K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

小手川 正二郎
文学部 哲学科
教授
Last Updated :2024/04/12

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    小手川 正二郎, コテガワ ショウジロウ

所属・職名

  • 文学部 哲学科, 教授

学位

  • 2012年11月, 博士(哲学), 慶應義塾大学, 甲第3759号

本学就任年月日

  • 2014年04月01日

研究分野

  • フランス近現代哲学、現象学

研究活動

論文

  • 「フェミニズムの哲学」が可能だとしたら、それはどのようにしてか?, 小手川正二郎, 哲学の探求, 48, 2, 22, 2021年05月01日, 哲学若手研究者フォーラム
  • 難民の哲学―定義や条文解釈をめぐる議論に何が欠けているのか, 小手川正二郎, 難民研究ジャーナル, 10, 74, 87, 2021年03月01日, 難民研究フォーラム
  • 人種の現象学――人種化する経験と人種化される経験から人種差別を考える, 小手川正二郎, 國學院雑誌, 121, 8, 1, 2020年08月01日, 國學院大学
  • 反出生主義における現実の難しさからの逸れ――反出生主義の三つの症候, 小手川正二郎, 現代思想, 47, 14, 179, 188, 2019年11月01日, 青土社
  • 「人格と真理――レヴィナス『全体性と無限』の理性論」, 博士学位請求論文, 2012年11月07日,  本論は、慶應義塾大学に提出された博士論文であり、現代フランスの哲学者レヴィナスの第一の主著『全体性と無限』(1961年)を、人格論・理性論・真理論という観点から体系的に理解することを試みたものである。しばしばユダヤ的思想家とみなされてきたレヴィナスの中心課題を、本論は「自我が他人を理解する」という事態と捉え、彼の議論を三つの観点から哲学的に吟味した。人格論は「人格」として現れる〈他人〉と自我の関係を、理性論は自我が他人を「理解する」とはいかなることなのかを、真理論は「自我の知の在り方が他人によって問い直される」という事態から真理概念を捉え直すレヴィナスの議論の正当性を論じた。
  • 「顔と偶像――レヴィナスにおける哲学と芸術(序論)――」, 『フランス哲学・思想研究』, 第13号, 108, 117, 2008年01月01日, 日仏哲学会
  • 「偶因的表現と無意義性――『論理学研究』における〈私〉をめぐる一考察――」, 『現象学年報』, 第25号, 79, 88, 2009年01月01日, 日本現象学会
  • L’intériorité et la choséité du sujet : le cartésianisme lévinassien, 『フランス哲学思想研究』, 第15号, 113, 122, 2010年01月01日, 日仏哲学会
  • 「理性と意志――レヴィナスの意志論」, 『哲学』, 第62号, 221, 236, 2011年01月01日, 日本哲学会, 『全体性と無限』第三部の意志論・理性論の構造を、発展史的観点から読解し、「自分が知りえなかったもの」を他人に教わるという「教え」の議論を哲学的に論究したもの。
  • 「〈存在の彼方〉の痕跡――レヴィナス哲学におけるプロティノスの「痕跡」」, 『新プラトン主義研究』, 第11号, 125, 136, 2012年01月01日, 新プラトン主義協会,  本論は、現代の哲学者レヴィナスが「存在の彼方」という新プラトン主義の問題系を独自の仕方で継承していたことに光をあてる思想史的研究であると同時に、彼によるプロティノスの「痕跡」概念再解釈の意義を解明する哲学的研究でもある。
  • 「〈他人〉との対話と〈他者〉への愛――レヴィナス『全体性と無限』における「エロスの現象学」の位置づけ」, 『フランス哲学・思想研究』, 第17号, 133, 141, 2012年01月02日, 日仏哲学会, レヴィナスの主著『全体性と無限』第四部の「エロスの現象学」を諸批判から擁護し、「現われざるものの現象学」という従来の解釈とは異なる形で、その哲学的意義を論じたもの。
  • 「真理と実在――フッサールとレヴィナスの真理概念(二)」, 『現象学年報』, 第28号, 121, 129, 2012年01月03日, 日本現象学会, フッサールの真理論とレヴィナスの真理論を、実在についての両者の見方(レヴィナスによるフッサールの「ドクサ的定立」の解釈および深化)という観点から論じたもの。
  • 「レヴィナスの「知覚の現象学」――『全体性と無限』におけるメルロ=ポンティとの対話」, 『メルロ=ポンティ研究』, 第17号, 66, 77, 2013年01月01日, メルロ=ポンティサークル
  • 「他人を「理解」すること――レヴィナスの理性論序説」, 『人文』, 第12号, 25, 39, 2014年01月01日, 学習院大学, 「他人を理解する」とは、どのようなことか。自分の理解の枠組みに他人を切り縮めることなく、いかにして他人を理解することができるのか。本論文は、フランスの哲学者レヴィナスの特異な理性概念に着目して、彼が主著『全体性と無限』(1961年)で「他人を理解すること」をどのような事態として捉えるに至ったかを考察・吟味したものである。
  • 「レヴィナスにおける他人(autrui)と〈他者〉(l’Autre)――『全体性と無限』による「暴力と形而上学」への応答」, 『哲学』, 第65号, 2014年04月01日, 日本哲学会
  • 「いかにして「自己の内なる良心」に目覚めるのか――」, 『ハイデガーフォーラム』(電子ジャーナル), 第8号, 2014年04月02日, ハイデガーフォーラム
  • 「レヴィナス『全体性と無限』における現象学的方法と存在論的言語――「転回」解釈への一批判――」, 『現象学年報』, 2014年04月03日, 日本現象学会
  • 「レヴィナスにおける還元の問い」, 『フッサール研究』(平成19年科学研究費補助金(基盤研究B)「いのち・からだ・こころ」をめぐる現代的問題への応用現象学からの貢献の試み(課題番号18320003)資料集), 第6号, 239, 250, 2008年01月01日
  • Epoché and Teleology : The Idea of Philosophy as ‘Infinite Task’ in Husserl, 慶應義塾大学グローバルCOE成果報告書, vol. 1, 2008年01月02日
  • 「真理と知――フッサールとレヴィナスの真理概念」, 『フッサール研究』(電子ジャーナル), 第9号, 71, 84, 2011年01月01日, フッサール研究会
  • Comment la subjectivité découvre-t-elle la quotidienneté ou l’universalité ? La question du « tiers » chez Levinas, Cahier de CEM, n° 6, 58, 69, 2013年01月01日, Centre d’études multiculturelles de la maison du Japon
  • 「第三者は他人の眼を通じて私を見つめる」――レヴィナスのいう「第三者」とは誰なのか, フランス哲学・思想研究, 19, 2014年01月01日
  • 恥の現象学――サルトルとウィリアムズを手がかりに, 國學院雑誌 , 115(12) , 2014年01月01日
  • « Le tiers me regarde dans les yeux d’autrui » : qui est le « tiers » d’E. Levinas ?, Revue internationale Michel Henry , 6, 2015年01月01日, Presses universitaires de Louvain
  • レヴィナスは「他者への暴力」を批判したのか――レヴィナスにおける「倫理」の意味――, 倫理学年報, 64, 2015年01月01日, 日本倫理学会
  • 「責任を負うこと」と「責任を感じること」――レヴィナスの責任論の意義, 國學院大學紀要, 54, 2015年01月01日, 國學院大學
  • 「女性的な」身体性と「男性的な」身体性――メルロ=ポンティとレヴィナスからフェミニスト現象学を再考する, メルロ=ポンティ研究, 20, 2016年01月01日, メルロ=ポンティサークル, 従来の現象学的分析では光があてられてこなかった女性の身体的経験(月経、妊娠、出産、乳房のある身体)に着目し、従来の分析に潜んでいた男性バイアスや健常者中心の見方を露わにするフェミニスト現象学は、現象学の方法論的枠組みや諸概念の妥当性自体を問い直す可能性を秘めている。本論では、メルロ=ポンティ、レヴィナス、ヤングの分析を手掛かりに、フェミニスト現象学の根幹に関わる一連の問い、すなわち(1)フェミニスト現象学の記述はいかなる妥当性を有するのか、(2)フェミニスト現象学の出発点として有効な身体論はどのようなものか、(3)フェミニスト現象学は、「男性的な」身体性を論じることはできるのかを検討・考察した。

Misc

  • エドワード・S・ケイシー、小手川正二郎訳、「境界線と境界地帯――環境のうちへ切り込む――」, 『現代思想 総特集メルロ=ポンティ』, 322, 346, 2008年12月12日, 青土社
  • ジャン=ミシェル・サランスキ、小手川正二郎訳、「レヴィナスに対する諸反論について」, 『現代思想 総特集レヴィナス』, 2012年02月14日, 青土社
  • 書評:「伊原木大祐『レヴィナス 犠牲の身体』」, 『フランス哲学・思想研究』, 124, 129, 2011年01月01日, 日仏哲学会
  • 書評:「ハイデッガー二次文献(仏語)」, ハイデガー研究会編『科学と技術への問い』, 2012年08月01日, 理想社
  • Recension de Daïsuké IBARAGI, Levinas : le corps du sacrifice, in: Cahier d’études lévinassiennes n° 11, Jérusalem: Institut d’études lévinassiennes, 217, 219, 2012年01月01日
  • 書評:村上靖彦『レヴィナス――壊れものとしての人間』, 『フランス哲学・思想研究』, 2013年01月01日, 日仏哲学会
  • 評伝レヴィナス――生と痕跡, 2016年01月01日, 慶應義塾大学出版会, ユダヤ教の中に一つの哲学的洞察を認め、自らそれを生きた哲学者レヴィナス。レヴィナスを一つの結節点とする知的ネットワーク、20世紀ヨーロッパ・ユダヤ精神史を描く、レヴィナス評伝の決定版。

著書等出版物

  • 現実を解きほぐすための哲学, 小手川正二郎, トランスビュー, 2020年03月25日, 性差、人種、親子、難民、動物の命について―― いま、世界には社会の分断を生む問題が山積している。 こうした問題についての議論は、往々にして、それぞれの立場から非難の応酬になりがちだ。 では、意見の異なる人と対話し、世の中をより良くしていくためには、何が必要なのだろうか? 著者は、一人ひとりが「自分の頭で考える」こと、そして「かわるまでわかる」ことが大切だと説く。 網の目のように複雑にからまった現実を、どのように解きほぐすことができるのか。 それぞれの問題について、丁寧な思考の歩みを示していく。 哲学は、偉大な学者の言葉や思想をありがたがることではなく、現実に向き合うことから始まる。 本当の意味で考えるための入門となる一冊。
  • 甦るレヴィナス――『全体性と無限』読解, 小手川正二郎, 水声社, 2015年03月01日, 『全体性と無限』がもつ真の革新性を救い出す―これまで顧みられなかった理性論という観点から『全体性と無限』がもつ独自性に光をあて、主体論においてハイデガーと対峙し、いまなお影響力をもつデリダ的読解を糺す。“生きている”レヴィナス哲学を甦らせる変革の書。
  • フェミニスト現象学入門——経験から「普通」を問い直す, 小手川正二郎, ナカニシヤ出版, 2020年06月01日
  • 『顔とその彼方――レヴィナス『全体性と無限』のプリズム』, 知泉書館, 2014年02月01日
  • 続・ハイデガー読本, 法政大学出版局, 2016年01月01日
  • 終わりなきデリダ, 法政大学出版局, 2016年01月01日

講演・発表

  • Prayer and Scepticism: Levinas’ Rationalism, Nordic Society for Phenomenology, 2008年04月01日, Vytautas Magnus University, Kaunas, Lithuania
  • Epoché and Teleology : The Idea of Philosophy as ‘Infinite Task’ in Husserl, The XXII World Congress of Philosophy, 2008年07月01日, Seoul University, Seoul, South Korea
  • La prière et le scepticisme : le rationalisme de Levinas, The Tentative Program of Special Session by Ph.D Students, 2008年07月01日, Keio University, Mita, Tokyo
  • La violence et la force du langage dans la philosophie de Levinas, Colloque internationale sur l’oeuvre d’Emmanuel Levinas. , 2010年07月01日, Lecture de Difficile liberté, Toulouse University, France
  • Sensation and Subjectivity : Husserl, Merleau-Ponty and Levinas, The 4th Symposia Phaenomenologica Asiatica (Sensibility and Transcendence from Husserl to Merleau-Ponty), 2010年08月01日
  • Realism and Reason in Totality and Infinity, NALS, 2011年05月01日, Texas A&M university, USA
  • Levinas vis-à-vis de l’histoire: sur le rapport entre la réalité et l’histoire dans Totalité et Infini, Colloque « Levinas et histoire », 2011年07月01日, Fondation de Treilles, France
  • Truth and Subjectivity : the Notion of Being in Husserl and Levinas, The 5th Symposia Phaenomenologica Asiatica, 2011年08月01日
  • L’être et la vérité: pourquoi est-ce mal s’il n’y a que l’être ?, Colloque international pour commémorer le 50e anniversaire de Totalité et Infini d’Emmanuel Levinas, 2011年11月01日, Meiji University, Tokyo
  • Comment la subjectivité découvre-t-elle la quotidienneté ou l’universalité ?, La question du « tiers » chez Levinas, la séance du Centre d'Études Multiculturelles (CEM), 2012年04月28日, La maison du Japon à la cité universitaire de Paris, Paris
  • « Le tiers me regarde dans les yeux d’autrui » : qui est le « tiers » chez Emmanuel Levinas ?, ASPLF, 2013年04月01日
  • 「レヴィナスにおける還元の問い」, フッサール研究会, 2007年03月01日, 関西大学飛鳥文化研究所
  • 「顔と偶像――レヴィナスにおける哲学と芸術――」, フランス哲学セミナー, 2007年06月01日, 東京大学
  • 「他者と偶像――レヴィナスにおける哲学と芸術(序論)――」, 日仏哲学会, 2007年09月01日, 学習院大学
  • 「エポケーと目的論――フッサールにおける「無限の課題」としての哲学の理念――」, 日本現象学会, 2007年11月01日, 大阪大学
  • 「内面性と誤謬――レヴィナスの合理主義と〈内面性の神話〉をめぐって――」, 若手哲学研究者フォーラム, 2008年07月01日, 国立オリンピック記念青少年総合センター
  • 「祈りの真摯さ――レヴィナスの合理主義――」, 日仏哲学会, 2008年09月01日, 東京大学
  • 「偶因的表現と無意義性――『論理学研究』における〈私〉をめぐる一考察――」, 日本現象学会, 2008年11月01日, 専修大学
  • Sur la conférence de M. Rogozinski, J. Rogozinski教授講演会(三田哲学会主催), 2008年11月01日, 慶應義塾大学
  • 「真理と知――フッサールとレヴィナスにおける真理概念――」, フッサール研究会, 2010年03月01日, 関西大学飛鳥文化研究所
  • 「理性と意志――レヴィナスとアウグスティヌス――」, 日本哲学会, 2010年05月01日, 大分大学
  • 「意志と作品――レヴィナスとヘーゲル――」, 日仏哲学会, 2010年09月11日
  • 「存在と痕跡――プロティノスとレヴィナスの言語論をめぐって――」, 新プラトン主義協会, 2010年09月25日, 鹿児島
  • 「真理と実在――フッサールとレヴィナスにおける真理概念(II)」, 第33回日本現象学会個人研究発表, 2011年11月01日, 立命館大学
  • 「〈他人〉との対話と〈他者〉への愛――『全体性と無限』における「エロスの現象学」の位置づけ、第33回日本現象学会ワークショップ「レヴィナス『全体性と無限』とエロスの現象学――『全体性と無限』刊行50周年を記念して」, 2011年11月01日, 立命館大学
  • 「他人と〈他者〉――レヴィナスと分析哲学における他人論」, UTCPワークショップ「レヴィナスを開く:研究の現在とこれから」, 2011年11月01日, 東京大学駒場キャンパス
  • 「レヴィナスの知覚の現象学」, シンポジウム「レヴィナスとメルロ=ポンティ――実現しなかった対話を考える」提題, 2012年09月29日, 東京電機大学
  • 「他人を「理解」すること――レヴィナスの〈他人〉論」, 三田哲学会, 2012年10月27日, 慶應義塾大学
  • 「存在だけしかないことがなぜ悪いのか――レヴィナスによる『存在と時間』の真理論との対決」, ハイデガー研究会, 2013年02月17日, 法政大学
  • 「レヴィナスは「他者への暴力」を批判したのか――『全体性と無限』による「暴力と形而上学」への応答(2)」, 哲学倫理学セミナー, 2013年02月23日, 文京区民センター
  • 「レヴィナスにおける他人(autrui)と〈他者〉(l’Autre)――『全体性と無限』による「暴力と形而上学」への応答」, 日本哲学会, 2013年05月12日, お茶の水女子大学
  • 「人格と理性――レヴィナスの人間主義」, 日本哲学会公募ワークショップ「「理性をもつ動物」とは誰か?――人格概念への現象学的アプローチ」提題, 2013年05月12日, お茶の水女子大学
  • 「いかにして自己の内なる良心に目覚めるのか――ハイデガーのカント解釈の射程と問題」, ハイデガーフォーラム, 2013年09月22日, 関西大学
  • 「レヴィナスにおける「倫理」の意味――レヴィナスは「他者への暴力」を批判したのか」, 日本倫理学会, 2013年10月06日, 愛媛大学
  • 「レヴィナス『全体性と無限』における現象学的方法と存在論的言語――「転回」解釈への一批判――」, 日本現象学会, 2013年11月10日, 名古屋大学

その他

  • 「震災が哲学に問うていること。哲学が震災について問いうること」, 『三色旗』, 第764号, 慶應義塾大学, 2011年01月01日, 19, 23, 本論は、東日本大震災を人間の生の問題として考察する特集「哲学が日本社会について語ること」に寄せられたものである。時事的性格が強い論考ではあるが、過去の思想に依拠することなく、「哲学がなしえないこと」・「震災について何をどのように語るか」・「冷静さと冷ややかさ」という三つの事柄について筆者自身の言葉で論じた。
  • 「新しくレヴィナスを読むために 研究・文献ガイド」(「哲学」の項), 『現代思想 総特集レヴィナス』, 3月臨時増刊号, 青土社, 2012年02月14日, 338, 342
  • 「レヴィナスの思想は「他者」論なのか」(「研究手帖」), 『現代思想』, 2012年5月号, 青土社, 2012年05月01日, 254, 254
  • 日本現象学会ワークショップ報告文「レヴィナス『全体性と無限』とエロスの現象学――『全体性と無限』刊行五〇周年を記念して」, 『現象学年報』, 第28号, 日本現象学会, 2012年01月01日, 63, 69

競争的資金

  • 17H06346, 顔と身体表現の比較現象学, 本研究は「トランスカルチャー状況下における顔身体学の構築:多文化をつなぐ顔と身体表現」という新学術領域研究における計画研究「顔と身体表現の比較現象学」を担当した。顔や身体表現を文化差や通文化性、あるいは異文化理解の観点から学際的に調査し、新たな学問領域として立ち上げる哲学的・理論的な基礎づけを行なった。本計画班が中心となり、「顔身体学」の理論基盤を体系化するための『顔身体ハンドブック』(東大出版会)を出版し、Philosophy and Cultural Embodimentという国際機関紙を発行した。身体性に関する研究倫理基準を作り、顔身体カフェというアウトリーチ活動も積極的に行なった。;本研究は、顔身体学の基礎を担う理論的研究として新領域の構築に貢献し、領域全体の導入に役立つ『顔身体学ハンドブック』、超領域的な研究論文を掲載するための国際雑誌Philosophy and Cultural Embodimentを刊行した。また身体性についての研究倫理の基準と教育プログラムを作成した。その結果として、最終評価として本新領域はA+の評価を獲得した。本計画班は、哲学と倫理学においては、スポーツと対話場面に間身体的コミュニケーションを独自開発したアプリケーションを使ったデジタル人文学的研究、および、身体性をめぐる偏見や差別を現象学的に考察した研究を学会発表や書籍、論文として公開した。
  • 16H03346, 北欧現象学者との共同研究に基づく人間の傷つきやすさと有限性の現象学的研究, 本研究は、北欧現象学者との共同研究に基づき、人間の傷つきやすさと有限性に着目して、誕生、老い、病い、死、障がい、痛み、性とジェンダーといった具体的な問題を現象学的に考察することを目指した。毎年、北欧の現象学者と共同研究を行い、北欧現象学会に2-3人の発表者を派遣し、2018年北京での世界哲学会でも二つのラウンドテーブルで研究発表・学術交流を行った。また、国内の研究会も通算10回の開催となり、それぞれの研究成果についてお互いに意見交換をすることができ、それをもとに研究成果報告書(非公開)を作成し、それにより近い将来に研究成果をまとめた書物を刊行するための交渉を出版社と始めることができた。;本研究成果は、医学モデルでも社会モデルでもこぼれ落ちてしまう人間の傷つきやすさと有限性の現象を当事者の視点から現象学的に考察することで、医学や社会学では見逃されていた事象を明らかにするという学術的な意義をもっている。それはひいては、超高齢社会、少子化、男女共同参画といった現代社会の諸問題を当事者視点から解明することで、社会的な解決のための議論に貢献することが期待できる。
  • 16H03338, 哲学分野における男女共同参画と若手研究者育成に関する理論・実践的研究, 本研究は,日本哲学会男女共同参画・若手研究者支援ワーキンググループが中心となり,哲学分野における男女共同参画推進と若手研究者支援に関する理論的考察を深化させると共に,大規模アンケート調査を複数回実施することによって得られた根拠事実の精査・公表を踏まえ,学術としての哲学が健全に継承されるために必要なジェンダー平等推進と若手研究者育成を支える基盤を理論・調査・実践の三方向から構築した.また日本哲学会大会におけるワークショップの継続的展開,北海道哲学会,東北哲学会,関西哲学会,西日本哲学会,科学哲学会との共催ワークショップの初の開催,さらに英国哲学会との協力関係の構築等々を通して議論の場を拡充した.;男女共同参画推進と若手研究者支援を巡る諸問題を哲学的知見から学術的に基礎付けると共に,大規模アンケート調査を複数回実施し,そのデータ分析に基づく事実認識を広く共有するための実践的諸活動を内外の関連諸学会との協力体制を構築しつつ幅広く展開しえたことは,本邦の哲学領域における研究教育の健全なる発展にとって有益であったと思われる.また本研究活動が一つの契機となり,人文社会科学系学協会男女共同参画推進連絡会(通称「GEAHSS:ギース」)が正式に発足したことも,人文社会科学に内在する固有の諸問題を解決するための連携体制への貢献という意味において,本研究の重要な成果の一つといえるだろう.
  • 26770013, フランス現象学の新局面とその展開可能性, 本研究は、20世紀後半にフランスで生じた現象学的哲学、とりわけ「神学的転回」以後の現象学の諸潮流に注目し、その哲学的意義を再評価することを目的とするものであった。フランスの現象学の多様な分析がどれほど具体的な事態に迫っているかを検討することで、現象学の思想史的研究に寄与すると共に、抽象的な思弁に陥りやすいフランス現象学の具体的な展開可能性を明らかにすることを試みた。より具体的には、レヴィナスの後期哲学を主たる手掛かりとして、性差、家族、責任という三つの主題に関して、現代の倫理学や政治哲学との連関や相違を示すことができた。
  • 19KK0003, 子育ての現象学:フィンランド・ネウボラをフィールドに, フィンランドの先進的な子育て支援施設「ネウボラ」では、出産前から親の経済的状況や労働環境、パートナー間の人間関係や周囲との人間関係について、妊婦や父親となる男性との対話や相談が行なわれ、それによって、支援者が一方的に子育てについての知識を教えるのではなく、妊婦やパートナー自身が、自分たちの置かれた環境に沿って自分たちの子育ての認識や知が育まれている。本研究は、現象学の方法を用いて、「ネウボラ」において形成・再形成される親の子育て経験を当事者の視点から解明するものである。;本研究は、日本の現象学研究者がフィンランドの現象学研究者とともにフィンランドのネウボラ(出産・子育て支援センター)のフィールド調査を行い、子育て(child care)の哲学的問題を国際共同研究として現象学的に考察することを目指した。ところが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により渡航・調査を断念せざるをえない状況が続き、やむなく研究期間を1年間延長した。最終年度内に渡航することに最後の望みを賭けつつ、共同研究の比重を文献調査へと移し、論文集『子育ての現象学』の発行を目指した。2023年3月中旬に最後のチャンスと渡航・調査を決行し、4月28日発行の同書にその調査報告も収録することができた。;本研究成果は、福祉や保健の問題として第三者的視点から論じられることが多い子育ての問題を当事者の視点から現象学的に考察することで、これまで見逃されていた事象を明らかにするという学術的意味をもっている。それはひいては、現代日本社会において細かい制度や財政の問題として論じられがちな子育て支援のもつ哲学的問題を明らかにすることに貢献することなる。百年に一度の世界的パンデミックのなか、本研究は当初の計画通りには進まず予定変更をせざるを得なかったが、小規模なものとなったもののフィールド調査もすることができ、論文集を研究報告書として編むことができ、将来へ続くための足がかりとなるものを残すことができた。
  • 19K12931, レヴィナスの性差・家族の現象学, レヴィナスの哲学的議論を現象学的伝統および同時代の文脈の中で正確に理解し直し、従来は切り離して論じられがちだった性差論と家族論の結びつきを詳らかにする。;そうして取り出されたレヴィナスの性差論をフェミニスト現象学の文脈において再評価し、男性的・女性的身体性の現象学的分析につなげる。家族論の方は現代の家族論、とりわけ英米圏において議論されている家族倫理学と比較検討し、家族関係の現象学的分析を試みる。;レヴィナスの現象学的哲学の企図を、現象学的倫理(第一哲学としての倫理)という観点からの「哲学」と「倫理学」の抜本的な変革の試みとして包括的な観点から捉え直し、東京都立大学哲学会シンポジウム「今なぜ現象学なのか」において「現象学とイデアリスム――レヴィナスの現象学的倫理」というタイトルで7月に発表した。当日の議論の内容などを取り入れ、発表を活字化したものを同じタイトルで東京都立大学哲学会『哲学誌』に掲載した。;また、「現れること」と倫理との関係をデカルト、マードック、斎藤慶典といった哲学者の思考を手がかりに包括的な観点から再考し、ジェンダーや人種といった視点の重要性についても取り入れたうえで「他者とともに見る」ことの可能性を探り、「現れを迎え入れるという倫理」というタイトルで、荒畑靖宏・吉川孝編著『あらわれを哲学する――存在から政治まで』という論集に掲載した。;以上の研究を通じてレヴィナスの哲学を現象学および現象学的倫理学という観点から捉え直す基本的な枠組みを構築することに成功した。レヴィナスの性差の現象学および家族の現象学についても、レヴィナス哲学の内在的観点からの検討と共に、その内容に即した具体的かつ応用倫理学的観点からの検討を進めた。このようにして、現象学的倫理の枠組みの中でレヴィナスの性差の哲学と家族の哲学を、従来の規範倫理学やメタ倫理学の前提を問い直す試みとして再評価するための準備作業を終えられた。;当初はレヴィナスの性差の現象学と家族の現象学をより包括的な観点から再評価し、その成果を国内・国際学会で発表する予定であったが新型コロナウィルスの感染状況に起因する海外渡航の困難さから国際学会で発表することが叶わなかった。また、国内の関連分野の研究者との意見交換も同様の理由で思うように進まなかった。;研究期間を延長し、レヴィナスの性差の現象学と家族の現象学をより包括的な観点から再評価し、その成果を国内・国際学会で発表することを試みる。また、諸学会に対面で参加することにより、国内の関連分野の研究者との意見交換もはかり、成果としてまとめていく予定である。
  • 19K00040, レヴィナス哲学の総合的再検討と国際的研究基盤の構築, 本研究は、エマニュエル・レヴィナスの哲学の総合的再検討と国際的研究基盤の構築を目指す。日本では、レヴィナスの著作はほぼ全て邦訳され、専門研究も数多く出版されている。しかし『レヴィナス著作集』等の新資料の公刊、フランスのSIRELや英語圏のLevinas Studiesといった国際的研究組織の展開、隣接分野からの参照増加状況を鑑みれば、基盤研究を更新し国際化することが求められる。本研究は、若手研究者中心に構成する「レヴィナス協会」の活動をもとに新たな基盤研究の構築を試みる。最終的には『レヴィナス読本』(仮称)のような形で、哲学・倫理学はもとより隣接分野の研究にも資する最新研究情報の整理を試みる。;本研究は、フランスの哲学者エマニュエル・レヴィナスの哲学を新資料の調査や分析を通じて総合的に再検討するとともに、その知見を広く世界に発信していくための国際的な研究基盤の構築を目的としたものである。研究成果については、2019年に東京および京都で開催した国際シンポジウム「個と普遍 エマニュエル・レヴィナスと極東の思考」や、レヴィナス協会主催の年次大会を通じて公表した。3年間の事業期間を通して、哲学や倫理学のみならず、隣接する諸分野の研究にも貢献しうる研究成果を達成することができた。;日本のレヴィナス研究は1980年代から盛んになり、現在ではその著作のほぼすべてが邦訳されるだけでなく、専門研究や一般書も数多く出版されており、研究状況においても一般的認知においても、すでに一定の水準が達成されている。しかし、近年の新資料の公刊や、欧米圏での国際的な研究展開、さらには隣接分野からの参照の増加といった状況下で、新たな基盤的研究の構築および学際的な研究組織の形成の必要性はむしろ強まっている。本研究は、若手研究者から構成されるレヴィナス協会を中心に、レヴィナス研究を学術的に刷新すると同時に、国内外への成果公表を通じて、研究の社会的還元の面でも大きな意義をもつものである。
  • 22K00039, 哲学史的連関におけるレヴィナス哲学とその現代的意義の研究, 本研究は、日本の若手のレヴィナス哲学研究者からなるレヴィナス協会を拠点とし、主に(A)レヴィナス哲学の現代社会における意味づけ、(B)レヴィナス哲学の哲学史における位置づけの両面に関し、日本独自の水準で研究し、世界に多言語で発信することを目的とする。;その際、仏、英米、独語圏のレヴィナス研究諸学協会と提携することで、(A’) レヴィナス哲学が特定の文化の制約を超えて意義を持つこと、(B’) 哲学史の新たな解釈を開く可能性を持っていることを示す。最終的には、『続・レヴィナス読本』(仮)の形で、レヴィナス研究の集大成を発表することを目標とする。;本研究課題は、研究代表者の産前産後の休暇・育児休業の取得に伴い、2022年8月11日から2024年3月31日まで研究を中断している。2022年度の研究期間は4月から8月までの4ヶ月であったが、以下に示す一定の成果を挙げることができた。;まず、『レヴィナス読本』を出版することができた。本書は、研究代表者・分担者が所属するレヴィナス協会が編集主体となり執筆を進めてきた。本書所収の論考のうち、本研究課題に関わる内容は、特に第Ⅳ部「開かれるレヴィナス」に集中的にまとめられている。そのうち、哲学史的な連関に関する成果としては、古代から近代の哲学史、倫理学、現象学、フランス思想、ユダヤ思想、キリスト教などとの関連が簡潔に明らかにされた。現代的意義については、教育、政治学、社会科学、ポストコロニアリズム、フェミニズム、生殖論、福祉、医療、芸術/音楽との関連からその見取り図が示された。本書は主に初学者向けに執筆されたが、本書出版により、レヴィナス哲学の哲学史的連関や現代的意義についての研究の基盤を構築することができた。;上記の現代的意義に関わる領域のうち、特に教育との関連においては、第五回レヴィナス協会大会シンポジウム「教育と対話 レヴィナスとローゼンツヴァイクから出発して」において、研究分担者2名による発表がなされた。また、ジャンケレヴィッチとの関連や、経験概念の変容についての成果発表が招待講演として行われた(後者については国際学会での発表である)。さらに、近年の日本語による優れたレヴィナス研究に関する書評などを『レヴィナス研究』(4号)に複数掲載した。;本研究課題は、研究代表者の産前産後の休暇・育児休業の取得に伴い、2022年8月11日から2024年3月31日まで研究を中断しており、2022年度の実質の研究期間は4月から8月までの4ヶ月であった。しかし、『レヴィナス読本』において、今後の研究の基礎部分を構築でき、さらにレヴィナス哲学の教育における現代的意義関してはシンポジウムも開催できたので、概ね順調に進展している。;2024年4月1日から研究を再開する。『レヴィナス読本』所収の各論において開かれた、哲学史や現代的意義に関する領域における研究を深めつつ、新たな領域の開拓を可能な限り行う。具体的には研究分担者に加え、関連する研究者も招いたシンポジウムやワークショップ、レヴィナスを扱った著作の書評会などを積極的に開催してゆき、『レヴィナス読本』の続編となるような論集の出版を目指す。

教育活動

担当授業

  • 卒業論文, 2019
  • 哲学演習, 2020, 【本授業は、主にZoom を利用した双方向型授業として実施します】|一般に、近代以降の倫理学においては、「人々の行為が道徳的かどうかに関する評価は、当人の意志した行為に限られ、運に左右されてはならない」とみなされてきました。しかし、私たちの意志や状況も様々な外的要因に影響されているなら、道徳は運の問題と無縁ではありえません。私たちは倫理的なあり方と運の関係をどのように考えたらいいのでしょうか。|本演習では、哲学史的な観点からこの問いに取り組む古田徹也『不道徳的倫理学講義—人生にとって運とは何か』の講読を通じて、受講者と一緒に道徳・倫理と運の関係について考えたいと思います。その際、近代哲学(デカルトやパスカルやスピノザ)のテキストにも随時立ち返って議論することを試みます。
  • 西洋哲学史IIA, 2020, 【本授業は、主にPowerPoint を利用した遠隔授業として実施します】|コロナウィルスの感染拡大を受けて、自由を奪われた状況を多くの人が生きています。この不自由な状況の中で、自由について考えてみることは大きな意義をもつと思います。|香港のデモに代表されるような自由を求める闘いは、現代でも世界各地で起こっています。日本に住んでいると自由であることが当たり前のように感じられたり、自由であるがゆえに逆に悩んだり迷ったりすることもあるかもしれません。しかし、私たちは実際、どの程度自由であり、私たちの自由はどこまで尊重されるべきものなのでしょうか? | 例えば、未知のウィルスに感染した疑いがある人の移動の自由は、制限されてよいものなのでしょうか? 表現の自由はどこまで認められるべきなのでしょうか? 自由という価値は、他の様々な価値(伝統的な価値観や宗教的な価値観)よりも常に優先されるべきものなのでしょうか?| 本講義では、自由をめぐる西洋の近現代哲学史(ロック、モンテスキュー、ルソー、ヒューム、カント、J・S・ミル、バーリン、ロールズ、ヤング等)を学ぶことで、このような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
  • 西洋哲学史IIB, 2020, 【本授業は、主にPowerPointのスライドショー機能 を利用したオンデマンド型の遠隔授業として実施します】|様々な文化が交錯する現代において、自分とは異なる習慣を認めたり尊重したりすることが必要である一方で、他人や自分自身の悪しき習慣(性差別的な習慣や人種差別的な習慣)に敏感であったり、場合によってはそれを批判したりすることも必要になります。|他人や自分に根づいた習慣を尊重したり、批判したりするためには、習慣とはそもそもいかなるものかを考える必要があります。 | どこからどこまでを習慣と言えるのか? 習慣とは自分で変えられるものなのか? 習慣の多様性は、どこまで尊重され、どこからは許容されえないのか?| 本講義では、習慣をめぐる西洋の近現代哲学史(モンテーニュ、パスカル、ヒューム、デューイ、メーヌ・ド・ビラン、ラヴェッソン、ブルデュー等)を学ぶことで、このような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
  • 応用倫理学A, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用した遠隔授業として実施します】|「応用倫理学」は、現に問題となっている事柄や、これから直面することになる倫理的難問を、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、実社会で問題となっている具体的な問題を取り上げ、教科書『フェミニスト現象学入門』の読解をもとに、そうした考え方の前提に立ち戻って考えることを試みます。|具体的には、(1)フェミニズム(2)性的マイノリティ、(3)障碍、(4)容姿差別をめぐる問題をとりあげ、それぞれ以下のような問いについて考える予定です。 | (1)「女らしさ」・「男らしさ」って何なのか? | (2)自分が女性/男性で異性愛者だとなぜ言えるのか?| (3)「生まれてよい命」とは? 新型出生前診断は障碍者差別を助長する?| (4)「人は見た目が9割」??| こうした問題について、広く流布している通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
  • 応用倫理学B, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用したオンデマンド型の遠隔授業として実施します】(ゲスト講師の回や映像資料の回では、Zoom録画の視聴を用います)|「応用倫理学」は、現に問題となっている事柄や、これから直面することになる倫理的難問を、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、実社会で問題となりつつある具体的な問題を取り上げ、代表的な考え方を紹介したうえで、そうした考え方の前提に立ち戻って検討することを試みます。|具体的には、(1)難民の受け入れ、(2)報道倫理、(3)食物倫理、(4)温暖化などの環境問題をとりあげ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)難民:難民をどの程度受け入れるべきか? *国内で難民支援に携わるゲスト講師登壇予定| (2)報道倫理:「真実」なんてない?| (3)食物倫理:何を食べるかは好き嫌いだけの問題ではない?| (4)環境問題:自分たちと将来の世代のために何をすべきか?| こうした問題について、講義ではグループディスカッションなどを通じて受講者が自分の考えとは反対の立場の意見を正しく理解し、広く流布した通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
  • 基礎演習IIA, 2020, 【本授業は、主にZoom を利用した双方向型授業として実施します】|現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平明な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第1部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。第1部では、女らしさ/男らしさ、妊娠、 月経、外見、セクハラ、一人暮らしを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 基礎演習II, 2020, -
  • 基礎演習IIB, 2020, 【本授業は、主にZoom を利用した双方向型授業として実施します】|現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平明な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第2部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。|第2部では、セクシュアリティ(同性愛・異性愛)、性別違和とトランスジェンダー、 男らしさ、人種、障害、老いを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 哲学特殊講義IIIA, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用した遠隔授業として実施します】|現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、私たちの日常的経験に立ち戻り、私たちが「普通」や「あたり前」とみなしがちな事柄を記述し、問い直してきました。本講義では、教科書『現実を解きほぐすための哲学』の読解をもとに、【1】性差と【2】人種について、私たちが「普通」だとみなしやすい事柄を再考することを試みます。より具体的には、以下の主題を扱う予定です。| 【1】性差をめぐって|  (1)「男女を見分ける」とは?|  (2)「女らしさ」を問い直す|  (3)「男らしさ」を問い直す|  (4)セクシュアリティを問い直す:異性愛、同性愛|  (5)性自認を問い直す:自分の性的身体の捉え方(シスジェンダー、トランスジェンダー)|| 【2】人種をめぐって|  (1)人種は存在しない?|  (2)相手を「特定の人種として見る」とは?:「黒人」/「白人」として見ることの違い|  (3)自分が「特定の人種として見られる」とは?:「ハーフ」/「黄色人」として見られること|  (4)外見に基づかない「人種差別」:アジア系ハーフや在日コリアン||こうした主題に関して、受講者自身が自らの体験や他人の体験に即して具体的な事柄を自分自身で分析する力を養うことを目指します。
  • 哲学特殊講義IIIB, 2020, 【本授業は、主に講義資料を利用したオンデマンド型の遠隔授業として実施します】(Zoom録画による回もあります)| 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、私たちの日常的経験に立ち戻り、私たちが「普通」や「あたり前」とみなしがちな事柄を記述し、問い直してきました。本講義では、まず現象学についての基本的な分析方法を紹介した後、【1】家族(親子・きょうだい・ペット)と【2】「他者」について、私たちが「普通」だとみなしやすい事柄を再考することを通じて、それらに係わる「自己」のあり方を問い直すことを試みます。| 【1】家族の現象学|  (1)親にとって子どもとは?:子どもの虐待と私物化|  (2)大人と子どもの境目とは?:少年法改正をめぐって|  (3)きょうだい:きょうだい間の比較やトラブル|  (4)ペット:家族と所有物の境目|| 【2】「他者」と「自己」の現象学|  (1)他人に対する責任:自分がしたわけではないことの責任を負うべきなのか?|  (2)国内の他者への依存と責任:沖縄の基地問題|  (3)国外から来た他者への依存と責任:移民への依存と責任、難民受け入れの責任|  (4)国外の他者への依存と責任:グローバル企業||こうした主題に関して、受講者自身が自らの体験に即して具体的な事柄を自分自身で分析する力を養うことを目指します。
  • 哲学演習, 2021, 一般に、近代以降の倫理学においては、功利主義や義務論といった倫理学理論が行為の正しさを議論する際に必要だと考えられてきました。しかし、近代の幕開けにおいて、モンテーニュ(1533-1592)は倫理学理論とは異なる仕方で、人々の生き方や倫理をめぐる問いを「エッセイ」という形で思考しようと試みています。| 本演習では、モンテーニュの『エセー』で扱われる諸問題(幸福、生き方、価値の多様性、残酷さ)に接近するために、現代において、こうした思考を引き継ぎ、従来の道徳哲学を批判的に乗り越えようとしたバーナード・ウィリアムズ『生き方について哲学は何が言えるか』とあわせて読むことで、倫理をめぐる哲学的思考について受講生と一緒に考えることを目指します。
  • 西洋哲学史IIA, 2021, 私たちは日々、喜びや悲しみ、愛や妬み、怒りや嫌悪感等、様々な感情を抱いて生きています。それぞれの感情をどのように捉えるか、生じた感情にどう向き合うか、他人にどのような感情を抱くのが望ましいされるか、といったことについては、西洋哲学のなかで長く議論されてきました。哲学史を学ぶことは、自分や他人がいかに感情を抱き、それをどのように捉えるかについての枠組みや前提を理解し直すことにつながるでしょう。| 本講義では、感情をめぐる西洋の近現代哲学史(デカルト、ヒューム、ルソー、アダム=スミス、ニーチェ、キング牧師、ヌスバウムらの女性の哲学者たち等)を学ぶことで、以下のような一連の問いについて受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。|・行為を決めるのは感情か理性か?|・感情は合理的なのか?|・共感は道徳に必要か?|・なぜ恐怖・羞恥・妬みは共感を阻むのか?|・愛すること・共感することとはいかなることか?|・女性が「感情的」と差別されてきたのはなぜか?
  • 西洋哲学史IIB, 2021, 私たちは日々、言葉を用いて考えたり、記録したり、他人とコミュニケーションをとっています。言語と思考とはどのような関係にあるのか、他人との会話において私たちは何をなしているのかといったことについては、西洋哲学のなかで長く議論されてきました。哲学史を学ぶことは、言葉が思考を促すこともあれば逆に阻んでしまうこともあるのはなぜか、言葉がなぜ人を励ましたり、傷つけたりしうるのかについて、私たちがもっている枠組みや前提を理解し直すことにつながるでしょう。| 本講義では、言語および言語行為をめぐる西洋の近現代哲学史(ホッブズ、アルノー、ルソー、ヘルダー、ミル、ウィトゲンシュタイン、オースティン、ファノン、エメ・セゼール、チョムスキー、アンスコム、マリ・マツダおよび関連する思想家たち)を学ぶことで、言語について私たちがもっている枠組や前提について、受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
  • 応用倫理学A, 2021, 応用倫理学は、現に問題となっている事柄について、議論の前提に立ち戻りながら、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、(1)性差別、(2)人種差別、(3)報道倫理、(4)ケア(育児・介護)をとりあげ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)性差別:フェミニズムは誰のため?| (2)人種差別:日本に人種差別なんて存在しない?| (3)報道倫理:マスコミは「偏向」している? *ゲスト講師(新聞記者)登壇予定| (4)ケア(育児・介護):ケアは誰が担うべきか?家族?移民?それとも…| こうした問題について、講義では代表的な議論を紹介したうえで、そうした議論の前提をなす考えに立ち戻って検討することを試みます。また、小レポートの相互採点・ディスカッションなどを通じて受講者が自分の考えとは反対の立場の意見を正しく理解し、広く流布した通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
  • 応用倫理学B, 2021, 応用倫理学は、社会で現に問題となっている事柄について、議論の前提に立ち戻りながら、現実に即して具体的に考えることを目指すものです。本講義では、(1)性的マイノリティ、(2)障がい、(3)表現の自由と規制、(4)難民と移民をとりあげ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)性的マイノリティ:「多様性」(ダイバーシティ)の尊重とは?| (2)障がい:「健常者」はどこがずれているのか?| (3)表現の自由と規制:どこまでが「表現の自由」? | (4)難民と移民:どれほど受け入れるべきか? *ゲスト講師登壇予定| こうした問題について、講義では代表的な議論を紹介したうえで、そうした議論の前提をなす考えに立ち戻って検討することを試みます。また、小レポートの相互採点・ディスカッションなどを通じて受講者が自分の考えとは反対の立場の意見を正しく理解し、広く流布した通説を鵜呑みにすることなく受講者自身で考える力を養うことを目指します。
  • 基礎演習IIA, 2021, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第1部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 第1部では、女らしさ/男らしさ、妊娠、 月経、外見、セクハラ、一人暮らしを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 基礎演習II, 2021, 前期の内容については、(基礎演習ⅡA 渋谷 小手川正二郎 金曜4限)を参照してください。後期の内容については、(基礎演習ⅡB 渋谷 小手川正二郎 金曜4限)を参照してください。
  • 基礎演習IIB, 2021, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第2部を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 第2部では、セクシュアリティ(同性愛・異性愛)、性別違和とトランスジェンダー、 男らしさ、人種、障害、老いを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 哲学特殊講義IIIA, 2021, 性差(ジェンダー)に関して、私たちはどのように哲学的に考えることができるのでしょうか? 近年、フェミニズム関連の書籍がこれまでにない売り上げを見せている一方で、フェミニズムに対して「過激」「攻撃的」といったイメージを抱く人も少なくありません。哲学においても、理性や客観性を重視してきた伝統的な哲学に対して、フェミニズムの側から男性中心的であるという批判が投げかけられてきました。| 本講義では、性にまつわる差別や抑圧をなくす政治運動としてのフェミニズムと、特定の政治的立場を前提としないとされる哲学の間で、いかなる関係や接合が可能かを受講者と一緒に考えてみたいと思います。授業では、「フェミニズムの哲学」をめぐる様々な立場を紹介すると共に、受講生が自身の性差、性的身体、男らしさ/女らしさといったジェンダー規範、セックスやポルノグラフィといった性に係わる事柄を、自分の頭で考えることを目指します。最終的には、性をめぐって異なる立場に立つ人たちの間で、実りある議論をしていくためにどうしたらいいのかを考えていけたらと思います。
  • 哲学特殊講義IIIB, 2021, 哲学や倫理学は、客観的な根拠や理性的な推論に基づく論証を通じて議論すると考えられてきました。しかし、哲学者も倫理学者も古来から、様々な文学作品を用いて思考したり、逆に作家が文学作品を通して哲学的・倫理的な思考を提示したりすることも稀ではありません。| 本講義では、たんなる例として文学作品を用いるのではなく、文学作品(の読解)を通して哲学的・倫理的思考を試みてきた哲学者たちを取り上げて、文学と哲学の接点や、文学(の読解や解釈)を通した哲学の可能性について、受講者と一緒に考えてみたいと思います。具体的には、文学とのつながりが深い実存主義哲学(サルトル、カミュ、メルロ=ポンティ、ボーヴォワール)や、分析哲学の伝統に属する女性哲学者たち(マードック、ヌスバウム、ダイアモンド、クラリー)による文学を通した哲学的思考について取り上げる予定です。また、日本の作家(大岡昇平、川上未映子、宇佐美りん等)の作品も取り上げて、そこからいかなる思考が可能かを受講生と一緒に考えてみたいと思います。| 最終的には、受講生が、自分が読んだ文学作品からいかなる哲学的・倫理的思考が可能かを、自分で考えて発表できるようになることを目指します。
  • 基礎演習IIA, 2022, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、事物の知覚に始まり、「~することには価値がある/ない」といった価値判断、「~は美しい/美しくない」といった美的判断等に関して、私たちの日常的経験に立ち戻って分析するものです。本演習では、平明な文章で書かれた『ワードマップ現代現象学』を用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身近な現象や社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。授業では、経験、志向性、存在、価値、芸術、社会、人生の意味などを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 基礎演習IIB, 2022, 「フェミニスト現象学」は、性に関する私たちの日常的経験に立ち戻り、「普通」とされている事柄を問い直していく試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門』を用いてフェミニスト現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な性差別・社会問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 具体的には、女らしさ/男らしさ、妊娠、 月経、外見、セクハラ、一人暮らし、セクシュアリティ、性別違和、 人種、障害、老いを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 西洋哲学史IIA, 2022, コロナ禍で生活するなかで、外出時にマスクをすることは多くの人の習慣となりました。私たちは状況に応じて、日々習慣を獲得したり、逆にこれまでの習慣を変容させたりしています。そうした習慣の一部は、私たちの性格特性(優しさ、誠実さ、我慢強さといった徳)を形づくると考えられます。では、いかにして習慣は身につけられ、性格となるまで根づいていくのでしょうか。また、知らぬ間に身につけてしまった悪しき習慣(性差別的な偏見や人種差別的な偏見)は、いかにして変容させうるのでしょうか。| 本講義では、習慣や徳について考えてきた近現代の西洋の哲学者たちの議論を追うことで、習慣や性格についての私たちの考えの前提を問い直し、上記のようなような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
  • 西洋哲学史IIB, 2022, 古来より西洋哲学は、時代や場所に左右されない「普遍的なもの」を思考することを試みてきました。近代の哲学者たちは、考える「私」が他人と取り換え不可能な個人であることから出発しつつも、人間に普遍的な認識や価値を追求しました。しかし、20世紀に入ると、主として白人男性たちによって営まれてきた西洋哲学が、西洋中心主義や人種差別的・性差別的バイアスを孕んできたことが指摘されてきます。こうした西洋哲学の枠組みのなかで、特定の時代状況に左右される個々人は、いかにして普遍的なものを思考できるのでしょうか?| 本講義では、個と普遍をめぐる西洋の近現代哲学史を学ぶことで、「個人」や「普遍」について私たちがもっている思考の枠組や前提について、受講者が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
  • 哲学演習, 2022, デカルト(1596-1650)が「私は考える、ゆえに私は存在する」ということを哲学の第一原理とみなしたことはよく知られています。思考する「私」の不可疑性から出発するデカルトの議論は、彼以降の近代哲学に多大な影響を及ぼす一方で、幾多の反論にも晒されてきました。| 本演習では、斎藤慶典『デカルト――「われ思う」のは誰か』をもとに、デカルトが何を言おうとしたのか、デカルトの議論はいかなる射程を有するのかを、デカルト『省察』などにも適宜立ち戻りつつ検討します。さらに、デカルト(的な議論)に対して向けられてきた反論(オースティンやアーレント)や様々なデカルト解釈(レヴィナス)の検討を通じて、現代哲学のなかでデカルトの主張は、なおいかなる妥当性を有するかを受講者と共に考えたいと思います。|
  • 応用倫理学A, 2022, 差別や安楽死の是非をめぐっては、議論の対立が社会を分断したり、対立する相手の一方的な糾弾へと人々を駆り立てたりすることがあります。こうした分断や糾弾に陥ることなく、異なる立場にたつ人々と生産的な議論をするためには、どうしたらいいのでしょうか。応用倫理学は、傍観者的な立場から道徳原理を現実にあてはめるのではなく、各人が問題の当事者として自分の本音に向き合ったうえで、議論の前提そのものを問い直していくことを目指します。| 本講義では、(1)差別(性差別・人種差別・ルッキズム)、(2)障害、(3)報道倫理、(4)安楽死を取り上げ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)差別:差別と区別は何が違う? 外見で区別することはどこから差別になるのか?| (2)障害:当事者とは誰か? *ドキュメンタリー映画『僕とオトウト』の上映と監督の登壇予定| (3)報道倫理:マスコミは「偏向」している? *ゲスト講師(新聞記者)登壇予定| (4)安楽死:安楽死を選ぶ権利は認められるべきか?|
  • 応用倫理学B, 2022, 性的マイノリティや難民・移民の処遇をめぐっては、議論の対立が社会を分断したり、対立する相手の一方的な糾弾へと人々を駆り立てたりすることがあります。こうした分断や糾弾に陥ることなく、異なる立場にたつ人々と生産的な議論をするためには、どうしたらいいのでしょうか。応用倫理学は、傍観者的な立場から倫理学的な原理を現実にあてはめるのではなく、各人が問題の当事者として自分の本音に向き合ったうえで、議論の前提そのものを問い直していくことを目指します。| 本講義では、(1)性的マイノリティ、(2)難民、(3)移民、(4)動物の権利を取り上げ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)性的マイノリティ:同性婚はなぜ必要? トランスジェンダーのアスリートや俳優の活躍の場とは?| (2)難民:なぜ日本の難民認定は厳しいのか? *ゲスト講師(難民支援の現場で働かれている方)登壇予定| (3)移民:移民の参政権は認められるべき? | (4)動物の権利:動物実験や肉食はどこまで許される?| (5)死刑:「最も重い刑罰」とは?
  • 哲学特殊講義IIIA, 2022, 性差(ジェンダー)に関して、私たちはどのように哲学的に考えることができるのでしょうか? 近年、フェミニズム関連の書籍がこれまでにない売り上げを見せている一方で、フェミニズムに対して「過激」「攻撃的」といったイメージを抱く人も少なくありません。哲学においても、理性や客観性を重視してきた伝統的な哲学に対して、フェミニズムの側から男性中心的であるという批判が投げかけられてきました。| 本講義では、ボーヴォワールをはじめとする国内外の哲学者たちによるフェミニスト哲学を取り上げ、白人男性を中心に営まれてきた従来の哲学では「哲学的問題」とはみなされてこなかった様々な主題(男らしさ/女らしさ、異性愛/同性愛、性自認、月経、妊娠・出産、ポルノグラフィ、子育てや介護、人種と植民地主義)について受講生と一緒に考えることを試みます。そしてフェミニスト哲学が、従来の哲学の前提や偏りを問い直し、哲学のあり方そのものを変革するポテンシャルを秘めていることを示せたらと思います。|
  • 哲学特殊講義IIIB, 2022, 現代は、家族のあり方が揺れている時代だと言われます。晩婚化や少子化、不妊治療・代理出産・新型出生前診断等の技術の介入、子どもへの虐待などが取り沙汰される一方で、同性婚や同性カップルによる家族の多様なあり方が注目を浴びつつあります。| 本講義では、親子や家族の関係を哲学および倫理学的な観点から考察することで、次のような問題について、受講者と一緒に考えていきたいと思います。|(1)子どもを生み落とすことは親のエゴか?(反出生主義)|(2)子どもを生むことで親たちはどのような義務を負うことになるのか?|(3)母親と父親は何が違うのか?|(4)生みの親が育ての親でもあるべきか?(養親や里親の問題)|(5)なぜ家族に子育てや介護が課されるのか?|(6)きょうだいの世話は誰がすべき?|(7)ペットは家族か所有物か?
  • 哲学演習, 2023
  • 応用倫理学A, 2023
  • 応用倫理学B, 2023
  • 基礎演習IIA, 2023
  • 基礎演習IIB, 2023
  • 西洋哲学史IIA, 2023
  • 西洋哲学史IIB, 2023
  • 哲学特殊講義IIIA, 2023
  • 哲学特殊講義IIIB, 2023
  • 哲学演習, 2023, スピノザ(1632-1677)はデカルトの哲学の解釈から出発し、『エチカ』に結実する独自の哲学を展開しました。自由意志や理性による感情の制御を否定する彼の思想は、彼以降の近現代哲学に多大な影響を及ぼす一方で、幾多の反論にも晒されてきました。| 本演習では、初学者向けに書かれた上野修『スピノザの世界』をもとに、スピノザが凝縮された文章を通して何を言おうとしたのか、スピノザの議論はいかなる射程を有するのかを、『エチカ』をはじめとしたスピノザの著作抜粋などにも随時立ち戻りつつ検討します。さらに、スピノザ哲学の遺産を継承した現代の哲学者たち(ドゥルーズ、ジュディス・バトラー、ネグリなど)やその批判者たち(レヴィナスなど)の議論を検討することを通じて、現代の哲学・倫理学・政治哲学のなかでスピノザの主張は、なおいかなる妥当性を有するかを受講者と共に考えたいと思います。
  • 応用倫理学A, 2023, 何を差別とみなすかや身体の売買の是非をめぐっては、議論の対立が社会を分断したり、対立する相手の一方的な糾弾へと人々を駆り立てたりすることがあります。応用倫理学はこうした分断や糾弾に陥らずに、各人が問題の当事者として自分の本音に向き合ったうえで、議論の前提そのものを問い直していくことを目指します。| 本講義では、(1)差別(性差別・人種差別・ルッキズム)、(2)身体の売買(セックスワーク・臓器移植・代理母)、(3)障害、(4)動物倫理(食肉・動物実験・動物園)を取り上げ、それぞれ以下のような問いを考える予定です。| (1)差別:差別と区別の違いとは? ルッキズムは差別なのか?| (2)身体の売買:自分の身体を売ることの何が問題なのか?| (3)障害:障害者と「共に生きる」こととは? ※ゲスト講師登壇予定| (4)動物倫理:動物をいかに扱うべきなのか?| それぞれの問題について、受講者が自分とは異なる立場の主張を理解し、それを踏まえたうえで自分の考えを掘り下げることを目指します。
  • 応用倫理学B, 2023, 性的マイノリティや外国人の処遇に関しては、しばしば意見の対立・衝突が見られます。また、祖先がなした行為(戦争犯罪)の責任を私たちが負うべきか、逆に、これから生まれてくる未来世代に対して私たちはいかなる責任を負うべきか、についても意見が分かれます。さらに、こうした問いには、どのような情報に触れたり、自ら発信したりするかというメディアの問題も係わってきます。| 本講義では、(1)LGBTQ等の性的マイノリティ、(2)難民や移民として日本に入国した外国人、(3)新聞やテレビやSNSなどのメディア、(4)過去や未来の世代の人々を取り上げ、以下のような問いについて考えます。| (1)性的マイノリティ:同性婚はなぜ必要?「トランスジェンダー問題」とは何か?| (2)外国人|    難民:なぜ日本の難民認定は厳しいのか?  ※ゲスト講師登壇予定|    移民:移民の権利はどこまで認められるべき?| (3)メディア:新聞やテレビは「偏向」している? SNSはどこまで規制されるべき? ※ゲスト講師登壇予定| (4)世代間倫理:過去や未来の人々に対する責任をいかに・どの程度負うべきか?| それぞれの問題について、受講者が自分とは異なる立場の主張を理解し、それを踏まえたうえで自分の考えを掘り下げることを目指します。
  • 基礎演習IIA, 2023, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』の第1部を主に用いて現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 前期は女らしさ/男らしさ、月経、セクハラ、セクシュアリティ(異性愛・同性愛・アセクシュアル)、性別違和(シスジェンダー・トランスジェンダー)を扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 基礎演習IIB, 2023, 現代哲学の一潮流をなす「現象学」は、われわれの日常的経験に立ち戻って「普通」に感じられている事柄を分析してそれを問い直す試みです。本演習では、平易な文章で書かれた『フェミニスト現象学入門—経験から「普通」を問い直す』第2部を中心に現象学の基本的な分析方法を学び、それを受講者一人一人が活用して自分の身体経験や身近な事柄、社会的問題を哲学的に思考し、議論していくことを試みます。| 第2部では、アイデンティティ、交差性(インターセクショナリティ)、外見(ルッキズム)、人種、一人暮らし・ステイホーム、障害、老い、妊娠、ケアを扱い、関連する文献も読解して議論を深められたらと思います。| レポート作成を通じて、レポートの書き方なども指導していきます。
  • 西洋哲学史IIA, 2023, 人は誰もが自分のことを「私」と呼び、「自我」をもち、自らの利益や関心を中心として考えたり行動したりしがちであるとされています。こうした自我の捉え方は、近代の西洋哲学の出発点とみなされてきました。しかし、「私」とは、「自我」とはそもそも何なのでしょうか? エゴイズムはどこまで許容され、どこからが行き過ぎとみなされるのでしょうか?| 本講義では、近現代の西洋の哲学者たちの議論を追うことで、自我やエゴイズムについての私たちの考えの前提を問い直し、上記のようなような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
  • 西洋哲学史IIB, 2023, 私たちは様々な他者と多様な関係のもとで生きています――身近な家族や友人、見知らぬ他人、自分とは異なる性や人種に属するとされる人々、人間以外の様々な動物…等々。私たちは自分とは異なる身体・性・認識・価値観・生活形態をもつ者たちが何を考え、何を欲しているのかをいかにして把握しているのでしょうか。多様な他者と共生するために、何が――理解か、共感か、寛容か、承認か、それとも?――必要なのでしょうか。| 本講義では、近現代の西洋の哲学者たち(デカルト、アダム・スミス、ヘーゲル、ハイデガー、レヴィナス、ボーヴォワール、オースティン、カヴェル、ダイアモンドなど)の議論を学ぶことで、他者との関係をめぐる私たちの考えの前提を問い直し、上記のようなような一連の問いを受講者自身が「自分自身で考える」ことができるようになることを目指します。
  • 哲学特殊講義IIIA, 2023, 私たちは自分や他人の身体に多様な仕方で係わり、様々な感情を抱くことがあります。例えば、自分の身体を見られて恥ずかしく感じたり、他人の身体を見て憧れや劣等感を抱いたりします。他人の身体に触れて親密さを感じる時もあれば、自分の身体を無断で触られることに怒りや恐怖を感じたりする時もあります。人は自分や他人の身体をどのようなもの(自己そのもの、目的を達成する手段)として受け止めているのでしょうか。身体をどのように扱う/扱われる時にいかなる感情を抱くのでしょうか。ジェンダーや人種はそこにどのような影を落としているのでしょうか。| 本講義では、身体と感情について考えた様々な哲学者(サルトル、メルロ=ポンティ、ボーヴォワール、レヴィナス、ヌスバウム、ヤング等)の思考も手がかりに、身体と感情をめぐる様々な問題について受講者と一緒に考えることを目指します。具体的には、身体を次のような軸で考えながら、そこで問題となる感情について分析していきます。|(1)見る/見られる:妬みと恥|(2)働きかける/動かされる:共感と緊張|(3)触れる/触れられる:親密さと恐れ|(4)感じる/苦しむ:快感と苦痛|(5)できるようになる/できなくなる:自信と失望|(6)傷つく/回復する:悲しみと癒し| こうした角度から性差や人種や老若などと共に見られ、扱われる身体について、ルッキズムや人種差別、性的物化や他者の偶像(アイドル)化といった具体的な問題についても考えていけたらと思います。
  • 哲学特殊講義IIIB, 2023, 子どもを生みだすことは親のエゴか? 血のつながりは重要なのか?(多様な家族のあり方とは?) 自分の子どもを優先することはどこまで許されるべきか? 親による子どもの「私物化」とは? ペットは家族か? | こうした問いについて、古来より哲学や文学作品などで描かれてきました。本講義では、親子や家族をめぐる問いを提起した哲学者(プラトン、レヴィナス、リッチなど)や作家(川上未映子、宇佐見りんなど)や映画監督(是枝裕和など)を手がかりにしつつ、先の一連の問いを受講者と一緒に考えることを試みます。最終的には、受講者が自分で何か一つの作品(哲学書でも文学作品でも映像作品でも可)を探してきて、そこから家族や親子について思考することを目指します。

オフィスアワーの実施時期・曜時

  • 2018

学外活動

学協会活動

  • 日本哲学会
  • 日本現象学会
  • 日仏哲学会
  • 新プラトン主義協会
  • メルロ=ポンティサークル
  • 日本現象学会