建築物との関わりからみる公共施設屋上緑地の残存・消滅のパターンに関する試論, 山島 有喜 , 山本 清龍 , 中村 和彦 , 下村 彰男, ランドスケープ研究, 84, 5, 521, 526, 2021年, (公社)日本造園学会
池坊の立花に使用した植物にみる風景表現の変遷, 陸 丹 , 中村 和彦 , 山本 清龍 , 下村 彰男, ランドスケープ研究, 84, 5, 521, 526, 2021年, (公社)日本造園学会
阿蘇くじゅう国立公園への来訪者が許容する環境保全金の徴収方法, 山島 有喜 , 山本 清龍 , 小堀 貴子 , 下村 彰男, 環境情報科学論文集, 34, 43, 48, 2020年, (一社)環境情報科学センター
仙台における「もり(森/杜)の都」表記の変遷と緑の空間的実態変化との関係, 東岡 ともえ , 中村 和彦 , 山本 清龍 , 下村 彰男, ランドスケープ研究, 83, 5, 499, 502, 2020年, (公社)日本造園学会
屋上緑化史における「立体緑化」概念の萌芽とその意義, 山島 有喜 , 山本 清龍 , 中村 和彦 , 下村 彰男, ランドスケープ研究, 83, 5, 551, 556, 2020年, (公社)日本造園学会
池坊の立花にみる視距離帯に関する風景認識の変遷, 陸 丹 , 中村 和彦 , 山本 清龍 , 下村 彰男, ランドスケープ研究, 83, 5, 557, 562, 2020年, (公社)日本造園学会
海外の日本庭園に対する違和感にみる日本庭園らしさの認識構造, 劉銘,下村彰男,中村和彦,山本清龍, 環境情報科学学術研究論文集 No.33, 19, 24, 2019年, (一社)環境情報科学センター
日本における地域風景の個性とその持続的管理, 下村彰男,劉銘, 風景園林(中国), 26, No.170, 109, 118, 2019年, 北京林業大学
韓国の自然系名所における伝統的楽しみ方, パク ウンビョル,下村彰男,山本清龍,中村和彦, Urban Science, 3, 3, 2019年08月16日, MDPI
宇治白川地区における覆下茶産地の文化的景観および栽培システムの変遷に関する研究, 楊真、下村彰男, ランドスケープ研究(オンライン論文集), 2018年, (公社)日本造園学会
観光者が期待する田園・農村域に対する保全管理事業, 横関隆登、下村彰男、櫻井宏樹, 観光研究, 28, 2, 93, 103, 2018年, 日本観光研究学会
絵画にみる三保松原と富士山との関係の変遷と現代の風景認識に関する研究, 大竹 芙実 , 山本 清龍 , 下村 彰男, ランドスケープ研究, 80, 5, 569, 574, 2017年, (公社)日本造園学会
地域性の育成管理に観光の果たす役割について, 櫻井宏樹,下村彰男,横関隆登, ランドスケープ研究, 79, 5, 607, 610, 2016年, (公社)日本造園学会
20世紀前半の絵葉書に見る大堰川周辺域の景観構成, 那須 將,樊 磊,深町加津枝,下村彰男, ランドスケープ研究, 79, 5, 715, 720, 2016年, (公社)日本造園学会
京都府宇治市における明治中期以降茶畑の変遷について
-寺院茶の歴史を有する茶産地の文化的景観に関する研究-, 楊真、下村彰男, 環境情報科学学術研究論文集 , No.29, 49, 54, 2015年, (一社)環境情報科学センター
『星山別曲』にみる物境、情境、意境概念に着目した息影亭の景観構造, 崔賢妊,下村彰男,小野良平, ランドスケープ研究, 78, 5, 461, 465, 2015年, (公社)日本造園学会
地域資源としての森林風景, 下村彰男, 山林, No.1633, 2, 10, 2020年06月05日, 大日本山林会
雑誌『國立公園』表紙に見る添景人物と自然風景の描かれ方, 櫻井宏樹, 下村彰男, 小野良平, 横関隆登, ランドスケープ研究, 77, 5, 507, 510, 2014年, (公社)日本造園学会
中国山東省栄成市寧津地域における海草房集落の景観的特徴, 銭玉蓮、下村彰男、小野良平, ランドスケープ研究, 77, 5, 473, 476, 2014年, (公社)日本造園学会
新潟県十日町市松之山地区にみる棚田景観地の景観構造に関する研究, 横関隆登,小野良平,伊藤弘,下村彰男, ランドスケープ研究, 76, 5, 583, 586, 2013年, (公社)日本造園学会
景観選好に関する評価因子の統合性, 徐中芃,下村彰男, ランドスケープ研究, 76, 5, 527, 532, 2013年, (公社)日本造園学会
日本の造園における借景という用語の性格と変遷, 周 宏俊 , 小野 良平 , 下村 彰男, ランドスケープ研究(オンライン論文集), 5, 17, 27, 2012年, (公社)日本造園学会
玉川上水緑道にみる緑地と住民との関わりの変遷, 山下結,伊藤弘,小野良平,下村彰男, ランドスケープ研究, 75, 5, 677, 682, 2012年, (公社)日本造園学会
わが国における国立公園の資源性とその扱いの変遷に関する研究, 渡辺綱男,佐々木真二郎,四戸秀和,下村彰男, ランドスケープ研究, 75, 5, 483, 488, 2012年, (公社)日本造園学会
釧路湿原自然再生事業における多様な主体の参加による持続的展開に関する研究, 渡辺綱男,中山隆治,横関隆登,下村彰男, 環境情報科学, 26, 113, 118, 2012年, (一社)環境情報科学センター
新聞および雑誌記事への掲載写真による京都北山杉の森林像の変遷把握に関する研究, 喜多 明,下村彰男, ランドスケープ研究, 75, 5, 533, 536, 2012年, (公社)日本造園学会
京都嵐山国有林における景観管理計画の変遷, 深町加津枝,奥敬一,熊谷洋一,下村彰男, LANDSCAPE AND URBAN PLANNING, 52, 2-3, 73, 87, 2000年12月, ELSEVIER SCIENCE BV
森林の空間利用のための基盤整備, 酒井秀夫・小林洋司・下村彰男, 森林利用学会誌, 15, 1, 3, 10, 2000年, 森林利用学会
東京都練馬区を事例とする銭湯の立地特性と空間構成に関する研究, 山本清龍・下村彰男・小野良平・熊谷洋一, ランドスケープ研究, 63, 5, 735, 738, 2000年, (社)日本造園学会
大道芸空間における行動特性に関する研究, 篠崎高志・下村彰男・小野良平・熊谷洋一, ランドスケープ研究, 63, 5, 721, 724, 2000年, (社)日本造園学会
中国明清時代平地作庭における石組造景手法に関する考察, 沈悦・下村彰男・竹田直樹, ランドスケープ研究, 63, 5, 389, 392, 2000年, (社)日本造園学会
京都上世屋・五十河地区における里山ブナ林の管理手法と生態的特性, 深町加津枝・奥敬一・下村彰男・熊谷洋一・横張真, ランドスケープ研究, 62, 5, 687, 692, 1999年, (社)日本造園学会
ミヤタナゴの生息に必要な里地環境と管理体系の変遷, 真板昭夫,海津ゆりえ,下村彰男,首藤正隆, ランドスケープ研究, 62, 5, 681, 686, 1999年, (社)日本造園学会
年齢層別に見る新宿御苑の利用形態と空間選択の要因に関する研究, 山本真理; 下村彰男; 小野良平; 熊谷洋一, ランドスケープ研究, 62, 5, 627, 630, 1999年, (社)日本造園学会
中国恵州西湖の景観形成と杭州西湖景観が及ぼした影響, 沈悦・熊谷洋一・下村彰男・小野良平, ランドスケープ研究, 61, 5, 637, 642, 1998年, (社)日本造園学会
写真コンクールにみる農村景観の季節性認識, 奥敬一・深町加津枝・下村彰男, ランドスケープ研究, 61, 5, 631, 636, 1998年, (社)日本造園学会
記述表現にみる自然観察における動植物認識に関する考察, 海津ゆりえ・下村彰男, 環境情報科学論文集, 11, 129, 134, 1998年, (一社)環境情報科学センター
北京頤和園における景観形成と西湖景観の影響について, 沈悦・熊谷洋一・下村彰男・小野良平, ランドスケープ研究, 60, 5, 577, 582, 1997年, (社)日本造園学会
観光地の駐車場を中心とするアクセス空間の実態と計画・設計論に関する考察, 堀木美告・下村彰男, 日本観光研究学会全国大会研究発表論文集, 11, 91, 98, 1996年, 日本観光研究学会
日本との比較にみる法制度を中心とした韓国温泉地開発の特徴に関する研究, 金炫・下村彰男・熊谷洋一・小野良平, ランドスケープ研究, 59, 5, 121, 124, 1996年, (社)日本造園学会
自然観察における動植物の認識構造に関する考察, 海津ゆりえ・石光希代子・下村彰男, ランドスケープ研究, 59, 5, 141, 144, 1996年, (社)日本造園学会
林試の森、小石川植物園における子供の遊びと空間特性との関係に関する研究, 後藤知朝子・下村彰男・熊谷洋一・小野良平, ランドスケープ研究, 59, 5, 137, 140, 1996年, (社)日本造園学会
中国西湖の景観構成とその形成に関する研究, 沈悦・熊谷洋一・下村彰男, ランドスケープ研究, 58, 5, 157, 160, 1995年, (社)日本造園学会
名所図会・百景にみる近代以降の東京における「景」の変遷に関する研究, 大宮直記・下村彰男・熊谷洋一, ランドスケープ研究, 58, 4, 429, 437, 1995年, (社)日本造園学会
わが国における温泉地の空間構成に関する研究(II) -近代における温泉地空間の変遷-, 下村彰男, 東京大学農学部演習林報告, 91, 23, 114, 1994年, 東京大学農学部附属演習林
近代における温泉地空間構造の変遷に関する考察, 下村彰男, 造園雑誌, 56, 5, 241, 246, 1993年, (社)日本造園学会
わが国における温泉地の空間構成に関する研究(I)-近代後期から明治期にかけての温泉地の空間構成-, 下村彰男, 演習林報告, 90, 23, 95, 1993年, 東京大学農学部附属演習林
近世における遊楽空間の装置性に関する研究, 下村彰男・江頭俊昭, 造園雑誌, 55, 5, 307, 312, 1992年, (社)日本造園学会
スキーリゾートにおけるエプロンエリアの空間形態に関する考察, 加宮義教・下村彰男, 日本観光研究者連合全国大会研究発表論文集, No.6, 51, 56, 1991年, 日本観光研究者連合
明治期温泉地の空間構造と地形・水系との関係性に関する考察, 下村彰男, 造園雑誌, 54, 5, 215, 220, 1991年, (社)日本造園学会
明治期から昭和初期に至る温泉地の空間形態と運営システム, 下村彰男・石井圭, 日本観光研究者連合全国大会研究発表論文集, No.5, 1, 6, 1990年, 日本観光研究者連合
温泉地における街路空間の多様性に関する考察, 下村彰男・石井圭・江頭俊昭, 日本観光研究者連合全国大会研究発表論文集, No.4, 77, 84, 1989年, 日本観光研究者連合
近世・明治期における温泉地の空間構造に関する一考察, 下村彰男, 造園雑誌, 52, 5, 223, 228, 1989年, (社)日本造園学会
熱海における空間構造の変遷に関する研究, 下村彰男, 日本観光研究者連合全国大会研究発表論文集, No.3, 23, 30, 1988年, 日本観光研究者連合
観光地空間との関わりから見た交通機関の史的展開, 下村彰男, 造園雑誌, 51, 5, 55, 60, 1988年, (社)日本造園学会
清里駅前地区における街並の形態的特徴と近年の観光志向, 下村彰男, 日本観光研究者連合全国大会研究発表論文集, No.2, 55, 60, 1987年, 日本観光研究者連合
既存データベースの活用による自然風景地の空間特性の定量的把握について, 下村彰男・前田豪・村田智厚, 造園雑誌, 50, 4, 268, 279, 1987年, (社)日本造園学会
審議会答申の背景とねらい(特集:自然公園法改正), 下村彰男, 國立公園, 795, 6, 8, 2021年07月01日, (一財)自然公園財団
日本遺産の制度と認定, 下村彰男, 月刊 文化財, No.682, 8, 9, 2020年07月01日, 文化庁監修:第一法規
地域資源としての森林風景, 下村彰男, 山林, No.1633, 2, 10, 2020年06月05日, 大日本山林会
都市森林の文化性:「緑」が物語る土地の歴史, 下村彰男, 林業研究専誌(台湾), 24, 6, 22, 26, 2017年, (台湾)行政院農業委員会林業試験所
海上公園ビジョンの理念と目標, 下村彰男, 都市公園, 219, 4, 7, 2017年12月20日, (公財)東京都公園協会
異界としての温泉地づくり, 下村彰男, 観光文化, 223, 28, 31, 2014年, (公財)日本交通公社
国立公園が果たした役割と今後, 下村彰男, ランドスケープ研究, 78, 3, 204, 207, 2014年, (公社)日本造園学会
日常的レジャー・レクリエーション環境の整備, 下村彰男, レジャー・レクリエーション研究, 27, 42, 48, 1994年, 日本レジャー・レクリエーション学会
ポスト近代の工場造園, 下村彰男, グリーンエージ, No.236, 8, 11, 1993年, (財)日本緑化センター
環境保全とリゾート開発-環境親和型リゾートへの展開-, 下村彰男, 月刊レジャー産業, No.318, 68, 72, 1993年, 綜合ユニコム株式会社
都市計画研究の現状と展望「地方・リゾート」, 下村彰男, 都市計画, 41, 5, 76, 80, 1993年, (社)日本都市計画学会
ジビック・ランドスケープ, 鈴木誠・坂野裕人・宮城俊作・下村彰男, 緑の読本, No.20, 2, 106, 1991年, 公害対策技術同友会
人間主体の環境親和型リゾート(リゾート空間再考), 下村彰男・麻生恵・前田博, 造園雑誌, 54, 4, 278, 286, 1991年, (社)日本造園学会
都市性とリゾート空間(リゾート空間再考), 下村彰男, 造園雑誌, 54, 4, 304, 310, 1991年, (社)日本造園学会
都市空間における水デザイン, 下村彰男, 緑の読本, No.15, 2, 15, 1990年, 公害対策技術同友会
観光資源とその楽しみ方の変遷, 下村彰男, 月刊観光, No.263, 10, 14, 1988年, (社)日本観光協会
実践 風景計画学, 日本造園学会・風景計画研究推進委員会 監修, 朝倉書店, 2019年03月05日, 「風景計画とは-ランドスケープ・リテラシーのすすめ」
エコツーリズムを学ぶ人のために, 真板昭夫,石森秀三,海津ゆりえ 編, 世界思想社, 2011年05月10日
環境アセスメント学の基礎, 環境アセスメント学会編, 恒星社厚生閣, 2013年02月05日
進化する老い、進化する社会, 下村彰男, アグネ承風社, 2000年
ランドスケープの計画(ランドスケープ大系第2巻), (社)日本造園学会 編, 技報堂出版, 1998年10月, 「リゾート景観の保全と創造」
ランドスケープデザイン(ランドスケープ大系第3巻), (社)日本造園学会編, 技報堂出版, 1998年
フォレストスケープ(共著), 社団法人 全国林業改良普及協会, 1997年
シビック・ランドスケープ-公共空間の景をデザインする, シビック・ランドスケープ研究会, (株)公害対策技術同友会, 1997年05月24日, 下村彰男,坂野裕人,鈴木誠,宮城俊作
森林風景計画学(現代林学講座8), 塩田敏志 編著, 地球社, 2008年11月25日, 「森林風景の計画設計と地域づくり」
都市美ー都市景観施策の源流とその展開, 西村幸夫 編著, 学芸出版社, 2005年05月30日, 「日本における風景認識の変遷」
人と森の環境学, 井上真、酒井秀夫、下村彰男、白石則彦、鈴木雅一, 東京大学出版会, 2004年10月20日, 「生活者にとっての森林環境」
エコツーリズム, 寺崎竜雄、岩城智子、海津ゆりえ、橋本俊哉、下村彰男、他, (財)日本交通公社, 2004年11月, 「資源の保全と持続的利用」
シリーズ・地域の活力と魅力3(味わい・食・特産品), 岩崎忠夫他 編, 株式会社ぎょうせい, 1996年06月, 「「食の風景」の創造に向けて」
1996年
生態系保全をめざした水辺と河川の開発と設計(共著), 工業技術会株式会社, 1995年
1995年
『造園を読む』(共著), 彰国社, 1993年
1993年
レクリエーション学の方法, ぎょうせい, 1988年
水辺の景観設計, 技報堂出版, 1988年
1988年
1988年
地域森林景観
都市の造園デザイン
自然とふれあうレクリエーション活動空間の在り方
21K05661, 神社の立地等に見るエリアマネジメント拠点のあり方に関する研究, 都市公園をはじめとする公共施設には、エリアマネジメント拠点としての機能が求められるようになり、エリアマネジメントに関わる検討が進んできたが、その多くが組織形成のあり方や活動の進め方に関するもので、人々が拠り所とし気軽に集える場の設定等、拠点づくりに関わる方法論、計画論については手薄である。;一方、神社は地域コミュニティの拠点として重要な役割を果たしてきたことが知られており、エリアマネジメント拠点づくりの参考になると考えられる。そこで伝統的エリアマネジメント拠点という観点から神社の立地や空間構成について再評価し、エリアマネジメント拠点の基本的な立地や空間構成のあり方について知見を得る。;本研究は、わが国の伝統的エリアマネジメント拠点である神社に注目し、その立地および空間構成と、そこで展開されるコミュニティ活動との関係分析を通して、都市の緑地をはじめとするオープンスペースが、エリアマネジメント拠点として成立するうえでの空間面でのあり方について考究することとし、以下の2点を目的とする。(1)神社の立地および空間構成について調査・整理して、その規定要因について検討するとともに、その場で展開される活動との関係を分析することを通して、地域コミュニティの核としての空間面でのあり方を明らかにする。(2)神社の空間的側面の分析、および各地で展開されているエリアマネジメント拠点の事例分析を通して、エリアマネジメント拠点のあり方について考察する。;そこで2022年度は、①神社の立地等に関する文献・資料調査を実施し、神社の立地および空間構成に関する既往の知見を収集整理するとともに、コミュニティの核としての機能との関係について整理・抽出することを検討した。また、②都内を中心に郷社あるいは村社レベルの旧社格で、地域社会との関わりが想定される神社を対象に現地でのプレ調査を行い、各神社の立地や空間構成さらには諸要素の空間的実態について把握を行った。;それらの調査の結果、エリアマネジメントの拠点として備えるべき空間特性としては、大きく「立地」と「境内」に二分し、前者に関しては、①象徴性、②親近性、③庇護性、後者に関しては、④交流性、⑤異界性、の合計5点の特性を仮説的に抽出した。これらは実際の現地調査に際しての評価項目になるものである。また、現地での調査を実施していて、神社の立地や空間構成自身はかろうじて残されているものの、現時点での風景から、それらを読み取り認識することが難しくなっている点が確認された。;本研究では、神社の立地、空間構成、地域活動を調査し、エリアマネジメント拠点となるための条件を抽出しようとするものである。;2022年度は、現地調査に際しての評価項目(評価軸)の検討を中心に行った。前年度に続いてプレ調査を実施したが、文京区、北区、新宿区、板橋区を中心に都内の台地域と平地域との境界部を中心に斜面地に立地する神社をとりあげで調査を実施した。;そして、神社の立地や空間構成に関する文献・資料調査と合わせて、「実施概要」に記述したように、象徴性、親近性、庇護性、交流性、異界性の5項目を抽出することができた。ただ当初、神社が伝統的にエリアマネジメント拠点の性格を典型的に有していると考え、理想的なモデルとしての姿が得られると期待していた。しかしながら、現代では風景として大きく変容していることが明らかとなった。特に、境内における要素の空間配置に関しては、現代において神社が置かれている経済環境や社会環境の影響によって駐車場の設置をはじめ土地利用が大きく変容したことから、エリアマネジメント拠点としての空間構成面での特性が読み取ることが非常に難しくなっていた。また、立地に関しても神社周辺の土地利用や建築物の大きさが大きく変化したことから、その立地特性を風景として読み取ることが難しくなっており、古い時代(近世等)の図絵や地形図を補助資料として使いながら調査を行うことで立地特性の抽出がより容易になると考えられる。;また調査対象については、昨年2021年度調査から、(旧)社格による明確な差異を見出すことは難しく、一定のエリアの中での複数の社格の神社を対象として調査する方がよいことが導かれている。そこで、臨水域、平地域、境界域(斜面域)、台地域別に調査し、それぞれに検討することが適切であることも検討されており、調査対象とするエリアの抽出作業を進めている。;2023年度は最終年度であり、これまでの文献資料調査やプレ現地調査を通して得られた評価項目を用いて、本格的な現地調査を実施する。;そこで、現在検討を進めている、臨水域、平地域、境界域(斜面域)、台地域別に、典型的なモデルエリアの抽出を実施する。そして、モデルエリア内の神社を取り上げ、2022年度、仮説的に導出した、立地面での象徴性、親近性、庇護性、そして境内の空間構成に関する交流性、異界性の5項目の評価項目を用いて、対象神社のエリアマネジメント拠点性の現状について評価を実施する。;そして調査対象神社に関しては、地域コミュニティの神社利用のあり方が、大きく変容していることが予想されるため、祭りをはじめとする各神社における活動の歴史的な変遷をも並行して調査を実施する必要がある。;合わせて、現代における公園緑地等に関するエリアマネジメント拠点の先進事例調査などをも交えて、最終的な目標である公園緑地等において、エリアマネジメント拠点として備えるべき空間特性について検討・考察を行う。
18K05703, 「地域資源」としての都市緑地のあり方に関する研究, 都市緑地は地域の個性や特性を再認識したり洗練したり、コミュニティの再構築や自立を支援する「地域資源」としてのあり方が模索されるようになってきた。本研究は、地域資源としての都市公園の現状とあり方について、地域の自然的・歴史的文脈の継承と、地域コミュニティの再構築という2視点から見直すことを目的とした。;そして文献資料調査や先進事例調査を踏まえて、地域資源という観点から都市緑地を把握する方法について試作するとともに、東京都の近隣公園を対象地として現地調査を実施し、現状について把握・評価した。;近代においては、都市の公園や緑地等(都市緑地)は均質な「みどり」として捉えられ、人工化する都市環境において人々が自然とがふれ合い楽しむための空間を公平に平等に提供することを目的として、機能性と量的目標にもとづき整備が進められ、その計画論も組み立てられてきた。;それを地域の歴史的・自然的文脈の継承とコミュニティの再構築支援に貢献するとの新たな視点に立って、「地域資源」としての都市緑地という新たな視点から、評価指標および計画論の再構築試みている点に独自性があると考えている。
26292186, 自然災害多発地域の文化的景観に見る「護」と「親」の自然共生像に関する研究, 自然災害多発地域における文化的景観の分析を通して、長年の災害経験を踏まえ、自然の驚異から生活を「護り」つつ、自然の状態把握や変化に対する認識を高めるために自然に対する「親和性」を保つ方策について検討した。その結果、微地形等を活かしながら大きな災害を回避するとともに、自然(水)に対する視認性、アクセス性、心理的親近性を確保する工夫がなされており、自然(水)に対する親和性も保たれていた。
23380016, わが国における文化的景観の多様性保全管理方策に関する研究, 地形と土地利用により文化的景観の関するパターン分類を行い、基本類型として12の区分を得た。そして、各地の個性的な文化的景観を保全管理する仕組みの検討を行うために、大分県由布院においてケーススタディ調査を実施した。来訪者(観光客)の文化的景観の保全管理に対する協力意志や支払意志額、および来訪者の地域の資源性や保全に対する認識・理解について調査・分析を行い、実効性の高い保全管理方策について検討を行った。また、これまで検討を進めてきた、受益者支援型の資源保全管理方策の全国的な動向や、個性的な地域景観の抽出方策とを合わせて考察し、文化的景観の多様性保全方策について考察した。
17380018, 農山村における文化的景観の景観構造および境界形態に関する研究, ・文化庁による調査「農林水産業に関連する文化的景観の保護に関する調査研究」(平成12〜14年)の中から、重要地域「集落に関連する景観(13事例)」および「複合景観(54事例)」を対象として調査を実施した。その67事例に関して地形図(1/2,5000,管内図等)での検討を行い、この段階で景観構造の把握が可能な24事例に絞り、空中写真、景観写真を収集するとともに、景観を形成し支えてきた地域情報(地域の歴史、生活文化、産業等)に関する情報も収集し景観構造について検討を行った。;・そしてさらにその中で、特に平地水田型の農村地域に焦点をあて、集落の形状が典型的な塊村形式と散居形式を設定し、典型的な塊村型の黒部川扇状地、手取川扇状地、散居型の砺波地域、出雲地域をケーススタディエリアとした。そして、各々の文化的景観を構成する要素が形づくる構造について検討したところ、塊村型の場合には微地形による高低差、屋敷周辺の森林、道路の形式に特徴があることが整理され、それを支える要因としては、水の利便性や水害リスク、風向や風力が影響していることが検討された。;・また、こうした文化的景観を保全する仕組み(制度)に関して、白川町荻町と下郷町大内宿において詳細調査を実施した。その結果、各々の文化的景観の特徴を保全していくことが必要であるもの、現行の景観要素を中心として保全していく制度では限界があることが指摘された。そして要素間の関係を保全するための仕組みとして、景観コードを設定し、その保全を担保するような制度が必要であることが考察された。
13460010, 自然公園における利用志向の変化に対応した新たな利用計画技術に関する研究, 自然風景地における人々の利用志向の変化に伴って、自然公園に求められる役割も大きく変化してきており、特に自然との〓のあり方を学ぶ学習の場としての役割が重要性を高めている。また、国立公園を中心とした自然公園では、その制度の硬直性〓点や、オーバーユースなどの利用上の問題が表面化しており、新たな利用と保全のあり方について検討が求められ、自然公園〓な動きも加わって、各地で現実的な施策が動き出そうとしている。;そのような現状をふまえて、本研究では特に、新たな利用形態として国立公園における自然体験活動の推進に注目し、現地〓タディとして整理することで、国立公園の利用方策の現状整理を行い、今後の新たな利用計画のための問題点と展望を明らか〓地は、タイブの異なる国立公園を有する北海道東部の知床国立公園、阿寒国立公園、釧路湿原国立公園の3自然公園とし、(1)〓までの公園利用・観光産業の推移から地域としての課題の整理、(2)現時点で行われている自然体験活動のガイド主体の整理・〓民間・個人の関係の把握、(4)環境保全・観光振興・まちづくりなどの施策の計画等の把握・整理、のプロセスを経て各地域ご〓まとめ、最後に総括を行なった。;その結果、共通した問題点としては基本的に現時点では、自然体験のガイド活動と、自然公園の管理運営とが結びつ気が弱〓的かつ効果的な施策が取りにくい現状が明らかとなった。これをうけて今後の方策の展望として、(1)効果的な情報提供、(2)利〓た計画、(3)ハード施設の再整備、の重要性を指摘した。
12660127, 森林景観における地域個性の指標化に関する研究, 人がどの様な物理的特性により森林景観を識別するかについて、中景域にある森林写真を用いた分類実験と、その分類理由に関するインタビュー調査を通して検討を行った。その結果、「樹冠の形」「樹種」「パターン」「色」「明るさ」が、森林景観の差異の識別にとって重要な要因であることが明らかになった。;そして分類実験をもとに森林景観写真の類似行列を作成し、クラスター分析によって、森林景観相互の類似性を階層構造として求め、各クラスター内で共通する森林景観の特徴を言葉として抽出した。その結果、森林景観の識別に際して最も重要な物的項目は、樹冠の形であり、「尖度:尖っている・丸い」、「整然さ:整然としている・整然としていない」、「大きさ:大きい・小さい」が細分項目として抽出された。;また、樹冠の形についてテクスチュアの観点から指標の定量化についてフラクタル次元を用いて検討を行った。調査値としては、奈良県吉野林業地と、大分県日田林業地を取り上げ、人工スギ林の景観に関して、両者の比較分析を行った。吉野は実生による高密度での植栽と利用間伐の繰り返しの結果、肌理の細かい柔らかなテクスチュアを示すのに対し、日田はエリート種の苗を丁寧に植樹すること、そして植栽密度も吉野の三分の一と低いため、整然としてパターンの揃った硬質なテクスチュアを示すことが明らかとなった。
11460065, 森林のレクリエーション利用に伴う環境管理コストの受益者負担に関する研究, 本研究の目的は、第一に森林の環境保全コストの、利用者(受益者)による負担の可能性について検討すること、つまり、森林の総合利用に際して必要となる経費と、利用者が負担してもよいと考える対価とのバランスについて検討することであり、第二に森林の総合利用に関する事例の収集・分析を通して、〇〇森林等の民有林に適用できる内部経済化手法について検討・整理することである。本研究の成果は以下のようにまとめられる。;1)総合利用森林の実態の整理・把握;総合利用、特に保健・休養利用を実施している全国の民有林の中から、各地域で代表的な事例を対象に山岳地域、中山間地域、都市近郊地域の区分に配慮して選出し、158事例を対象にアンケート調査を行い、対象森林の面積、土地所有、利用者数、利用者層、利用者の居住地、利用交通手段、維持管理形態、管理主体、所有者と管理主体の関係、維持管理費の有無等に関しての実態を把握した。;2)総合利用森林の管理費用に関する調査;上の事例の中から選出した16事例を対象に、総合利用森林の管理費用に関するアンケート調査を行い、管理費用と敷地面積や利用者数との間に一定の関係性があることを見出した。また、管理費用の内訳として森林管理費、施設管理費、運営費、人件費、一般管理費等に関する、森林面積や利用者数あたりの費用の、オーダーやレンジを把握し、総合利用森林の標準的管理費の目安を求めた。;3)利用者の支払意志に関する調査;東京都檜原都民の森を事例対象とし、来訪者に対し聞き取りアンケート調査を実施し、利用者の属性と利用形態、森林や林業に対する意識、環境保全コストに対する負担・協力意志、支払意志額についての知見を得た。;4)総合考察;以上の調査結果をもとに、総合利用森林における環境保全コストの利用者(受益者)による負担の可能性と、民有林に適用収方法について考察した。
10660020, 自然認識とふれあい活動の観点からみた都市周辺自然の評価に関する研究, 本研究では「ふれあい自然」の保全や整備、管理に関する体系的な空間計画論、特に広域での配置論を構築する上で重要な、自然に対する認識と親しむ活動からみた都市および都市周辺自然の評価について検討することを目的とした。;小学生から高校生までの子どもが描いた、自宅周辺のお気に入りの自然観察路マップを分析し、マップ上に描かれる要素の分析から、子どもが強く認識する動植物にはどのような種や種群があるか、また子どもがその動植物を認識する要因としてどのような特性があるかについて明らかにした。認識要因としては、(1)動植物のもつ物理的諸特性に関する認識要因、(2)親しみやすさに関する認識要因、(3)媒体による情報・知識に関する認識要因、(4)出会いやすさに関する認識要因、の4要因が抽出された。;また、首都圏を中心とする都市周辺域における自然とのふれあい活動の場に関する調査を通して、実態の把握、評価、空間計画という、ふれあい活動の場としての観点からの自然の取り扱いに関する計画方法論について考察を加えた。
09556006, マルチメデイア景観予測評価支援システムの構築, 景観アセスメントの情報化について、マルチメディアとインターネット技術を応用した景観予測評価支援システムを構築し、以下の点を明らかにした。;(1)景観アセスメントにおける景観情報を、映像を含むマルチメディア形式のデジタルデータベース(以下「景観情報マルチメディア・データベース」という)に変換し、その保存性とネットワークでの検索容易性と配信容易性を示した。フィールドデータのもっとも基本的な映像情報は、景観を記録する上で1次情報に近い意味を持つことを示した。;(2)景観情報マルチメディア・データベースをインターネットを使って公開する方法について検討し、現時点ではMpeg1フォーマットが最適であることを示した。;(3)映像情報の配信では、現在インターネットでは情報転送速度の制限から実用的なレベルに至っていない。本研究ではATMネットワークを利用したVODシステムを応用してシステム構築・運用を行い、将来的なマルチメディア・データベースに必要な情報源内容とデータフォーマット、及びデジタル情報化手法を検討し、その結果、Mpeg2が将来的に有効であることを示した。;(4)本研究で開発したマルチメディア景観アセスメントシステムに関する一連の実証的研究成果については、報告書としてとりまとめた。さらに、映像デジタル情報を含む一連のファイルについては、デジタルメディア(DVD-RAM)を制作した。
09460068, 新たな森林景観管理システムの構築のための視覚心理学的研究, 本研究は、日常生活の場における森林景観のありようを考える上で、「地域」とのかかわりを考慮し、わが国の森林環境において歴史や社会経済状況までを含んだ地域の個性、地域らしさがどのように森林の景観に反映されているかを明らかにし、今後森林景観を進めて行くに当たって、地域らしさをどのように表出させ、維持管理していったら良いのかという問題を議論していくための基礎的および試論的な研究である。成果としては以下のようにまとめられる。;(1)地域森林景観試論;森林景観の捉え方として、従来の視覚像としての景観を扱う立場に加えて、「地域」を取り入れることにより、生活の場としての森林景観を捉える立場の必要性を新たに提言し、その森林景観管理への計画的活用の方策について考察を行った。;(2)地域森林景観の特徴とその形成;(1)で示した理論的枠組みを、わが国の森林における地域森林景観の把握に適用し、5箇所の事例対象地域(奈良県・吉野、大分県・日田、宮崎県・諸塚、埼玉県・三富、滋賀県・琵琶湖周辺)に対して現地調査等を行い、地域の概要、森林景観の特徴、森林景観の管理と特性、という観点から評価を試みた。;(3)地域森林景観のデータベース化の試み;地域特性の反映としての地域森林景観を相対的に評価するために、景観情報のデータベース化による相互評価の可能性を検討し、森林景観データベースの基本的概念設計をおこない、試作を試みた。
08660179, 森林の空間利用のための基板整備に関する研究, 近年、森林には木材生産以外にも多様な機能が求められるようになってきており、森林全体の空間利用の重きが増してきている。本研究成果は以下のとおりである。;1.森林の空間利用の定義づけを行い、森林の空間利用から見た森林のパターンを、里山、奥山というアクセスの難易と、森林資源としての木材の蓄積、および生物の多様性をもとに分類を試み、針葉樹人工林、里山低質広葉樹林、広葉樹奥山天然林を事例に、森林の空間利用の可能性とその基盤整備方策について考察を行った。;2.林道、作業道の森林リクリエーション利用の観点からの利用可能性について検討を行った。路面の維持管理が容易なく、交通量の増大に耐えきれないことが明かであった。林内路網の一般利用に際してはまず管理体制の確立が必要であることを確認した。森林を一般の人が利用するにあたって、マナーについても広く教育する必要がある。;3.森林における移動型レクリエーション活動に利用される道路や遊歩道が有すべき機能や特質を整理し、その構造や規格、そして森林空間を楽しみ森林に対する認識を高めるための遊歩道整備および誘導ガイドの考え方について考察した。;4.森林の空間利用と森林保護のあり方が問われている森林地域として屋久島を対象として現地調査を行い、屋久島の森林空間利用の現状と問題点について整理を行った。;5.GPSを用いた簡易測量方法の確立のための検討を行い、ハンディタイプのGPS受信機であっても、アンテナ高を4m以上の高さとすることにより森林内のかなりの部分で簡易に精密測位が行えることが示唆された。
07556034, 地理情報システムと樹木成長モデルを用いた森林景観予測システムの開発, 本研究により以下の成果を得た。;1.森林景観シミュレーションシステムの開発;森林に関する既存情報である林相図・林小班図と森林簿を、地理情報システムに入力し、森林空間情報を作成した。このデータを利用して、景観シミュレーションに必要な空間データの入出力・修正管理を行った。;リアルな樹木の3次元形状の生成のために、樹木成長モデリングシステムを応用するために、樹種・樹高に対応して樹木形状を生成し、地理情報システムのデータから、林班単位で3次元形状を生成するプロセスを構築した。また、人工林の樹木成長モデルを応用した森林景観シミュレーションシステムを開発した。;2.地区・地点レベルでのシステム応用による実用化;ケーススタディとして、東京大学附属秩父演習林既存地形データ、樹木データを用い、樹木単木レベルの成長シミュレーションモデルを樹林・林分レベルに適用し、地形情報を加え、数万本の樹木からなる森林景観について、当該システムにより写実的に表現(可視化)し、システムの実用化を示した。;3.現地フィールド景観観測システムの開発;枝葉、単木レベルの森林景観構成要素画像から森林全体の広域景観画像までを、現地で系統的に収集するシステムを設計・開発した。設置場所は東京大学秩父演習林内の2ヶ所に設置し、定点定時に自動的に撮影し、景観シミュレーションのための基礎的観測・データ収集を行ない、その有効性を実証した。;4.インターネットによる研究成果の公開;景観シミュレーションのCGアニメーションや、定点定時観測データ等を、インターネット上のウェッブページにより公開した。(URL http://cyberforest.fr.a.u-tokyo.ac.jp)
07456016, 都市住民の利用と地域環境保全を目的とする森林レクリエーションに関する研究, 前年度における都市近郊森林レクリエーション地としての諸条件に関する検討を踏まえ、本年度はケーススタディ調査を通して森林レクリエーション地としての資源性評価手法を試みると同時に、森林を中心とする地域景観と土地の諸特性との関わりに関する検討を行った。;資源性評価に関しては、首都圏をケーススタディエリアとし、都市近郊域における森林公園など複数のレクリエーションを抽出し、地形条件や植生の状況、土地利用、観光資源の分布状況、道路密度(アクセス条件)などの条件を比較検討し、森林レクリエーション地としての適性を評価した。周辺との同(異)質性に関する情報をも加えて検討し、特に地形と土地利用の多様性に関する多様性が重要な要素であることが明らかとなった。;また、景観と土地条件との関係に関しては、東京都多摩エリアの秋留台地区をケーススタディ地とし、森林を中心とする地域景観を心理実験を通して類型区分し、その類型と土地条件との関わりについて検討を行った。土地条件に関しては広域の首都圏での検討と同様、土地利用を中心に、地形や植生を含んだ景観の多様性が類型の重要な決定要因であることが明らかとなった。;最後にこれらの成果に関する報告書としてのとりまとめを行った。
06660028, 親自然の観点からの緑地系統に関する基礎的研究, 単なる存在としての緑や見るためだけの緑ではなく、活動を通して親しむための自然を親自然緑地と定義し、その現状や位置づけを知ると同時に、その系統的配置について、首都圏でのケーススタディを通して検討を行った。系統的配置の検討に際しては、様々なタイプの自然とふれ合う(親しむ)活動のための場を、活動パターンに応じて、居住地周辺に効率よく配置し組織化していくことを考え方の基本とした。;その結果、以下の諸点から明らかとなった。(1)身近な自然に関する研究が、人々とのふれ合いと諸生物の生息空間としての豊かさの二側面で増加してきている。(2)また、実際の親・自然緑地は数haの小規模のものと、数十haにおよぶ大規模のものとに二極化した形で都市周辺部に整備され、増加してきている。(3)一言で「自然とのふれ合い活動」と言っても多様な内容を含んでおり、人々が行っている親自然活動は、「観察会型」「名所・遊び型」「間接・製作型」「散策・ウォーク型」に4大別される。(4)こうした活動区分と、立地の自然的および都市的ポテンシャルとを勘案すると、「自然観察地保全エリア」「自然観察拠点形成エリア」「自然遊び促進エリア」「特定自然ふれ合いエリア」「自然環境回復促進エリア」「山間ハイキングエリア」「都市・近郊散策エリア」の7つの地域類型に区分することができた。
04660024, わが国における都市レクリエーション空間の在り方に関する研究, 本研究は、わが国において真に楽しめる都市レクリエーションの活動形態の特質と、それを支える都市レクリエーション空間の在り方を明らかにすることを目的とする。初年度には、近世後期における名所や盛り場など都市レクリエーション地での活動内容や空間形態に関して調査・考察を行った。また次年度においては、遊園地、博覧会、盛り場(代表としての浅草公園)の3者を対象に、近代、特に明治から昭和初期における都市型レクリエーション空間や活動の変遷プロセスとその特徴について調査を行った。注目すべき内容として、下記の点が特記される。;1.レクリエーション空間の構成;・水系との関連性が大変深く、全ての対象地で、何等かの関わりが見られる。具体的なレクリエーション活動の場や素材とする他、アプローチ(空間面、活動面)の演出、場のイメージ形成の要素などの面でも重要な位置づけがなされていた。;・レクリエーション活動自身が未分化な状態であり、付帯する諸活動をも含めて、複合的に「時間」を楽しむ演出がなされていた。行楽的要素として、「休み茶屋」「料理茶屋」が付帯し、都市化(市街化)の進展した地区では、遊興要素としての「岡場所」「見世物」が、「名所」や「宗教空間」と一体的に形成されていた。;2.レクリエーション活動の変遷(娯楽形態の変遷);・興行・装置の分析を通し、6タイプ、16種類の娯楽形態を抽出した。;・近代以降の娯楽形態は、「楽しみ方」の面では単純なものからより高度化してゆく傾向にあり、「楽しみ方」の面では複合的なものからより分化する傾向にあることが明らかとなった。この(単純+複合)から(高度+単一)へのベクトルは、参加型で主体的に楽しむ娯楽から受動的な娯楽への変化とみることができる。
04209204, 地形・植生数値情報による多摩丘陵の環境・景観復元, 3ヶ年にわたる研究の最終年度である今年度は、以下の2点に関する検討を行った。(1)前年度までの研究において開発した環境情報可視化システムの実用化検討の一環として、住宅地開発計画の流れの中での位置づけを行った。(2)開発計画の検討を支援するシステムへの、国土数値情報や細密数値情報など、既存整備情報の利用可能性に関して検討した。(1)数値情報処理による支起システム コンピューターを用いた可視化システムを伴う数値情報処理を組み込んだ環境検討の手法が確立すれば、地形改変などの大規模な環境変化を伴う空間整備計画の際に力を発揮するツールとして、環境の保全・開発計画に活用することが可能となる。ビジュアルなアウトプットとして、複雑にからむファクターを整理して提示できること、また開発による影響把握や代替案の比較検討を、コンピューターとの対話を通して最適な計画に収斂させ得ることなどに配慮して、開発計画の流れの中での位置づけを検討した。可視化システムが主体であることの他、原環境を復元・検討することで地域特性の検討をより深めている点、環境を景観および生態の2側面からポテンシャル評価を行っている点に特微がある。(2)既存整備情報の利用検討 既存整備情報である「国土数値情報」「細密数値情報」の、標高データの整備スケールは、250mと100mである。昨年度までに作業した50mメッシュによる地域特性やポテンシャル評価との比較検討を行った結果、250mメッシュでの検討では、このレベルでの一連の検討に活用することはできない。一方、100mメッシュによる細密数値情報に関しては、多くを期待することはできないが、全体としての傾向や、概要の把握は十分可能であると判断される。しかし、詳細な検討を行う場合には、50m以下のスケールでのデータ整備が必要となる。
03454071, 持続的レクリエーション利用のための森林景観管理に関する研究, 3年間にわたる研究成果を整理し研究全体を総括した。;1.森林レクリエーションの趨勢と自然環境;森林レクリエーションの歴史的展開を整理し、その趨勢と最近の傾向を把握すると共に、現在、林野庁、環境庁の実施している施策事例を分析し、相互の比較評価を行った。さらに、首都圏1都6県を対象に、自然環境区分とレクリエーション活動との関係について分析し、立地特性と活動分類の対応付けを行った。;2.森林景観の特質と保全方法;日本の景観の特色と要因を整理し、森林景観を眺望景観と囲繞景観、景勝地景観と普通地景観の2軸上で捉えることの意義を明らかにした。そして、その軸上で分類された森林景観毎に保全方法を考えることの必要性を述べた。;3.森林景観の保全技術;森林景観の保全を具体的に実践するための計画手法と計画技術について検討を加えた。景観計画におけるレベル、手順を論理的に整理し、計画技術については、コンピュータグラフィックスが有効な技術であることを示し、その技術の開発と応用を東京大学演習林の森林データを活用した森林景観シミュレーション手法として完成させた。;さらに、森林景観の評価に関して、評価実験のケーススタディをおこない、有効な評価手法の検討を行った。;4.森林景観の利用と管理;森林空間のレクリエーション利用のための演出法を検討し、従来の森林の取扱いだけではなく、新しい森林レクリエーション空間創出と管理の具体的提案を行った。
03227205, 地形・植生数値情報による多摩丘陵の環境・景観復元, 本研究の目的は、住宅地開発による環境への影響の大きさや特性を景観的側面および生態的側面から把握することである。景観的側面については「地形景観」と「視認領域」という観点から検討を行った。前者は地形の単位スケ-ルの変化および地形の複雑さの変化について、後者は可視領域のパタ-ンの変化について考察を行った。また生態的側面については生態ポテンシャルという観点から、その指標として「樹木活力度」を設定し、その変化についての検討を行った。以下がその結果である。;住宅地開発が地形の単位スケ-ルに与える影響を捉えるために「高度成長曲線」を用い、その増分が抵減し始める点の明瞭さ、つまり地形単位スケ-ル認識の明快さがどの程度損なわれるかについて検討を行った。その結果、開発規模が大きくなるにつれてスケ-ルの読み取りが困難になる傾向が確認された。;また「標高値の共起行列の対角線に対する慣性モ-メント」を用い、地形の形状、特に、丘陵地形を対象としたことから、起状の複雑さに与える影響についても検討した。ここでも開発規模が大きくなるほど地形の複雑さが損われる傾向があった。;視認領域に与える影響についてはセンタ-地区造成・大規模住宅地区造成ともに視認領域が増加し、視覚的な一体化が進む。しかし住宅地の場合周囲の自然環境の保全等に関する配慮も図られており、視認パタ-ンはセンタ-地区ほどは変化しない。中規模住宅地区造成では、視認領域の増加も視認パタ-ンの変化も少なくなっている。;生態的側面に関する樹木活力度区分の変化については、景観的側面ほど明快な変化は確認されなかったが、開発規模が大きくなるにつれて活力度の大きく低下する頻度が増加する傾向が見られた。
02243206, 地形・植生数値情報による多摩丘陵の環境・景観復元, 本研究は、丘陵地の住宅地開発を対象に「近代」における我国の環境変化の特性の指標比および評価を目標とする3ケ年にわたる研究の初年度であり、以下の2点を目的として研究を進めた。;(1)開発前後の環境関連数値情報を整備し、それらをもとに環境変化のメッシュ分析を行い、変化の状況を把握する。;(2)数値地形情報と地被状況画像などをもとに、環境像や変化状況をビジュアルに表示する「景観表示・地理情報可視化システム」を開発し検討する。;対像地として我国の戦後における首都圏の代表的な住宅開発地である多摩丘陵を取り上げ、多摩センタ-駅をほぼ中心とした、東西10Km、南北9Kmの範囲において詳細なスタディを行った。;まず、現況および環境改変前の地形図、植生図、空中写真などの資料を収集し、環境改変前後の標高、地形類型、植生、土地利用などについて、第IX座標系による等副50mメッシュ単位で基礎情報の整備を行った。そして、それら数値情報をもとに、標高類型、平均傾斜度、傾斜方向、接谷高、景観視認性、樹木活力度など、類型化や演算処理による指標化を行い、環境改変前後のデ-タを比較し、地形や植生に関する環境変化の状況に関する詳細な検討を行った。その結果、計画・開発の規模により様相は異なるものの、大規模な場合には丘陵地の特徴であるきめ細かな地形の起状や、まとまりを全く消失させるような改変が行われていることが確認された。;また、環境変化とそのプロセスを解析するために、(1)地形情報の可視化、(2)フルカラ-画像の利用とα合成(半透明合成)、(3)地理情報の景観像化、(4)景観像の写真性向上など、環境変化特性把握のための地理情報可視化システムの開発を行い検討を進めた結果、地形改変などの大規模な環境変化の検討に大きな力を発揮することが明かとなった。次年度以降は、環境変化のプロセスを分析し、変化特性を明らかにすると共に、その指標化・評価について検討を進めてゆく。
22H01667, 歴史文化遺産の保存と活用に資するイコモス「遺産影響評価」の拡張と実装に関する研究, わが国における歴史文化遺産の保存と活用の対象・方法の拡張、社会環境変化及び気候変動を踏まえると、歴史文化遺産及び周辺環境への多様な影響を事前に特定・評価し、負の影響の緩和へ結びつけていく仕組みが不可欠である。;本研究は、イコモス「遺産影響評価」よりも広い歴史文化遺産及び周辺環境を対象とした「拡張型遺産影響評価」の方法と実装の理論的構築を目指して、①歴史文化遺産及び周辺環境への「影響」の多面的・包括的把握、②国内外の「遺産影響評価」導入・運用の実態と課題の整理、③現行制度を踏まえた「拡張型遺産影響評価」の方法と実装へ向けた検討、④「拡張型遺産影響評価」の計画制度への実装のための実践的検討を行う。
23K22937, 歴史文化遺産の保存と活用に資するイコモス「遺産影響評価」の拡張と実装に関する研究, わが国における歴史文化遺産の保存活用の対象・方法の拡張、社会環境変化及び気候変動を踏まえると、歴史文化遺産及び周辺環境への多様な影響を事前に特定・評価し、負の影響の緩和へ結びつけていく仕組みが不可欠である。;本研究は、イコモス「遺産影響評価」よりも広い歴史文化遺産及び周辺環境を対象とした「拡張型遺産影響評価」の方法と実装の理論的構築を目指して、①歴史文化遺産及び周辺環境への「影響」の多面的・包括的把握、②国内外の「遺産影響評価」導入・運用の実態と課題の整理、③現行制度を踏まえた「拡張型遺産影響評価」の方法と実装へ向けた検討、④「拡張型遺産影響評価」の計画制度への実装のための実践的検討を行う。
JP23K22937, 歴史文化遺産の保存と活用に資するイコモス「遺産影響評価」の拡張と実装に関する研究, わが国における歴史文化遺産の保存活用の対象・方法の拡張、社会環境変化及び気候変動を踏まえると、歴史文化遺産及び周辺環境への多様な影響を事前に特定・評価し、負の影響の緩和へ結びつけていく仕組みが不可欠である。;本研究は、イコモス「遺産影響評価」よりも広い歴史文化遺産及び周辺環境を対象とした「拡張型遺産影響評価」の方法と実装の理論的構築を目指して、①歴史文化遺産及び周辺環境への「影響」の多面的・包括的把握、②国内外の「遺産影響評価」導入・運用の実態と課題の整理、③現行制度を踏まえた「拡張型遺産影響評価」の方法と実装へ向けた検討、④「拡張型遺産影響評価」の計画制度への実装のための実践的検討を行う。;本研究は、歴史文化遺産をめぐる保全概念の発展と「遺産影響評価Heritage Impact Assessment」に関する課題、および我が国における歴史文化遺産に包含される対象と保存・活用の方法の広がりを背景とし、歴史文化遺産とその周辺環境への多様な影響を事前に特定・評価し、負の影響の緩和へ結びつけていく仕組みとして、拡張型の「遺産影響評価」の方法と実装の理論構築を目指すものである。そのため、①わが国の歴史文化遺産とその周辺環境の保存・活用の現場で生じうる「影響」を多面的・包括的に把握すること、②国内外での「遺産影響評価」の導入・運用の実態と課題を明らかにすること、③わが国の現行制度を踏まえた「拡張型遺産影響評価」の方法と実装へ向けた検討を行うこと、④「拡張型遺産影響評価」の計画制度への実装のための実践的な検討を行うこと、を目的としている。;2023年度は研究メンバー各々が関わる地域や専門領域において研究活動を進め、①②③について並行して進捗を得た。①については、歴史文化遺産とその周辺環境の保存・活用に関し、地域コミュニティの取組みや地域コミュニティへの影響について研究成果の発表等を行っている。②についてはネパールとブータンで開催された世界遺産に関する国際専門家会議やワークショップへの参加および国内での世界遺産に関する研究会への参加を通し、国内外におけるHIAへの取組み状況について把握した。③については、日本の自治体における歴史文化遺産の保存・活用に関わるさまざま法制度の運用状況等を把握するための研究調査を進めた。;メンバー各々が自身の専門領域から研究を進めているが、2024年3月に刊行された『観光まちづくりの展望』には複数の研究メンバーが関連する論稿をおさめることができた。;2024年度も引き続き、国内外の文化遺産サイトや地域における歴史文化遺産とその周辺環境の保存・活用について多様な観点から実態把握のための調査を進める。加えて、最終年度に向け、個別事例を総合的に検討し、理論構築に向けた議論へと発展させる。
JP21K05661, 神社の立地等に見るエリアマネジメント拠点のあり方に関する研究, 都市公園をはじめとする公共施設には、エリアマネジメント拠点としての機能が求められるようになり、エリアマネジメントに関わる検討が進んできたが、その多くが組織形成のあり方や活動の進め方に関するもので、人々が拠り所とし気軽に集える場の設定等、拠点づくりに関わる方法論、計画論については手薄である。;一方、神社は地域コミュニティの拠点として重要な役割を果たしてきたことが知られており、エリアマネジメント拠点づくりの参考になると考えられる。そこで伝統的エリアマネジメント拠点という観点から神社の立地や空間構成について再評価し、エリアマネジメント拠点の基本的な立地や空間構成のあり方について知見を得る。;本研究は、わが国の伝統的エリアマネジメント拠点である神社に注目し、その立地および空間構成と、そこで展開されるコミュニティ活動との関係分析を通して、都市の緑地をはじめとするオープンスペースが、エリアマネジメント拠点として成立するうえでの空間面でのあり方について考究することとし、以下の2点を目的としている。(1)神社の立地および空間構成について調査・整理して、地域コミュニティの核としての空間面でのあり方を明らかにする。(2)神社の空間的側面の分析と各地で展開されているエリアマネジメント拠点の事例分析を通して、エリアマネジメント拠点のあり方について考察する。;そして2022年度は、エリアマネジメントの拠点として備えるべき空間特性として、「立地」に関しては、①象徴性、②親近性、③庇護性、「境内」に関しては、④交流性、⑤異界性、の合計5点の特性を仮説的に抽出した。;これを踏まえて2023年度は、都内(旧)郷社63事例を取り上げ、その空間特性について分析を行った。その結果、63例中6割が区部にあり、かつその半数が、台地部と平地部との境界域の傾斜地に立地していることが分かった。そして、その象徴性を保つ上で、高低差を活用するもの、同平面上で参道を長く確保するもの、アプローチに角度をつけるものの3パターンが存在することも確認された。また、都市部のビル化が進む中で屋上に立地を移す神社も多く、これらの境内の空間構成については、地上部の空間構成をコンパクト化し象徴性・異界性を確保していることも確認された。その他、各地で整備が進みつつあるエリアマネジメント拠点の好事例についても現地調査を実施したところ、親近性および交流性については配慮されているものの、象徴性・異界性および庇護性については、十分に考慮されておらず、この点が今後の課題であることが確認された。;本研究では、対象として取り上げた神社について、立地、空間構成、地域活動を同じ条件下で調査し、可能な限り定量的に分析したうえで、エリアマネジメント拠点となるための条件(傾向)を抽出しようとするものである。;2022年度において、都心の文京区、北区、新宿区、板橋区と都内の台地域と平地域との境界部を中心に斜面地に立地する神社をとりあげで実地調査を実施し、2023年度では都内(旧)郷社63事例について分析を進めた。しかしながら、コロナ禍にあった2021年度においてほとんど実地調査を進めることができなかったことから、全般的に進捗が遅れ気味である。;それでも、神社の立地や空間構成に関する文献・資料調査と合わせて、「実施概要」に記述したように、象徴性、親近性、庇護性、交流性、異界性の5項目を抽出することができた。そして当初、神社は歴史的にエリアマネジメント拠点の性格を典型的に有していると考え、理想的なモデルとしての姿が得られると期待していた。しかしながら、現地での実地調査を進めるにつれ、現代では風景面で大きく変容していることもが明らかとなってきた。特に、境内における土地利用が大きく変容したことから、エリアマネジメント拠点としての空間構成面での特性が読み取ることが非常に難しくなっており、その立地特性の問題をも含めて、古い時代(近世等)の図絵や地形図を補助資料として使いながら調査を行うことで立地特性の抽出がより容易になると考えられる。;また、境内の空間構成については、祭りをはじめとする神社の年間を通してのイベント等の活動内容との関係分析が必要であると考えられるが、この点が最も遅れている点である。今年度は、そうした活動内容と空間構成との関係について、専門家へのヒアリング等をも補足しながら検討を進めていく必要があると考えている。;2024年度は最終年度であり、これまでの文献資料調査やプレ現地調査を通して得られた知見と現地調査を通して得られた空間特性との整合性について検討しまとめていく。;その際、臨水域、平地域、境界域(斜面域)、台地域別に、仮説的に導出した、立地面での象徴性、親近性、庇護性、そして境内の空間構成に関する交流性、異界性の5項目の評価項目を用いて、対象神社のエリアマネジメント拠点性の現状について評価する。;そして調査対象神社に関しては、地域コミュニティの神社利用のあり方が、大きく変容していることが予想されるため、祭りをはじめとする各神社における活動の歴史的な変遷をも並行して調査を実施する必要がある。;合わせて、現代における公園緑地等に関するエリアマネジメント拠点の先進事例調査などをも交えて、最終的な目標である公園緑地等において、エリアマネジメント拠点として備えるべき空間特性について検討・考察を行う。