セメントと味噌蔵 地域における開発政策と地方政治の構造, 稲垣浩, 國學院法学, 59巻, 3号, 1-74, 2021年12月10日, 國學院大學法学会, 1970年代中盤の大分県臼杵市で発生したセメント工場の新設を巡る紛争について、背景となった地域の政治や歴史の構造を踏まえて再構成した論文である。特に、自治体間の政治変容の交錯が、地域の開発政策と工場新設反対運動に及ぼした影響について分析した。
戦後初期における基礎自治体の組織・人事の一事例(二・完) 大牟田市課員名簿の分析を通じて, 稲垣浩, 國學院法学, 2021年, 國學院大學法学会
知事と組織編成:一九八〇年代以降の府県組織改革とその過程(二・完), 稲垣浩, 國學院法學, 59巻, 1号, 2021年07月30日, 國學院大學法学会
その時、組織は「開いた」か?―戦後初期における自治体職員の任用制度とその運用, 稲垣浩, 季刊行政管理研究, 第174号, 2021年06月25日, 一般財団法人行政管理研究センター
戦後初期における中小自治体の組織・人事の一事例(1)「大牟田市課員名簿」の分析を通じて, 稲垣浩, 國學院法学, 57, 4, 206, 177, 2020年03月10日, 國學院大學法学会
知事と組織編成 : 一九八〇年代以降の府県組織改革とその過程(1), 稲垣浩, 國學院法学, 56, 4, 1, 61, 2019年03月10日, 國學院大學法学会
戦後地方公務員任用制度の形成 : 「選考」規定の成立と任用の実態, 稲垣浩, 國學院法学, 56, 1, 1, 49, 2018年07月10日, 國學院大學法学会
「戦後府県の組織編成とその「正当化」:局部組織制度の形成過程と編成過程の変遷に着目して」, 『法学研究』, 第50巻第2号, 313, 338, 2014年09月01日, 北海学園大学法学会, 戦後府県の組織編成について、歴史的に比較することを通じて、組織編成の構造分析を行った。分析の結果、多くの府県では他府県での動向など外部の動向に基づいて組織編成を正当化することによって、組織編成の持つ象徴作用を享受し、改革過程を円滑に進めてきたことを指摘した。またこのように「正当化」を重視するために、急進的な再編はあまり選択されず、緩やかなものになる可能性を指摘した。
「地域担当職員制度の制度設計:課題の整理と展望」, 『開発論集』, 第93号, 89, 106, 2014年03月01日, 北海学園大学開発研究所, 近年自治体間で急速に採用されつつある、地域担当職員制度について、制度の構造と運用上の問題点について分析を行った。分析を踏まえ、制度を導入する際には、行政と住民との関係構造や職員間での業務の配分などの問題を踏まえて制度を設計するべきであることを指摘した。
「戦後府県知事部局の組織編成」, 博士学位論文(東京都立大学社会科学研究科), 2011年02月01日, 日本の府県における知事部局の組織について、地方自治法をはじめとする関連法制度の形成過程と、実際の府県における組織編成の過程とその変遷について、戦前から現在に至るまで歴史的に考察した。法制度については、戦後における複雑な省庁間関係や国府県関係の影響から、府県にとって不確実性の高い制度となったことを明らかにした。また、実際の府県による編成過程では、機能的合理性よりも、国や他府県など外部の動向に配慮しつつ組織を編成するなど、自ら制約的に組織編成権を行使するという特徴を明らかにした。
「自治体組織編制における規制と改革」, 『国際文化研修』, 第56号, 54, 57, 2007年07月01日, 市町村国際文化研修所, 近年まで存在した地方自治法による府県の組織規制には、一定の「例外」を認めてきた。こうした「例外」は、他府県で既に実績があることによって認められやすかったことに着目し、府県は「規制」と他府県の動向とをにらみ合わせながら、各府県の事情に応じて組織を編成してきたことを、社会学的新制度論の「同型化」の理論を援用しつつ明らかにした。
「戦後府県「総合行政」をめぐる国と府県:戦後府県総合開発の展開と「新規行政需要」への対応を素材として」, 『法学会雑誌』, 第47巻2号, 229, 269, 2007年01月01日, 首都大学東京・東京都立大学法学会, 高度成長後期に発生した公害行政等の「新規行政需要」に地方自治官庁と府県がどのように対応したのか、関連組織の編成問題を通じて分析した。地方自治官庁は企画担当部局への統制を基盤とする行政体制を構築することで、中央政府内での主導権を確保しようとしたが、関連法制度等が成立せず失敗した。逆に府県の側では、企画担当部局が各省から縦割りで降りてくる政策を府県レベルで総合化するようになった。こうした「総合化」を通じて、企画担当部局が高度成長期以降も府県庁内に定着していったことを明らかにした。
「戦後府県企画担当部局の形成と展開」(査読付), 『年報行政研究』, 41号, 131, 153, 2006年05月01日, 日本行政学会, 戦後府県における、地域開発や政策の総合調整を所管する企画担当部局の形成過程を分析した。地方自治官庁(自治庁・自治省)は、府県に対して同部局を設置させることにより、各省の統制によって縦割り化した府県行政の総合化と知事による乱脈開発を抑制しようとする狙いがあったが、府県の自治組織権とのバランスや関連する法制度が成立しなかったことなどから挫折したことを明らかにした。
「国・府県間人事交流の制度形成」, 『法学会雑誌』, 第44巻2号, 543, 585, 2004年01月01日, 東京都立大学法学会, 戦後改革期において国と府県の人事交流をめぐる制度がどのように形成されたのか、その過程を明らかにしたもの。戦後、中央省庁による多元的な府県行政への統制が進む一方で、府県による自主的な人事権が尊重されるようになった。その結果、旧内務省の地方官人事のような一元的な人事異動の制度は構想されたが実現せず、恩給の通算や選考採用など関係する制度のみが出来上がったことを明らかにした。
自治体ライフヒストリー研究の意義と課題 研究者・職員協働型研究の経験から, 稲垣浩, 自治体学会大会 on the WEB 2022, 2022年08月20日, 自治体学会, 行政学の観点から、自治体職員のライフヒストリーを研究することの重要性について論じ、併せてオーラルヒストリーの手法を用いたライフヒストリー研究を研究者と自治体職員の協働で行うことの必要性とその方法について検討した。
地方議会の歴史と現状, 稲垣浩, 日光市議会議員定数等に関する講演会, 2017年02月16日
戦後初期自治体職員人事の制度形成と実態, 稲垣浩, 日本行政学会2020年度研究大会 ポスターセッション, 2020年05月24日, 日本行政学会, オンライン
報告「組織と人事をめぐる府県行政の戦前と戦後――戦後地方制度の改革過程と府県行政の変容を素材として――」, 稲垣浩, 日本行政学会2014年度研究大会, 2014年05月01日, 日本行政学会2014年度研究会(於:東海大学), 戦後府県における組織編成(特に知事部局の局部組織)や人事交流(国と府県)の制度や運用が、先行研究が指摘する「国による統制」とは必ずしも言えない、不明確なものとなった要因を、昭和20年代から30年代初頭における地方制度改革の過程と、当時の府県における組織編成や人事の実態から、歴史的に検討した。分析にあたり、戦前・戦後における内政の「統合」体制の変化、内務省から地方自治官庁 への移行と省庁間関係の変化、官選・官吏から公選・公吏の知事への変化という、三つの「変化」に着目した。
報告「戦後府県知事部局の組織編成:制度的環境と組織編成の「正当化」に着目して」, 2012年06月01日, 日本公共政策学会第16回研究大会(於:立命館大学), 戦後府県の組織編成について、歴史的に比較することを通じて、組織編成過程の構造分析を行った。組織編成は、再編することそれ自体に、首長の政治的な意向、重点政策分野のアピールなど、政治的な象徴として機能する作用がある。一方で、あまりに極端な再編は、その過程において反発や混乱を引き起こす可能性が高い。このため、多くの府県では他府県での動向など外部の動向に基づいて組織編成を「正当化」することによって、そうした象徴作用を維持しつつ、改革過程を円滑に進めてきたことを指摘した。
19H00571, 2019, 日本学術振興会, 基盤研究(A), 諌早湾干拓紛争の社会科学的総合研究
20K01453, 2020, 日本学術振興会, 基盤研究(C), QCAとネットワーク分析を利用した環境変動が人事運用に与える影響の研究
17K03547, 制度改革後の特別区における協議と調整のメカニズムの研究, 本研究では、東京都・特別区間ならびに区間相互での協議と調整メカニズムの史的展開、運用実態の調査(政策分野間での差異の分析を含む)を通じて、マルチレベル・ガバナンスに関する理論的知見の深化を図ると共に今後の大都市地域における自治制度に関する制度設計・運用への知見を析出することを目指す。;2021年度の実務者ヒアリング調査では区長公選制導入・配属職員制度廃止前後の1970年代半ばに職員採用され、配属職員制度を経由して都から区に身分移動した職員と区独自採用職員が混交した時代を経験している特別区副区長経験者を主たる対象とした。調査の焦点は、都区協議会(都区財政調整制度)を中心とする都区間の調整の様態、そして、数次に渡る都区制度改革の中で、とりわけ調査対象者が管理職レベルで経験している「2000年改革」前後での都区間の関係性の変化である。;これらオーラルヒストリー研究と並行して近年の政策分野別の事例分析として新型コロナウィルスへの対応や都市計画(用途地域見直し)における都区間の調整過程の調査なども行った。そして、研究資料データベース構築作業として都区財政調整制度を中心とする行政資料の収集を引き続き行った。;以上の特別区副区長経験者ヒアリング調査記録の一部は冊子にまとめられ、特別区自治情報・交流センター(特別区協議会)にて公開されることとなった。政策分野別研究の成果は研究論文や外国語書籍掲載報告に活用され発信された。;研究の展開を踏まえ、2021年度は特別区副区長経験者へのヒアリング調査を重点項目とした。特別区長会事務局ならびに東京都庁(総務局行政部区政課)[含 経験者]を対象にした研究は新型コロナウィルスへの対応への繁忙度合いを鑑み、実施を2022年度中へ延期することとした。;都区間における協議と調整メカニズムの実態把握を行うために、東京都ならびに特別区の実務関係者へのインタビュー調査を継続する。合わせて、都区財政調整制度を中心とする都区間調整に関する史的展開を把握するために(公財)特別区協議会(特別区自治情報・交流センター)、東京都公文書館、各特別区の図書館・区政資料室(公文書管理組織)等の施設を利用し、制度改革の記録・資料収集を進め、研究期間内に収集した各種資料のデータベース化を進める。以上の活動を踏まえ、報告論文の執筆に取り組み、成果の発信を図る。
16K17053, 戦後地方政府における「開放型」幹部人事の経験と展開に関する研究, 主に以下の三点について成果があった。第一に、各県の公文書館などにおいて、地方公務員法施行前における自治体の職員採用や職員名簿等の資料を発掘した。第二に、これらの公文書資料や当時の職員の手記などの資料を基に、職員採用や人員配置の実態について検討を進めた。同時に現在の自治体における職員人事やキャリアパス、政官関係に関するヒアリングを行い、現在との差異など、歴史的な変化の可能性について検討した。第三に、「選考(銓衡)採用」の制度形成過程と当時における採用の実際について、競争試験に限らない多様な地方公務員の採用制度の可能性とその課題について歴史的に研究を行い、論文を執筆し、研究発表を行った。;まず学術的意義としては、先行研究の乏しい自治体職員採用制度の形成過程とその実態に関する資料の発掘とその分析を通じて、「選考」など多様な採用制度の形成過程、自治体人事と自治体政治との関係構造、当時の職員採用状況が採用制度の設計に与えた影響などについて解明を行った点が挙げられる。また、社会的意義としては、上記の研究・分析を踏まえ、現在議論になりつつある競争試験以外の多様な職員採用制度の可能性について、一定の考察を行った点が挙げられる。とりわけ、歴史的な分析と並行して現在の実態調査も行ったことで、今後の制度改革に応用可能な基礎研究として、学術的・社会的に重要な意義を持つと考えられる。
20K01453, QCAとネットワーク分析を利用した環境変動が人事運用に与える影響の研究, 本研究では、長期人事データの収集及びQCA(Qualitative Comparative Analysis:質的比較分析)とネットワーク分析を応用し、方法論的課題を解決することで公的組織における人事システムは、何によって規定されるのという問いを解明する。具体的には、類似した職歴を積む人々で構成される職場内集団が登場するタイミングや、他の職場内集団とのネットワーキングを分析することで、公的組織における長期的な人事変化を動態的に解明し、人事システムの規定要因を検証する。;研究2年目となる2021年度は、昨年度から引き続いて研究の基盤となるデータの収集と構築、それにデータを用いた研究方法の検討など行った。;まず、札幌班については、昨年入手した『北海道新聞』紙上から抽出した人事データ(以下、道新データとする)についての研究を進めたが、研究を進める中で一部データの転記ミスなどが露見したことから、道新デジタルメディア社と協働でデータの修正作業を行った。また、同データにはなかった職員の学歴・生年月日・採用年などに関するデータを含む「札幌市役職者名鑑」を一部年度について入手することができたことから、これら記載の各職員の基礎データの入力と、これを道新データへ結合する作業に着手し、22年3月時点で半数程度の入力・結合が終了している。;次に総務班については、「内政関係者名簿」記載のデータの入力作業を進めた。これについては、2022年3月時点で昭和50年以降入省者(警察、厚生、労働、自治、建設、厚生労働、総務)のデータについて、昭和63年版から平成12年版、平成17年版から平成19年版までの入力作業を完了した。残る数年版も終了の目途がついている。;また、これら入力作業中のデータを用いた分析とその方法について討論するための研究会を複数回行った。昨年度同様に、コロナ禍のため対面での研究会はできなかったこともあり、思うように議論が進まなかったものの、研究方法等について一定の目途をつけることができた。;これらの研究に並行して、研究代表者・分担者ともに本研究に資する関連研究として、自治体の組織や人事、政治・行政に関する研究を進め、高いレベルの研究業績を残すことができた。;昨年度も一昨年同様、コロナ禍のために、研究代表者・分担者相互の対面を一度も行うことができなかった。そのため、当初予定していた、対面による全体・各班それぞれでの研究報告会や研究の検討会が開催できず、すべてオンラインとなった。しかし、それでもデータベース構築に一定の進展がみられたことから、これらを基にした研究方法等についての検討を行うことができた。;また、札幌班については、コロナ禍が昨年に比べて落ち着いたこともあり、人事関係資料の収集のため札幌へ出張し、「札幌市役職者名鑑」「札幌市機構図」などのデータを札幌市立図書館、札幌市役所等で入手することができた。一方で、札幌市政に詳しい有識者に対するインタビューを1月に予定していたが、コロナ拡大のため実施することができなかった。;総務班については、札幌班同様コロナ禍が昨年に比べて落ち着いたこともあり、データベースの構築に必要な学生アルバイトの雇用を確保することができ、「内政関係者名簿」データベースの完成が近づいた。これにより、総務班については、当初からは遅れたものの、2022年度前半にはデータベースを基にした分析に入る予定である。;研究の最終年となる2022年度は、2021年度までの研究結果を踏まえて、以下の作業を進めていく予定である。;第一に、昨年度に引き続きデータセットの拡充・精査である。上述のように、北海道新聞の記事データに加え、昨年度から「札幌市役職者名鑑」のデータ入力と結合を開始した。これらのデータが完成すれば、札幌市の幹部職員(係長級以上)とはいえ、一つの自治体における数千人規模の大規模かつ長期的な異動(配置転換・昇進)、勤続年数や学歴等についての総合的なデータが完成することになる。また、中央省庁人事データについては、ほぼ当初予定のデータベースを構築しているので、昨年度の研究会などで検討したデータを用いた分析を進めていく。また、必要なデータの入力については、2022年度も引き続き國學院大學・琉球大学で学生アルバイトを雇用し進めていくことにする。;第二に、昨年度に引き続いて、分析を行う際の文脈的事情や理論的視座の整理である。特に、行政学や労務研究などにおける人事研究の状況についての調査、札幌市や中央省庁の人事について文献の収集と検討を進めていく。特に札幌市については、引き続き関係資料の収集と共に、昨年度予定していた関係者に対するヒアリングを順次行っていくことにしたい。;第三に、上記の作業結果を踏まえて、データの分析を行う。今年度は本研究プロジェクトの最終年にあたり、構築したデータを用いた分析結果を取りまとめる作業を早急に進めていきたい。また、作業の進行に当たっては、適宜研究メンバー全員による研究会を開催し、研究内容について検討するほか、可能な範囲で外部の研究会や学会での報告を行う。
19H00571, 諫早湾干拓紛争の社会科学的総合研究, 本研究は、まず、諫早湾干拓紛争について、当事者へのインタビュー調査や地域社会でのアンケート調査を行い、また裁判資料や行政資料を分析して、なぜ、この紛争が60年以上続いているのかを明らかにすることを目的とする。;次に本研究は、この紛争の解決のためには、これまでの政治理論や法理論・社会理論には何が不足しているのかを明らかにし、より現代社会に適合的な社会科学理論を構築する手がかりを得ることを目的とする。;第三に、本研究は、得られた知見を積極的に社会に還元し、本紛争の解決に間接的に寄与することを目的とする。;1.社会理論グループのアンケート班は、有明海沿岸四県の住民意識調査を行った。昨年度は、諫早市・雲仙市の住民2100名を対象としたアンケートを取ったが、今年度は範囲を広げて、有明海沿岸四県2100名とした。具体的には、各県の有明海沿岸部住民と県庁所在地住民に分けてサンプルを抽出し、アンケート票を郵送した。長崎県が島原市・諫早市沿岸部および長崎市中央地区、佐賀県が太良町・鹿島市と旧佐賀市、福岡県が大川市・柳川市と福岡市中央区、熊本県が荒尾市・宇土市と熊本市中央区である。現在、その分析を行っている。その分析の一部を、日本環境会議「諫早湾干拓問題検証委員会」で報告した。;2.社会理論グループ政治学・行政学班は、長崎県の資料を中心に収集し、分析に取りかかった。;3.法解釈学グループは、請求異議訴訟差し戻し控訴審の審理状況をフォローし、憲法学・民法学・民事訴訟法学・民事執行法学・行政法学・法社会学の各分野から、福岡高裁の2021年4月28日「和解協議の考え方」や2022年3月25日判決について検討してきた。とりわけ、2022年3月25日福岡高裁判決について批判的に検討を重ねている。また、同判決について研究会メンバー4名がマスコミにコメントを載せた。;4.以上の研究活動の中間発表として、九州法学会第126回学術大会において、シンポジウム「司法制度で処理できない紛争を、地域住民はどう考えているかー諫早湾干拓事業をめぐる裁判と住民アンケート結果からー」を開催し、樫澤秀木、加藤雅俊、西川佳代、児玉弘、開田奈穂美が研究成果を発表した。;コロナ禍の中ではあるが、本科研の大きな計画であった、二つのアンケート調査(諫早市・雲仙市住民を対象とするアンケート調査と有明海四県住民を対象とするアンケート調査)を無事、行うことができた。今後は、これらの結果の分析を行う。;また、政治学・行政学班は、国よりむしろ長崎県に焦点を絞り、その挙動を歴史的に明らかにすべく、資料を収集している。;法律学グループは、実際の裁判の進行に合わせ、憲法学、民法学、民事訴訟法学、民事執行法学、行政法学、法社会学などの多方面から、諸判決、とりわけ請求異議に関する福岡高裁差戻し審判決の理論的検討を進めている。;2022年度には、オンライン・体面を含め、頻回に研究会を行い、研究を蓄積していく。また、2023年度に、法社会学会や環境社会学会など複数の学会で報告を予定し、その準備を進める。;研究最終年度である2023年度には、上記学会報告とそれを受けて研究成果の執筆に取りかかる。2024年度に研究成果をまとめて公刊する予定にしている。
22H00811, 「日本型統治システム」の再検討-比較、聞き取り、アンケート調査に基づく学際的接近, 本研究の目的は、日本の憲政実践(日本国憲法に規定された立法・行政・司法の関係性とその具体的な運用)の総体を「日本型統治システム」と捉え、その歴史的変遷と因果的背景を明らかにすることにある。この目的を達成するために、聞き取り調査、アンケート調査、比較分析などの多角的な調査を行い、各種の調査で得られた知見を、政治学と法律学における諸理論に基づき、学際的な分析・考察を進める。