K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

小濱 歩
神道文化学部 神道文化学科
准教授
Last Updated :2024/04/17

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    小濱 歩, コハマ アユム

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所属・職名

  • 神道文化学部 神道文化学科, 准教授

学位

  • 2009年03月, 博士(神道学), 國學院大學, 文甲第115号

本学就任年月日

  • 2009年04月01日

研究分野

  • 神道古典

研究活動

論文

  • 学術誌上のFD研究の動向からみた機関レベルでのFD実践の批判的検討―『大学教育学会誌』と國學院大學教育開発推進機構に焦点をあてて―, 小濱 歩, 『國學院大学教育開発推進機構紀要』, 第10号, 27, 43, 2019年03月31日, 國學院大學教育開発推進機構, 戸村 理, 機関レベルでのFD実践が一般化される中、そのあり方を巡って、短期的にも中長期的にも問題を抱えている機関は少なくない。本論文では、國學院大學教育開発推進機構の今後のFDのあり方を展望するために二つの検討を行った。第一は、我が国におけるFDの過去約三十年間の動向の検討であり、第二はこれまでに國學院大學教育開発推進機構が取り組んできた各種FD実践を整理し、各実践の実態を分析することである。前者については、学術誌上のFD関連論文の量的・内容的なレビューを行い、1997年のFD努力義務化前後で、FD関連論文の内容に変化がみられたことを明らかにした。後者については過去のFD実践を三つの型に分けて整理し、第一の検討から得られた視点を用いて分析した。その結果、政策的・実践的視座に対応した実践的課題解決志向に偏ってきた傾向にあるとの見解に至った。以上より現在の教育開発推進機構は、今後の本学におけるFD実践をどのような方向性で進めるか検討を求められる段階にあり、教員の自主性と主体性はもちろんのこと、学術的視座に立脚した上で大学理念・教育理念と実践性とを同時追求するような方向性を展望する必要があるとした。
  • 東京都内の大学における「FDハンドブック」の傾向分析, 小濱 歩, 『國學院大学教育開発推進機構紀要』, 第9号, 50, 58, 2018年03月01日, 國學院大學教育開発推進機構, 國學院大學では平成17年度に『FDハンドブック』を作成し、同26年度には現行の改訂版ハンドブックを刊行した。29年度現在は刊行形態や執筆項目の再検討を行いつつ、新改訂版の作成に向けた調査を行っている。本稿では、その一環として、収集した東京都内大学の「FDハンドブック」12例と本学の現行版ハンドブックを対象に、その全体的な傾向分析を行った。執筆項目ごとの配分頁数をもとに各ハンドブックが重点的に取り扱っている事項を析出した上で、編集スタイル(解説主体型・事例主体型)と執筆項目の選択(バランス型・テーマ特化型)の視点に基づく4タイプに分類し、それぞれの特徴を通覧した。その上で、「FDハンドブック」作成に際しては、いかなる情報を盛り込むかという内容面での課題もさることながら、どのような刊行形態・編集スタイルを選択するかという形態面での検討が重要であり、そのためにハンドブックの具体的な「活用イメージ」をあらかじめ明確化することが必要であるとの指摘を行った。
  • 「学生の社会性向上」の観点から見るSAによる「教員補助」の意義と可能性 ―國學院大學におけるスチューデント・アシスタント制度の取組から―, 小濱 歩, 『國學院大学教育開発推進機構紀要』 , 第8号, 1, 31, 2017年03月01日, 國學院大学教育開発推進機構, 新井大祐,中條豊, 國學院大学の「スチューデント・アシスタント(SA)」制度について、平成21年度設置以降の振り返りと今後の展望を論じた。「学生FD」「ピア・サポート」を任務とする「SA」に比して、本学のような「大規模授業の教員補助」を旨とする「SA」は学生の資質や主体性の向上に資し難いと見る向きもある。しかし、本稿ではその見方に異議を唱え、制度の歩みを振り返りつつ、その運営の中で得られた学生や教員の意見等を元に、教員補助としてのSA業務に携わる学生においても、自発的な業務改善やその共有、組織への帰属意識、卒業後の社会を見据えた自己省察などといった成長の過程が見られることを明らかにした。
  • 『古事記』大宜津比売伝承の特色―海外神話及び『紀』所伝との対照において―, 小濱 歩, 『神道宗教』, 第230号, 31, 56, 2013年04月25日, 神道宗教学会,  『古事記』の大宜津比売殺害伝承について、海外神話及び『日本書紀』保食神殺害伝承との比較対照を通してその特色を明かにすることを試みる。前半では比較神話学の業績を参照しつつ、当該伝承の類話と見做すことができる海外神話三例との比較を行い、当該伝承が単なる追補的挿入ではなく、前後との繋がりの中で、殺害者たる須佐之男命の性格転換の画期と、世界秩序更新の契機を併せて物語る役割を担う可能性を指摘する。次いでその視点を踏まえつつ、後半では『記・紀』テキストに立ち返り、大宜津比売伝承と保食神伝承を対照・分析することで、『紀』が最高神天照大神を中心とする天上・地上の秩序形成を語るのに対して、『記』が産巣日神の意思を中心とし、それを担う須佐之男命の地上秩序形成に果たす積極的役割をも意識した記述となっていることを論じる。
  • FD活動における「教員評価」の可能性に関する一視点―國學院大学における「K-TeaD」の構築を事例として―, 小濱 歩, 『國學院大学教育開発推進機構紀要』, 第4号, 39, 71, 2013年03月10日, 國學院大学教育開発推進機構, 新井大祐, FD(ファカルティ・ディベロップメント)の実質化に向けて、大学及び教員の教育活動に関する自己点検・評価の重要性が認識され、そのためのツールとしての「教育関連業績ファイル」(ティーチング・ポートフォリオ)も注目されている。國學院大學では平成20(2008)年から公式に「教員評価」を開始したが、その目的もまた、教員の自己評価・自己改善にある。そこで本稿では、従来の「教員評価」及び「ティーチング・ポートフォリオ(TP)」に関する議論を参照し、その流れの中に國學院大學の「教員自己評価」の試みを位置づける。併せて「教員自己評価」の実施の中で構想され、実現に至った「教育関連業績データベース」としての「K-TeaD」システムを紹介し、その概要と特色を解説する。
  • 〈教養〉の捉え方に関する一試論, 小濱 歩, 『國學院大學教育開発推進機構紀要』, 第2号, 33, 48, 2011年03月01日, 國學院大學教育開発推進機構, 大学の〈教養教育〉のありかた、また〈教養〉それ自体の内容についても、極めて多様な議論が行われている。本稿ではそのなかでも、「人文的教養」等の〈旧来の教養〉に「市民的教養」等の〈新しい教養〉を対置し、現代社会の危機や課題に対処すべく後者の〈教養〉の推進を説く議論に着目し、まず新旧それぞれの〈教養〉概念の特色を概観した。その上で、両者の関係は決して相容れないものではなく共通の要素をも有すること、〈新しい教養〉はむしろ〈旧来の教養〉の資産を活かすことによって実践的たり得ることを指摘するとともに、大学が自身の〈教養〉観を設定してゆくための視点についても考察した。
  • 大学の理念と「3つのポリシー」―学外への「発信」という視点から―, 小濱 歩, 『國學院大學教育開発推進機構紀要』, 第1号, 49, 64, 2010年03月01日, 國學院大學教育開発推進機構, 中教審が明確化を求めるディプロマ・カリキュラム・アドミッションの3つのポリシーについては、既に教育目標分類学に基づく策定法が提案されており、ポリシー策定がFD活動に直結することも指摘されている。これに対して本稿は教育方針を学外へ発信する媒体としてのポリシーの意義に着目し、その視点から策定上の課題を論じた。まず大学全体の教育方針を示す全学のポリシーの重要性と、そこにおいて建学の精神の理念的要素をどう扱うかが問題となることを指摘し、次いで事例分析を通して、特に伝統的理念や宗教的価値観を拠り所とする大学では、掲げる価値を広く社会に訴え得る普遍的言語に再解釈する試みが重要となることを明らかにした。
  • 『古事記』須佐之男命像の特色 ―ウケヒ伝承を手がかりとして―, 小濱 歩, 『國學院大學紀要』, 第48号, 211, 235, 2010年02月14日, 國學院大學, 『古事記』における須佐之男命像の特色を把握する試みの一環として、同神が天照大御神と行ったウケヒについて考察を加え、以下の指摘を行った。 ①『古事記』のウケヒ伝承は、誓詞が存在しないことにより「ウケヒの体をなさないウケヒ」となっていること。②その特殊な状況を踏まえつつ、須佐之男命の「手弱女」を根拠とする清明心の主張を契機として、『日本書紀』と異なる独自の展開が導出されていること。③従来当該伝承は須佐之男命の「勝ち/負け」という枠組みで論じられることが多かったが、むしろ『古事記』においてウケヒの結果は不明瞭なままに投げ出されていること。④そして『古事記』の関心は、むしろその不明瞭性を描くことを通じて、高天原的視点からは捉えがたい逸脱的な存在としての須佐之男命の独特の性質を顕すとともに、その性質が高天原に引き起こした混乱を描くことにあるのではないかということ。 最後に、こうした性質が、命の誕生から出雲での事跡に到るまで一貫して何らかの積極的な役割を果たしている可能性を示唆してまとめとした。
  • 大国主神の研究, 小濱 歩, 國學院大學大学院文学研究科神道学専攻提出学位申請論文(神道学博士), 2009年03月01日, 國學院大學, 『古事記』における大国主神の神格と、その役割の内実を把握することを目指した。同神の特徴として、国平けと妻覓ぎを介した国土統合・死と再生を介しての霊威の更新・他界の上位の神々の意を体して現世の秩序形成を行う等々の点を上げ、この神が、現世の秩序形成の担い手にして統治者「国の主」を志向する存在であり、単に帰順わぬ神の頭領としての否定的・消極的な役割を担う存在としてではなく、現世の形成に積極的な役割を果たす存在として描き出されていること、また『古事記』にあっては、そのような存在によって担われる葦原中国が、他界の神々の意思にその在り方を制約される場として認識されていることを指摘した。
  • 『古事記』神代における大物主神像についての一考察, 小濱 歩, 『國學院大學大学院紀要―文学研究科―』, 第40輯, 15, 35, 2009年03月01日, 國學院大學大学院文学研究科, 『古事記』と『日本書紀』の大物主神の諸事跡を通覧し、その相違点から、特に『古事記』における大物主神が特徴的な描かれ方をされていることについて指摘した。すなわち大国主神(大己貴神)と大物主神は『日本書紀』では同一神であるが、『古事記』では別神として扱われているのであって、そのような叙述の在り方によって、武力平定と妻覓ぎを介して国土を統合した「国の主」が、霊的秩序を担う「物の主」を祭祀することによって初めて国土形成を完成するという観念を、『日本書紀』に比して『古事記』の方がより強く主張していることを論じた。
  • 大物主神の神名と神格の関わりについて, 小濱 歩, 『神道宗教』, 第207号, 81, 102, 2007年07月01日, 神道宗教学会, 『古事記』『日本書紀』ともに、「大物主神」という神名が、神代の大国主神(大己貴神)伝承においては顕されず、人代になってから用いられることに着目し、その理由について考察した。先行の諸研究において提示された見解を検討し、特に壬生幸子氏による、祭祀される以前の荒ぶる存在として顕れている場合に限り「大物主神」の名が用いられ、祭祀後においては用いられなくなるという見解に基本的に賛意を示しながらも、補足として、この神名が特に、葦原中国の霊的秩序を確立するために、皇室が同神を祭祀によって鎮めようとする緊張を孕んだ場面において、特に皇室側からみての同神の呼び名として用いられていることを指摘した。
  • 『古事記』大国主神・大物主神伝承と天皇についての一試論, 小濱 歩, 『神道研究集録』, 第21輯, 85, 118, 2007年03月01日, 國學院大學大学院神道学専攻学生会, まず『古事記』における大国主神の神格を論じて、これが基本的に葦原中国の国平けと妻覓ぎを通しての統合を志向し、「国の主」として君臨することを目指す神格であることを確認した。また同神との関わりにおいて大物主神の役割を検討して、祭祀を通しての現世の霊的な秩序の形成が追求されていることが、『古事記』の場合特に顕著であることを論じた。以上を踏まえた上で、そこに認められる「国の主」なるものがいかなる方法で現世を統合し、統治して行くのかということについての認識が、基本的に、『古事記』における代々の天皇像にも受け継がれていることを指摘した。
  • 『古事記』における「葦原色許男命」についての一試論, 小濱 歩, 『神道研究集録』, 第19輯, 63, 79, 2005年03月01日, 國學院大學大学院神道学専攻学生会, 『古事記』における大国主神の「亦名」のひとつである「葦原色許男命」について、それがいかなる場合に用いられる神名であるのかを考察した。『記・紀』の用例を検討するとともに、西郷信綱・大林太良・青木紀元各氏等の所説をも参照・批判しつつ、同神名を、「異郷に坐す上位の神が、葦原中国の秩序形成を担うべき神に対する呼び名として用いる呼称」であることを指摘した。なお本論考は上巻の用例のみに考察の対象が限定されていたため、後に研究発表「『古事記』における「葦原色許男」」及び博士学位申請論文「大国主神の研究で中巻の用例を含めた補足を行った。

Misc

  • 令和2年度における教育開発推進機構のFD・教育支援活動についてー新型コロナウイルスへの対応状況を中心としてー, 小濱 歩, 『國學院大学教育開発推進機構紀要』, 第13号, 120, 129, 2022年03月01日, 國學院大學教育開発推進機構
  • 『古事記』注釈・補注解説, 小濱 歩, 『古事記学』, 第五号, 2019年03月10日, 國學院大學研究開発推進機構・古事記学センター, 補注解説(10)「死と再生の神話――八十神による大穴牟遅神の殺害と、その甦り」の執筆を担当した。
  • 『古事記』注釈・補注解説, 小濱 歩, 『古事記学』, 第四号, 2018年03月10日, 國學院大學研究開発推進機構・古事記学センター, 補注解説(5)「須佐之男命と月夜見尊-『日本書紀』との比較-」の執筆を担当した。
  • 『古事記』注釈・補注解説, 小濱 歩, 『古事記学』, 第三号, 2017年03月10日, 國學院大學研究開発推進機構・研究開発推進センター, 補注解説(1)「食国(夜之食国)」、(2)「国」、(4)「物の妖」の執筆を担当した。なお、(1)は佐藤長門國學院大學教授との共同執筆である。

著書等出版物

  • 『教員力ステップアップ講座-あなたの授業を豊かにする究極の一冊-』, 小濱 歩, 國學院大學教育開発推進機構, 2014年04月01日, 新井大祐, 中山 郁, 佐川繭子, 鈴木崇義, 白川博一, 國學院大學教育開発推進機構において、授業改善の手引きとなるよう作成された『FDハンドブック』(平成17年刊行、23年改訂)の全面改訂版である。学内教員および関係機関に配付。また、新任教員研修でも新任教員に直接配付を行った。
  • 『大学事典』「項目編」, 小濱 歩, 平凡社, 2018年06月22日, 「項目編」収載の日本の四年制大学の項目のうち71項目を執筆。
  • 『國學院大學FDハンドブック』, 小濱歩, 國學院大學教育開発推進機構, 2018年12月20日, 柴﨑和夫, 新井大祐, 中山郁, 佐川繭子, 鈴木崇義, 戸村理, 佐藤紀子, [授業設計編]シラバスの作成・到達目標の作成について執筆を担当

講演・発表

  • 学内FDプログラム支援における中間組織の役割, 小濱 歩, 大学教育学会第40回大会第9部会, 2018年06月10日, 大学教育学会, 戸村 理
  • 二神誓約伝承解釈における「詔直」について, 小濱 歩, 日本宗教学会第72回学術大会研究発表第6部会, 2013年09月07日, 日本宗教学会, 『古事記』の天照大御神と須佐之男命の「ウケヒ」(宇気比・誓約)から、大御神の天石屋戸こもりに到る物語の中で語られる「詔直」という行為の在りようを検討し、『古事記』のテキスト及び『延喜式』祝詞の章句を参照しつつ、「何故「詔直」の効力は限界を免れなかったのか」という問題について論じた。
  • 國學院大學における授業評価アンケートの実施と活用状況, 小濱 歩, 2013年度私立大学FD連携フォーラムパネルディスカッション, 2013年06月15日, 私立大学FD連携フォーラム, 2013年度私立大学FD連携フォーラムパネルディスカッションにおいて、授業評価アンケートの活用事例をテーマとして加盟校から4大学(創価大学・國學院大學・中部大学・立命館大学)が参加してセッションが行われ、各大学の取り組みについて報告がなされた。筆者は國學院大學からの事例報告を担当し、國學院大學における経済学部における授業評価アンケートの活用事例、及び平成24年度から稼働した「授業評価アンケート」「教員自己評価アンケート」の入力・公開用データベース「K-TeaD」の概要と、学生・教員の反応、及び活用についての展望について報告を行った。また、報告終了後は全体討議が行われ、会場からの質疑に対して回答した。
  • 〈殺す神〉としての須佐之男命, 小濱 歩, 日本宗教学会第70回学術大会研究発表第9部会, 2011年09月03日, 日本宗教学会, 『古事記』における須佐之男命は、暴力的に振る舞い、様々な混乱を引き起こす存在として描かれている。また、出雲降臨以前と以後とで、その性格を異にするかに見える点もしばしば不審とされてきた。本発表においては、須佐之男命の殺害・暴力を記すトピック5つをそれぞれ検討し、須佐之男命は暴力的・破壊的に振る舞っているかに見えて、しかし、その行動は常に何らかの新しい秩序の創出(旧秩序の否定と更新)の契機となっていること、また、大宜津比売・大穴牟遅神の事例に典型的に見て取れるように、須佐之男命は〈暴力〉を介して〈変身〉を強いる神でもあり、常に〈変身〉もしくは〈更新〉の〈触媒〉として働く性質を有することを指摘した。
  • 大宜津比売を殺すということ―『古事記』の中の須佐之男命-, 小濱 歩, 日本宗教学会第69回学術大会研究発表第8部会, 2010年09月05日, 日本宗教学会, 本発表では海外における三例のハイヌヴェレ型神話との比較を通して『古事記』大宜津比売殺害伝承の考察を試みた。これらの神話の共通要素は、(1)神的存在の身体からの「生物学的方法」による宝物・食物の生産とその享受、(2)生産の方法に対する嫌悪・拒絶に由来する「神的存在」の殺害、(3)その死体からの人類が糧とすべきものの生産、がある。ここで嫌悪・拒絶は、それまでの無自覚な享受を脱し、知性と価値観の芽生えを迎える点で人類の認識の画期を示唆する。またそれが人類の今日の存在形態の起源を根拠づける内容をも含むことがある。つまりこの事件を契機として、従来の人類や世界の秩序の在りようが更新されることがわかる。以上を指摘した上で、改めて『古事記』の大宜津比売伝承に注意をむけ、当該伝承が『古事記』の高天原での須神の狼藉から、追放、女神の殺害を経て出雲の祖神となるまでの一連の物語の文脈の中で上の要素を共有するばかりでなく、その意義においても共通する解釈が可能であることを示し、当該伝承の解釈に当たっては、単純に前後と切り離して捉える「遊離説話」的解釈だけでは片付かない面も見られることについて指摘を行った。
  • 『古事記』における「葦原色許男」, 小濱 歩, 神道宗教学会第61回学術大会研究発表第2部会, 2007年12月01日, 神道宗教学会, 論文「『古事記』における「葦原色許男命」についての一試論」において、大国主神の「亦名」のひとつ「葦原色許男」という神名が如何なる意義を担いつつ用いられているかを論じた。そこでは、同神名が他界の神々から、葦原中国の秩序形成を担う存在として呼び掛ける時に用いられる名称であると結論したが、如上の考察は『古事記』上巻の用例のみを検討の対象とした点が不十分であると思われたので、『古事記』中巻、及び『日本書紀』『風土記』の用例も参照しつつ、改めて検討した。その結果、『古事記』上巻における「葦原色許男」の担う意義は、若干の変奏を交えつつも、中巻においても基本的に継承されていると結論した。
  • 大物主神の神名と神格の関わりについて, 小濱 歩, 神道宗教学会第60回学術大会研究発表第2部会, 2006年12月01日, 神道宗教学会, 大国主神伝承の考察を進めて行く中で、同神と強い関わりを有する存在として立ち現れるのが大物主神である。この神が『古事記』においてどのように捉えられているのかを把握するための予備的考察として、「大物主神」というこの神名が如何なる場合において、どのような意識で用いられるのかを考察した。その結果、同神名は葦原中国の統治者が、現世の霊的な秩序の安定のため、時に祟り神として顕れる同神を祭り鎮めることでその負の力を正の方向に向け直そうとするという、緊張を孕んだ局面に於いて、特に皇室の側から呼び掛けられる神名であることを論じた。なお、本発表の内容は、後述の同名論文において改めて詳論している。
  • 「大穴牟遅神」の神格についての一考察, 小濱 歩, 神道宗教学会第58回学術大会研究発表第2部会, 2004年12月01日, 神道宗教学会, 『古事記』の大国主神の神格の特色を把握するために、まず「亦名」の一つ「大穴牟遅神」の神名によって語られた局面を対象として、その内実と意義を考察した。巫医的特質・女神との交渉・死と再生等々の特徴的要素を抽出し、それらが『古事記』では一続きのストーリーの中で、現世を統合・統治する「国の主」の成立を志向して構成されており、そのような役割を担う存在としての「大穴牟遅神」の物語を大きく取り上げているのが『古事記』の特色であると指摘した。また須佐之男命・神産巣日神との繋がりを物語る伝承から、『古事記』は世界秩序の形成を、他界に坐す神々の意思に基づいて成された営みと捉える姿勢が強いことにも言及した。

教育活動

担当授業

  • 神道と文化, 2019, 神道は本学の建学の精神であり、多様性や寛容性を有する日本文化を理解する上で看過できない。この講義では、神道と深い関係を持つ本学の校史を学ぶことからはじめ、神道の古典、歴史および祭祀・有職故実についての基礎知識を学ぶ。神道を知ることは、自己認識を深めることにとどまらず、国際交流・理解の基準作りにもなる。
  • 神道と文化, 2019, 神道は本学の建学の精神であり、多様性や寛容性を有する日本文化を理解する上で看過できない。この講義では、神道と深い関係を持つ本学の校史を学ぶことからはじめ、神道の古典、歴史および祭祀・有職故実についての基礎知識を学ぶ。神道を知ることは、自己認識を深めることにとどまらず、国際交流・理解の基準作りにもなる。
  • 神道文化基礎演習, 2019, 神道の基本的な知識を修得することをはじめ、読後リポートの作成やグループワーク・発表を行うなど、以下の作業を通じて、これからの大学生活において神道文化・宗教文化を学んでいく上で必要となる基礎力を身につける。| 1. 『國學院大學の歴史』のテキストを用いて、母校となる國學院大學の建学の精神や歴史について理解する。| 2. 『プレステップ神道学』・『神道事典』を用いた小テストを実施することにより、神道に関する基礎知識を修得する。| 3. 神道資料が展示されている國學院大學博物館を見学するとともにワークシートを作成し、モノを通じて神道文化を学修する。| 4. 神道・宗教に関する課題図書を読んでリポートを作成し、これから神道文化・宗教文化を専門的に学ぶ上での基礎学力を身につける。| 5. 神道文化・宗教文化に関する発表テーマを設定して調査・研究を進めるとともに、グループワークを通じてその内容を深化させ、最終的に成果をまとめた発表を行うことで、これからの大学での学修・研究の指針を得る。
  • 神道と文化, 2020, ※この授業はオンライン(双方向型)、或はオンデマンド(録画配信型)で実施される。  神道は本学の建学の精神であり、多様性や寛容性を有する日本文化を理解する上で看過できない。この講義では、神道と深い関係を持つ本学の校史を学ぶことからはじめ、神道の古典、歴史および祭祀・有職故実についての基礎知識を学ぶ。神道を知ることは、自己認識を深めることにとどまらず、国際交流・理解の基準作りにもなる。
  • 神道文化基礎演習, 2020, ※本授業は、Zoomを利用した双方向型授業とPowerPointや講義資料を利用した遠隔授業を組合せて実施する。||神道の基本的な知識を修得することをはじめ、読後リポートや発表シート・レジュメを作成するなど、以下の作業を通じて、これからの大学生活において神道文化・宗教文化を学んでいく上で必要となる基礎力を身につける。|1. 『國學院大學の歴史』のテキストを用いて、母校となる國學院大學の建学の精神や歴史について理解する。|2. 『プレステップ神道学』・『神道事典』を用いた小テストを実施することにより、神道に関する基礎知識を修得する。|3. 國學院大學博物館に展示されている神道資料を通じて、神道文化を学修する。|4. 神道・宗教に関する課題図書(課題論文)を読んでリポートを作成し、これから神道文化・宗教文化を専門的に学ぶ上での基礎学力を身につける。|5. 神道文化・宗教文化に関する調査・研究テーマを設定して発表シート・レジュメを作成し、これからの学修・研究の指針を得る。
  • 神道と文化, 2021, 神道は本学の建学の精神であり、多様性や寛容性を有する日本文化を理解する上で看過できない。この講義では、神道と深い関係を持つ本学の校史を学ぶことからはじめ、神道の古典、歴史および祭祀・有職故実についての基礎知識を学ぶ。神道を知ることは、自己認識を深めることにとどまらず、国際交流・理解の基準作りにもなる。|
  • 神道文化基礎演習, 2021, 神道の基本的な知識を修得することをはじめ、読後リポートの作成や発表を行うなど、以下の作業を通じて、これからの大学生活において神道文化・宗教文化を学んでいく上で必要となる基礎力を身につける。|1. 『國學院大學の歴史』のテキストを用いて、母校となる國學院大學の建学の精神や歴史について理解する。|2. 『プレステップ神道学』・『神道事典』を用いた小テストを実施することにより、神道に関する基礎知識を修得する。|3. 國學院大學博物館に展示されている神道資料を通じて、神道文化を学修する。|4. 神道・宗教に関する課題図書(課題論文)を読んでリポートを作成し、これから神道文化・宗教文化を専門的に学ぶ上での基礎学力を身につける。|5. 神道文化・宗教文化に関する発表テーマを設定して調査・研究を進め、最終的に成果をまとめた発表を行うことで、これからの大学での学修・研究の指針を得る。
  • 神道文化演習, 2021, 神道文化や宗教学の基本的な文献や論文を講読し、その内容について資料を作成し発表することで、資料・史料やデータの読み方、それに基づく自らの考えの発表方法を身につける。| また、担当教員が自らの研究と論文の紹介を行い、資料・史料やデータの扱い方、それを使った論述方法(発表・論文の作成方法)についても学ぶ。
  • 日本文化を知る(日本文化論と日本神話), 2022, 様々な人々が「日本文化」や「日本人」の特色を語るが、その中でしばしば引き合いに出されるのが『古事記』『日本書紀』「風土記」などに残された日本の神話や古伝承である。本授業では、前半で代表的な神話・伝承をいくつか取り上げて概観した上で、後半ではそれらの神話や伝承に基づいて「日本文化」や「日本人」なるものの姿を捉えようとした人々の議論を、複数取り上げて講読する。|なお、通常「日本文化論」という呼称は、特に近代以降に著された日本・日本人・日本文化を対象とする論説・著作を指して、やや曖昧に使われる(日本論・日本人論という言葉も同様な性格を有する)。しかし、この授業では、より視野を広げて、中世・近世・近代に著された論説・著作も扱う。各々の論者が、神話テキストの読解・解釈を通じて、何を、どのように引き出したかたどる中で、「文化」を捉え・語ることの面白さと難しさについて考えてみたい。
  • 神道と文化, 2022, 神道は本学の建学の精神であり、多様性や寛容性を有する日本文化を理解する上で必須なものである。この講義では、神道と深い関係を持つ本学の校史を学ぶことからはじめ、神道の古典・歴史・祭りについての基礎知識を学ぶ。
  • 神道文化基礎演習, 2022, 以下の作業を通じて、神道文化・宗教文化の基本的な知識を修得するとともに、これからの大学生活において必要となる学修方法と学修習慣を身につける。|1.『國學院大學の歴史』のテキストを用いて、母校となる國學院大學の建学の精神や歴史について学ぶ。|2. 『プレステップ神道学』・『神道事典』を用いて、神道に関する基礎知識を得る。|3. 國學院大學図書館および國學院大學博物館の利用を通じて、神道文化・宗教文化の自主的な学修方法を身につける。|4. 神道・宗教に関する課題図書・課題論文を読んでリポートを作成し、これから神道文化・宗教文化を専門的に学修する上での基礎学力を身につける。|5. 神道文化・宗教文化に関する発表テーマを設定して調査・研究を進め、自らの考えを整理して、成果発表を行う。
  • 國學院の学び(國學院大學の歴史と未来), 2022, 「大学」は中世ヨーロッパに誕生し、世界中に伝播して今に至る。時代や国・地域性によって変容を遂げたが、アカデミック・フリーダムやユニバーシティ・オートノミーは、程度の差はあれ等しく重視されてきた。だが、現在のグローバル化や市場化の進展は、それらを重視する大学の永続性を脅かすものでもある。このような環境の中で大学はいかにあるべきかが問われており、本学もまたその渦中にある。この授業では、ヨーロッパと日本の大学・高等教育機関の発展過程を、歴史と比較の視点で考察することで、学生が自分なりの大学観を形成することを目的とする。また、それを踏まえつつ、國學院大學の歴史と建学の精神についても学ぶことで、本学学生としてのアイデンティティーの醸成に資することをも目指す。
  • 神道と文化, 2023
  • 神道と文化, 2023
  • 神道文化基礎演習, 2023
  • 神道文化演習, 2023
  • 神道学演習I, 2023
  • 神道学演習II, 2023
  • 國學院の学び(國學院大學の歴史と未来), 2023
  • 日本文化を知る(日本文化論と日本神話), 2023
  • 神道史, 2023
  • 神社神道概説, 2023
  • 神道と文化, 2023, 神道は本学の建学の精神であり、多様性や寛容性を有する日本文化を理解する上で必須なものである。|この講義では、神道と深い関係を持つ本学の校史を学ぶことからはじめ、神道の古典・歴史・祭りについての基礎知識を学ぶ。
  • 神道と文化, 2023, 神道は本学の建学の精神であり、多様性や寛容性を有する日本文化を理解する上で必須なものである。|この講義では、神道と深い関係を持つ本学の校史を学ぶことからはじめ、神道の古典・歴史・祭りについての基礎知識を学ぶ。
  • 神道文化基礎演習, 2023, 以下の作業を通じて、神道文化・宗教文化の基本的な知識を修得するとともに、これからの大学生活において必要となる学修方法と学修習慣を身につける。|1.『國學院大學の歴史』のテキストを用いて、國學院大學の建学の精神、歴史、学問の特色を学ぶ。|2. 『プレステップ神道学』・『神道事典』を用いて、神道に関する基礎知識を得る。|3. 國學院大學図書館および國學院大學博物館の利用を通じて、神道文化・宗教文化の自主的な学修方法を身につける。|4. 神道・宗教に関する課題図書・課題論文を読んでリポートを作成し、これから神道文化・宗教文化を専門的に学修する上での基礎学力を身につける。|5. 神道文化・宗教文化に関する発表を通して、クラス内で意見交換を行う。
  • 神道文化演習, 2023, 神道文化や宗教学に関する文献を講読し、その内容について資料を作成し発表することで、資料・史料やデータの扱い方、それを使った論述方法(発表や論文の作成方法)を身につける。
  • 神道学演習I, 2023, 『古事記』『日本書紀』「風土記」等、古代に編纂された諸文献には、日本の国の成り立ちや地方の生活・風土・信仰のあり方を語る多くの神話・古伝承が収載されている。本演習ではこれらの文献や、学術論文等を読むことを通して、神話・古伝承に現われた思想・信仰について理解を深めていきたい。|前期は、『古事記』上巻を主軸として、記紀風土記及びそれらを対象とする注釈・学術論文等を参照しつつ講読・輪読を行う(受講生は事前予習・意見交換等、積極的に演習に参加されたい)。並行して、3年生は中間リポートのテーマを設定して研究を進め、4年生は演習論文の完成を目指す(前期末に中間報告を求める)。後期には、中間リポート/演習論文の内容について受講生各自が口頭発表を行い、その後の添削指導を経てリポート・論文を完成する。
  • 神道学演習II, 2023, 『古事記』『日本書紀』「風土記」等、古代に編纂された諸文献には、日本の国の成り立ちや地方の生活・風土・信仰のあり方を語る多くの神話・古伝承が収載されている。本演習ではこれらの文献や、学術論文等を読むことを通して、神話・古伝承に現われた思想・信仰について理解を深めていきたい。|前期は、『古事記』上巻を主軸として、記紀風土記及びそれらを対象とする注釈・学術論文等を参照しつつ講読・輪読を行う(受講生は事前予習・意見交換等、積極的に演習に参加されたい)。並行して、3年生は中間リポートのテーマを設定して研究を進め、4年生は演習論文の完成を目指す(前期末に中間報告を求める)。後期には、中間リポート/演習論文の内容について受講生各自が口頭発表を行い、その後の添削指導を経てリポート・論文を完成する。
  • 國學院の学び(國學院大學の歴史と未来), 2023, 中世ヨーロッパに誕生した「大学」は世界中に伝播して今に至る。時代や国・地域性によって変容を遂げたが、学問の自由・大学の自治は、程度の差はあれ等しく重視されてきた。だが、現在のグローバル化や市場化の進展は、それらを重視する大学の永続性を脅かすものでもある。このような環境の中で大学はいかにあるべきかが問われており、本学もまたその渦中にある。この授業は、中世ヨーロッパから近代日本に至るまでの「大学」の発生とその発展過程について、大学史に関する文献・研究を参照しつつ学ぶことを通じて、学生が自分なりの大学観を形成することを目的とする。また、それを踏まえつつ、國學院大學の歴史と建学の精神についても学ぶことで、本学学生としてのアイデンティティーの醸成に資することをも目指す。
  • 日本文化を知る(日本文化論と日本神話), 2023, 様々な人々が「日本文化」や「日本人」の特色を語るが、その中でしばしば引き合いに出されるのが『古事記』『日本書紀』「風土記」などに残された日本の神話や古伝承である。本授業では、前半で代表的な神話・伝承をいくつか取り上げて概観した上で、後半ではそれらの神話や伝承に基づいて「日本文化」や「日本人」なるものの姿を捉えようとした人々の議論を、複数取り上げて講読する。|なお、通常「日本文化論」という呼称は、特に近代以降に著された日本・日本人・日本文化を対象とする論説・著作を指して、やや曖昧に使われる(日本論・日本人論という言葉も同様な性格を有する)。しかし、この授業では、より視野を広げて、中世・近世・近代に著された論説・著作も扱う。各々の論者が神話の読解・解釈を通じて何を引き出したかたどる中で、文化を捉え・語ることの面白さと難しさについて考えてみたい。
  • 神道史, 2023, 本講座では、古代から近現代に至る神道の歴史を学ぶ。前期では神道の起源に関する議論の紹介を行い、古代から平安時代に至る神道史の流れをたどる。また、8世紀に編纂された『古事記』『日本書紀』等に伝わる神話・古伝承を素材として、それらに現われた神道思想についても考えてみたい。後期は鎌倉時代以降の神道史の流れをたどる。単に神道史の流れを講義するだけでなく、それぞれの時代の神道の特色を伝える文献を紹介し、その一部を講読することを通して、歴史を通じてさまざまに変容する神道のありようを感じ取ってもらいたい。
  • 神社神道概説, 2023, 本講義では、神社神道に関する基礎的な知識・理解を身につけることを目指す。

オフィスアワーの実施時期・曜時

  • 2018

学外活動

学協会活動

  • 神道宗教学会, 2005年
  • 古事記学会, 2005年
  • 日本宗教学会, 2008年
  • 大学教育学会, 2012年