西洋美術における死の表現と死者への追悼, 小池寿子, 臨床死生学, 26, 1, 20, 26, 2022年03月31日, 日本臨床死生学会, キリスト教中世後期における死の芸術を取り上げ、とくに死者への追悼がいかに表現されているかを論じた。
『盲者たちの舞踏』(Danse aux Aveugles)における「牛に跨る死」をめぐってー中世後期における死の受容, 小池寿子, 國學院雑誌, 第122巻, 第3号, 1, 24, 2021年03月15日, 國學院大學, 15世紀後期にフランスで現わされたピエール・ミショーによる長編詩『盲者たちの舞踏』は、それ以前の死をテーマとした文学と異なり、「ゆっくりと着実にやってくる死」の概念が登場し、それは「牛に跨る死」として擬人化されている。同文学は、「予期せぬ死」から「必ずや訪れる死」そして「日常化する死」への分岐点として位置づけられる。その表象「牛」の図像源泉については諸説あるが文学的典拠も含め未解決のままである。本稿では、図像および文学源泉について仮説を提示した。
「時論 疫病の美術史―記憶を物語る」, 小池寿子, 『建築雑誌 2021年1月号 特集13 コロナ禍の建築・都市』, 5, 6, 2020年12月20日, 日本建築学会 , コロナ感染拡大に伴い、現代人は過去を以下に学びうるかについて、とくに「救済祈願を託す疫病」「記録としての疫病」「歴史としての疫病」というカテゴリーに区分し、「歴史」という枠組みを設定することによって、疫病・禍が客体視されうる、と論じた。
ブルゴーニュ公国における「死の舞踏」の受容と表現形態, 西洋中世研究, No.8, 62, 88, 2016年12月25日, 西洋中世学会, 15世紀ブルゴーニュ公国、とくにネーデルラントにおける「死の舞踏」の受容と表現形態について論じている。とくにエスコリアル修道院図書館所蔵写本に見る「死の舞踏」図は周知されておらず、同写本の内容との比較研究によって、ネーデルラントのおける「死の舞踏」受容の側面が明らかになることを提示した。
「三人の死者と三人の生者」, 國學院大學哲学会, 2011年07月01日, 國學院大學, 13世紀から14世紀にかけて成立し、ヨーロッパ全土に流布した「三人の死者と三人の生者」絵図について、その思想的な背景と中世文化における位置づけを試みた。
生と死の邂逅―「三人の死者と三人の生者」初期作品の伝播をめぐって, 『國學院雑誌』「特集 知と美の地平」, 第111巻第11号, 103, 121, 2010年11月15日, 國學院大学, 西洋中世13世紀から14世紀に流布した図像「三人の死者と三人の生者」は、筆者の長年の研究対象であるが、本稿では、とくに1300年前後に描かれたと考えられるパリおよびロンドン写本とモン・サン・ミッシェル壁画とを比較検討することによって、同主題の生成と形成過程を明らかすることを試みた。従来、同主題はパリ写本を端緒とし、フランス壁画へと流布したとされるが、パリから北西フランスを経てのロンドンへの伝播経路、およびその途中にあるモン・サン・ミッシェル壁画からイングランド南部への伝播の実態を把握することが、当時の芸術および思想の流れの解明につながると考える。
「死の舞踏の成立と展開」, 『死生学年報 2009』, 第4巻, 2009年03月30日, 東洋英和女子学院大学
死生学研究所編, 15,16世紀に流布した「死の舞踏」の成立とその変遷を論じた。死の舞踏は本来、演劇として成立し、上演および説教のための絵解きとして流布した。それに伴い、壁画、彫刻、絵画、そして版画として制作され、造形美術の一図像として後世にまで影響を与えてゆく。長年の研究テーマである「死の舞踏」の、これまで等閑視されてきた側面に焦点を当て、演劇説を再検討した。一方、「死の舞踏」は、やがてキリスト教救済史という歴史観のもとに組み込まれていった可能性を提示した。
「ヨーロッパ美術に見る善生善死」, 『日仏医学』, Tome31,No.1,nov.,2008, 34, 41, 2008年11月15日, 日仏医学会, 2006年6月17日、日仏医学会にての講演のまとめ。ヨ-ロッパ15世紀末に流布した西洋版『往生術』ともいうべき Ars Moriendi(死のための術)をとりあげ、そこに見るキリスト教的死生観・臨終観について、同書の木版画本挿絵を含めて解読した。
「キリスト教美術に見る霊魂観-古代世界からキリスト教中世へ」, 『明治聖徳記念学会紀要』特集号, 復刊第44号, 240, 257, 2007年11月01日, 明治聖徳記念学会, 古代地中海世界から中世キリスト教世界かけての霊魂観を概観するとともに、造形芸術におけるその表現の特徴について論じた。「霊魂」という言語が古代世界とキリスト教においていかに類似し、一方、相違があるか、をまず検討。ついで、見えざるものである霊魂をいかに表現するか、という芸術上の問題について検討した。15世紀には、見えないものを見えないものとして描く稀有な「表現」が登場するに至る。11月刊行予定。
「芸術と医学の蜜月-レオノール・フィニの場合」, 『芸術の宇宙誌』, 04, 2006年04月01日, アート・フィールド, 20世紀を生きぬいた女性画家レオノール・フィニは、シュルレアリズム、イタリア形而上絵画からの影響を出発点とし、やがて衣装デザインや仮面を手がけるなど、多彩にして華麗な芸術活動を展開する。また、稀なる出生もさることながら特異な生活形式を貫き、神秘のヴェールに包まれたカリスマ芸術家とされる。彼女については従来、フェミニズムの観点から多く論じられてきたが、ここではその作品の一部が、16世紀ルネサンス期の医学書、とくに解剖学書挿絵から、影響を受けていることを指摘する。そしてそこに見る奇妙な人体表現、奇形、異形は、彼女の身体観、かつ死生観を表していると思われる。2005年10月16日群馬県立美術館(レオノール・フィニ展)で行った講演にもとずく。
「かもめ-海を越えた死の舞踏」(連載), “UP(University Press)” University of Tokyo Press, 2005年02月01日, 2003年度在外研究期間に調査した、筆者のライフワークである「死の舞踏」壁画研究の報告となる連載。1.北ドイツの死の舞踏 2.バルト海の町 タリン 3.「ダンス・マカーブル」に酔い痴れて 4.ケルナスクレダンの夏。過去20年、調査の及ばなかった北海、バルト海周辺の死の舞踏壁画を取り上げ、それらが、内陸の巡礼ルートとは異なった海のルート、とくにハンザ同盟都市間での伝播経路を示すものであると仮定した。またブルターニュのケルナスクレダンは、巡回説教師のルートに属するとして、新たな説教ルートを手繰る根拠とした。総じて、ヨーロッパ全域に伝播した死の舞踏をルート別に分類し、その図像的差異を究明しようとする論文の一部をなす。
「もぐらの祭り」, “UP(University Press)” University of Tokyo Press, 1, 8, 2004年03月01日, 15世紀ネーデルラントの修辞家アントニス・デ・ローヴェレの戯曲「もぐらの祭り」は、1466年2月26日のマレディ・グラ、すなわちカーニヴァルの最終日にブリュージュで催された「もぐらの祝祭」に想を得たといわれている。12節8行からなるこの詩は、教皇、皇帝、枢機卿、公爵ら、身分の高い者から低い者すべてが地下のもぐら王国で舞踏をし、もぐらの餌食となるという、滑稽で皮肉に満ちた内容を持つ。いわば、いかなる身分の者でも詩に行くことを謳った「死の舞踏」のパロディーである。この詩の存在は、ネーデルラントに死の舞踏が流布していたこと、さらに、死の舞踏が造形美術として表現されたばかりでなく、実際に行われた舞踏行列であったことを例証するものとなるものと考えられる。
「いま、第三の場所」, 『神奈川大学評論』, 2002年01月01日, 神奈川大学出版, フランス中央高地の中心都市クレルモンフェラン近郊の町アンヌザの教会壁面には、「三人の死者と三人の生者」図と向かい合って、最後の審判図描かれている。寄進者は一族の墓所としてこの教会を選び、自身の死の記念碑として壁画を描かせた。これら二つの図像は総じて、不可避の死、煉獄での悔い改めと試練の必要性、その度合いに応じた最後の裁きを表現している。12世紀以降、キリスト教信仰の中で定着していった煉獄(Purgatory)の思想は当時、他界よりむしろ現実世界の延長としての煉獄観の中で、死の芸術を生む温床となっていったのである。
「死者のための聖務日課」にみる死の光景(特集Iレクイエムを読む), 音楽芸術, 第56巻第10号, 35, 42, 1998年11月01日, 音楽之友社, 特集レクイエムを読む:皆川達夫、西原稔、三木稔、海老澤敏、鼎談:井上太郎、三枝成彰、曾野綾子 他, 特集「レクイエムを読む」として、ヨーロッパ中世美術における祈りと死の問題を扱った論文。キリスト教中世の祈りの書のひとつ「聖務日課書」には、「死者のための聖務日課」(Office of the Dead)という章があり、死者のために捧げられる日々の定時課の祈りの文言が記されている。この定時課の祈りにはそれぞれ挿絵が施されており、そこには死者への祈り、葬儀、埋葬などの光景が描写され、中世における葬送儀礼、死生観を知る上できわめて貴重な文字および画像資料となっている。本稿では、装飾文字R(レクイエム)とD(死者のための祈り)を取り上げて分析した。
「ヨーロッパ中世後期における腐敗表現と救済思想」, 『國學院雑誌』, 第98巻第11巻, 41, 59, 1997年11月01日, 國學院大學, 「腐敗」は古代以来、美術に表現されたことは一例をのぞいてない。腐敗はもっとも端的に死を意味するものとして、忌み嫌われ、恐怖の対象となってきたのである。しかし中世後期には、肉体の腐敗がさかんに表現されるようになる。そこには、腐敗が罪であり、それを表現することによって罪を懺悔し、自己卑下して謙遜の美徳を表明するという意図があった。このような腐敗表現のもつ宗教的意味を、ラグランジュ枢機卿の墓碑とヴェッツォラーノ教会堂壁面墓碑を例にして解明した。
「ヨーロッパ中世後期の美術にみる死者の衣服について-「三人の死者と三人の生者」におけるその意味と役割-」, 『文化女子大学紀要 服装学・生活造形学研究』, 第28集, 103, 114, 1997年01月01日, 中世の死の図像において、死者のまとう衣服の意味と機能について考察。死者は帷子のみならず、生前の社会的身分をあらわす職衣をまとって描かれているが、それは権威の象徴としての機能を有していた。また帷子の多様な襞は、肉体表現が未熟であった当時において、死後の肉体の腐敗状態を示し、肉体そのものと同等の価値をもっていたと考えられる。
「「死の舞踏」の起源と成立をめぐって」, 『民族藝術学会会報』, Vol.11, 112, 121, 1995年04月01日, 研究の主テーマである「死の舞踏」の起源と成立に関する仮説を提示した論文。同主題についてはすでに単著『死者たちの回廊-よみがえる死の舞踏』において詳述している。図像解釈,伝播過程,地域的表現の差異などについては同書で解明しているが,起源と成立,とくにDance Macabre (ダンス・マカーブル)の語源については未だ定説がない。本論文では従来の諸研究をまとめ,新たに,「死の舞踏」壁画が最初に描かれたパリ,サン=ジノサン(罪なき聖嬰児)墓地に関する考察を加えて,「死の舞踏」と復活思想の関連を論じた。
「三人の死者と三人の生者-西欧中世末期における死の図像の一類型」, 『お茶の水女子大学人文科学紀要』, 第40巻, 211, 235, 1987年03月01日, 博士課程以降の死の図像研究の一論文。ヨーロッパ中世後期に成立した死の三大テーマ中,もっとも成立の古い図像である『三人の死者と三人の生者の賦』の挿絵として13世紀末期に写本に描かれて以降,ヨーロッパ各地に流布した死者と生者3人の邂逅と対話を描いたものである。フランスなどアルプス以北とイタリアとでは図像表現および詩文の内容が異なり,いずれが先駆的作品であるかは議論の的となっている。同図像の地域的差異と起源について論述し,研究の方向性を明らかにした。
Etude sur La Descente de Croix du Musée du Prado: Reconsidération sur l'attribution et sur la datation(仏文論文) , 『日仏美術学会会報』, 第5号, 1985年12月01日, 昭和56年度修士論文「プラド美術館所蔵《十字架降下》の謎-15世紀フランドル芸術における死の流れ」に,昭和58年~59年の留学の成果を加えてまとめた論文。15世紀フランドル(ネーデルラント)美術の巨匠ロヒール・ヴァン・デル・ウェイデン画として従来認められていた板絵《十字架降下》は,下絵の分析,様式分析,当時のフランドル地方の政治・歴史的状況の考察により,ヴァン・デル・ウェンデンとその師ロベール・カンパンとの共同制作であると推察される。卒論以来のフランドル絵画研究を展開させ,共同制作の実態に関する仮説を提示。さらに博士課程以降の死の図像研究の出発点となっている。
メメントモリの森 第20回 「死の舞踏」を見る, 小池寿子, エース, 62, 1, 30, 33, 2022年01月01日, 株式会社日本リサーチセンター, 「死ってなんだろう」シリーズ第20回 「死の舞踏」の成立と意味について概説した。
解説, ジャック・ハートネル『中世の身体-生活・宗教・死』飯原裕美訳, 『中世の身体』, p399, p.402, 2022年01月11日, 青土社, Jack Hartnell, Medieval Bodies -Life,Death and Art in the Middle Ages(2018)の全訳に関する解説。
なお、本文全体の検討も行った。
死生観の美術ー禍あるいは、死を超えた生にむけて, 山本聡美X小池寿子 司会 平井倫行, 甕星 , 特別号, p.18, p.63, 2021年10月30日, 甕星(発行人 鈴木基弘 編集主幹 平井倫行), 山本聡美, 平井倫行(真鶴貴船神社言禰宜・國學院大學兼任講師、美学芸術学)総合司会による進行。日本美術史の山本聡美(早稲田大学教授、平安・鎌倉を中心とした絵巻などに観る死生観研究者と西洋美術史に観る死生観を研究テーマとする小池の対談。「死」「病」「老」「生」を次々に切り口として取り上げ、総じて美術を通じた東西の死生観について考察する内容。
「インド随想」『民藝 特集 中世基督教芸術と柳宗玄』2019年12月号, 小池寿子, 民藝 特集 中世基督教芸術と柳宗玄, 3019年12月10日, 日本民芸館 民藝 編集部
展覧会評「ルーベンス展―バロックの誕生 色彩と形態が奏でる交響曲」, 小池寿子, 朝日新聞夕刊 , 2018年11月13日, 朝日新聞社, 「ルーベンス展ーバロックの誕生 色彩と形態が奏でる交響曲」(国立西洋美術館)開催にちなんで、17世紀ネーデルラントの巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスの特質と魅力について論じた。従来、日本ではあまり好んで受容されなかったこのバロック画家は、同展覧会によって広く愛好者が生まれた。それは何より、「ヨーロッパ文化」とは何かを雄弁に物語るからに相違ない。
展覧会評「ルーヴル美術館展―記憶と記念 肖像芸術の真価」, 小池寿子, 朝日新聞夕刊, 2018年07月17日, 朝日新聞社, ルーヴル美術館展ー記憶と記念 肖像芸術の真価 (国立新美術館)開催にちなんで、肖像芸術とは何か、について古代以来の伝統を踏まえながら論じた。
展覧会評:「ブリューゲル展 画家一族150年の系譜 人間の原初 農民の姿に光を当てる」, 小池寿子, 読売新聞 , 2018年01月15日, 読売新聞, ブリューゲル展 画家一族150年の系譜 にちなみ、ピーテル・ブリューゲルの「農民」に対する視点とその関心の所在について論じた。
書評:「ネーデルラント美術の誘惑―神の光に照らし出された珠玉の世界」, 小池寿子, 『図書新聞』 , 2018年07月21日, 図書新聞, 『北方近世美術叢書』I~V(ありな書房)刊行に際して、北方ネーデルラント美術の特質とその魅力について論じた。イタリア・ルネサンスに比肩しながらも、異なる地域性と精神性を土壌に誕生した北方美術は、特に光の表現に大きな特色がある。
「アートと社会― 芸術の未来」 , 亀山郁夫・小池寿子, 『神奈川大学評論 特集 アートと社会』, 91号 , p.5, p.35, 2018年11月30日, 神奈川大学, 小池寿子, ドストエフスキー研究者・文学者である亀山郁夫氏と現代アートの行方、その可能性について長時間にわたり対談し、数度の校正を経て収録、出版した。
『フェルメール会議, 小池寿子他, 双葉社 スーパームック, 2018年09月01日, 双葉社, 諏訪敦・川瀬祐介他, ハンス・フェルメールの展覧会があいつで開催された年に、フェルメールの魅力について、作家・評論家など各分野の専門家が対談を行って解き明かしてゆく趣向。
静物画の秘密 ウィーン美術史美術館所蔵
アントニオ・デ・ペレダ・イ・サルガド「静物:虚栄(ヴァニタス)」, 東京新聞, 2008年7月11日(金)日刊, 2008年07月11日, 東京新聞
エリー・フォール著『美術史』(中世), 国書刊行会, 2010年05月25日, 国書刊行会, 共訳者:, 20世紀前半に出版されたフランス人エリー・フォールの『美術史』全7巻の最終巻。
西洋中世のみならず、インド、中国、アジアそして日本の美術を扱い、総じてえ世界美術史」の先駆となる全集を形成している。「中世」にインド、日本を始めとして20世紀を包含するアジア美術史を入れる是非については疑問の余地はあろうが、人類の美術の歴史を一個人の構築した普遍的な理念で、しかもグローヴァルな視点で構築した本シリーズは、今日の美術史研究とその視野の再検討にとってきわめて貴重である。
ルーブル美術館BDプロジェクト、マルク=アントワーヌ・マチュー『レヴォリュ美術館の地下』解説, 『レヴォリュ美術館の地下』, 67, 2011年05月28日, 小学館集英社プロダクション, ルーヴル美術館企画BD(フランス漫画、コミック)シリーズ第二段の解説・監修。第一弾はニコラ・ド・クレシー『氷河期』。ルーヴルの地下に眠るさまざまな部署の秘密に迫る。修復・保存など美術館の存立の上でかかせない機能を担う人々の営みを、未来から過去へと遡って調査する登場人物を主体に語るきわめて高度な哲学的BD。
ジャン・クロード・シュミット『中世の聖なるイメージと身体―キリスト教における信仰と実践』, 2015年01月01日, 刀水書房
戸嶋靖昌 存在の地層―邂逅と回帰, 講演録, 2016年08月11日, 戸嶋靖昌記念館, 2016年3月24日(木曜日)、セルバンテス文化センターにて行った同題名の講演の講演録。
前年秋のスペイン大使館における戸嶋靖昌展覧会、および『孤高のリアリズム-戸嶋靖昌の芸術』刊行を記念した講演会。戸嶋芸術を美術史的に位置づける試み。
メッケネム わざと集中力, 東京新聞 夕刊, 2016年08月31日, 東京新聞, 国立西洋美術館にて開催(~9月19日)された「聖なるもの、俗なるもの メッケネムとドイツ初期銅版画」展覧会にちなむ展覧会評。銅版画イスラエル・ファン・メッケネムの芸術の特質について分析した。
『西洋美術の歴史』刊行記念 対談 美術は読んでも面白い, 中央公論, 第130巻11号, 138, 145, 2016年11月10日, 中央公論新社, 萩尾望都, 中央公論新社130周年事業として2016年10月から刊行されている『西洋美術の歴史』(全8巻)の刊行を記念しての対談。小池は同美術全集の監修と執筆を担当。同美術全集の特徴について紹介した。
「奇想の系譜 ヒエロニムス・ボス」, 『美術の窓』, 7月号, 2017年06月01日, 生活の友社, 「奇想の系譜」展覧会にちなむ特集号。小池は15世紀後半から16世紀にかけてネーデルラントで活躍したヒエロニムス・ボスのイメージ源泉およびその怪奇なる表現について解説した。
映画「謎の天才画家 ヒエロニムス・ボス」解説および作品リスト, 2017年12月01日, アルバトロス社配給, プラド美術館およびベルギーの研究者の共同チームによるヒエロニムス・ボス映画。同画家の≪快楽の園≫を徹底的に学術的に解明する映画。その解説と登場作品のリスト化を行った。
上演は全国にて1018年まで展開。
「ベルギー奇想の系譜」, 東京新聞, 2017年03月02日, 東京新聞, 「ベルギー 奇想の系譜」展出品作品中≪トヌグダロスの幻視≫を取り上げ、キリスト教の道徳観について解説した。
キリスト教文化事典, キリスト教文化事典編集委員会, 丸善出版株式会社, 2022年08月31日, 1, 山中弘、芦名定道、釘宮明美、小池寿子、佐藤望、星野靖二他, キリスト教文化の中で美術を担当。1.キリスト教美術の流れ 2.教えとイメージ 3.メディア
4.宗教実践と現実主義 5.改革・異文化交流 6.宇宙としての世界像 7.死後世界・他界とイメージ 8.造形理論と実践 の8章を立て、各専門研究者に執筆依頼し、全体を監修した。
「死の舞踏」を見る, 小池寿子, エース 株式会社日本リサーチセンター, 2022年01月01日, 15世紀から16世紀にかけてヨーロッパで流布した「死の舞踏」は、壁画・写本挿絵・版画・絵画によって、ペストなどの疫病と戦火に苛まれた当時の人々の精神状態を物語っている。宗教改革前夜の当時にあって、信仰の揺らぎを自身のものとした死すべき人間が、死を乗り越えようとする意思が、そこには批判を込めて託されている。
「イメージの源泉と文学伝統ーシモン・マルミオン『トゥヌグダルスの幻視』」『北方近世美術叢書VI天国と地獄 あるいは至福と奈落 ネーデルラント美術の光と闇』, 寿子寿子, ありな書房, 2021年11月15日, 杉山美那子 今井澄子 木川弘美 廣川暁生, 15世紀から17世紀にかけてのネーデルラント美術に関する叢書の最終巻。本巻では、ヤン・ファン・エイク、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン、シモン・マルミオン、ヤン・ブリューゲルおよびピーテル・パウル・ルーベンスらが手がけた死後世界・最後の審判のイメージおよび楽園のイメージに関する分析を各執筆者が行った。
NHK8K ルーブル美術館 美の殿堂の500年, 小池寿子, NHK出版, 2021年04月25日
あとがき「女神たちの変身タピスリー芸術の魅力」, 小池寿子, 個人, 2021年02月28日
「コロナ禍と芸術 小池寿子が紐解く「死」の表現史―巨人の肩車に載って私たちは何を見るのか」, 小池寿子, WebBT, 2020年07月04日, コロナ感染の拡大に伴い、美術を通じて死生学研究を専らとする筆者は以下に現状を捉えるか、との視点から、歴史認識の重要性について、古代ギリシアに遡り、とくに1348年ヨーロッパ全土の蔓延し当時の人口の3分の1を奪った黒死病(ペスト)について文芸作品を通じて論じた。
「キリストの肢体」『西洋哲学史4 中世II個の覚醒』
, 小池寿子, ちくま新書, 2020年04月10日
『別冊太陽 ロンドン ナショナル・ギャラリー 名画でひもとく西洋美術史』, 小池寿子, 平凡社『別冊 太陽』, 2020年03月25日, 高橋明也
『フェルメール展 公式ガイドブック』 pp36~4, 小池寿子, 朝日新聞社 AERA, 2018年10月15日
『フェルメール会議』双葉社 スーパームック, 小池寿子他, 双葉社, 2018年09月01日
「祈念像としての死者イメージ」『ヨーロッパ中世美術論集3祈念像の美術』 , 小池寿子, 竹林舎, 2018年07月10日, 田辺幹之助、橋村直樹、吉沢早苗、大野松彦、髙木麻紀子、岩谷秋美、薩摩雅登、鈴木伸子、荒木成子、元木幸一、水野千依、江藤匠、保井亜弓、平川佳世、青山愛香, 12世紀以降、北方トルヴェール文学において成立し流布した『三人の死者と三人の生者の賦』は、13世紀には挿絵を伴って流布した。一方、イタリアにおいても同主題は写本と板絵において表現されたが、イタリア壁画と同じく、北方とは文学伝統を異にする。しかし両地域における写本挿絵は、板絵祭壇画における二連画の端緒となったと考えられ、見開き頁に展開する死者と生者の表現は、まさしく祈禱像として捉えうる。
「死の舞踏」の伝播とそのメディア―壁画・写本・版画」『ヨーロッパ中世美術論集5中世美術の諸相』, 小池寿子, 竹林舎, 2018年07月01日, 越宏一、ダーリング常田益代、小野孝、鈴木桂子、細田あや子、鐸木道剛、桑木野幸司、辻茂史、瀧本みわ、長友瑞絵、安藤さやか、近藤真彫、髙木麻紀子, 1425年以降ヨーロッパ全土に流布した「死の舞踏」が、如何なるメディアによって伝播したかを、フランス15世紀末から16世紀初めの壁画、版画、写本を通じて論じた。総じて、版画出版が版を重ねるごとに改変され、それが壁画にも影響を与えたことが分かる。
『ART GALLERY テーマで見る世界の名画 宗教画』, 集英社, 2017年12月20日, 池澤夏樹、荒俣宏、陣岡めぐみ(以上エッセイおよびコラム担当), 集英社90周年事業 『ART GALLERY』全10巻中の第4巻。宗教作品を通じて、旧約聖書と新約聖書および聖人たちへの信仰を解説。小池は主要解説部分を担当し、全体の責任監修を行った。
「ルーヴルBDと日仏の文化政策」 , 國學院大学共同研究, 2017年12月20日, BD(フランスおよびベルギーを中心として出版されている漫画 バンド・デシネ)を通じて日本文化の描かれ方を議論する研究会。小池は、ルーヴル美術館で企画出版されているBDの監修を務めた経験から、ルーヴルBDを通じてフランスの文化政策と日本の文化政策の相違を浮き彫りにした。
サバティカルを終えて, 國學院大学哲学会, 2017年06月01日, 2017No.52, 2016年度国内派遣研究期間中の研究および教育活動について報告した。
『西洋美術の歴史5 ルネサンスII北方の覚醒、自意識と自然表現』, 秋山聰・小佐野重利・北澤洋子・小池寿子・小林典子, 中央公論新社, 2017年04月26日, 秋山聰・小佐野重利・北澤洋子・小池寿子・小林典子, 中央公論新社 130周年事業『西洋美術の歴史』1巻~8巻中の第5巻。北方ルネサンスの流れの内、小池は15世紀後半から16世紀にわたるネーデルラント美術の特徴を概観する記述を行った。なお、同シリーズ1巻目『古代ギリシアとローマ 美の曙光』と第3巻(記載)は小池監修。
『ブリューゲルへの招待』, 朝日新聞出版, 2017年04月17日, 廣川暁生, 「ブリューゲル バベルの塔」展覧会に関連して出版。16世紀ネーデルラントの画家ピーテル・ブリューゲルの生涯とその時代、作品について解説した。共同執筆者廣川氏はブリューゲル専門家。
著書等出版物, 『西洋美術の歴史3 中世IIロマネスクとゴシックの宇宙』, 中央公論新社, 2017年03月31日, 木俣元一, 11世紀から14世紀までの中世美術を、従来の歴史叙述ではなく、新らたな視点で扱った書物。共著者木俣元一は、序論において「中世」を問い直し、前半4章において「歴史/物語」「まなざし」「祈り」「物質」とテーマを設定。中世研究の新たな視座を開くことを目的とした。
『西洋美術の歴史3 中世ロマネスクとゴシックの宇宙』, 中央公論新社, 2017年03月31日, 木俣元一, 中央公論新社 130周年事業『西洋美術の歴史』1巻~8巻の第3巻。紀元1000年から1300年代までの西洋中世美術の流れを概観する。小池は死生観および宇宙論を担当。
著書等出版物, 『西洋美術の歴史1古代ギリシアとローマ 美の曙光』, 中央公論新社, 2017年01月31日, 1
戸嶋靖昌 存在の地層, 講談社エディトリアル, 2016年03月10日, 執行草舟, 戸嶋靖昌(1934-2006)は、四半世紀にわたりグラナダ(スペイン)で制作した画家である。 戸嶋の晩年に知り合い、モデルとなり、かつコレクターとなった執行草舟が第1部、第2部において哲学的・思想的戸嶋芸術論を展開、小池は第3部において戸嶋を美術史的に位置づけた。
内臓の発見, 筑摩書房, 2011年05月15日, 2002年から2010年まで「Spazio」誌上に連載した「身体をめぐる断章」および書き下ろしをまとめた単著。『描かれた身体』(青土社、2003年)の続編にあたる。第1章 不信の手、第2章 剥皮人体、第3章 愚者の石の切除 第4章 子宮の夢想 第5章目という神話 第6章 内臓-人体のモノ化 第7章 肝臓の不思議 第8章 体液の驚異 第9章 血液の神秘 第10章 心臓のさらなる神秘(書き下ろし)から成る。総じて、身体内部に関する医学哲学思想、造形表現を通じて、身体観を探る試み。「Spazio」(Web)では連載を続行。
ニコラ・ド・クレシー『氷河期』(ルーヴル美術館BDプロジェクト), 小学館集英社プロダクション, 2010年11月19日, コミック部分の翻訳:大西愛子, ルーヴル美術館企画BD(フランス・コミック)シリーズ第一弾ニコラ・ド・クレシー作フランス語コミックの監修、作品解説、執筆。ルーヴル美術館が、フランスおよび海外(日本を含む)の人気コミック作家に、ルーヴル美術館をテーマにした作品を依頼。現在5冊がパリで出版されているが、その第一冊目を初邦訳。100点余りのルーヴル作品が登場する本書の中から10点を選別して解説、同書全体の趣旨を解釈した。
『「死の舞踏」への旅』, 中央公論新社, 2010年02月25日, 2003年から2004年にかけての在外研究機関に取材した「死の舞踏」関係の資料を集大成した書物。朝日新聞社「論座」、東京大学出版局「UP」に連載した原稿に加筆修正を行った。ライフワークである「死の舞踏」研究の一環をなす著作。死の舞踏の起源、その伝播、当時の演劇や文学、説教、ひいては、中世文化における死の舞踏の位置づけを試みた。
『週間 世界の美術館』, 講談社, 2008年07月24日, ルーヴル美術館にはじまり、世界88の美術館を週刊で刊行。各美術館の代表作品の解説、歴史的背景などの記述を共同監修。随時、以下のコラムを執筆。刊行中。 執筆:コラム「見落とせないこの一点」 1.1号 ルーヴル美術館1 「ジネブラ・デステの肖像」p.16 2. 5号 ウィーン美術史美術館 「原罪と贖罪」p.24 3.9号 大英博物館 「有翼怪獣形装身具」p.24 4. 16号 ヴァティカン美術館2「聖母子に嘆願する鞭打ち苦行者」p.24 5.21号 ルーヴル美術館3 「ナルボンヌの祭壇飾り」p.24
『死を見つめる美術史』, ちくま学芸文庫, 2006年10月01日, 1999年10月ポーラ文化研究所から出版された単行本(芸術選奨新人賞)の文庫本。文庫化するにあたって修正・訂正。はじめに モンテリッジョーニの早春、第1章 死と哀悼、第2章 腐敗、第3章 死者のための祈り、第4章 霊魂のかたち、第5章 運命、おわりに 死を想う場(墓地・都市・水)からなる。造形作品を通じて死生観・運命論・身体論を展開する試み。
『一日で鑑賞するルーヴル美術館』(Musée du Louvre), とんぼの本シリーズ 新潮社, 2006年05月01日, 在外研究員として欧州に滞在していた際に取材し執筆した「芸術新潮ルーヴル特集」を加筆訂正し単行本としてまとめたもの。ルーヴル美術館所蔵作品のうち88点を厳選し、ルーヴルを一日で鑑賞できるコースを独自に作って、時代の流れを踏まえつつ概観した。さらに88点を追うことで、美術史の基礎知識が身につくように、かつ、作品の見方のこつを念頭に入れながら解説した。
『西洋中世学入門』, 東京大学出版会, 2005年11月01日, 高山博(編者)、池上俊一(編者)、千葉俊之、岡崎敦、山田雅彦、城戸照子、堀越宏一、佐藤彰一、直江眞一、有光秀行、徳橋曜、甚野尚志、印出忠夫, 西洋中世史を学ぶための基本的、かつ専門的知識と技術についての総合書。第一部「西洋中世研究に必要な技術と知識」では、第1章「古書体学・古書冊学」第2章「文書形式学」第3章「刻銘学」第4章「暦学」第5章「度量衡学」第6章「古銭学」第7章「印章学・紋章学」第8章「固有名詞学」第9章「歴史図像学」第10章「中世考古学」、つづく第2部「西洋中世社会を読み解くための史料」では、第1章「統治・行政文書」第2章「法典・法集成」第13章「叙述史料」第14章「私文書」第15章「教会文書 アペンディクスとして文献・史料他紹介」という構成をもつ。大学院学生以上の研究者を対象とし、また若手の研究者育成を目的としている。担当章では、歴史学における美術史の方法論の適用の可能性を記述した。
『腐敗と再生 身体医文化論Ⅲ』, 慶應義塾大学出版会, 2004年11月01日, 小菅隼人、G.E.R.ロイド、ウィリアム・スネル、小池寿子、伊藤進、吉本秀之、谷川渥、仙葉豊、原田範行、鈴木実佳、時実早苗、武藤浩史、萩原眞一、小菅信子、中村哲子、梅澤一夫、金子洋之、藤井枝子, ペストの災いに見舞われたヨーロッパ中世後期、写本挿絵や壁画、墓碑彫刻として腐敗死骸像が流布する。死後の肉体の変化をリアルに表現したこれらの図像には、腐敗を罪の証とみなすキリスト教カトリック思想が反映され、観る者に罪の悔い改めと救済の必要性を喚起する意図が込められていた。腐敗を恐怖の対象とし、不名誉なこととみなす、古代以来の人間の自然な態度を覆すかのような、この死体の再評価とも言うべき現象は、とくにイエスの受難に倣うという発想と緊密に結びついている。やがてそれは、死体を一種のスペクタクルとし、観賞の対象とするまでに至るのである。
『地中海の暦と祭り』, 刀水書房, 2002年06月01日, 地中海地域(ヨーロッパ、北アフリカ、中近東)におけるキリスト教(ギリシア他の正教含む)、ユダヤ教、イスラム教のさまざまな記念日と祝祭を、各専門分野の研究者50人余によって解説した本。全頁写真入り。地中海学会編。私は、キリスト教中世の記念日と祝祭を監修するとともに、「死者の祭り(11月1日-いわゆる万聖節、11月2日-いわゆる万霊節)」「フルダの暦」「ツヴィファルテンセの暦」「三月とメリュジーヌ物語」「あとがき」の項を執筆した。また全体の図版及び表紙、装丁を監修。
『岩波キリスト教辞典』, 岩波書店, 2002年06月01日, この新版キリスト教辞典において、私は上記14頁目を担当した。総じて、死、悪、死後世界、葬礼に関する美術の項目。「デウォルティオ・モデルナ」は、14世紀以降、ネーデルラント(低地地方)で展開した「新しい敬虔(ないしは新しい信仰)」と呼ばれる宗教運動。ことに15世紀北方ネーデルラント絵画に深い影響を及ぼした。
『描かれた身体』, 青土社, 2002年03月01日, 1995年より雑誌SPAZIOに連載していた「身体をめぐる断章」を中心に身体論に関して執筆したかつての論考まとめ、さらに加筆・修正した単行本。第1章「足」、第2章「背中」、第3章「乳房」、第4章「手」、第5章「頭部」からなる。身体の各部分をとりあげ、それがいかに表現され、いかなる意味を託されてきたかを探る。総じて人間の生と死を身体を通じて叙述することを試みた。
『自画像の美術史』, 東京大学出版会, 2002年03月01日, 三浦篤、小池寿子、高橋達史、太田泰人、佐藤康宏, 自画像の歴史を扱った書物は、日本において多くはない。本書は、最新の研究も含めた包括的な自画像の歴史を辿る書である。まず、「西洋絵画と自画像」において西洋絵画における自画像をタイプにわけ、その誕生と変遷を辿る。ついで、筆者は、古代からの肖像画の成立から自画像の出現までを扱った。さらに「自画像の需要と画家のイメージ」ではとくにレンブラントと17世紀の自画像需要の実際についてが論じられ、「絵の中の絵画」においては近代芸術家の自己表象としての自画像制作が論じられる。最終章「日本絵画と自画像」は従来論じられなかった日本絵画での自画像の形成が論じられる。
『異文化はおもしろい』, 講談社, 2001年11月01日, 星野知子、小倉紀蔵、阿辻哲次、青木保、宮元啓一、田中哲二、杉田英明、沼野充義、千野栄一、中島義道、小池寿子、林望、南直哉、米谷ふみ子、柴田佳子、小倉英敬、港千尋、タイモン・スクリーチ、池澤夏樹、坂東眞砂子、赤坂憲雄, 異文化とは何かについて、I.異文化を楽しむ、II.アジア・アフリカを感じる、III.ヨーロッパを知る、IV.アメリカ大陸を駆ける、V.異文化が照らす自文化、の5部に分かれて21人の著者がそれぞれの体験にもとづいた異文化論を語る。私はIII.を担当。「死と身体から見た異文化」と題して、自身の経験と「死」の研究の結びつき、そしてヨーロッパという異文化と出会いながらも、その根底にかいま見た「死すべき人間」たちの死生観の共鳴について記した。
『ワールド・ミステリー・ツアー13 空想篇』, 同朋舎, 2000年06月01日, 水木しげる、菊地秀行、中野美代子、鹿島茂、井村君江、小林司・東山あかね、楢喜八、小池寿子、森英俊、高山宏、倉阪鬼一郎, 前出シリーズの最終篇。本書では「ヨーロッパの死後世界を彷徨する」と題して、死後世界の地誌の形成、その概容を含めて考察した。キリスト教ヨーロッパにおいて、初期キリスト教時代から13世紀にわたり、古代世界および北方の伝統を継承しつつ死後世界旅行記が書かれ、キリスト教における地獄、煉獄、天国の概念に大きな影響を及ぼした。美術表現上、とくに「橋」「梯子」のイメージがいかな る思想的背景をもつかに焦点をあてた。
『「光」の解読』(『宗教への問い 2』), 岩波書店, 2000年06月01日, 小林康夫、守中高明、小池寿子、松浦寿夫、堀江聡、大貫隆 , 叢書『宗教への問い』全五巻中の第二巻。表象、文学、哲学、宗教、歴史、芸術各分野の執筆者により、今日的な視点を打ち出すべく企画された宗教書シリーズ。本書では、形而上的あるいは物質的「光」が、古今東西においていかに表現され、表象されたかを、各執筆者が自身の専門に促して分析・解読。私は「闇から光への上昇-ヒエロニムス・ボス 霊魂の階段」と題して、キリスト教における「上昇の神学」ともいうべき思想とその絵画表現の解読を試みた。死後における霊魂の上昇、天界への回帰の思想は、12世紀ルネサンスを経て、宇宙論とあいまって壮麗な天界図を育み、それは、初期ネーデルラント美術史上、異彩を放つ画家ボスにおいて、「光のトンネル」として結実したと結論づけた。
『死を見つめる美術史』, ポーラ文化研究所, 1999年10月01日, 古代から15世紀にいたるヨーロッパ美術における死と死にまつわる表現を解読。「モンテリッジォーニの早春」「死と哀悼」「腐敗」「死者のための祈り」「霊魂のかたち」「運命」「死を想う場-墓地・都市・水」から成る。過去20年余の死の研究を総合し、さらに「死と身体表現」「霊魂の表現」「運命」など、今後の研究方向を提示した書。「文化庁 芸術選奨文部大臣新人賞」受賞。
『ワールド・ミステリー・ツアー13 地中海篇』, 同朋舎, 1999年09月01日, 桐生操、水上洋子、港千尋、竹山博英、島村菜津、巌谷國士、益田朋幸、今村文明、ミハエル・ステパニコフ、岡村多佳夫、福部信敏, 前出シリーズの一冊。「地中海篇」では、「イタリア、エトルリアの死者の町に佇む」と題して、トスカナ地方ヴォルテッラを紹介。エトルリア人はイタリアの先住民族として勢力を誇ったが、やがてローマに支配される。彼らの中心都市のひとつであったヴォルテッラに残る遺跡とエトルリア独自の墓碑について考察した。
『ワールド・ミステリー・ツアー13 ドイツ・フランス篇』, 同朋舎, 1999年05月01日, 鹿島茂、松永美穂、岡谷公二、遠藤紀勝、島村菜津、関楠生、港千尋、長谷川つとむ、伊藤進、前川道介、清水正晴, 前出シリーズの一冊。「ドイツ・フランス篇」では、「ドイツとフランスの墓碑彫刻を見る」と題して、中世後期に流布した屍骸墓像(トランジ)を論じた。トランジは、死後の肉体の変容するようすを表現した像である。この特異な像は、とくにこの時代、墓像としてもてはやされたが、それは罪の懺悔と自己卑下、そして救済を希求する表現であった。各国における表現の相違に着目。
『バッハ全集5 教会カンタータ[5]』, 小学館, 1999年04月01日, 磯山 雅、ハンス・ヨアヒム・シュルツェ、フリードヘルム・クルマッハー、小林義武、佐藤 研、細川俊夫、磯崎 新、関根敏子、小池寿子、中村雄二郎、高階秀爾、鳴海史生、歌崎和彦, 本書では「死の音色―死の舞踏をめぐって」と題して、「死の舞踏」における楽器の役割を論じた。「死の舞踏」には打楽器、管楽器、弦楽器をもつ死者の表現がある。従来の「死の舞踏」研究においては、死の奏楽者がもつ楽器の意味について詳らかな研究はなされていない。楽器の歴史および当時の社会・宮廷文化における各楽器の役割を検討し、それが「死の舞踏」図やその他の死の図像において、いかなる意味と機能を有していたのかを考察した。
『バッハ全集10 オルガン曲[2]』, 小学館, 1998年12月01日, 三宅幸夫、ハンス・ヨアヒム・シュルツェ、ジャン・クロード・ツェーンダー、横坂康彦、小池寿子、皆川達夫、阪田寛夫、片山千佳子、田辺幹之助、池上純一、中村雄二郎、高階秀爾、西原 稔、大角欣矢、鳴海史生、小鍛冶邦隆、歌崎和彦, 本書では「祈りの構図」と題して、キリスト教美術における「祈り」の表現をカラー図版を用いて解説した。両手を合わせる、差し出す、ひざまずく、伏せるといった、さまざまな祈りのポーズはどのような意味をもっているのか、また、いかなる時にそのポーズで祈るのかを考察した。さらに、祈りの対象には、キリストや聖人はむろんのこと、その傷口や身体の部分も含まれることを示した。
『ワールド・ミステリー・ツアー13 パリ篇』, 同朋舎, 1998年09月01日, 桐生操、鹿島茂、港千尋、原研二、友成純一、石井洋二郎、水原冬美、篠田勝英、井上宗和、鈴木布美子、宇田川悟, 前出シリーズの一冊。本「パリ篇」では「戦慄の奇怪博物館を見学する」と題して、パリ、アルフォル獣医学校付属フラゴナール博物館を紹介。同博物館には、18世紀の獣医フラゴナールの解剖作品「黙示録の騎士」「サムソン」「胎児による死の舞踏」が展示されている。それは腐敗防止した上で、ポーズをとらせた解剖人体である。倫理的な問題から、この種の解剖は禁止されていたが、近年一般公開された。ヨーロッパ医学と芸術の特異な作品の歴史的・医学的意味を探る。
『ワールド・ミステリー・ツアー13 イタリア篇』, 同朋舎, 1998年07月01日, 水木しげる、島村菜津、原研二、佐藤美子、亀津菜穂子、渡部高揚、巌谷國士、竹山博英、谷川渥, ヨーロッパの特異なスポット(墓場、廃虚、美術館、迷宮など)を解説する異色のガイドブック・シリーズ、全13巻。本書「イタリア篇」では「骸骨に飾られた教会に入る」と題して、ローマのカプチン会修道院教会をとりあげた。同教会は、骸骨で装飾された地下祭室をもつ。なぜ、人骨で堂内を装飾するのか、その背後にはいかなる死生観、身体観があるのか。キリスト教カトリック独特の死の芸術を紹介。
『バッハ全集2 教会カンタータ[2]』, 小学館, 1997年04月01日, 樋口隆一、アルフレート・ホールシュナイダー、小池寿子、金澤正剛、深津文雄、高尾利数、中村雄二郎、高階秀爾、西原 稔、江端伸昭、石川陽一、歌崎和彦, をカラー図版を用いて解説。イエスと12使徒および主要な弟子たちの伝道活動を、それぞれの人物のエピソード、奇蹟物語などを中心に綴った。キリスト教はイエスのみならずその弟子たちの伝道と殉教の生涯によって世界宗教に発展した。その足跡を辿る。
『未来のなかの中世』, 東京大学出版会, 1997年04月01日, ジャーヴェイズ・ロッサー(大久保譲訳)、新倉俊一、一條麻美子、池上俊一、長谷川博子、宮下志朗、竹森佳史、義江彰夫、松村剛、ジャン=クロード・シュミット(松村剛訳), 『知の技法』『知の論理』『知のモラル』という「知の三部作」の延長線上に位置する、大学文科系の学問へのイニシエーションを意図して構想された。中世文化論であり、かつ歴史学を学ぶ意味を問う本。本書では「死の中世-臨終の光景」と題して、中世ヨーロッパ美術に描かれた臨終の場面をとりあげ、中世における死の実際を考察した。
『廃虚大全』, トレヴィル, 1997年03月01日, 巽孝之、永瀬唯、小谷真理、滝本誠、飯沢耕太郎、四方田犬彦、岡田哲史、森利夫、今泉文子、岡林洋、種村季弘、中野美代子、飯島洋一、椹木野衣、日野啓三, 「廃虚」とは、壊れ、崩れた建物をさすのみならず、荒廃、退廃、終末、死などの観念と関連した象徴的意味をもつ。建築、美術、文学、写真、映画などに表象されてきた「廃虚」概念を総ざらいする試み。本書では「廃虚のメタモルフォーズ-パリ、サン・ジノサン墓地」と題して、中世から近世にかけてのパリの主要な共同墓地の成立と変遷を辿り、墓地の担う意味を問うた。
『バッハ全集7 ミサ曲、受難曲[1]』, 小学館, 1996年10月01日, 三宅幸夫、ハンス・ヨアヒム・シュルェ、小林義武、山崎太郎、角倉一朗、小池寿子、中島悠爾、三光長治、若桑みどり、高山 宏、中村雄二郎、高階秀爾、江端伸昭、樋口隆一、加藤博子、藤本一子、歌崎和彦, 「イエスの受難」をカラー図版を用いて解説。キリスト教教義の中核をなす「受難」が、いかに表現されてきたのか、その変遷を辿るとともに、とくに中世に出現した特異な図像「アルマ・クリスティ」「聖痕および心臓礼拝」などを扱い、キリスト教信仰における「聖なる身体」の意味を問うた。
『地中海 終末論の誘惑』, 東京大学出版会, 1996年09月01日, 大貫隆、池上俊一、秋山学、斎藤文子、鈴木薫、杉田英明、宮崎和夫、本村凌二、臼井隆一郎、宮下志朗、鈴木雅雄、石井洋二郎, ユダヤ教、キリスト教、イスラム教を育んだ地中海世界における終末論の成立と展開をテーマとした著作。「黙示録図像の変遷」と題して、キリスト教美術における黙示録の表現の歴史を初期キリスト教時代から中世後期まで辿り、その意味と時代的背景を探った。
『バッハ全集1 教会カンタータ[1]』, 小学館, 1996年04月01日, 磯山 雅、小林義武、樋口隆一、小池寿子、加藤周一、河合隼雄、望月通陽、彌永昌美、佐藤 研、中村雄二郎、高階爾秀、藤本一子、池上真理子、松浦 純、歌崎和彦, 「イエスの生涯」をカラー図版を用いて解説。キリスト教美術において「イエスの生涯」は、初期キリスト教時代以来、主要テーマとして描かれ続けてきた。その受難にいたる道のりは、信者にとって学ぶべき生として重要な意味をもつ。初期から近代までの代表的作品を厳選してその意味を解き明かした。
『マカーブル逍遥』, 青弓社, 1995年03月01日, 『死者たちの回廊-よみがえる死の舞踏』,『屍体狩り』,『死者のいる中世』の単著を準備する過程で手掛けた諸雑誌掲載の小論文・随筆集。死の図像・主題としては『往生術(アルス・モリエンディ)』,「エロスとタナトス」などを含む。「ネクロフィリア」などの心理学的考察や近現代美術批評も収録。
『死者たちの回廊-よみがえる死の舞踏』, 平凡社ライブラリー, 1994年12月01日, 15世紀ヨーロッパに流布した図像「死の舞踏」の概説書,かつ起源と成立をめぐる論考。「死の舞踏 (Dance Macabre)」は,死者と生者が交互に並ぶ舞踏行列図であり,15世紀前半にパリの共同墓地回廊壁画として制作されて以降,今世紀に至るまで絵画,版画,彫刻のみならず文芸諸分野の主題となった。本著では特に15世紀の壁画および壁画に添付された同題の詩の解読を行ないつつ,文献資料分析を通じて同主題が成立した歴史的背景についても論述した。(平2.12 福武書店刊 福武ブックス初版)
『死者のいる中世』, みすず書房, 1994年08月01日, 中世からルネサンス期までのヨーロッパ・キリスト教美術をめぐって,死の思想,身体観に焦点を当てつつ,時空を越えた旅人の視点から展開した美術紀行。研究テーマである初期ネーデルラント美術,磔刑,最後の審判などキリストの死と終末に関わる主題,死の図像,神秘思想家の幻想体験とその表現,葬送儀礼と墓碑芸術などを歴史・思想的背景の考察も含め,これまでの研究の道程を自身の身体感覚を通じて綴った試論。『死者たちの回廊-よみがえる死の舞踏』,『屍体狩り』の著書を踏まえつつ,美術史学の新しい方向性を探究している。
『死にいたる美術-メメント・モリ』(展覧会カタログ), 町田市国際版画美術館・栃木県立美術館, 1994年05月01日, 小勝禮子、佐川美智子、高山宏, ヨーロッパにおける死をテーマとした美術作品の展覧会。第一部「死の版画史(死の舞踏、死の版画史、和洋解剖図)」、第二部「現代の死(死と現代美術ほか)」を内容とする。死をテーマとしてとりあげた初の展覧会。私は、総論「中世後期における死の図像-屍が語ること」ほか図版解説を執筆。
『屍体狩り』, 白水社, 1993年11月01日, 「三人の死者と三人の生者」「死の勝利」「死の舞踏」というヨーロッパ中世後期における死の三大テーマをはじめ,腐敗屍骸像(トランジ)などの墓碑彫刻,骸骨や頭蓋骨を配置した「死を想え(メメント・モリ)」図,万物のはかなさ,むなしさを表わす「ウァニタス」図,解剖図等,死の主題・図像に関して論じた随筆集。専門分野である中世後期のみならず,古代から現代に至る美術を「死」の観点から考察し,合わせて「愛」の主題も対比的に取り上げている。
『名画への旅 北方ルネサンスⅠ』, 講談社, 1993年09月01日, 高野禎子、小林典子、西野嘉章、高橋達史、神原正明、小池寿子, 15世紀フランス,ネーデルラントの代表画家ランブール兄弟,ファン・エイク兄弟,ファン・デル・ウェイデン,カルトン,メムリンク,ボッスの作品各一点を取り上げた作家・作品論集。①の続編。私は,「ファン・デル・ウェイデン《最後の審判の祭壇画》」を担当し,作家・作品論を展開しつつ,主にキリスト教における最後の審判思想と終末論について,美術図像の成立と展開を追いながら概説した。①と同様,参考図版を多数用いて視覚的に理解しやすい構成となっている。
『バロック的(キーワード事典スペシャル)』, 洋泉社, 1992年10月01日, 秋田昌美、今泉文子、岡村多佳夫、川竹英克、許 光俊、倉林 靖、小池寿子、末永 航、澤野雅樹、関根敏子、高橋順一、高山 宏、谷川 渥、永田 靖、彦坂 裕、宮下規久朗, 文化・芸術史を読み解く際の主要なキーワードの一つ「バロック的」をめぐっての各専門分野の論文集。私は「フランス-パッサージュとしてのフランス・マニエリスム」において,16世紀ヨーロッパの文化的十字路であったフランスの特にフォンテヌブロー宮殿とロレーヌ公国という二つの拠点の美術の特質を論じ,「人体のバロキスム」において,15~18世紀の解剖図・解剖標本に見る身体観および人間観の変化を,芸術と医学とのかかわりの変遷を通じて考察した。
『名画への旅 北方ルネサンスⅡ』, 講談社, 1992年08月01日, 高橋裕子、高橋達史、岩井瑞枝、樺山紘一、小池寿子, 15,16世紀北方ルネサンスの代表画家デューラー,グリューネヴァルト,ホルバイン(子),ブリューゲル(父),カロン,アンチンボルドの作品各一点を取り上げた作家・作品論集。私は「グリューネヴァルト《イーゼンハイム祭壇画》」,「ホルバイン《大使たち》」を担当し,作家・作品論を展開しつつ,主に磔刑にみるイエス・キリストの死の表現,中世後期からルネサンス期の死の諸図像について,各々,参考図版を多数用いて概説した。
日本臨床死生学会 第26回年次大会 教育部門講演III「西洋美術における死の表現と死者への追悼」, 小池寿子, 日本臨床死生学会, 2021年10月02日, 日本臨床死生学会, 日本・東京(オンライン配信 7月24日収録), ヨーロッパ中世(とくに14~16世紀)の美術を通じて、ペスト禍を中心に疫病と戦火で疲弊した人々の死生観、救済観を概観した。死者への追悼の祈りが、死者の復活と永世に寄与するキリスト教死生観が背景にある。
中央区教育センター 2019年10月23日 フランス美術講座 (DNP共催), 小池寿子, 中央区教育センター フランス美術講座, 2019年10月23日, 中央区教育センター DNP, 日本・東京・築地, ルーブル美術館の主要作品を用いながらフランス美術の流れを16世紀から19世紀まで辿った。NHK8Kルーブル番組の紹介も兼ねていた。
神奈川大学エクステンション 2019年11月9日 アートの魅力―芸術から「世界」を見る「私」を見つめる シリーズ ハイヴィジョンの時代と芸術―8Kで観るルーヴル美術館の魅力, 小池寿子, 神奈川大学エクステンション アートの魅力―芸術から「世界」を見る「私」を見つめる シリーズ, 2019年11月09日, 神奈川大学エクステンションセンター, 日本・横浜市・みなとみらい, アートの魅力とのテーマで、くしくも同年完成した8kによるルーブル美術館番組を紹介。従来の画像との相違を(8kでは講演できなかったので)ブルーレイを用いて詳細に解説した。この後、8k番組の普及を期待していたが、未曾有のコロナ危機によって多くの企画はなくなり、変わってコロナと疫病に関する企画が急増したことは記憶に留めたい。この頃すでにコロナは感染を始めていたのである。
NHK文化センター 2019年11月22日 NHK8Kルーヴル美術館 美の殿堂500年の旅 3・4集, 小池寿子, NHK文化センター, 2019年11月22日, NHK文化センター, 日本・東京・青山, 6年にわたり制作・学術監修を行ったNHK8Kルーヴル美術館 美の殿堂500年の旅 第3,4集について
8k映像を用いて解説した。
NHK文化センター 2019年10月11日 NHK8Kルーヴル美術館 美の殿堂500年の旅 1・2集, 小池寿子, NHK文化センター, 2019年10月11日, NHk文化センター, 日本・東京・青山, 6年にわたり制作・学術監修を務めたNHK8K番組「ルーブル美術館 美の殿堂500年の旅」全4集の内、1,2集について、8K映像を使いながら解説した。
NHK文化センター 地中海の輝き 文化交流の坩堝に見る死生観―
死の勝利をめぐって, 小池寿子, NHK文化センター 地中海の輝き(地中海学会企画), 2019年05月20日, NHk文化センター, 日本・東京・青山, 地中海学会(小池 常任委員)が企画している連続講座。今年度は「地中海の輝き」とし、小池は、文化交流の坩堝に見る死生観―死の勝利をめぐって」と題して中世からルネサンス期にかけての地中海世界における闇の部分として「死の勝利」の主題を扱った。
「都市と生活者の未来を拓くーYOMIURI都市生活研究所フォーラム」一部オンライン配信
所有と共有の<歴史と兆し>からひもとく、少し未来の生活者セッション・インタビュー
, 小池寿子, 都市と生活者の未来を拓くーYOMIURI都市生活研究所フォーラム, 2020年11月19日, YOMIURI都市生活研究所フォーラム, コロナ感染拡大に伴う企画。建築・インテリア・ディザイナー等各分野の方々のフォーラム。小池は、古代以降の疫病に対する人間の態度について、社会・共同体・人間相互のコミュニケーションをテーマに語った。
講座「疫病と美術~ペスト禍の「死の舞踏」を中心に」, 小池寿子, あざみ野カレッジ , 2020年09月21日, 横浜市民ギャラリーあざみ野, 日本・横浜市・青葉区・あざみ野南, コロナ感染拡大に伴う企画。専門とする「死の舞踏」を中心にヨーロッパ中世から近世にかけての死生観について講演した。
美術の見方-ルーヴル美術館展によせて, 小池寿子, 法政大学 生涯学習, 2018年12月07日, 法政大学3,4年生および聴講者に対して、ルーヴル美術館展を紹介すると共に、ルーヴル美術館の代表的作品何点かに絞って、絵画の見方を講義した。
「ルーヴル美術館展 肖像芸術の真価, 小池寿子, 新国立美術館記念講演会, 2018年07月21日, 読売新聞社
新国立美術館, 同展覧会について、肖像芸術の発展と展開を踏まえつつ綿密な説明を加えて講演を行った。
「ルーヴル美術館展の見どころ」, 小池寿子, 三越カルチャースクール , 2018年06月02日, MMMメゾン・デ・ミュゼ・デュ・モンド
三越百貨店, 「ルーヴル美術館」展の見所について、出品作品および比較作品を入れて解説した。
トークイベント『フュースリ・フューズリの画法 物語とキャラクター表現の革新』刊行記念, 小池寿子・松下哲也・Gnck, 青山ブックセンタートークイベント, 2018年02月10日, 青山ブックセンター , 日本・東京・青山ブックセンター, 松下哲也、Gunc, 本学大学院史学専攻美学美術史コースにて初めて学位を取得した松下哲也の博士論文刊行記念として開催された。アートの可能性について登壇者がそれぞれ発表し、質疑応答を行った。
「新しいルーヴル美術館の魅力」エクステンション講座 , 小池寿子, 國學院大學エクステンション講座, 2017年06月03日, 國學院大學広報課, 日本・東京・國學院大學渋谷キャンパスAMC
「プラド美術館所蔵《十字架降下》再考」, 1983年04月01日, 日仏美術学会, 論文「Etude sur La Descente de Croix du Musée du Prado」に論述。
「中世末期における死の図像学「三人の死者と三人の生者」の成立と展開」, 1986年10月01日, 美学会第37回全国大会, 論文「三人の死者と三人の生者」に論述。
「「死の舞踏」の起源と成立をめぐって」, 1994年04月01日, 民族藝術学会第10回全国大会(於 お茶の水女子大学), 論文「「死の舞踏」の起源と成立をめぐって」に論述。
「墓碑壁面における「三人の死者と三人の生者」図-ヴェッツォラーノ、サンタ・マリア・アッスンタ大修道院付属回廊壁面について」, 1996年05月01日, 美術史学会第49回全国大会(於 お茶の水女子大学), 論文「中世後期における腐敗表現と救済思想」に論述。
世界の美術館を旅する, 名古屋、中日文化センター連続講座, 2008年10月01日, 中日文化センター, 2008年秋からの土曜日連続講座。2008年10月11日「ルーヴル美術館」、11月15日「オルセー美術館」、12月20日「プラド美術館」2009年1月24日「ヴァティカン美術館」、2月28日「ロンドン、ナショナル・ギャラリー」、4月25日「ウフィーツィ美術館」、5月16日「ウィーン美術史美術館」、6月6日「ベルリン美術館」、7月18日「アムステルダム国立美術館」、8月22日「ベルギー王立美術館」、10月3日「ニューヨーク、メトロポリタン美術館」、11月14日「ロンドン、テイト・ギャラリー」、12月19日「ミラノ、ブレラ美術館」、2010年1月9日「パリ、オランジュリー美術館」、2月13日「ヴェネツィア、アカデミア美術館」、4月17日「ボルゲーゼ美術館」、5月15日「ルーヴル美術館(北方ルネサンス・マニエリスム)、6月12日「ミュンヘン、アルテ・ピナコテーク」
7月17日「オルセー美術館(近代絵画)、8月7日「大英博物館(古代世界、ギリシア)、2010年10月30日「モンサンミッシェルと死の舞踏」、11月27日「ウィーン、アルベルティーナ美術館-クリムトとシーレ」、2011年1月22日「ピッティ美術館とヴィッラ」、2月5日「ヴェルサイユ宮殿美術館」、2月13日「古代ローマの遺産ーモザイクの輝き(古代ローマの遺産美術展特別講座)」、3月5日「カイロ博物館と大英博物館ーミイラを見る」、4月16日「ローマと初期キリスト教の教会」、5月14日「バルセロナ カタルーニャ美術館ーロマネスク美術の魅力」、6月4日「ブルージュ メムリンク美術館ーネーデルラント絵画と死都ブルージュ」、7月16日「ロンドン ナショナル・ギャラリーー近世から近代へ」、9月10日「オルセー美術館ー19世紀フランス絵画とジャポニスム」(続)
ネーデルラントにおける死の舞踏, ネーデルラント研究会, 2011年07月23日, ネーデルラント美術史専門家による研究会での発表(発起人を務める)。積年の研究である「死の舞踏」について、ネーデルラントにおける伝播と機能を中心に発表した。
「死の舞踏」の成立と伝播をめぐって, 國學院大學哲学会, 2011年07月30日, 今春より哲学科に移籍し、同時に哲学会に入会。定例会での発表。研究テーマである「死の舞踏」のとくに成立と伝播の径路、およびフランス系・ドイツ系「死の舞踏」の特徴に焦点を当てつつ、キリスト教中世後期における「死の舞踏」の意味について発表した。
BDで楽しむルーヴル美術館, MMF(DNP) Maison des Musees de France,大日本印刷銀座ビル, 2011年09月16日, 大日本印刷, ルーヴル美術館企画BD(フランス・コミック)についての原正人氏(BD解説者)との対談。昨年度2010年から小学館集英社プロダクションで出版しているルーヴルBD特集を取り上げた展覧会に際して催され、BDの起源と成立、その展開と特徴などについて豊富な作例を挙げながら対談した。ルーヴル美術館側からのメッセージを受けて、日本におけるBDの紹介とより深度の深い理解を目指した。
キリスト教美術にみる美徳と悪徳, 青山学院大学キリスト教講座, 2011年05月16日, キリスト教における美徳(三対神徳:信仰・希望・慈愛、四枢要徳:賢明・節制・剛毅・正義)、悪徳(とくに七つの大罪:傲慢・貪欲・嫉妬・大食・怠惰・淫欲・虚栄)について、キリスト教美術にみる擬人像表現を通じて、具体的に検討し、古代擬人像からの継承とキリスト教における独自性を示した。
フランスの城郭ーロワールの城とフランス美術, 日本城郭協会, 2011年06月05日, 昨年度から携わっている「日本城郭協会」出版「世界の城」に向けての講演会事業。本講座では、16世紀フランス・ロワール河流域の城の形成と発展、その凋落について、フランス美術の成立の観点から話した。世界の城郭に関する共著は近刊。
神奈川大学公開講座「死の舞踏」「死と運命」, 神奈川大学エクステンション講座, 2011年07月15日, 過去数年断続的に続けている神奈川大学エクステンション講座。キリスト教美術に見る死生観をテーマにし、今期2回は「死の舞踏」ついで「死と運命」とし、後者ではキリスト教と運命論について概説した。
キリスト教美術にみる死生観, 青山学院大学オープンカレッジ「美術のなかのキリスト教」, 2011年08月20日, 美術を通じてキリスト教の教えを読み解く連続講座の初日。中世における死の図像(三人の死者と三人の生者」「死の勝利」「死の舞踏」などに焦点を当てながら、キリスト教における死生観の様態を示した。
講演会「ベルギー奇想の系譜」宇都宮美術館, 2017年04月16日, 宇都宮美術館, 「ベルギー奇想の系譜」展覧会のための学術講演。15世紀ネーデルラントから19世紀に至るまで、ベルギーで育まれた奇想の系譜について解釈した。
講演「ブリューゲル バベルの塔展覧会に寄せて」, 2017年04月17日, NHK文化センター, 「ブリューゲル バベルの塔」展覧会にちなむ講演。≪バベルの塔≫を中心としてブリューゲルの絵画世界の特徴を解読した。
講演「死の舞踏」, 2017年05月06日, ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン企画イヴェント, ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン企画の音楽祭での記念講演。於イメージフォーラム。
サンサーンスらの「死の舞踏」を中心とした音楽祭において、美術における「死の舞踏」の起源とその展開について解説した。
「地中海学の未来」, 2017年06月11日, 地中海学会第41回大会
(40周年記念シンポジウム)における司会, 地中海学会常任委員として、40周年記念事業を企画、司会を担当。中堅研究者(建築史・都市史・歴史学・文学・美術史)たちに発表していただき、「地中海学」の可能性について議論した。
講演「ベルギー奇想の系譜」, 2017年07月03日, ワールド航空サービス (地中海学会企画), 「ベルギー奇想の系譜」展覧会にちなむ一連の講演のひとつ。とくにベルギーの歴史的独自性と美術について解説した。
「奇想の系譜 トークショー」, 2017年07月17日, Bunkamuraザ・ミュージアム, 日本美術史の大家にして「奇想」の命名者 辻 惟雄との対談形式の講演。司会は現代美術に詳しい藤原えりみ氏が行った。日本と西洋の「奇想」の類似点と相違点などについて明らかにした。
講演「奇想の系譜」, 2017年07月30日, 國學院大学哲学会, 哲学会恒例の総会に伴う講演会。同年話題の「奇想の系譜」展覧会を取り上げつつ、ネーデルラントおよび近現代ベルギー美術の特殊性について解説した。
NHKラジオ深夜便「私のアート交遊録 疫病と美術」2020年12月24日放送, NHKラジオ深夜便, 2020年10月26日, 2020年12月24日, コロナ感染拡大に伴う企画。西洋中世における黒死病(ペスト)蔓延と美術との関わりを話した。
秋田テレビ「秋田人物伝 戸嶋靖昌」2020年9月26日放映, 秋田テレビ, 2020年09月01日, 2020年09月26日, 戸嶋記念館, 戸嶋靖昌については、すでに論考(『存在の基層』)の他、セルバンテス文化センターでも講演を行っている。戸嶋番組はまたNHKでも制作し、出演した。今回は戸嶋の出身地秋田での個展にちなんで秋田テレビが企画。戸嶋記念館で撮影・収録。台本は収録および拙著に基づいている。
NHK 日曜美術館「疫病をこえて 人は何を描いてきたか」2020年4月19日放映, NHK日曜美術館, NHK日曜美術館, 2020年04月05日, 2020年14月19日, 山本聡美(日本美術史・病死の研究者), コロナ感染拡大初期において、企画された番組。西洋美術史(小池)と日本美術史(山本)が、それぞれの分野での病と死に関わる美術を紹介しつつ、いま、コロナに直面した私たちが何を考え、どのように病と死を捉えるべきかを語った。
NHK日曜美術館「光の探求者ヤン・ファン・エイク―よみがえる“ヘントの祭壇画”」
2020年2月16日放映, NHK日曜美術館, NHK日曜美術館, 2020年01月30日, 2020年02月16日, 共演:山崎マリ、森直義, 15世紀前半エイク兄弟によって制作された名作《ヘント祭壇画》の修復を含めた解釈をめぐる番組。修復が終わる同祭壇画は美術史上、きわめて貴重なデータを提示した。修復現場の監督をはじめ、現地での取材を含め、同祭壇画制作の実態とその意味について迫る番組。
NHK8K 世界で一番美しい本 『ベリー侯の豪華時祷書』 学術監修, 2019年04月25日, 2019年07月10日, 15世紀フランス写本の白眉『ベリー公の豪華時禱書』を8K撮影し、一般に分かり易いように歳時記を取り入れた番組。ナレーション他学術監修。
NHK8K ルーヴル美術館 美の殿堂500年の旅 ダイジェスト版 6月完成 学術監修, NHK8K, NHKエデュケーショナル, 2016年04月25日, 2019年06月15日, 共同学術監修 三浦篤, 「ルーヴル美術館」全4集作成に入る前にルーブル側の許可を得るべく制作
NHK8Kルーヴル美術館 美の殿堂500年の旅 全4集 6月完結 学術監修(2016年より, NHK8K放送番組監修, NHKエデュケーショナル, 2016年04月25日, 2019年06月25日, 共同監修者 三浦篤, ルーブル美術館所蔵作品を選択、解説。6年間に及ぶ監修・編集作業を経て、全4巻完成
NHK日曜美術館「戸嶋靖昌 魂の画家」, NHK日曜美術館出演, 2017年01月22日, スペインで25年にわたり絵画制作を行った日本人画家 戸嶋靖昌について、「戸嶋康昌記念館」との共同作業として本を出版、また同記念館の解説DVDを収録するなど試みてきたが、NHK日曜美術館で取り上げられることになり、出演。戸嶋芸術について解説した。
展覧会紹介:「なぜオランダ人はゴッホよりレンブラントが好きなのか」「ブリューゲルは絵を通して何を伝えたかったのか」, Esquire japan, Men’s Club 11月号増刊, 2018年11月01日, p.170,p.172, p.170,p173, ネーデルラント・オランダにおける画家の評価の基準、およびその魅力について
「ベルギー奇想の系譜 展覧会紹介」, 東京新聞, 2017年03月02日, 「奇想の画家」展覧会紹介
図版:『死の本』, 光琳社出版, 1998年12月01日, 荒俣宏、小阪修平、京極夏彦、宮元啓一、石堂藍、田沼晴一, 古今東西の死にまつわるエッセー集に100余点の美術作品を厳選して掲載。各執筆者のエッセーの内容に合うよう配慮しつつ、ヨーロッパの死の図像については、古代から概観できるようにした。「死の図像学」と題して、6個所に図版解説を付した。「読む」「見る」を兼ねた死の本。
『死の舞踏 中世末期から現代まで』(展覧会カタログ), 国立西洋美術館, 2000年10月01日, 21, 28, ゲルト・カイザー、アルフォンス・ラービッシュ、エヴァ・シュースター、小池寿子、田辺幹之助, デュッセルドルフ大学所蔵の版画・素描による「死の舞踏」展覧会カタログ。本展覧会では、中世の「死の舞踏」にはじまり、「死の舞踏」連作版画によってその概念を大きく刷新したハンス・ホルバインを経て、「死と乙女」「病と死」「戦争と死」など今日的な「死のテーマ」までを広範に扱った。本カタログにおいては、「死の舞踏(ダンス・マカーブル)の成立をめぐって-奇跡と殉教の場サン・ジノサン墓地」と題して、創成期における「死の舞踏」の基本概念およびその目的と意味を、15世紀の壁画や写本を通じて解説。過去において発表した「死の舞踏」論を、説教のための絵解きという観点を強調しつつ再提示した。合わせて、作品解説の校閲、および展覧会記念講演を数件担当。
随筆:「アーティフィシャル・ネイチャー 失われた楽園を求めて」, 『ヴォーグ・ニッポン』, 2001年01月01日, モードの世界で、貝殻や魚、草花、蝶や鳥、昆虫、動物などが、アクセサリーとして、またプリントとして流行となっている。しかもそれらは、単なる装飾というより、人間と一体となって景観にとけ込んでいる。こうした人間と自然と芸術の一体化、同化は、長い歴史的背景をもつ。古代から中世へと継承された自然探求の書「フィシオログス」や「動物物語」は、その発想源のひとつであろう。ついで、16・17世紀に隆盛を見た珍奇博物館や博物学の書は、自然を人工的なオブジェへと変貌させる契機となった。そして今日における自然への新しい関わり方の根底には、失われた楽園への尽きせぬノスタルジーと癒しへの願望がある。
「彼岸への仮面-死者肖像とデスマスク」「あなたは誰-絵画の虚構」, 『IS(Panoramic Magazine Intellect&Sensitivity)』「特集 あなたは誰か 肖像とロウ人形」, ポーラ文化研究所, 2001年03月01日, 雑誌『IS』特集号掲載論考。「彼岸への仮面」では、ヨーロッパにおけるデスマスクの成立と使用の実際を、葬送儀礼との関連を主軸にして考察した。「あなたは誰?-絵画の虚構」は、図版構成によるページ。15、16世紀の初期ネーデルラント絵画において、モデルの特定についてさまざまな仮説のある肖像を取り上げ、肖像画の成立、パトロン、自画像の問題なども含めて、肖像研究のあり方を問うた。
「身体をめぐる断章7 癒しの手」, 『SPAZIO』, ジェトロニクス・オリベッティ株式会社広報部, 2001年03月01日, 22, 34, 1995年より同誌に連載している「身体をめぐる断章」の第7回。足、胸、背中、手と進め、今回は「創造の手」につぐ「癒しの手」。古代治癒神の系譜を、とくにアスクレピオスとイエス・キリストに焦点を絞って考察した。墓碑、石棺、絵画などに見られる「治癒の手」を、その手振りと意味の継承と派生に留意して体系づける試論。同連載は、「頭」をもって完結し、単行本化の予定。
随筆:「運命のきざはし」, 『歴史書通信』, 歴史書懇談会, 2001年06月01日, 1300年頃にイギリスで制作された『ロベール・ド・リールの詩篇』は、当時の神学思想の集大成とも言うべき写本である。そこにはまた、「三人の死者と三人の生者」「運命の車輪」「キリスト教的宇宙図」を含み、人間の死すべき運命とキリスト教的救済観が結集している。すなわち死すべき生ののち永遠の生を受けるために実践しなければならない完徳の道であり、それは天上界への上昇図をもって示される。中世における宇宙論と救済史観を探るにあたっての格好の写本の解読を試みた。
対談:「女は自分で社会をつくる」(特集 時代を生きた女性たち), 『季刊 上州風』, 7号, 上毛新聞社, 2001年06月01日, 9, 19, 石内都/担当部分:p9~p19, 質感にこだわりつづける女性写真家石内都氏との対談。石内氏は近年、人体の部分(足、手、爪、皮膚など)を撮り続けている。桐生市に生まれた同郷の彼女と、女性がいかに自身の仕事を貫き通すか、いかに自己を発現してゆくか、について郷里の思い出や経験を交えながら語り合った。
「腐敗と救済」, 『第29回 美術講演会講演録』, 鹿島美術財団 鹿島出版会, 2001年10月01日, 53, 121, 高階秀爾、加須屋誠、小佐野重利、小池寿子、有賀祥隆, 鹿島美術財団で行っている連続美術講演会(講演会は平成12年10月)での講演録。高階秀爾司会。日本美術史の加須屋氏が「不浄と浄土」と題して日本における他界観、不浄観について発表し、西洋美術史の小佐野重利氏がコメンテータとなる。私は「腐敗と救済」と題して発表し、日本美術史の有賀祥隆氏がコメンテータとなる。ヨーロッパにおける身体観のなかで、腐敗がいかに捉えられてきたのか、哲学・文学・思想の文献を引用しつつ、美術作品での表現を追った。
随筆:「身体をめぐる断章8 不信の手 身体の内部へ」, 『SPAZIO』, ジェトロニクス・オリベッティ株式会社 広報部, 2002年03月01日, 前7回までは6.『描かれた身体』に収録。この8回から身体の内部へと展開する。内部は、血液(肝臓)、心臓などを扱う予定。今回は、マリアが処女であることを疑って触れようとし、手が萎えた産婆のサロメと、イエスの復活を信じずに右脇腹の傷口に手を入れた聖使徒トマスを取り上げ、身体の内部へ差し込まれた不信の手について論述した。
随筆:「終の棲家-ペトラルカの場合」, 『IS-特集 終わり方の研究』, 88号, ポーラ文化研究所, 2002年09月01日, 1970年代より続いた雑誌「IS」の最終号。それに適して、特集名は「終わり方の研究」。私は14世紀イタリアの文人ペトラルカの生涯を追い、終の棲家の選び方の一例とした。故郷を離れ、南仏アヴィニョンを含めて各地を彷徨したペトラルカは、教皇庁役職の他、周知のごとく文学作品を残した。そこに読みとれるのは、古代ローマの哲人・政治家セネカ、キケロの死生観と、近代的自我を抱えて苦悩する自身の死生観である。彼の終の棲家アルクァの地は、その中庸と平安の理想郷を求めた晩年の境地に適った「港」であった。
「ヨーロッパ「死の舞踏」巡礼-運命の車輪」, 『論座』, 2005年4月号~2006年3月号, 朝日新聞社, 2006年03月01日, 2006年03月, 在外研究員として2003年から4年にかけてヨーロッパに滞在し、取材した壁画や写本などを中心に、研究テーマである「死の舞踏」「三人の死者と三人の生者」などの死の図像の伝播と特性について、取材風にまとめたエッセー。運命の車輪に象徴される運命論との関わりで死の図像の本質を考察している。第1回「もぐらの王国へ」第2回「ベルリンの死霊」第3回「バルト海の輪舞」第4回「ボヘミアの農夫」第5回「パリの錬金術師」第6回「ブルターニュの岐路」第7回「教会から書物へ」第8回「北イタリアの狂気」第9回「イストラ半島の幽霊船」第10回「ベラム墓地の守護霊」第11回「モン・サン・ミッシェルの魔界」第12回「円環からの上昇」。
「「あるがままに」「生けるがごとく」描くことについて」, 『絵画の制作学』, 日本文教出版, 2006年05月01日, 美術制作を志す者への教科書のためのエッセー。13世紀から15世紀のヨーロッパに残る画家や彫刻家の記銘、また手帳に、Au Vifという言葉が使われている。「生けるがごとく」「あるがままに」と訳されるこの言葉は、現実をあるがままに描写しようとする芸術家たちの理念を示す。しかしこの写実とは、必ずしも実物の正確な写しでない場合もある。すなわち、手本や記憶にもとづいて、あたかも実見しているかのように描く場合にも用いられているのだ。中世芸術における写実、ひいては芸術における写実とは何かを問う。
「身体をめぐる断章 その12 肝臓の不思議」, 『Spazio(スパチオ)』, 第65号, Getronics, 2006年05月01日, 「身体をめぐる断章」連載12回目。Web。肝臓は人体の中でも重要な器官として認識されてきた。造血、浄化の機能を有するとみなされ、プラトン、アリストテレス、ガレノスらによって、頭、心臓についで動物的霊魂の宿りの場との説が継承されて、近代医学の黎明期までその不動の位置を保ってきた。のみならず、古代メソポタミアから、とくにイタリアの先住民族であるエトルリア人は、肝臓を用いた占いを行い、古代ローマでも占いの主要な方法となっていた。肝臓に託された機能を医学・哲学・神話などの方向から分析した。
(http://jp.getronics.com:8100/today/spazio/spazio65/koike.htm)
対談:「『ダ・ヴィンチ・コ-ド』のOとX」, 『芸術新潮』, 2006年6月号, 新潮社, 2006年05月01日, 14, 47, 小説・映画『ダ・ヴィンチ・コード』を美術史的に読み、見た場合にどのような問題点、着眼点が浮かび上がるか、本学の宮下誠教授との対談を通じて明らかにした。
インタビュー記事:「柄澤齋 インクは歴史の血液である」『芸術新潮』Speak low(インタビュー), 『芸術新潮』, 2006年10月号, 新潮社, 2006年09月01日, 102, 105, 日本有数の小口木版画家 柄澤斎 氏への単独インタビュー。自著『屍体狩り』(白水社初版)の表紙を担当してくださった柄澤氏とは、死とイメージという共通の研究テーマをもち、共同の仕事を手がけてきた。氏の稠密な版画世界の根底にある死生観・人間観を版画というメディアとの関係で語ってもらった。
「骨と美術」, 『再生』, 第62号, 葬送の自由をすすめる会, 2006年09月01日, 26, 30, NPO法人 葬送の自由をすすめる会が主催する骨シリーズ講演第3回(2006年4月22日、於 國學院大學百周年記念講堂)講演録。古代以来、芸術は葬送儀礼と深く関わって発展してきた。今回は、骨の表現がいつから出てくるか、それはどのような役割を担っていたか、を古代から近世までを辿った。
「モン・サン・ミッシェル-地の果ての異界」, 『地中海学会月報』, 297号, 地中海学会, 2007年02月01日, 2006年11月25日ブリジストン美術館で行った地中海学会秋季連続講演「世界遺産シリーズ」第4回の要旨。フランスの世界遺産モン・サン・ミッシェルの歴史的変遷を概観。さらに自身の研究テーマである死の図像、運命の車輪の関係についての新知見を述べた。
「上昇のセオリー」, 『穹プラス』, vol.12, ヤマギワ株式会社広報室CUE+
ランダムハウス講談社, 2007年10月31日, 16, 21, 同雑誌 特集 きざはし=階段あるいは階梯について
中世キリスト教美術における梯子、階段のイメージとその宗教的意味を探った。梯子や階段は古来、天上界と地上を結ぶ架け橋であるが、キリスト教では、旧約聖書「ヤコブの梯子」を典拠とし、その意味はより限定されてくる。すなわち、厳しい修行とたゆまぬ道徳の実践によって、その梯子を通じて天上へ上昇することができるようになると説かれたのであった。梯子は天上へ上昇する手段のみならず、自己の完徳のめやすになるのである。
「身体をめぐる断章 その13 体液の脅威」, 『SPAZIO』, no.66, NTTデータジェトロニクス株式会社文化広報誌, 2007年06月20日, 「身体をめぐる断章」連載13回目。前回の「肝臓の不思議」に続き、「体液の脅威」と題して、古代以来人間の身体をめぐる四つの体液といわれていた黄胆汁、黒胆汁、血液、粘液について論じた。とくに今回は肝臓との関係で胆汁に絞ったが、血液については次回詳述する予定。四体液は人間の気質までも規定してゆくとみなされる一方、病とは、こららの四体液の過剰や不足に起因するとされ、体液ことに血液を抜く瀉血が、近世にいたるまで医療で重んじられた。また黒胆汁はメランコリー気質の原因としてルネサンス以降、天才と狂気の決定に関わった。次回は血液について詳述する。
「ローマの壁」, 『芸術新潮』, 第58巻11号, 新潮社, 2007年11月01日, 「みる」項目。ローマ皇帝アウレリアヌスによって築かれたローマの城壁について。
「身体をめぐる断章 その14 子宮の夢想」, Spazio, 67, NTT, 2008年01月01日, 広報誌「スパティオ」の連載。ウェブ。今回は、西洋絵画において子宮がどのように描かれてきたかを、聖母マリアの処女懐胎、医学書挿絵などを比較しながら追った。
血液の神秘, Spazio, NTTジェトロニクス, 2010年09月01日, 連載「身体をめぐる断章」のエッセー。今回は「血液」について、その象徴的な意味を美術史、医学、宗教から探った。
「身体をめぐる断章 その15 目という神話」, SPAZIO, no.68, NTTデータジェトロニクス, 2009年08月01日, 連載「身体をめぐる断章」の第15回。目について取り上げた。人体におけるきわめて重要な器官ゆえに、目には古来、象徴的な意味が賦与されてきた。その造形表現は、宗教美術においては、とくに神を表象し、また神秘の生命力を意味した。古代メソポタミアからキリスト教中世、さらに19世紀象徴主義の画家ルドンの目に至るまでの目の表現を追った。
身体をめぐる断章 その17 -心臓という墓, Spazio, No.70, NTTジェトロニクス, 2011年09月01日, Web上の連載。身体における心臓の重要性を、その医学・哲学・宗教学的な機能、形象、心臓にまつわる伝説などから解き明かす試み。『内臓の発見』最終章に続く内容をもつ。心臓を天に掲げる16世紀のルネ・ド・シャロンの墓碑彫刻をはじめ、死と愛の表象として心臓がいかに表現されたかを具体的な美術作品取り上げて探る。
アグリジェントのえび, 望星, 東海大学, 2011年07月01日, 「望星」にて連載されている「味」にまつわるエッセー。シチリアの古代都市アグリジェントの海老をもとに、イタリア古代文化とシチリア文化を語る。
ルーヴル美術館所蔵アンドレア・マンテーニャ作「美徳の城から追い出される悪徳」, サライ, 2011年01月01日, 好きな美術作品を取り上げてその解読の仕方、魅力を語る美術特集号。15世紀イタリアの画家マンテーニャの「美徳の城から追い出される悪徳」は、ルネサンスにおける道徳概念を独自の擬人像を使って表現した作品。小品ながら、精緻な描写と特異な造形表現によって異彩を放つ。ルーヴル美術館グランド・ギャラリーの秀作のひとつ。
「刻」ということ, たいせつな風景 特集:刻, 15号, 神奈川県立近代美術館, 2011年02月28日, 2, 4, ルネサンス期ドイツの版画家ゲオルグ・ペンツ作「時の凱旋」を題材に、「刻む」という事象について論じた。生、老い、死へと移り変わる人生の諸相を、まさに版を刻む版画として表現したこの作品は、「刻」の本質を表している。
フェルメールへの招待 (監修), 朝日新聞出版, 2012年02月31日, タミワオフィス、中村剛士、原朋希, 都内3か所で開催された展覧会に出品された17世紀オランダ絵画の巨匠「フェルメール」にちなんだ入門書。フェルメールの全37点を収録し、複数のコラムを設けてフェルメールの美術史上の問題や意義、技法や修復問題、また同時代の画家の紹介しており、17世紀オランダ美術の総覧ともなっている。
マウリッツハイス美術館展公式ガイドブック
オランダ・フランドル絵画の至宝(監修), 朝日出版, 2012年06月20日, タミワオフィス、中村剛士、橋本裕子、上村久留美、情報技研, 「マウリッツハイス美術館展」(東京会場:都美術館 2012年6月30日~9月17日)の公式ガイイドブック。とくに17世紀オランダ絵画の巨匠フェルメールの代表作「真珠の耳飾りの少女」が来日したため、同作品を中心にしながらも17世紀オランダ絵画の特質を詳細に分析した。