Impact of Consultative Relationships on Teacher Self-Efficacy: An Analysis of Six-Year Panel Data, 前田麦穂, CSRDA Discussion Paper Series, 114, 1, 21, 2024年12月25日, 東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター
「教員採用選考試験の「早期化・複線化」政策の形成過—1960年代から2020年代にかけての検討—, 前田麦穂, 教育学研究, 91, 2, 80, 92, 2024年06月30日, 日本教育学会
拒否権プレイヤー論による地方教育政策研究の展開可能性 ―教員人事権移譲をめぐる比較事例分析から―, 前田麦穂, 國學院大學人間開発学研究, 15, 1, 16, 2024年02月29日, 國學院大學人間開発学部
遅すぎる教員採用?:日本における就職活動時期と教職キャリア選択, 前田麦穂, CSRDA ディスカッションペーパーシリーズ, 69, 1, 21, 2023年12月25日, 東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター, 近年、教員採用活動の時期が質の高い教員候補者の獲得に与える影響についての研究が行われてきたが、民間企業の就職活動時期が教員候補者にどのような影響を与えるかについてはほとんど知られていない。そこで本稿では、全国の大学生を対象としたアンケート調査を用いて、就職活動時期が新卒者の教員になるかどうかの意思決定にどのような影響を与えるかを検証した。
分析結果は以下の通りである。第一に、教員採用の一次試験が始まる7月より前に、企業から内々定を得た学部4年生は、教職を選択しないことを決定していた。この結果は、民間企業に比べて教員採用選考が遅れることで、教育委員会が潜在的な教員候補者を失う可能性を示唆した。第二に、キャリア選択において労働条件や環境を重視する学部生は、教職を進路として選択しなかった。結論として、本研究は、教員採用のスケジュールだけでなく、教員の労働環境にも取り組むことで、教員不足の解消を図る必要があると主張する。
府県・旧五大市による教員採用選考試験の合同実施の形成過程 —戦後初期の大阪府・大阪市と神奈川県・横浜市を事例として—, 前田麦穂, 日本教育制度学会30周年記念 日本教育制度学会紀要, 特別号, 367, 385, 2023年11月01日, 日本教育制度学会
教員採用制度の日本的特徴とその変動:国内外の研究動向から, 前田麦穂, 教育制度学研究, 28, 254, 260, 2021年11月
「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」における指定都市特例の形成過程:五大市教育委員会の動向に着目して, 前田麦穂, 教育制度学研究, 28, 74, 92, 2021年11月
「教員採用統一試験」の政策形成過程:「負担軽減」のロジックに着目して, 前田麦穂, 『国立教育政策研究所紀要, 149, 7, 23, 2020年03月, 国立教育政策研究所
戦後初期における東京都教員適性検査制度の形成過程:行政資料及び新聞記事の分析から, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科紀要, 59, 137, 147, 2020年03月
戦後日本における教員採用選考試験の形成に関する実証的研究:法規定と運用実態のずれに着目して, 前田麦穂, 博士論文(東京大学大学院教育学研究科), 2019年09月
教員採用制度における選考試験の導入過程―1950年代の鹿児島県を事例として―, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科紀要, 58, 91, 100, 2019年03月
戦後初期の教員採用における選考権の運用実態 ―1950年代の富山県を事例として―, 前田麦穂, 教育学研究, 85, 3, 309, 320, 2018年09月
教員採用制度に関する研究動向―公選制/任命制教育委員会の断絶史観の再検討へ―, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科紀要, 57, 137, 145, 2018年03月
教員採用における「選考」規定の定義と解釈の成立に関する研究 ―戦後初期の教育公務員特例法と人事院規則八-一二の成立順に着目して―[研究ノート], 前田麦穂, 教育制度学研究, 24, 82, 101, 2017年11月
教員採用における「選考方法の多様化」は 教員の画一化をもたらしたか: 固定効果モデルによる都道府県別パネルデータの分析から, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化センター 若手研究者育成プロジェクトワーキングペーパー, 20, 1, 14, 2017年07月
戦後日本における教員養成・資格付与制度と教員採用制度の分離に関する考察 ――教育公務員特例法における教員試補制度案削除過程の分析を通して――, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科紀要, 56, 327, 337, 2017年03月
教員採用における「選考」に関する研究―教育公務員特例法の成立過程を中心に―, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科比較教育社会学コース2015年度修士学位論文, 2016年01月
専門職養成における能力形成の認識構造 : 6種の専門職の養成機関長への質問紙調査から, 前田 麦穂; 加藤 靖子; 坂田 真啓; 橋本 鉱市, 東京大学大学院教育学研究科紀要, 54, 133, 149, 2015年03月, 東京大学大学院教育学研究科, The purpose of this article is to clarify the recognition to the ability formation that agency managers in training schools of six professions have ― nurses, registered dietitians, social workers, clinical psychologists, pharmacists and childcare workers. We conducted a survey to agency managers of training schools of these six professions, asking about the ability formation in their professional education. This article shows the results of quantitative analysis.
教員採用における「早期化・複線化」改革の現状と課題, 前田麦穂, 教職課程, 49, 14, 88, 90, 2023年10月01日, 協同出版
(自著解説)戦後日本の教員採用:試験はなぜ始まり普及したのか, 前田麦穂, UTokyo BiblioPlaza 若手研究者による著作物, 2023年03月01日, 東京大学UTokyo BiblioPlaza
2021年の教育改革案・調査報告等, 前田麦穂, 教育学研究, 89, 1, 40, 56, 2022年03月01日, 日本教育学会
コロナ禍は資料アクセスをどう変えたか~研究者・学生の緊急アンケートから著作権法改正まで~, 前田麦穂, 図書館界, 73, 2, 61, 67, 2021年07月
教員採用と「地域」をめぐるポリティクス:地方分権改革と広域人事制度のゆくえ, 前田麦穂, 現代思想, 49, 4, 80, 84, 2021年03月27日
研究手帖 地方分権と教員採用, 前田麦穂, 現代思想, 49, 3, 230, 230, 2021年02月27日
新型コロナウイルスと「図書館休館対策プロジェクト」緊急アンケート,要望書とその成果(小特集:新型コロナウィルスと図書館), 前田麦穂, 大学図書館研究, 116, 1, 10, 2020年12月
大学図書館等の休館が教育・研究に与えた影響 : 「図書館休館による研究への影響についての緊急アンケート」最終集計結果から (特集 新型コロナ感染への大学の対応), 前田麦穂, 大学マネジメント, 16, 2, 38, 41, 2020年05月, 国立大学マネジメント研究会
ハーバード大学(カレッジ)のInstitutional Researchに関する調査報告, 前田麦穂, 現地調査報告(速報版) アメリカ合衆国ボストン地区における大学のInstitutional Research(東京大学教育学部学校教育高度化・効果検証センター 効果検証部門高等教育ユニット), 11, 16, 2019年03月
部活動指導員の実態と連携の課題, 前田麦穂, 多忙化縮減をめざす学校と支援スタッフの連携協力の在り方に関する調査研究(平成28年度~平成30年度科学研究費補助金 基盤研究(B)研究成果報告書、研究代表者:樋口修資), 52, 61, 2018年12月
教員と学校司書の連携を左右するもの-教員の属性と学校の特性に着目して-, 前田麦穂; 須藤康介, 多忙化縮減をめざす学校と支援スタッフの連携協力の在り方に関する調査研究(平成28年度~平成30年度科学研究費補助金 基盤研究(B)研究成果報告書、研究代表者:樋口修資), 40, 51, 2018年12月
特集 支援スタッフで学校は変わるのか8:勤務環境の現状と課題, 前田麦穂, 内外教育(2018年7月13日), 6679, 10, 12, 2018年07月
日本教育学会「若手会員のニーズに関するアンケート調査」の分析結果, 前田麦穂; 齋藤崇徳; 本田由紀, 教育学研究, 84, 4, 446, 454, 2017年12月
中学生の海に関わる職業希望の規定要因―家庭背景と親子コミュニケーションの検討から―, 前田麦穂, 全国海洋リテラシー調査 最終成果論文集(東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センター), 59, 68, 2016年03月
なぜ『所得差による教育の不平等』を容認するのか―学校外教育への投資行動が保護者の意識に与える影響の分析から―, 前田麦穂, 2014年度参加者公募型二次分析研究会 子どもの生活 保護者の教育意識 研究成果報告書(東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター), 157, 168, 2015年03月
「相談できる関係」が教師の自己効力感に与える影響 ―6ヶ年パネルデータの分析から―, 前田麦穂, 日本教育行政学会第59回大会, 2024年10月26日, 日本教育行政学会
International Comparison of Decentralization in Teacher Hiring: Exploratory Analysis of PISA, 前田麦穂, World Education Research Association Focal Meeting 2024, 2024年09月10日
「教員不足」の歴史社会学―日本を事例として―, 前田麦穂, 日本教育学会第83回大会(オンライン開催), 2024年08月29日
なぜ今、教員採用の 「早期化・複線化」なのか?—現在の改革を歴史からとらえる―, 前田麦穂, 2024 年度 関私教協・東教協合同研究大会, 2024年05月12日, 関東地区私立大学教職課程研究連絡協議会
教員採用制度の国際比較:PISA2022の探索的分析から, 前田麦穂, 日本教育社会学会 若手研究者交流会, 2024年03月10日, 日本教育社会学会
大学生の就職活動と教職志望の関係—学生の就職・採用活動開始時期に関する調査の二次分析から―, 前田麦穂, 日本教育社会学会第75回大会, 2023年09月09日
教員採用「早期化」政策の形成過程とその帰結―1960年代から2020年代にかけての検討―, 前田麦穂, 日本教育学会第82回大会, 2023年08月24日
民間企業採用早期化が教職志望に与えた影響―学生の就職・採用活動開始時期に関する調査の二次分析から―, 前田麦穂, 日本教育社会学会 第2回若手チャレンジ研究会, 2023年03月21日
学校内での若手教員支援と その効果 ―教員追跡調査の分析から―, 前田麦穂, 國學院大學 人間開発学会第14回大会, 2022年11月12日
学校組織内部における若手教員育成・支援の現状と課題 —X県Y地区小中学校教員の4か年パネルデータの分析から―, 前田麦穂, 日本教育行政学会第57回大会, 2022年10月16日, 日本教育行政学会
教員採用選考試験の共同実施に関する歴史的研究—府県と政令指定都市の関係に着目して―, 前田麦穂, 日本教育行政学会第56回大会(オンライン開催), 2021年10月10日
なぜ政令指定都市に教職員人事権が付与されたのか―戦後初期の五大市の分析から―, 前田麦穂, 日本教育行政学会第55回大会(オンライン開催), 2020年10月03日
大学院生のサバイバル・ストラテジー, 日本教育社会学会第72回大会 若手研究者交流会ラウンドテーブルⅠ, 2020年09月04日
中核市への教員人事権移譲をめぐる地方教育政治過程―島根県松江市を事例として―, 前田麦穂, 日本教育学会第79回大会(オンライン開催), 2020年08月24日
教員採用における「制度的連結」とその解除—1950年代の島根県を事例として—, 前田麦穂, 日本教育社会学会 第71回大会(於 大正大学), 2019年09月12日
Centralization and decentralization of teacher hiring practices in Japan: An analysis of the policy formation process (1990s–2010s), 前田麦穂, World Education Research Association 2019: Focal Meeting in Tokyo, 2019年08月08日, Gakushuin University
「教員採用試験」の誕生と展開 ―戦後初期の東京都を事例として―, 前田麦穂, 日本教育社会学会 第70回大会(於 佛教大学), 2018年09月03日
教員採用における「選考試験」の制度化過程, 前田麦穂, 日本教育制度学会 第25回大会(於 東北大学), 2017年11月11日
戦後初期における教員採用の実施過程, 前田麦穂, 日本教育学会 第76回大会(於 桜美林大学), 2017年08月26日
日本教育学会 若手会員のニーズに関するアンケート調査, 前田麦穂, 日本教育学会 第76回大会(於 桜美林大学)若手交流会, 2017年08月25日
教員採用における「選考方法の多様化」は教員の画一化をもたらしたか―固定効果モデルによる都道府県別パネルデータの分析から―, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化センター 2016年度若手研究者育成プログラム「多様性をはぐくむ教育」最終報告会, 2017年03月16日
教員採用選考の「競争試験化」に関する一考察―教育公務員特例法の成立過程の検討から―, 前田麦穂, 日本教育制度学会 第24回大会(於中央大学), 2016年11月12日
教員採用における「選考方法の多様化」の効果の実証的研究―都道府県別パネルデータの分析から―, 前田麦穂, 東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化センター 2016年度若手研究者育成プログラム「多様性をはぐくむ教育」中間報告会, 2016年11月09日
教員採用における「選考」の正当性をめぐる論理―教育公務員特例法の一次資料および解説書の分析から―, 前田麦穂, 日本教育学会 第75回大会(於北海道大学), 2016年08月
教員採用における「選考」の成立(III-6部会 教師(3),研究発表III), 前田 麦穂, 日本教育社会学会大会発表要旨集録, 2015年09月06日
なぜ『所得差による教育の不平等』を容認するのか―学校外教育への投資行動が保護者の意識に与える影響の分析から―, 前田麦穂, 日本子ども社会学会 第22回大会(於愛知教育大学), 2015年06月
なぜ『所得差による教育の不平等』を容認するのか―学校外教育への投資行動が保護者の意識に与える影響の分析から―, 前田麦穂, 東京大学社会科学研究所附属社会調査・データアーカイブ研究センター 二次分析研究会2014 参加者公募型研究成果報告会 子どもの生活 保護者の教育意識, 2015年02月
20J01830, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, 政令市教育委員会による教員採用選考の独自実施に関する実証的研究
17J08440, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費, 戦後日本における教員採用制度の形成に関する実証的研究―1950年代を中心に―, 本研究の目的は、戦後日本における教員採用制度の形成過程を実証的に明らかにすることである。終戦後の占領期を経て、1950年代に行われた教員採用行政のあり方が、現在まで続く教員採用の基盤を形成した。しかし同時期に関しては、全国的動向を把握できる公的資料に乏しいなどの制約から、これまで十分な実証研究が蓄積されてこなかった。そこで本研究は、公的資料以外(民間受験産業による刊行物や地方紙による報道など)にも資料範囲を拡大することで、1950年代の教員採用行政のあり方を多面的に明らかにすることを可能にした。
2017年度は富山県・鹿児島県を対象とした事例研究に取り組んでいた。これらは『教育学研究』に査読付論文として(富山県)、所属研究科紀要に査読無論文として(鹿児島県)、それぞれ2018年度に公刊された。
本年度は東京都・島根県・青森県・愛媛県を対象とした事例研究に取り組んだ。交付申請書の執筆時点では大阪府も対象とする予定だったが、使用できる資料に制約があったため計画を変更して取り組んだ。事例とした都県について、現地の県立図書館等で対象時期の教育委員会等による刊行物を収集するとともに、公文書開示請求により都県教育委員会会議録を入手した。並行して、国立国会図書館で地元紙の新聞記事を収集し、分析に使用した。
東京都の事例研究は「日本教育社会学会第70回大会」で学会発表を行い、『教育社会学研究』に論文を投稿した。査読の結果掲載不可となったため、現在は論文を修正して再投稿の準備を進めている。島根県・青森県・愛媛県の事例研究は、2019年度の「日本教育社会学会第71回大会」で学会発表を行う予定である。その後、査読誌に論文を投稿する予定である。なお2017年度・2018年度の事例研究で得られた成果を取りまとめ、博士学位論文の執筆に取り組んでおり、2019年度中には博士学位取得が見込まれている。
東京大学大学院教育学研究科附属学校教育高度化センター, 若手研究者育成プロジェクト, 教員採用における「選考方法の多様化」の効果の実証的研究一都道府県別パネルデータの分析から―
20H01629, 教員縦断調査による日本型教員人事制度の機能分析―教員の職場適応と職能形成を中心に, 日本の公立学校においては、広域的に教員採用が行われ、定期的に異動が行われることで、組織構成員の流動性が高い。しかし、これが学校組織における同僚性の構築や、教員の力量形成、勤務時間や勤務負荷、組織への適応感やメンタルヘルスににどのような影響を及ぼすのかについては、十分明らかになってはいない。そこで本研究では、国内3地域の教員を対象に追跡的なアンケート調査を実施し、パネルデータを構築する。この分析を通じて、教員の異動と組織適応について明らかにする。;2021年度に引き続き、調査協力を依頼している教育委員会等との良好な関係のもと、パネルデータの作成にかかる調査を継続した。3地域を対象とする教員調査については予定通りの配布・回収ができ(総計900通程度)、前期の科研費プロジェクトに続く形でのパネルデータ構築が進んだ。;収集したデータの分析と、分析結果に関する知見の共有等についても継続し、前期の科研費プロジェクトの成果発表(書籍『教員の職場適応と職能形成教員縦断調査の分析とフィードバック』の出版)の続編を視野に入れ、学会発表や論文執筆等による成果発表を行った。引き続き「コロナ対応」等によって代表者・分担者それぞれの所属大学等での業務が増えたこともあり、分析活動に若干の制約は生じたが、オンライン等を駆使しつつ研究会も実施し、研究活動を継続した。;調査対象自治体等へのフィードバックや、合同での検討会についても実施した。近年の「教員不足」が教員の心身の健康感に与える影響など、この間の社会的な変化・課題に対応した分析作業にも着手し、成果発表の準備を進めた。;調査票の配布・回収を通じたパネルデータの構築については、コロナ禍を通じて関係自治体等から継続的な調査協力が得られ、順調に進められた。収集したデータの分析や、調査自治体等へのフィードバックについても、「コロナ対応」等に起因する代表者・分担者の多忙はあるものの、研究会等の開催は順調に進み、成果の蓄積が進んだ。;研究期間最終年として、パネルデータの一応の完成に向け、引き続き調査協力自治体との関係を保ちつつ、進めていく。収集したデータの分析についても計画的に進め、出版等を視野に入れた成果の取りまとめを進める予定である。あわせて調査自治体等へのフィードバックや、分析結果の検討会の開催についても、引き続き状況を注視しつつ、対面開催やオンライン開催等、さまざまな選択肢の中から準備しつつ進めたい。
22K20282, 「教員不足」期における民間企業採用早期化の影響に関する実証的研究, 本研究の目的は、民間企業の採用活動早期化という新規大卒労働市場の制度的変化が、近年の教員採用選考試験の受験者数減少に与えた影響を実証的に明らかにすることである。具体的には、進路選択において教職を視野に入れた大学生を対象として、就職活動の終了時期と教員採用選考試験の実施時期が、教職選択に与える影響を検討する。分析においては、「① 大学生の就職活動時期に関する調査データ」と「② 教員採用選考試験の実施時期に関するデータ」を紐づけた独自のデータセットを構築する。このデータセットから、就職活動終了時期や教員採用選考試験の実施時期が、大学生の教職選択に対する効果を持つかを検討する。;本研究の目的は、民間企業の採用活動早期化という新規大卒労働市場の制度的変化が、近年の教員採用選考試験の受験者数減少に与えた影響を実証的に明らかにすることである。2010年代後半以降、教員採用選考試験の採用倍率低下の原因の一つとして、中学・高校における新卒者の受験者数減少が指摘されてきた。先行研究はミクロな観点から、個人の心理的要因(教職の魅力の低下)・経済的要因(給与水準の低さ)による説明を行ってきたが、マクロな観点からの検討が不十分だった。これに対し本研究は、新卒労働市場の制度的変化、すなわち明文化されたルールの変更による民間企業の採用活動早期化に着目することで、受験者数減少のメカニズムをミクロ・マクロの両面から解明するという意義を持つものである。;本年度の研究成果は以下の2点である。;(1)内閣府が実施した大学生の就職活動時期に関する質問紙調査の個票データの分析を行い、学生の内々定獲得時期や就職活動終了時期の早期化が、教職選択にどのような影響を与えたのかを検討した。その結果、①2016年調査(2017年春卒業の大学生向け採用)以降、教育実習を履修した大学生の内々定獲得時期は早期化しており、教員採用1次試験の実施される7月以前に、多くの学生が最初の内々定を獲得するようになった。②最初の内々定獲得が7月以前であることは教職志望に負の効果を与えているが、同時に進路選択における学生の選好も教職志望に影響していた(WLB、女性の活躍、職場の雰囲気の良さを重視する学生は、教職を志望しない傾向にある)。この研究成果は、日本教育社会学会第2回若手チャレンジ研究会(2023年3月21日)にて報告を行った。;(2)文書資料のデータ化作業を行い、各都道府県・政令指定都市等による教員採用選考試験の実施時期の県市別データを作成した。;研究計画においては、(1)大学生の就職活動時期に関する調査データ、(2)教員採用選考試験の実施時期に関するデータの二つを用いて分析を行う予定であった。以上のうち(1)については上述したように分析を進め、研究成果の一部の発表も行うことができた。(2)のデータ作成も順調に進み、完成させることができた。2023年度は(2)の分析も進める計画である。;当初の研究計画においては、上記の(1)大学生の就職活動時期に関する調査データと(2)教員採用選考試験の実施時期に関するデータを紐づけた統合データセットを分析し、研究を進める予定であった。実際に統合データセットを作成し分析を試みたが、調査設計の問題で(1)と(2)を厳密に対応させることができないという課題が生じたため、当初の分析の計画を変更することにした。具体的には、(2)のデータに教員採用選考試験の受験者数や採用辞退者数のデータを紐づけることで、実施時期の変化と受験者数や採用辞退者数の変化の関係を検証することを計画している。
23H00883, 近現代日本の支配構造の社会階層形成史的解明:世襲と再生産に着目して, 本研究課題では、近現代日本の支配構造における世襲と再生産は、特殊日本的なものなのか、それとも特殊近代的なものなのか、あるいは、世界史として一般性をもって説明できる事例なのかを明らかにする。この問いへの検討を通じて、近現代日本における支配構造を社会学と政治学の両者が交叉する歴史的地平において明らかにすることが本研究の目的である。特に、支配構造の特質として、世襲と再生産に着目し、ここから近現代日本の支配構造および階層構造を明らかにすることが本研究の目的である。
24K16616, 高度経済成長期における教員採用制度の構造変容に関する実証的研究, 本研究の目的は、1960年代から1970年代にかけて、戦後日本の教員採用制度における中央政府-地方自治体のパワーバランスの変容がいかにして生じたのかを明らかにすることである。具体的には、(1)1960年代初頭において、地方自治体がなぜ教員採用を政策課題として認識するに至ったのか、(2)1960年代前半において、中央政府がなぜ教員採用を政策課題として認識するに至ったのか、(3)教員採用行政をめぐる地方自治体間及び中央政府-地方自治体間の関係において、いかなる相互作用が起こっていたのか、を文部省・各種審議会・地方自治体等の歴史資料の収集に基づく教育政策過程の分析から明らかにする。
24K00374, 1960年代の教育・労働裁判が教育政策に与えた影響に関する実証的研究, 本研究では、1960年代に起きた労働裁判と教育裁判について、日本教職員組合や日教組弁護団が関わった一連の裁判運動がいかなる情勢分析の結果、路線選択されたのかを明らかにする。その際、日教組が所蔵する非公開史料や当事者へのヒアリング、当事者が所蔵する私文書を活用する。;1960年代の裁判運動の結果、教員の労働環境や教師の教育の自由に関しての法制定や判例が出され、現在の教員を取り巻く状況に功罪両面で大きな影響を与えることになった。教育・労働裁判に関わった多様なアクターの動きや裁判運動の路線選択を整理することで、脱政治化したといわれる1960年代の教育政治の在り様を精緻に描いていく。
24K00370, パネルデータを活用した「エビデンスに基づく学校改善」パッケージの開発と実装, 本研究は、これまでの研究で蓄積した知見を活かして簡易的調査票を開発し、これを活用したサーベイフィードバックによって教育委員会・学校単位の組織開発を支援するものである。;まず第一段階では、これまで複数地域で蓄積してきたパネルデータの分析を発展させ、教員の心身の健康や職能成長に資する学校組織やリーダーシップのあり方について実践的な知見を提示する。;そして第二段階では、第一段階で整理・提示した知見を活用して、簡易的調査票を活用した「エビデンスに基づく学校改善」の実践を展開する。これによって、個別学校単位で導入・持続が可能なサーベイフィードバックのパッケージを提示する。
23K25580, 近現代日本の支配構造の社会階層形成史的解明:世襲と再生産に着目して, 本研究課題では、日本の近代化と経済発展および社会の階層移動と階層形成を世襲・再生産の視点から検討しなおす。この作業を通じて、現代日本社会における職業構造・階層構造がどのような形で形成されているかについて、より解像度を高めた把握を行う。これは、日本社会の構造の基礎的な把握となるとともに、グローバル化していく世界のなかで、日本社会がどのような形で豊かな社会として持続可能なのかについて考察する上での基本情報を提供していくこととなる。