卒業論文, 2019
哲学演習, 2020, 【本授業は、主にZoom を利用した双方向型授業として実施します】|一般に、近代以降の倫理学においては、「人々の行為が道徳的かどうかに関する評価は、当人の意志した行為に限られ、運に左右されてはならない」とみなされてきました。しかし、私たちの意志や状況も様々な外的要因に影響されているなら、道徳は運の問題と無縁ではありえません。私たちは倫理的なあり方と運の関係をどのように考えたらいいのでしょうか。|本演習では、哲学史的な観点からこの問いに取り組む古田徹也『不道徳的倫理学講義—人生にとって運とは何か』の講読を通じて、受講者と一緒に道徳・倫理と運の関係について考えたいと思います。その際、近代哲学(デカルトやパスカルやスピノザ)のテキストにも随時立ち返って議論することを試みます。
西洋哲学史IIA, 2020, 【本授業は、主にPowerPoint を利用した遠隔授業として実施します】|コロナウィルスの感染拡大を受けて、自由を奪われた状況を多くの人が生きています。この不自由な状況の中で、自由について考えてみることは大きな意義をもつと思います。|香港のデモに代表されるような自由を求める闘いは、現代でも世界各地で起こっています。日本に住んでいると自由であることが当たり前のように感じられたり、自由であるがゆえに逆に悩んだり迷ったりすることもあるかもしれません。しかし、私たちは実際、どの程度自由であり、私たちの自由はどこまで尊重されるべきものなのでしょうか? | 例えば、未知のウィルスに感染した疑いがある人の移動の自由は、制限されてよいものなのでしょうか? 表現の自由はどこまで認められるべきなのでしょうか? 自由という価値は、他の様々な価値(伝統的な価値観や宗教的な価値観)よりも常に優先されるべきものなのでしょうか?| 本講義では、自由をめぐる西洋の近現代哲学史(ロック、モンテスキュー、ルソー、ヒューム、カント、J・S・ミル、バーリン、ロールズ、ヤング等)を学ぶことで、このような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
西洋哲学史IIB, 2020, 【本授業は、主にPowerPointのスライドショー機能 を利用したオンデマンド型の遠隔授業として実施します】|様々な文化が交錯する現代において、自分とは異なる習慣を認めたり尊重したりすることが必要である一方で、他人や自分自身の悪しき習慣(性差別的な習慣や人種差別的な習慣)に敏感であったり、場合によってはそれを批判したりすることも必要になります。|他人や自分に根づいた習慣を尊重したり、批判したりするためには、習慣とはそもそもいかなるものかを考える必要があります。 | どこからどこまでを習慣と言えるのか? 習慣とは自分で変えられるものなのか? 習慣の多様性は、どこまで尊重され、どこからは許容されえないのか?| 本講義では、習慣をめぐる西洋の近現代哲学史(モンテーニュ、パスカル、ヒューム、デューイ、メーヌ・ド・ビラン、ラヴェッソン、ブルデュー等)を学ぶことで、このような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
応用倫理学A, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用した遠隔授業として実施します】|「応用倫理学」は、現に問題となっている事柄や、これから直面することになる倫理的難問を、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、実社会で問題となっている具体的な問題を取り上げ、教科書『フェミニスト現象学入門』の読解をもとに、そうした考え方の前提に立ち戻って考えることを試みます。|具体的には、(1)フェミニズム(2)性的マイノリティ、(3)障碍、(4)容姿差別をめぐる問題をとりあげ、それぞれ以下のような問いについて考える予定です。 | (1)「女らしさ」・「男らしさ」って何なのか? | (2)自分が女性/男性で異性愛者だとなぜ言えるのか?| (3)「生まれてよい命」とは? 新型出生前診断は障碍者差別を助長する?| (4)「人は見た目が9割」??| こうした問題について、広く流布している通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
応用倫理学B, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用したオンデマンド型の遠隔授業として実施します】(ゲスト講師の回や映像資料の回では、Zoom録画の視聴を用います)|「応用倫理学」は、現に問題となっている事柄や、これから直面することになる倫理的難問を、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、実社会で問題となりつつある具体的な問題を取り上げ、代表的な考え方を紹介したうえで、そうした考え方の前提に立ち戻って検討することを試みます。|具体的には、(1)難民の受け入れ、(2)報道倫理、(3)食物倫理、(4)温暖化などの環境問題をとりあげ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)難民:難民をどの程度受け入れるべきか? *国内で難民支援に携わるゲスト講師登壇予定| (2)報道倫理:「真実」なんてない?| (3)食物倫理:何を食べるかは好き嫌いだけの問題ではない?| (4)環境問題:自分たちと将来の世代のために何をすべきか?| こうした問題について、講義ではグループディスカッションなどを通じて受講者が自分の考えとは反対の立場の意見を正しく理解し、広く流布した通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
基礎演習IIA, 2020, 【本授業は、主にZoom を利用した双方向型授業として実施します】|現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平明な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第1部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。第1部では、女らしさ/男らしさ、妊娠、 月経、外見、セクハラ、一人暮らしを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
基礎演習II, 2020, -
基礎演習IIB, 2020, 【本授業は、主にZoom を利用した双方向型授業として実施します】|現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平明な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第2部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。|第2部では、セクシュアリティ(同性愛・異性愛)、性別違和とトランスジェンダー、 男らしさ、人種、障害、老いを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
哲学特殊講義IIIA, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用した遠隔授業として実施します】|現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、私たちの日常的経験に立ち戻り、私たちが「普通」や「あたり前」とみなしがちな事柄を記述し、問い直してきました。本講義では、教科書『現実を解きほぐすための哲学』の読解をもとに、【1】性差と【2】人種について、私たちが「普通」だとみなしやすい事柄を再考することを試みます。より具体的には、以下の主題を扱う予定です。| 【1】性差をめぐって| (1)「男女を見分ける」とは?| (2)「女らしさ」を問い直す| (3)「男らしさ」を問い直す| (4)セクシュアリティを問い直す:異性愛、同性愛| (5)性自認を問い直す:自分の性的身体の捉え方(シスジェンダー、トランスジェンダー)|| 【2】人種をめぐって| (1)人種は存在しない?| (2)相手を「特定の人種として見る」とは?:「黒人」/「白人」として見ることの違い| (3)自分が「特定の人種として見られる」とは?:「ハーフ」/「黄色人」として見られること| (4)外見に基づかない「人種差別」:アジア系ハーフや在日コリアン||こうした主題に関して、受講者自身が自らの体験や他人の体験に即して具体的な事柄を自分自身で分析する力を養うことを目指します。
哲学特殊講義IIIB, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用したオンデマンド型の遠隔授業として実施します】(Zoom録画による回もあります)| 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、私たちの日常的経験に立ち戻り、私たちが「普通」や「あたり前」とみなしがちな事柄を記述し、問い直してきました。本講義では、まず現象学についての基本的な分析方法を紹介した後、【1】家族(親子・きょうだい・ペット)と【2】「他者」について、私たちが「普通」だとみなしやすい事柄を再考することを通じて、それらに係わる「自己」のあり方を問い直すことを試みます。| 【1】家族の現象学| (1)親にとって子どもとは?:子どもの虐待と私物化| (2)大人と子どもの境目とは?:少年法改正をめぐって| (3)きょうだい:きょうだい間の比較やトラブル| (4)ペット:家族と所有物の境目|| 【2】「他者」と「自己」の現象学| (1)他人に対する責任:自分がしたわけではないことの責任を負うべきなのか?| (2)国内の他者への依存と責任:沖縄の基地問題| (3)国外から来た他者への依存と責任:移民への依存と責任、難民受け入れの責任| (4)国外の他者への依存と責任:グローバル企業||こうした主題に関して、受講者自身が自らの体験に即して具体的な事柄を自分自身で分析する力を養うことを目指します。
哲学演習, 2021, 一般に、近代以降の倫理学においては、功利主義や義務論といった倫理学理論が行為の正しさを議論する際に必要だと考えられてきました。しかし、近代の幕開けにおいて、モンテーニュ(1533-1592)は倫理学理論とは異なる仕方で、人々の生き方や倫理をめぐる問いを「エッセイ」という形で思考しようと試みています。| 本演習では、モンテーニュの『エセー』で扱われる諸問題(幸福、生き方、価値の多様性、残酷さ)に接近するために、現代において、こうした思考を引き継ぎ、従来の道徳哲学を批判的に乗り越えようとしたバーナード・ウィリアムズ『生き方について哲学は何が言えるか』とあわせて読むことで、倫理をめぐる哲学的思考について受講生と一緒に考えることを目指します。
西洋哲学史IIA, 2021, 私たちは日々、喜びや悲しみ、愛や妬み、怒りや嫌悪感等、様々な感情を抱いて生きています。それぞれの感情をどのように捉えるか、生じた感情にどう向き合うか、他人にどのような感情を抱くのが望ましいされるか、といったことについては、西洋哲学のなかで長く議論されてきました。哲学史を学ぶことは、自分や他人がいかに感情を抱き、それをどのように捉えるかについての枠組みや前提を理解し直すことにつながるでしょう。| 本講義では、感情をめぐる西洋の近現代哲学史(デカルト、ヒューム、ルソー、アダム=スミス、ニーチェ、キング牧師、ヌスバウムらの女性の哲学者たち等)を学ぶことで、以下のような一連の問いについて受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。|・行為を決めるのは感情か理性か?|・感情は合理的なのか?|・共感は道徳に必要か?|・なぜ恐怖・羞恥・妬みは共感を阻むのか?|・愛すること・共感することとはいかなることか?|・女性が「感情的」と差別されてきたのはなぜか?
西洋哲学史IIB, 2021, 私たちは日々、言葉を用いて考えたり、記録したり、他人とコミュニケーションをとっています。言語と思考とはどのような関係にあるのか、他人との会話において私たちは何をなしているのかといったことについては、西洋哲学のなかで長く議論されてきました。哲学史を学ぶことは、言葉が思考を促すこともあれば逆に阻んでしまうこともあるのはなぜか、言葉がなぜ人を励ましたり、傷つけたりしうるのかについて、私たちがもっている枠組みや前提を理解し直すことにつながるでしょう。| 本講義では、言語および言語行為をめぐる西洋の近現代哲学史(ホッブズ、アルノー、ルソー、ヘルダー、ミル、ウィトゲンシュタイン、オースティン、ファノン、エメ・セゼール、チョムスキー、アンスコム、マリ・マツダおよび関連する思想家たち)を学ぶことで、言語について私たちがもっている枠組や前提について、受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
応用倫理学A, 2021, 応用倫理学は、現に問題となっている事柄について、議論の前提に立ち戻りながら、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、(1)性差別、(2)人種差別、(3)報道倫理、(4)ケア(育児・介護)をとりあげ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)性差別:フェミニズムは誰のため?| (2)人種差別:日本に人種差別なんて存在しない?| (3)報道倫理:マスコミは「偏向」している? *ゲスト講師(新聞記者)登壇予定| (4)ケア(育児・介護):ケアは誰が担うべきか?家族?移民?それとも…| こうした問題について、講義では代表的な議論を紹介したうえで、そうした議論の前提をなす考えに立ち戻って検討することを試みます。また、小レポートの相互採点・ディスカッションなどを通じて受講者が自分の考えとは反対の立場の意見を正しく理解し、広く流布した通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
応用倫理学B, 2021, 応用倫理学は、社会で現に問題となっている事柄について、議論の前提に立ち戻りながら、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、(1)性的マイノリティ、(2)障がい、(3)表現の自由と規制、(4)難民と移民をとりあげ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)性的マイノリティ:「多様性」(ダイバーシティ)の尊重とは?| (2)障がい:「健常者」はどこがずれているのか?| (3)表現の自由と規制:どこまでが「表現の自由」? | (4)難民と移民:どれほど受け入れるべきか? *ゲスト講師登壇予定| こうした問題について、講義では代表的な議論を紹介したうえで、そうした議論の前提をなす考えに立ち戻って検討することを試みます。また、小レポートの相互採点・ディスカッションなどを通じて受講者が自分の考えとは反対の立場の意見を正しく理解し、広く流布した通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
基礎演習IIA, 2021, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第1部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 第1部では、女らしさ/男らしさ、妊娠、 月経、外見、セクハラ、一人暮らしを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
基礎演習II, 2021, 前期の内容については、(基礎演習ⅡA 渋谷 小手川正二郎 金曜4限)を参照してください。後期の内容については、(基礎演習ⅡB 渋谷 小手川正二郎 金曜4限)を参照してください。
基礎演習IIB, 2021, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第2部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 第2部では、セクシュアリティ(同性愛・異性愛)、性別違和とトランスジェンダー、 男らしさ、人種、障害、老いを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
哲学特殊講義IIIA, 2021, 性差(ジェンダー)に関して、私たちはどのように哲学的に考えることができるのでしょうか? 近年、フェミニズム関連の書籍がこれまでにない売り上げを見せている一方で、フェミニズムに対して「過激」「攻撃的」といったイメージを抱く人も少なくありません。哲学においても、理性や客観性を重視してきた伝統的な哲学に対して、フェミニズムの側から男性中心的であるという批判が投げかけられてきました。| 本講義では、性にまつわる差別や抑圧をなくす政治運動としてのフェミニズムと、特定の政治的立場を前提としないとされる哲学の間で、いかなる関係や接合が可能かを受講者と一緒に考えてみたいと思います。授業では、「フェミニズムの哲学」をめぐる様々な立場を紹介すると共に、受講生が自身の性差、性的身体、男らしさ/女らしさといったジェンダー規範、セックスやポルノグラフィといった性に係わる事柄を、自分の頭で考えることを目指します。最終的には、性をめぐって異なる立場に立つ人たちの間で、実りある議論をしていくためにどうしたらいいのかを考えていけたらと思います。
哲学特殊講義IIIB, 2021, 哲学や倫理学は、客観的な根拠や理性的な推論に基づく論証を通じて議論すると考えられてきました。しかし、哲学者も倫理学者も古来から、様々な文学作品を用いて思考したり、逆に作家が文学作品を通して哲学的・倫理的な思考を提示したりすることも稀ではありません。| 本講義では、たんなる例として文学作品を用いるのではなく、文学作品(の読解)を通して哲学的・倫理的思考を試みてきた哲学者たちを取り上げて、文学と哲学の接点や、文学(の読解や解釈)を通した哲学の可能性について、受講者と一緒に考えてみたいと思います。具体的には、文学とのつながりが深い実存主義哲学(サルトル、カミュ、メルロ=ポンティ、ボーヴォワール)や、分析哲学の伝統に属する女性哲学者たち(マードック、ヌスバウム、ダイアモンド、クラリー)による文学を通した哲学的思考について取り上げる予定です。また、日本の作家(大岡昇平、川上未映子、宇佐美りん等)の作品も取り上げて、そこからいかなる思考が可能かを受講生と一緒に考えてみたいと思います。| 最終的には、受講生が、自分が読んだ文学作品からいかなる哲学的・倫理的思考が可能かを、自分で考えて発表できるようになることを目指します。
基礎演習IIA, 2022, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、事物の知覚に始まり、「~することには価値がある/ない」といった価値判断、「~は美しい/美しくない」といった美的判断等に関して、私たちの日常的経験に立ち戻って分析するものです。本演習では、平明な文章で書かれた『ワードマップ現代現象学』を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身近な現象や社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。授業では、経験、志向性、存在、価値、芸術、社会、人生の意味などを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
基礎演習IIB, 2022, 「フェミニスト現象学」は、性に関する私たちの日常的経験に立ち戻り、「普通」とされている事柄を問い直していく試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門』を用いてフェミニスト現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な性差別・社会問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 具体的には、女らしさ/男らしさ、妊娠、 月経、外見、セクハラ、一人暮らし、セクシュアリティ、性別違和、 人種、障害、老いを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
西洋哲学史IIA, 2022, コロナ禍で生活するなかで、外出時にマスクをすることは多くの人の習慣となりました。私たちは状況に応じて、日々習慣を獲得したり、逆にこれまでの習慣を変容させたりしています。そうした習慣の一部は、私たちの性格特性(優しさ、誠実さ、我慢強さといった徳)を形づくると考えられます。では、いかにして習慣は身につけられ、性格となるまで根づいていくのでしょうか。また、知らぬ間に身につけてしまった悪しき習慣(性差別的な偏見や人種差別的な偏見)は、いかにして変容させうるのでしょうか。| 本講義では、習慣や徳について考えてきた近現代の西洋の哲学者たちの議論を追うことで、習慣や性格についての私たちの考えの前提を問い直し、上記のようなような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
西洋哲学史IIB, 2022, 古来より西洋哲学は、時代や場所に左右されない「普遍的なもの」を思考することを試みてきました。近代の哲学者たちは、考える「私」が他人と取り換え不可能な個人であることから出発しつつも、人間に普遍的な認識や価値を追求しました。しかし、20世紀に入ると、主として白人男性たちによって営まれてきた西洋哲学が、西洋中心主義や人種差別的・性差別的バイアスを孕んできたことが指摘されてきます。こうした西洋哲学の枠組みのなかで、特定の時代状況に左右される個々人は、いかにして普遍的なものを思考できるのでしょうか?| 本講義では、個と普遍をめぐる西洋の近現代哲学史を学ぶことで、「個人」や「普遍」について私たちがもっている思考の枠組や前提について、受講者が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
哲学演習, 2022, デカルト(1596-1650)が「私は考える、ゆえに私は存在する」ということを哲学の第一原理とみなしたことはよく知られています。思考する「私」の不可疑性から出発するデカルトの議論は、彼以降の近代哲学に多大な影響を及ぼす一方で、幾多の反論にも晒されてきました。| 本演習では、斎藤慶典『デカルト――「われ思う」のは誰か』をもとに、デカルトが何を言おうとしたのか、デカルトの議論はいかなる射程を有するのかを、デカルト『省察』などにも適宜立ち戻りつつ検討します。さらに、デカルト(的な議論)に対して向けられてきた反論(オースティンやアーレント)や様々なデカルト解釈(レヴィナス)の検討を通じて、現代哲学のなかでデカルトの主張は、なおいかなる妥当性を有するかを受講者と共に考えたいと思います。|
応用倫理学A, 2022, 差別や安楽死の是非をめぐっては、議論の対立が社会を分断したり、対立する相手の一方的な糾弾へと人々を駆り立てたりすることがあります。こうした分断や糾弾に陥ることなく、異なる立場にたつ人々と生産的な議論をするためには、どうしたらいいのでしょうか。応用倫理学は、傍観者的な立場から道徳原理を現実にあてはめるのではなく、各人が問題の当事者として自分の本音に向き合ったうえで、議論の前提そのものを問い直していくことを目指します。| 本講義では、(1)差別(性差別・人種差別・ルッキズム)、(2)障害、(3)報道倫理、(4)安楽死を取り上げ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)差別:差別と区別は何が違う? 外見で区別することはどこから差別になるのか?| (2)障害:当事者とは誰か? *ドキュメンタリー映画『僕とオトウト』の上映と監督の登壇予定| (3)報道倫理:マスコミは「偏向」している? *ゲスト講師(新聞記者)登壇予定| (4)安楽死:安楽死を選ぶ権利は認められるべきか?|
応用倫理学B, 2022, 性的マイノリティや難民・移民の処遇をめぐっては、議論の対立が社会を分断したり、対立する相手の一方的な糾弾へと人々を駆り立てたりすることがあります。こうした分断や糾弾に陥ることなく、異なる立場にたつ人々と生産的な議論をするためには、どうしたらいいのでしょうか。応用倫理学は、傍観者的な立場から倫理学的な原理を現実にあてはめるのではなく、各人が問題の当事者として自分の本音に向き合ったうえで、議論の前提そのものを問い直していくことを目指します。| 本講義では、(1)性的マイノリティ、(2)難民、(3)移民、(4)動物の権利を取り上げ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)性的マイノリティ:同性婚はなぜ必要? トランスジェンダーのアスリートや俳優の活躍の場とは?| (2)難民:なぜ日本の難民認定は厳しいのか? *ゲスト講師(難民支援の現場で働かれている方)登壇予定| (3)移民:移民の参政権は認められるべき? | (4)動物の権利:動物実験や肉食はどこまで許される?| (5)死刑:「最も重い刑罰」とは?
哲学特殊講義IIIA, 2022, 性差(ジェンダー)に関して、私たちはどのように哲学的に考えることができるのでしょうか? 近年、フェミニズム関連の書籍がこれまでにない売り上げを見せている一方で、フェミニズムに対して「過激」「攻撃的」といったイメージを抱く人も少なくありません。哲学においても、理性や客観性を重視してきた伝統的な哲学に対して、フェミニズムの側から男性中心的であるという批判が投げかけられてきました。| 本講義では、ボーヴォワールをはじめとする国内外の哲学者たちによるフェミニスト哲学を取り上げ、白人男性を中心に営まれてきた従来の哲学では「哲学的問題」とはみなされてこなかった様々な主題(男らしさ/女らしさ、異性愛/同性愛、性自認、月経、妊娠・出産、ポルノグラフィ、子育てや介護、人種と植民地主義)について受講生と一緒に考えることを試みます。そしてフェミニスト哲学が、従来の哲学の前提や偏りを問い直し、哲学のあり方そのものを変革するポテンシャルを秘めていることを示せたらと思います。|
哲学特殊講義IIIB, 2022, 現代は、家族のあり方が揺れている時代だと言われます。晩婚化や少子化、不妊治療・代理出産・新型出生前診断等の技術の介入、子どもへの虐待などが取り沙汰される一方で、同性婚や同性カップルによる家族の多様なあり方が注目を浴びつつあります。| 本講義では、親子や家族の関係を哲学および倫理学的な観点から考察することで、次のような問題について、受講者と一緒に考えていきたいと思います。|(1)子どもを生み落とすことは親のエゴか?(反出生主義)|(2)子どもを生むことで親たちはどのような義務を負うことになるのか?|(3)母親と父親は何が違うのか?|(4)生みの親が育ての親でもあるべきか?(養親や里親の問題)|(5)なぜ家族に子育てや介護が課されるのか?|(6)きょうだいの世話は誰がすべき?|(7)ペットは家族か所有物か?
哲学演習, 2023
応用倫理学A, 2023
応用倫理学B, 2023
基礎演習IIA, 2023
基礎演習IIB, 2023
西洋哲学史IIA, 2023
西洋哲学史IIB, 2023
哲学特殊講義IIIA, 2023
哲学特殊講義IIIB, 2023
哲学演習, 2023, スピノザ(1632-1677)はデカルトの哲学の解釈から出発し、『エチカ』に結実する独自の哲学を展開しました。自由意志や理性による感情の制御を否定する彼の思想は、彼以降の近現代哲学に多大な影響を及ぼす一方で、幾多の反論にも晒されてきました。| 本演習では、初学者向けに書かれた上野修『スピノザの世界』をもとに、スピノザが凝縮された文章を通して何を言おうとしたのか、スピノザの議論はいかなる射程を有するのかを、『エチカ』をはじめとしたスピノザの著作抜粋などにも随時立ち戻りつつ検討します。さらに、スピノザ哲学の遺産を継承した現代の哲学者たち(ドゥルーズ、ジュディス・バトラー、ネグリなど)やその批判者たち(レヴィナスなど)の議論を検討することを通じて、現代の哲学・倫理学・政治哲学のなかでスピノザの主張は、なおいかなる妥当性を有するかを受講者と共に考えたいと思います。
応用倫理学A, 2023, 何を差別とみなすかや身体の売買の是非をめぐっては、議論の対立が社会を分断したり、対立する相手の一方的な糾弾へと人々を駆り立てたりすることがあります。応用倫理学はこうした分断や糾弾に陥らずに、各人が問題の当事者として自分の本音に向き合ったうえで、議論の前提そのものを問い直していくことを目指します。| 本講義では、(1)差別(性差別・人種差別・ルッキズム)、(2)身体の売買(セックスワーク・臓器移植・代理母)、(3)障害、(4)動物倫理(食肉・動物実験・動物園)を取り上げ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)差別:差別と区別の違いとは? ルッキズムは差別なのか?| (2)身体の売買:自分の身体を売ることの何が問題なのか?| (3)障害:障害者と「共に生きる」こととは? ※ゲスト講師登壇予定| (4)動物倫理:動物をいかに扱うべきなのか?| それぞれの問題について、受講者が自分とは異なる立場の主張を理解し、それを踏まえたうえで自分の考えを掘り下げることを目指します。
応用倫理学B, 2023, 性的マイノリティや外国人の処遇に関しては、しばしば意見の対立・衝突が見られます。また、祖先がなした行為(戦争犯罪)の責任を私たちが負うべきか、逆に、これから生まれてくる未来世代に対して私たちはいかなる責任を負うべきか、についても意見が分かれます。さらに、こうした問いには、どのような情報に触れたり、自ら発信したりするかというメディアの問題も係わってきます。| 本講義では、(1)LGBTQ等の性的マイノリティ、(2)難民や移民として日本に入国した外国人、(3)新聞やテレビやSNSなどのメディア、(4)過去や未来の世代の人々を取り上げ、以下のような問いについて考えます。| (1)性的マイノリティ:同性婚はなぜ必要?「トランスジェンダー問題」とは何か?| (2)外国人| 難民:なぜ日本の難民認定は厳しいのか? ※ゲスト講師登壇予定| 移民:移民の権利はどこまで認められるべき?| (3)メディア:新聞やテレビは「偏向」している? SNSはどこまで規制されるべき? ※ゲスト講師登壇予定| (4)世代間倫理:過去や未来の人々に対する責任をいかに・どの程度負うべきか?| それぞれの問題について、受講者が自分とは異なる立場の主張を理解し、それを踏まえたうえで自分の考えを掘り下げることを目指します。
基礎演習IIA, 2023, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』の第1部を主に用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 前期は女らしさ/男らしさ、月経、セクハラ、セクシュアリティ(異性愛・同性愛・アセクシュアル)、性別違和(シスジェンダー・トランスジェンダー)を扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
基礎演習IIB, 2023, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第2部を中心に現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 第2部では、アイデンティティ、交差性(インターセクショナリティ)、外見(ルッキズム)、人種、一人暮らし・ステイホーム、障害、老い、妊娠、ケアを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
西洋哲学史IIA, 2023, 人は誰もが自分のことを「私」と呼び、「自我」をもち、自らの利益や関心を中心として考えたり行動したりしがちであるとされています。こうした自我の捉え方は、近代の西洋哲学の出発点とみなされてきました。しかし、「私」とは、「自我」とはそもそも何なのでしょうか? エゴイズムはどこまで許容され、どこからが行き過ぎとみなされるのでしょうか?| 本講義では、近現代の西洋の哲学者たちの議論を追うことで、自我やエゴイズムについての私たちの考えの前提を問い直し、上記のようなような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
西洋哲学史IIB, 2023, 私たちは様々な他者と多様な関係のもとで生きています――身近な家族や友人、見知らぬ他人、自分とは異なる性や人種に属するとされる人々、人間以外の様々な動物…等々。私たちは自分とは異なる身体・性・認識・価値観・生活形態をもつ者たちが何を考え、何を欲しているのかをいかにして把握しているのでしょうか。多様な他者と共生するために、何が――理解か、共感か、寛容か、承認か、それとも?――必要なのでしょうか。| 本講義では、近現代の西洋の哲学者たち(デカルト、アダム・スミス、ヘーゲル、ハイデガー、レヴィナス、ボーヴォワール、オースティン、カヴェル、ダイアモンドなど)の議論を学ぶことで、他者との関係をめぐる私たちの考えの前提を問い直し、上記のようなような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
哲学特殊講義IIIA, 2023, 私たちは自分や他人の身体に多様な仕方で係わり、様々な感情を抱くことがあります。例えば、自分の身体を見られて恥ずかしく感じたり、他人の身体を見て憧れや劣等感を抱いたりします。他人の身体に触れて親密さを感じる時もあれば、自分の身体を無断で触られることに怒りや恐怖を感じたりする時もあります。人は自分や他人の身体をどのようなもの(自己そのもの、目的を達成する手段)として受け止めているのでしょうか。身体をどのように扱う/扱われる時にいかなる感情を抱くのでしょうか。ジェンダーや人種はそこにどのような影を落としているのでしょうか。| 本講義では、身体と感情について考えた様々な哲学者(サルトル、メルロ=ポンティ、ボーヴォワール、レヴィナス、ヌスバウム、ヤング等)の思考も手がかりに、身体と感情をめぐる様々な問題について受講者と一緒に考えることを目指します。具体的には、身体を次のような軸で考えながら、そこで問題となる感情について分析していきます。|(1)見る/見られる:妬みと恥|(2)働きかける/動かされる:共感と緊張|(3)触れる/触れられる:親密さと恐れ|(4)感じる/苦しむ:快感と苦痛|(5)できるようになる/できなくなる:自信と失望|(6)傷つく/回復する:悲しみと癒し| こうした角度から性差や人種や老若などと共に見られ、扱われる身体について、ルッキズムや人種差別、性的物化や他者の偶像(アイドル)化といった具体的な問題についても考えていけたらと思います。
哲学特殊講義IIIB, 2023, 子どもを生みだすことは親のエゴか? 血のつながりは重要なのか?(多様な家族のあり方とは?) 自分の子どもを優先することはどこまで許されるべきか? 親による子どもの「私物化」とは? ペットは家族か? | こうした問いについて、古来より哲学や文学作品などで描かれてきました。本講義では、親子や家族をめぐる問いを提起した哲学者(プラトン、レヴィナス、リッチなど)や作家(川上未映子、宇佐見りんなど)や映画監督(是枝裕和など)を手がかりにしつつ、先の一連の問いを受講者と一緒に考えることを試みます。最終的には、受講者が自分で何か一つの作品(哲学書でも文学作品でも映像作品でも可)を探してきて、そこから家族や親子について思考することを目指します。