記を通して、いずれの地域でも現代的課題に対応しながら保全を進めていく調整システムの転換点にあることが明らかになった。研究期間の終盤に新たに自主規範の制定を試みる地域や移住者等への説明ツール等の開発に取り組む地域が出てきたように、まさに現在進行中の取組みであるため、本研究の更なる推進と発信によって本成果は今後一層、学術的・社会的意義をもつだろう。
24K07803, 歴史的集落における集落包括型の空間管理とその計画の実践, 研究の目的は、①家屋、付属屋、屋敷地、農地の利用・管理状況、管理頻度、管理意向を世帯ごとに分析し、その空間的・属性的特徴を明らかにし、②地域外人材が参画する空間管理が部分的に実施される先進地域での受入経緯、住民の意向から、受入に有用な知見と課題を明らかにし、③ ①②から空間管理量の空間的分布を図示し、地域外人材受入を伴う空間管理計画の策定、④計画の一部を地域づくりで実践、事後評価を行うことである
23K22937, 歴史文化遺産の保存と活用に資するイコモス「遺産影響評価」の拡張と実装に関する研究, わが国における歴史文化遺産の保存活用の対象・方法の拡張、社会環境変化及び気候変動を踏まえると、歴史文化遺産及び周辺環境への多様な影響を事前に特定・評価し、負の影響の緩和へ結びつけていく仕組みが不可欠である。;本研究は、イコモス「遺産影響評価」よりも広い歴史文化遺産及び周辺環境を対象とした「拡張型遺産影響評価」の方法と実装の理論的構築を目指して、①歴史文化遺産及び周辺環境への「影響」の多面的・包括的把握、②国内外の「遺産影響評価」導入・運用の実態と課題の整理、③現行制度を踏まえた「拡張型遺産影響評価」の方法と実装へ向けた検討、④「拡張型遺産影響評価」の計画制度への実装のための実践的検討を行う。