道徳学習の方法論に関する一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第10号, 24頁, 31頁, 2023年03月31日, 日本道徳教育学会神奈川支部, わが国の道徳教育のための時間は明治時代の学制開始期より、価値伝達型の指導形態が主であった。本稿が脱稿した2022年度は学制発布より150年の節目に当たる記念すべき年であったが、その間大きな大戦を挟んで戦前・戦後のわが国道徳教育の在り方は「修身口授」⇒「修身科」⇒「道徳の時間」とその制度的な理念こそ大きく変貌したものの、指導の本質な在り方は価値伝達型教育であった。平成27年の学校教育法施行規則改正に伴って誕生した「特別の教科 道徳」=道徳科も既に小学校で5年間、中学校で4年間の実践実績をもつに至ったが、その指導の基本はやはり「価値伝達型道徳授業」に陥っている。今日標榜されるの「令和の日本型学校教育」で求められているのは、OECDラーニングコンパス2030の主要概念であるStudent Agency=学習者主体性の重視である。特に個の道徳的価値観形成に寄与する道徳科授業においてはより学習者の主体性がより尊重され、それが最大限に発揮されるような価値探求型道徳科授業の在り方を模索すべきである。そのような視座に立ち、価値伝達型道徳授業から価値探求型道徳科授業への道徳学習の質的転換を提言した。
価値伝達型道徳授業から価値探求型道徳科授業への転換必然性の検討, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会機関誌『道徳と教育』, 第341号, 77, 80, 2022年10月01日, 日本道徳教育学会, 2014年10月の中教審答申「道徳に係る教育課程の改善等について」を受け、学校教育法施行規則一部改正によって誕生した「特別の教科 道徳」=道徳科であるが、そのカリキュラムや指導方法は学習指導要領に示された内容項目をそのまま主題として取り上げて教材を用いつつ理解・感得させるような価値伝達型授業がいまだに支配的である。ただ、2016年12月中央教育審議会答申を受けて翌2017年3月の小中学校等学習指導要領全面改訂では「主体的・対話的で深い学び」を基調とした学習観への転換が求められ、道徳科では「考え、議論する道徳」が強調された。それを受けた2021年1月の「令和答申」では主体的な学習の姿として「個別最適な学び」と「協働的な学び」が提案され、生徒エージェンシーの重要性が強く求められるようになった。この一連の動向を勘案すると、これからの指導では従前の価値伝達型道徳授業から児童生徒自身が自ら能動的に価値を探求しながら自らの価値観形成をしていけるような「価値探求型道徳科授業」への転換が重要であり、その点について本稿では詳細に論述した。
道徳学習における協同的な学びの意義についての考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第9号, 4, 11, 2022年03月31日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 日本の学校における道徳教育では、特別の教科 道徳=道徳科が重要な役割を担っている。そこでの道徳学習では、学習者相互の協同的な学習としての対話活動がとても重要や役割を果たしている。今後、道徳科が道徳科教育学として発展していくためには、学習者相互の道徳学習を個別的な側面と統合的な側面とからその軸となっている対話活動のについてさらに検討することが必要である。学校教育では既に全面実施されている道徳科だが、今後ますますの充実・発展を考えるとその中での協同的な学びとしての対話活動についてさらに考察していくことが重要である。
道徳科教育学の定立に関する一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第8号, 4, 11, 2021年03月31日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 平成27(2015)年3月の学校教育法施行規則及び学習指導要領一部改正によって義務教育学校に従前の「道徳の時間」から「特別の教科 道徳」=道徳科へと移行転換されたが、教科教育学としての学問的基礎付けやその運用に係る方法理論等はまだ未定立のままである。道徳科が道徳科教育学として定立するためには、やはり教科教育学としてその基底を成す道徳科教育内容構成学と道徳科教育方法学という2視点からの理論構築が不可欠である。教育現場においては既成事実として開始されている道徳科ではあるが、今後の充実・発展を視座する立場から教科教育学としての道徳科を適正に基礎付け、学校における教育課程編成上の理論的な整合性と妥当性を明確化させていくことを研究目的とした。
道徳学習における「問い」の考察ーグループ・モデレーションの視点からー, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』第7号, 第7号, 5頁, 13頁, 2020年03月31日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 平成27(2015)年3月の学習指導要領一部改正によって小・中学校等の教育課程に「特別の教科 道徳」=道徳科が誕生した。そこでは新学力観に基づき道徳的資質・能力形成に基づく道徳性の育成が求められ、それを実現する「主体的・対話的で深い学び」を目指して「考え、議論する道徳」が求められるようになった。本論文では、その具現化を目指す道徳科においては子ども自身の主体的学びを実現する原動力として「問い」が必要であること、それらの問いを追求するためには1主題1単位時間での指導より、テーマに基づく複数価値多時間指導のパッケージ型ユニットが有効であること、子どもの学びを動機付ける「問い」をグループ・モデレーションによって実現していくことで子ども自身が自らの学びや自己成長の足跡を確認できること等について論述した。
自らの生き方を問い直す課題探求型道徳科授業とパッケージ型ユニット, 田沼茂紀, 日本授業UD学会機関誌『授業UD研究』, 第7号, 27, 31, 2019年07月14日, 日本授業UD学会, 道徳科授業におけるユニバーサルデザインの前提となるのは、当たり前のことであるがともすると副次的に取り扱われてしまう「児童生徒の道徳学びをきちんと保証してあげる」という学習環境整備の視点である。ここで言う学習環境整備とは、教室内の環境を整えるといったことや授業を理解しやすくするためにICT教育の観点から学習機器を整備するといったことではない。本論文では教科教育学の視点から、道徳科で目指す学びについての分析とそれに基づく道徳科ユニバーサルデザインの基本構想を明らかにした。その基本構想のポイントは2点あり、前者は児童生徒一人一人が自らの道徳学びを紡ぐという「課題探求型道徳科授業プロセス」の提案である。後者は、そのような課題探求型道徳科授業が児童生徒の内面で一連の連続性ある道徳学びとなるよう開発した入れ子構造による「道徳科パッケージ型ユニット」の提案である。なお、このパッケージ型ユニットを効果的に機能させるためのカリキュラム・マネジメントの方法についても本論文では言及した。
特別支援教育における道徳学習方法の研究, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第6号, 5, 11, 2019年03月30日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 義務教育学校における道徳科が平成30年度より実施されたが、特別支援学校や特別支援学級、障害を有する子供を受け入れる交流級においては混乱が拡大している。教科書をもちいてその学び評価もしなければならない道徳科を特別支援教育という枠組みの中でどう実現していくのか、その取組に向けた現状と課題は何であるのか等を把握するため、本研究ではメールによるヒアリング調査を実施した。そこで浮かび上がってきた問題点は合理的配慮を有する子供達にどう一斉授業でない道徳学習を実現するかという現実的課題である。本研究では、個別的な道徳学習の実現という視点での現実的な提言を行った。
道徳科カリキュラムに関する一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第5号, 4, 11, 2018年03月30日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 平成30(2018)年4月より義務教育学校では順次、道徳の時間から「特別の教科 道徳」へと転換移行する。その道徳科の実施においては「指導と評価の一体化」が喫緊の課題となっているが、それを実現していくためには(1)道徳科そのものがもつ教育指導の特殊性理解・把握、(2)小単元構想によるカリキュラム開発とカリキュラム・マネジメントの必然性理解が不可欠である。本論文では道徳科における「指導と評価の一体化」実現という視点から、カリキュラム開発およびカリキュラム・マネジメントを推進するための教育指導方法理論について論述した。
「考え、議論する道徳」とは何か ~道徳科が目指すものとは~, 田沼茂紀, 授業づくりネットワーク『実践!道徳授業』, No.28, 14, 21, 2018年01月01日, 学事出版, 2018年度より全面実施される「特別の教科 道徳」=道徳科のキーワードともなっている「考え、議論する道徳」の教育的意義とその指導方法論的な理念について論述した。道徳科では「議論すること」が求められているわけではなく、子供相互が互いの見方・考え方を開示し合うプロセスで多くの人が共有できる「共通解」を見いだし、それを基にして個としての主体的な吟味・検討の結果としての「納得解」を紡ぐことが翻意であることを明らかにしていった。特に、その過程における他者対話と自己内対話による道徳的思考深化は双方向的なものの見方・感じ方・考え方の交流によって初めて可能になることを解明して論述した。
教科「道徳」をどう構想すべきか, 田沼茂紀, 日本弘道会機関誌「弘道」, 第1107号, 2, 8, 2017年04月30日, 日本弘道会, 平成27年3月に学校教育法施行規則が改正され、義務教育学校の教育課程に「特別の教科 道徳」=道徳科が新たに創設されることとなった。本稿では、従前の領域として位置付けられてきた「道徳の時間」が払拭できなかった道徳教育忌避感情や軽視傾向の実態を前提に、どう教科教育学の視点から道徳科を再構築できるかという視点で論じた。具体的には「特別の教科 道徳」を「道徳科教育学の視点から道徳教育内容学と道徳教育方法学の両面から構想し、学習指導要領を内容学的な視点から精査・検討する必要性があることを訴えた。
実効性ある道徳科を具現化するためのアクティブ・ラーニング導入とその可能性, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会機関誌『道徳と教育』, 第335号, 83, 92, 2017年03月31日, 日本道徳教育学会, 本論文で論じたのは、アクティブ・ラーニングの視点に立った道徳科授業の基本的な考え方についての見解と、これまで忌避あるいは軽視されがちだった道徳授業を教科教育学的視点に立つ指導方法論へと転換することで実効性あるものにしていこうとする提案である。具体的な方法論的改善提案としては、教科教育では当たり前となっている課題探求型授業への転換、さらにはパッケージ型ユニットによる子供の主体的自立性を重視した道徳科授業創造の基本的考え方である。
道徳授業イメージに関する一考察 ~道徳教育忌避感情・軽視傾向の視点から~, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第4号, 6, 12, 2017年03月30日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 平成27年3月、わが国の義務教育学校における道徳教育の要として教育課程の一領域と位置付けられてきた「道徳の時間」が「特別の教科 道徳(道徳科)」へと転換した。今般の教科化によって従前より根強かった児童・生徒および教師の道徳教育忌避感情や軽視傾向はどう変化したのかを意識調査によって明らかにしようとしたのが本研究である。その前提には、平成15年に神奈川県内小学校で実施した「道徳授業イメージ調査」がある。今般の教科化に伴って児童群・生徒群・教師群の意識はどう変化したのかを精査・検討するために前回と全く同一項目で同じ神奈川県内小・中学校3校で再調査を実施した。その結果、生徒群では相変わらず道徳教育忌避傾向や軽視傾向が強いものの、児童群ではネガティブな傾向はそれ程ではなかった。また、教師群も前回調査に比べて道徳授業への関心が高まっていることも確認できた。また、これからの道徳科授業充実の視点から捉えるならば、児童群・生徒群が現行の道徳授業で嫌いな理由として挙げている事柄と、好きな理由として挙げている事柄が表裏一体の関係であることも明らかになった。
「特別の教科 道徳」が克服すべき課題とその解決方策の検討 ー道徳教育忌避感情および軽視傾向改善を中心にー, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会機関誌『道徳と教育』, 第333号, 145, 152, 2015年03月31日, 日本道徳教育学会, 本稿はいじめ問題に端を発して「特別の教科 道徳」が誕生した経緯を考察しつつ、今後の道徳教育改革を阻む要因としての道徳教育忌避感情および軽視傾向の実相について明らかにした。そして、それらの要因が生じてきた背景を解明すると同時に、今後乗り越えるべき課題を抽出しながらそれらを克服する手立てを検討し、教科教育型道徳授業への転換を図ることの必要性やその指導プロセスの在り方を提案した。つまり、「道徳の時間」から「道徳科」へ転換することは、心情論一色に塗りつぶされた道徳授業から、目標⇒内容⇒教材⇒指導法⇒道徳的学び評価という一連のプロセスを明確化することそのものであるとの指摘である。
生命尊重教育の方法論に関する一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第2号, 2015年03月30日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 本研究では現代の子どもが抱える心の深層と対峙し、生命尊重を基底にした望ましい人間関係構築への方法論について検討を加えることを目的とした。そして、その際、学校における生命尊重教育が内包する問題点の特殊性についても言及した。本研究で対象としてイメージしている生命とは、「生命」と「人生」という双方向的な意味合いをもつ単語“life”から派生する「個の生命(いのち)」に内包される固有性、有限性、独自性、有意味性、連続性、神秘性等々を総称する概念によって形成されるものである。そして、その概念を学ぶための教育は生命を尊重(respect)しつつ、それに付随して発生する様々な問題の先にある生命への敬意(esteem)について学ぶ「生命(life)の教育」である。本研究では、それらの教育が取り組みの努力の割に有効に機能しなかったり、反面教師的に子どもたちの内面に微妙な陰を落としたりしている現実を検証し、看過できない生命軽視事案の連鎖傾向を断ち切るための生命尊重教育を推進するための視点を検討した。そして、そのキーワードとして取り上げたのが「当事者性」の問題である。
道徳授業評価に関する基礎的研究ー実践的アプローチへの検討ー, 田沼茂紀, 國學院大學「人間開発学研究」, 第6号, 2015年02月28日, 國學院大學人間開発学会, 本論文は平成26~28年度科学研究費助成事業「基盤研究(C)課題番号26381285」の研究成果の一端を公表したものである。本研究で目指したのは、道徳授業における子どもの学びと教師の指導法評価とを両側面から可能にする評価観点設定について実践方法論的視点から検討することである。子どもの道徳的学びと教師の学習構成の関係性を意味付けるような双方向的な評価観点を設定するためには、「真正の評価」論と「逆向き設計」論とに依拠する教科教育学的視点が不可欠である。本研究では、観点構成手法として縦軸にその授業で期待する学習内容構成要素を、横軸に道徳的成長要素を配置して評価観点を明確化する「二次元マトリックス法」を提案した。
子どもの自己評価を基盤にした道徳授業評価についての一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会神奈川支部研究紀要『道標』, 第1号, 6, 13, 2014年03月30日, 日本道徳教育学会神奈川支部, 学校教育における道徳授業が領域から教科へと転換しようとしているが、その際に問題となるのが道徳授業評価にかかわる実施方法である。本論文では道徳授業評価を子どもの道徳的学びの視点から捉え、ポートフォリオに基づく個人内アセスメント評価によるパフォーマンス評価を提起した。パフォーマンス評価にはパフォーマンス課題が不可欠であり、そのパフォーマンス課題に基づいて評価観点としてのルーブリック指標が設定され、下位尺度としてのスケールを適宜設定することで客観性の伴う見取りが可能となることを評価モデル図で提案した。
PBL方式による教員養成支援プログラムの実践とその課題, 田沼茂紀, 國學院大學「人間開発学研究」, 5号, 19, 35, 2014年02月28日, 國學院大學人間開発学会, 本稿では、教員養成カリキュラムが教免法等の縛りからどうしても予定調和論的な構造になりがちである点を指摘し、教職の必須な要件として求められる「主体的な意思力」形成のためには、教職課程での学びを相互補完的に強化する横軸として機能する総合的・横断的な学びの場が必要であることをPBLカリキュラムによる教員養成支援プログラムの実践を通して検証した。
教育実習と関連科目の有機的運用~教職関連科目で育つ資質能力についてのアンケート調査分析から~, 田沼茂紀, 國學院大學「人間開発学研究」, 5号, 161, 179, 2014年02月28日, 國學院大學人間開発学会, 成田信子、柴田保之、寺本貴啓
国際理解教育としての道徳教育展開の視点, 田沼茂紀, 月刊『道徳と特別活動』, Vol.29 NO.9, 10, 11, 2012年12月15日, 文溪堂, わが国におけるこれまでの国際理解教育の足跡を踏まえながら、これからのグローバル化社会における新たな国際理解教育展開の方向性を示すと共に、道徳教育における「郷土愛」、「愛国心」、「国際理解」といった内容項目の指導と関連づけてどのように実践すればよいのかを提言した。
「田島体験学校における人間開発の理念とその実践」, 田沼茂紀, 『國學院大學人間開発学研究』, 第1号, 54, 61, 2010年02月28日, 國學院大學人間開発学会, 大正末期から昭和初期に隆盛を極めたわが国の新教育運動の中で、とりわけ異彩を放った田島体験学校での教育実践を人間開発の視点から考察した。この田島体験学校では、ドイツ文化教育学を理論背景とし、地域社会の文化財に体験的に触れる活動を通して個々の子どもの精神構造開発を図ろうとするところに特色がある。本論文は田島体験学校での取り組みの概要を明らかにし、人間開発という点に限定して検証した。
学校小規模化のメリットを生かす全校的な道徳学びの創造 : 小規模校における全校道徳授業実践を中心に(【テーマB-10】道徳教育の改革動向,テーマ型研究発表II,発表要旨), 田沼 茂紀, 日本教育学会大會研究発表要項, 68, 0, 384, 385, 2009年08月28日, 一般社団法人 日本教育学会, 学校規模が急速に小規模化する傾向にある高知県内の道徳教育実践事例として、高知県安芸郡馬路村立魚梁瀬中学校における全校道徳の取組とその成果等についてその成果と課題について検討した。
「生命尊重教育推進のための生命観把握尺度の開発」, 田沼茂紀, 高知大学附属教育実践総合センター紀要「教育実践研究」, 第23号, 9, 16, 2009年03月31日, 高知大学附属教育実践総合センター, 学校における生命尊重教育を推進していくためには、教師間のコンセプト形成と指導にかかわる子どもの生命観把握が不可欠である。本研究では、生命尊重教育を有効に機能させるための課題を検討しながら生命観把握尺度を開発した。
「学習教材としての絵本選定スケール開発とその実践的活用について」, 田沼茂紀, 高知大学附属教育実践総合センター紀要『教育実践研究』, 第22号, 2008年03月01日, 高知大学教育学部附属教育実践総合センター, 田沼茂紀(1st)、溝渕純子、尾崎美保、野本真理、竹内磨吏, 学校教育の前提は、生命尊重である。その生命尊重教育を推進し、有効に機能させていくためには、カリキュラム編成に関わる教師間の合意形成が不可欠である。例えば、生命観の共有等である。本研究では、小学生・中学生・大学生を対象に実施した調査結果からカリキュラム編成上の問題点を検討した。
「義務教育段階における生命尊重カリキュラム構想の課題」, 田沼茂紀, 高知大学附属教育実践総合センター紀要『教育実践研究』, 第21号, 97, 104, 2007年03月01日, 高知大学教育学部附属教育実践総合センター, 学校教育の前提は、生命尊重である。その生命尊重教育を推進し、有効に機能させていくためには、カリキュラム編成に関わる教師間の合意形成が不可欠である。例えば、生命観の共有等である。本研究では、小学生・中学生・大学生を対象に実施した調査結果からカリキュラム編成上の問題点を検討した。
「教育運動期の田島体験学校における道徳的体験の意義」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №325, 92, 109, 2007年03月01日, 日本道徳教育学会, わが国の教育会にあって、大正期から昭和初期の時代は、デューイ等の児童中心主義教育思想を基底にした新教育運動が席巻した時代であった。その中でシュプランガー等のドイツ文化教育学の視点から体験教育に取り組んだ田島体験学校での教育改革の考え方や徳育教育実践について精査し、現代に通じる教育方法論的な示唆を求めた。
「郷土に生きる誇りと自信をはぐくむ地域発信型カリキュラムの創造」, 田沼茂紀, 『初等教育資料』, №815, 1, 3, 2006年12月01日, 文部科学省教育課程課, 大正デモクラシー期、民主化の世論を背景に、当時のヘルバルト学派の影響による硬直化した義務教育を改革をしようとする欧米児童中心主義教育思想に基づく新教育運動が全国の津々浦々で展開された。そんな中で地域の事物・事象を教材化し、体験カリキュラムによって子どもたちを育もうと奮闘したドイツ文化教育学理論に基づく特色ある教育活動を展開した田島体験学校教育の事例を取り上げ、地域発信型カリキュラムの意義と必要性について今日的示唆という視点から論述した。
「高知県の公立学校における一貫教育推進の課題」, 田沼茂紀, 高知大学附属教育実践総合センター紀要『教育実践研究』, 第20号, 79, 86, 2006年03月01日, 高知大学教育学部附属教育実践総合センター, 小1プロブレムや中1ギャップが問題視される昨今の教育制度を問い直し、どのように連続的な学びを構築していくことが可能なのかを、高知県の現状を前提に考察した。特に、限定された地域においては、就学前教育から義務教育修了までの12年間にわたった一貫教育も可能である点について言及した。
「臨床的視点から見た道徳授業改善の可能性」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №324, 77, 93, 2006年03月01日, 日本道徳教育学会, 道徳学習は個々の子どもの内面に働きかけ、その主体的な学びによってのみしか指導効果を期待できない。その具体的な方策として、子どもの学びの中に教師が心情的に身をおく臨床的な視点が不可欠であることを、絵本活用授業展開例をもとに論述した。
「教育課程編成・運用の視点から見た高知県における学校適正規模の検討」, 田沼茂紀, 高知大学附属教育実践総合センター紀要『教育実践研究』, 第19号, 79, 86, 2005年03月01日, 高知大学教育学部附属教育実践総合センター, 全国的に比べ、高知県内の学校は圧倒的に小規模校の割合が高い。しかも、地理的制約や人口の偏りといった複雑な要因を抱えている。健全な学校運営、教育課程編成という視点から、適正規模をどのように考えていくのか、不可能ならどのように同一地域内でカリキュラム編成等で連携できるかを論述した。
「道徳教育を未来の教師に託すための方法論的な改善の試み」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №322・323, 57, 70, 2005年03月01日, 日本道徳教育学会, 道徳教育充実のキーワードは、教員養成であるとの視点から、教職志望学生にどう道徳教育の意義について理解を深めさせ、どう実践的指導力形成を具現化していくことが可能なのかを大学生の意識調査を手がかりに検討し、養成のあり方について言及した。
「道徳の時間を巡る諸課題の検討とその改善に関する一考察」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №318・319, 11, 20, 2004年03月01日, 日本道徳教育学会, 道徳教育の具体的かつ有効な手立てとして道徳の時間が特設され、早半世紀を経ようとしている。なぜ初期の目的を発揮することができなかったのか、その要因を精査し、今後の諸課題を解決する有効な方法論的な指導展開のあり方について詳細に論考した。
「道徳授業を支える児童と教師の心理的側面の検討PARTⅠ」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №314・315, 175, 181, 2003年03月01日, 日本道徳教育学会, 子どもの道徳的なものの見方、感じ方、考え方に少なからぬ影響を及ぼすものが、教師の価値観や態度等に象徴される潜在的カリキュラムの存在である。本研究では、教師集団を対象にした意識調査を実施し、統計学的な手法を駆使してその要因を分析・検討し、授業改善に有益な具体的方策について提言した。
「総合的な学習が及ぼす道徳学習促進効果に関する研究」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №310・311, 158, 171, 2002年03月01日, 日本道徳教育学会, 総合的な学習の時間の創設によって、各教科・道徳・特別活動をまたぐよう横断的・総合的な「知の総合化」という考え方に根ざした学習が可能となった。本研究では、従来より取扱いが難しいとされてきた道徳学習における国際理解・親善のクロスカリキュラム構成と評価方法を検討した。
「道徳的体験の経験化を意図した道徳授業の試み」, 田沼茂紀, 『道徳教育方法研究』, №7, 41, 50, 2001年12月01日, 日本道徳教育方法学会, 道徳教育においては、子どもの豊かな体験に根ざした道徳性の育成が重視されている。しかし、教育学的な視点で捉えるなら、体験はあくまでも体験であって、それ以上の教育効果は期待できない。そこで、本研究では豊かな体験をどのうように経験へと高めたらよいかを「経験化」の視点から論考した。
「道徳授業評価のための『道徳学習印象尺度Ⅱ』の開発」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №308・309, 91, 99, 2001年08月01日, 日本道徳教育学会, 道徳教育における評価は個々の子どもの内面的なものであるがゆえに、その見取りが難しいとされてきた。その点を勘案し、子どもがどのように道徳学習に自分が関わることができたのかという多変量解析的な手法を用い、学習印象をもとにした授業評価尺度を開発し、その活用等についてまで言及した。
「道徳学習用パソコン・ソフトウェアの効果と課題」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №306・307, 148, 163, 2000年11月01日, 日本道徳教育学会, 道徳学習においては教科等に比べ、あまりIT情報活用が進められていない現状がある。しかし、道徳的な学びを促すツールとしてのパソコン活用等には、今後大きな期待がもてることも事実である。本研究では、パソコン情報としての資料提示とその活用による学習促進効果について多変容解析的な授業分析手法を用いて言及した。
「次世紀に向けた道徳教育方略」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №304・305, 96, 101, 2000年06月01日, 日本道徳教育学会, 道徳教育の充実方策は、これまで様々な方策が試みられてきた。特に、学校教育だけでなく、家庭や地域といった子どもの日常生活経験と密接に関連しあう郊外生活における道徳教育をどのように進めればよいのかという問題は重要視されなければならない。理念を掲げてこその道徳教育である点について言及・提言した。
「子どもの人権意識を育む」, 田沼茂紀, 『形成』, №15, 36, 45, 1999年03月01日, 川崎教育文化研究所, 道徳教育は個の権利を是認し、積極的に擁護しようとする基本的な立場が前提としてなければならない。そのためには、子どもの人権意識の根底にる個の問題意識の掘り起こしが不可欠である。本稿では、子ども自身が企画・実践した人権集会という事例を通して、個の人権意識を拡大するための試行過程を方法論的に論述した。
「道徳学習における自尊感情形成要因の検討」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №300, 75, 83, 1999年02月01日, 日本道徳教育学会, 子どもの道徳的価値観形成において、自己へのまなざし(自尊感情)は多大な影響を及ぼす。子ども自身が自らの善を志向する生き方を肯定できなければ、それ以上の道徳的成長は不可能である。本研究では、表裏一体の関係にある道徳形成と自尊感情との関連およびその要因について言及した。
「児童の学習動機分析に基づく横断的道徳授業プログラムの検討」, 田沼茂紀, 『生徒指導』, №1, 2, 27, 1998年04月01日, 上越教育大学生徒指導研究会, 道徳教育を方法論的視点から捉えると、イデアリズムとは対極の道徳指導方法論という教科教育的な考え方がある。その立場に立つなら、道徳授業にも教科学習同様に学習動機が不可欠であろう。本研究ではその部分に視点を置きながら、子どもの学習動機分析に基づいた授業プログラムの構築と抽出児童の変容について実証的に分析・検討した。
「ロジャーズ理論と道徳教育の今日的な課題」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, №300・№296・297号合併号, 329, 334, 1997年11月01日, 日本道徳教育学会, 道徳教育とカウンセリングはその方法論的目的こそ異なるが、人間理解あるいは自己開発といった部分では共通であることに着目した。具体的には道徳的非指示的カウンセリング療法で知られるロジャーズの理論を道徳教育の視点から再検討し,個の内的対話を軸にした価値観形成を目指す道徳教育への援用を試みた。
「道徳の時間の評価に関する研究」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, NO.292・293号合併号, 180, 186, 1996年11月01日, 日本道徳教育学会, 道徳教育学会賞の受賞論文である。これまで難しいとされてきた道徳教育における教育評価を根本から問い直し、評価スケール作成へと発展させたところに本論文の意義がある。具体的には、道徳の時間における子どもの学びを評価するための考え方や方法論を整理し、そこから「道徳学習評価尺度」を開発した。また、それの活用に向けた実践的評価の在り方についても論じた。
「家庭・地域連携を視座した道徳教育の今日的課題」, 田沼茂紀, 『道徳と教育』, NO.290・291号合併号, 242, 246, 1996年05月01日, 日本道徳教育学会, 道徳教育は、学校・家庭・地域が相互補完的に機能してその指導効果を発揮する。近年、その家庭・地域教育力の低下が叫ばれ、子どもの価値観形成に様々な影響を及ぼしているが、道徳教育を主体的に担う学校は家庭・地域とどう手を携えて道徳教育を進めればよいのかを生活者として子どもの視点から論述した。
「表現活動構想による道徳授業が児童の主体的学習に及ぼす効果に関する研究」, 田沼茂紀, 『上廣道徳教育賞受賞者論文集』, 21, 42, 1995年06月01日, 財団法人 上廣倫理財団, 表現活動構想とは、子ども自身が自らの道徳的なものの見方、感じ方、考え方を発露させることで学習者自身の主体的な道徳的学びを実現し、その結果として個の確かな道徳的価値観形成を促す方法論である。基本、感得、発展表現という3段階の学びのプロセスを、統計的手法を駆使して授業評価の視点から分析した。
「一人一人の内面に働きかけ、生命尊重意識を高める指導法の研究」, 田沼茂紀, 『川崎市総合教育センター研究紀要』, 第5号, 99, 142, 1992年06月01日, 川崎市総合教育センター, 田沼茂紀(1st)・松下京子・長谷見道夫・要辰也・橋本貞和, 平成10年の小中学校学習指導要領において、生命に対する畏敬の念が目標に明記された。この生命に対する畏敬の念は道徳教育の根幹を成すものである。本研究ではこの具現化に向け、生命尊重教育を推進する上で不可欠な児童・生徒の生命尊重意識調査を実施し,その分析結果を受けて指導法や指導資料の在り方を検討した。
幼児期における道徳性の芽生えの培い, 田沼茂紀, 初等教育資料, 2023 年10月号 NO.1038 , 78, 81, 2023年10月15日, 文部科学省教育課程課/幼児教育課, 幼児教育特集テーマ「道徳性の芽生えを培う」を受け、幼児期における道徳性の育みについて具体的な理解やその手立て等について論じた。特に、幼児期において「道徳性の芽生え」をどのように受け止め、そこでの「心の知性」を具体的な日常的道徳生活の中でどのように育んでいけばよいのかについては、教育実践家グウェン・ドティ(2004)の著書『「こころの知性」を育む』(松村京子監訳)で展開されている理論と実践方法論等を援用しながら幼児理解の大切さと道徳性の芽生えを促す教師や保育者の姿勢について論述した。
価値探求型道徳科授業を実現するパッケージ型ユニット理論, 田沼茂紀, 『道徳教育』4月号, NO.778, 78, 79, 2023年04月01日, 明治図書出版, 本論考は、これから1年間かけて中学校実践家とリレー連載することになった「パッケージ型ユニットで創る中学校道徳授業」と題する企画の基本的な考え方を取りまとめて論じたものである。論旨のポイントは①道徳科におけるユニット型授業の考え方、②パッケージ型ユニットを構成するためのテーマの考え方、③生徒の主体性に基づく課題探求型道徳科授業構想の考え方、以上の3点である。これまで教師主導で展開することが常態化していた中学校道徳科授業の抱える課題を明確化し、その方法論的な改善策として生徒の主体性と対話性を重視した課題探求型授業構想理論を提唱・解説した。
学習指導要領の改訂と道徳教育の変遷「未来へと繋がる日本型道徳科授業実践を俯瞰する」, 田沼茂紀, 月刊『道徳教育』2023年3月号 , NO.777, 4, 9, 2023年03月01日, 明治図書出版, わが国の戦後における道徳教育の足跡を学習指導要領改訂の歴史と重ね合わせて考察し、どのような変貌を遂げながら今日に至っているのかを年代別に解説した。また、それと並行してこれからのわが国の道徳教育や道徳科授業はどのような視点から実践改革されなければならないのかを、「価値伝達型道徳授業から価値探求型道徳科授業」というキーワードで提案し、そのような授業形態へと転換させていくべき必然性について論じた。
道徳における『自己の生き方についての考えを深める』とはどのようなことか, 田沼茂紀, 道徳と特別活動, Voi.39 NO.4, 16, 19, 2022年09月15日, 文溪堂, 児童生徒が自己の生き方についての考えを深め、自らの内に豊かな人間性を育んでいくためには、個の「善さ」を受容する共生の視点が需要であることについて論述した。特に、道徳科で体現する「生き方学び」とするためには学級集団づくりが必要なことや、信頼感を基盤とした指導観に裏打ちされた授業づくりが前提になければならないことを強調した。そして、その指導のあり方についても言及し、具体的な実践指導の手立てとなるポイントを挙げた。それは4点あり、①学習者自身が自らの善さを肯定できるようにすること、②自己を見つめ自己内対話しながら自己課題に気づけるようにすること、③自己課題と向き合い解決しようと努められるようにすること、④共に学ぶ他者の善さを自覚して互いに高まり合えるようにすること等である。本稿では、豊かな人間性育成の基盤として「モラルラーニング・スキル」の育みが必要な点も併せて言及している。
理論 子どもとライブで「問い」づくり パッケージ型ユニット, 田沼茂紀, 月刊『道徳教育』2022年7月号 , NO.769, p.32, p.35, 2022年07月01日, 明治図書出版社, 児童生徒の主体的な道徳学習を実現するためには、まず一人一人の道徳的門対に対する「問い」が重要であることを前提に論述した。その道徳学習で大切なことは、従前からの発想である道徳的価値伝達型の授業展開では「個の問い」⇒「モデレーションによる共通学習課題設定」⇒「語り合いによる共通解の導きと共有」⇒「共通解を基にした個々の納得解の紡ぎ」という学習プロセス、つまり児童生徒の主体的な道徳的価値探求型道徳科授業が不可欠であることを提案した。
道徳科SDGsで培うモラルラーニング・スキル, 田沼茂紀, 『道徳教育』7月号、2021、Vol.61、No.757, 2021、Vol.61, No.757, p.56, p.59, 2021年07月01日, 明治図書, 学校教育における現代的な課題としての「SDGs」をどのように教育活動として構想し、そのように実践化による敷衍を図っていくのかを道徳教育、取り分け道徳科の視点から検討考察した。改めて述べるまでもなく、SDGsで対象とする範囲は多岐にわたり、道徳科授業と直接連動させて全て取り上げることは容易ではない。そこで、SDGsについて道徳的な視点から課題追求していくためのMLS(Moral Learning Skill)、つまり道徳的資質・能力形成を推進することで子供たちに個別なSDGsについての道徳学びを可能にするための授業構想を提案した。具体的には、SDGsに結び付く道徳的な問いに気づく力、SDGsに係る道徳的内容を深めるための力、自分事としてSDGsに関わり受容する力、この3点が道徳科授業におけるSDGsに係る道徳的資質・能力形成として重要であることを論考した。
「今ここに」を機能させるための道徳科カリキュラム・マネジメント, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会機関誌『道徳と教育』, 第338号, 156, 157, 2020年03月31日, 日本道徳教育学会, 日本道徳教育学会第93回(令和元年度春季大会)でのテーマ「道徳教育の『要』としての道徳科を考えるーどう取り組む、カリキュラム・マネジメントー」についての議論を深めるために開催されたシンポジウム(テーマ「カリキュラム・マネジメントで道徳科の充実を図る」)で発題した内容についての大会報告概要である。内容構成としては、①『要』としての道徳科の機能とは何か、②資質・能力形成型道徳科授業はどうあるべきか等。
教師の話のもつ力~教師は道徳科授業を通して子どもに何を語るのか?~, 田沼茂紀, 月刊『道徳教育』3月号, No.741, 4頁, 7頁, 2020年03月01日, 明治図書, 平成27(2015)年3月の小・中学校学習指導要領一部改正によって、義務教育諸学校の教育課程に「特別の教科 道徳」=道徳科が誕生した。それに伴い、道徳科教科書の導入と記述による学習評価が導入された。ところが、それまで各学校では自分達が指導しやすい教材を中心に年間指導計画を策定していたために、教科書教材が扱いにくいといった不満が学校現場から多数あがっていた。そのような現状を分析し、学習指導要領改正によって道徳的実践力育成という目標から道徳的資質・能力形成へと目標が転換したこと、それらの資質・能力形成に基づく道徳性の涵養には多様な教材が必要であること、主教材と副教材(所謂道徳小話)の効果的併用を工夫したり、積極的な開発と活用をしたりすることで子どもの道徳学習評価がしやすくなること等を論説として述べた。
道徳授業のアクティブ・ラーニングって?, 月刊『道徳教育』2016年5月号, №695, 14, 15, 2016年05月01日, 明治図書, 道徳授業活性化の鍵となるアクティブ・ラーニング手法による話合い活動の進め方や活動そのものが思考機会となる様々な仕掛け発問について解説したり、パフォーマンスから熟考アクティブへ迫るための教材活用について解説したりした。
横山利弘監修牧野幸夫・広岡義之・杉中康平編『楽しく豊かな「道徳の時間」をつくる』, 日本道徳教育学会機関誌『道徳と教育』, 第334号, 55, 58, 2016年03月31日, 日本道徳教育学会, 書評対象書は、2015年3月27日に一部改正された小・中学校学習指導要領で領域「道徳の時間」から「特別の教科 道徳(道徳科)」への移行直後に刊行されたものである。内容的には、道徳授業の本質に関わる教材分析の視点と発問構成の重要性が定番教材を用いた実践事例に基づいて解説されていることを評価しつつ、道徳科移行に向けて対象書がこれから更なる改訂に向けて検討すべき教材の多様性に基づく授業展開の在り方を今後の課題としてほしい旨を論評した。
道徳教育評価と道徳授業評価の観点を明確にした指導を心がけることの大切さ, 月刊『道徳教育』2月号, NO.680, 4, 6, 2015年02月01日, 明治図書, 今後実施されることとなる「特別の教科 道徳」における道徳教育評価、道徳授業評価の基本的な考え方を述べると共に、各々の評価において明確化された観点に基づくアセスメント評価をしていくことの必要性を訴えた。特に、道徳評価にあっては当事者である子ども自身の納得を大切にしなければならないこと、つまり、自己評価や相互評価といった学習者自身がセルフモニタリングできるようなパフォーマンス評価に基づく、ポートフォリオ評価が重要であることを指摘した。
学校は「生命」の教育にどう立ち向かえばよいのか, 月刊『教職研修』11月号, №507, 2014年11月01日, 教育開発研究所, 今日の学校教育における生命尊重教育の問題点について生命実感および生命尊重実感欠如を挙げ、その理由をジャンケレビッチの「人称態の死」から説明し、さらに、キューブラー・ロスの「死の受容プロセス」から生命観(life)は死ぬまで形成されることを指摘した。そのために学校教育では「自他生命への眼差し」を形成することが大切であることを論じ、子どもたちに「自己肯定感」と「他者受容感」を感じ取らせるような教育活動を展開していく必要性があることを提言した。
道徳教育新時代にふさわしい未来を展望する, 道徳ジャーナル, №87, 8, 10, 2014年10月01日, 学研教育みらい, 「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」に移行すると、学校現場ではどのような部分が改善され、どのような部分が道徳授業充実の阻止要因となるのかを具体的な指導面を想定して論述した。特に今後の指導にあって、まず中核価値としなければならないのは「生命尊重」である点、「特別の教科 道徳」を大切に育むためのポイントを示した。ポイントは3点、つまり①「特別の教科 道徳」の特質を踏まえた目標設定とすること、②「指導と評価の一体化」を推進するためにその大本となるコンピテンシーを明確にすること、③「道徳的実践」ではなくて「道徳的実践力の充実」を図ることを重視する、である。そこには学問的背景としての「道徳教育学」の視点が不可欠であることを述べて本稿を結んだ。
子どもと教師が共に成長を実感できる道徳授業の創造へ, 月刊『道徳教育』, No.672, 68, 70, 2014年06月01日, 明治図書, 道徳の「教科化」は、これまでその教育成果を顕すことができなかったことに対するペナルティと捉え、積極的な授業改善を進めていく必要がある。道徳はソクラテスの時代より「知識として教えられないもの」である以上、師弟同行の精神で現時点での最善の生き方を選択し合えるような授業へと転換しなければならない。その際に何よりも大切にしなければならないのは、教師と子ども、子ども相互が共に学び育ち合えるような臨床教育学的視点の重要性である。
これからの道徳教育にどう取り組めばよいか ~指導方法・評価をどう工夫すればよいか~, 月刊『教職研修』3月号, 499, 86, 87, 2014年03月01日, 教育開発研究所, 道徳教育の教科化が中央教育審議会で検討されているが、その過程で大切な道徳教育充実の鍵は教師の「道徳忌避感情」の克服であることを指摘した。また同時に、道徳教育について学び合う校内研修充実機会の必要性、道徳授業評価は個の肯定的評価から始まる点、弾力的で活力のある道徳授業に取り組むことの必要性等についても提言した。
生命への畏敬心は生命尊重実践の積み重ねから育まれてくる, 月刊『道徳教育』, NO.642, 2011年12月01日, 明治図書, 生命に対する畏敬の念は、ただ生命は大切といった画一的な生命尊重教育指導からは実現しないものである。そこで、生命に対する畏敬の念を育むための視点として以下の3点を提唱した。
①生命に対する畏敬の念の培いは、日々の具体的な生命尊重教育の先にあることを自覚する。
②生命に対する畏敬の念は、教材や指導法といった方法論に頼っても一朝一夕に培えないことを自覚する。
③生命に対する畏敬の念は理解によってではなく、感得することで身に付く感性的なものであることを自覚する。
「多彩な道徳授業へのアプローチ~道徳授業の改善に結びつく評価の在り方(連載)」, 道徳と特別活動, Vol26NO.7~9, 2009年09月15日, 文溪堂, 道徳教育、とりわけ道徳授業においては、その到達目標設定の難しさからこれまであまり授業評価という点について言及されてこなかった。それをⅠ.関心・意欲、Ⅱ.思考・判断、Ⅲ.スキル・表現、Ⅳ.実践態度、という質的評価スケールを設定することでその授業評価の可能性を検討した。
「来るべき道徳教育の未来を展望する」, 『道徳ジャーナル』, 第53号, 1, 3, 2008年01月01日, 学習研究社, 第4期中央教育課程審議会「審議のまとめ」を読み解きながら、これからの道徳教育の基本的な在り方、具体的な方策、今後予想される学習指導要領改訂の具体的内容について解説した。特に、道徳教育低迷を打開するために基本的な生活習慣の確立、規範意識の定着、発達段階に応じた指導や体験の必要性について言及した。
「『教職』にこだわり続けるための授業リフレクション」, 月刊『道徳教育』, №589, 6, 9, 2007年08月01日, 明治図書, これからの時代を生きる子どもたちに求められる資質・能力として「生きる力」という教育理念が示されながら、教育現場での具現化はまだ十分ではない。その大きな要因として、教師力向上に向けた実践的省察への認識不足やその具体的方策が浸透していないことを指摘し、改善に向けての視点を示した。
「現職教員研修を通して構築する地域教育学部の未来像」, 『日本教育大学協会四国地区研究集会研究集会記録集』, 第29集, 47, 50, 2007年01月01日, 地域社会に根ざす教育学部にとって、地域教育委員会と連携した現職教員研修の推進は大きな課題である。高知県教育委員会と高知大学教育学部との10年経験者研修自己課題解決研修の取り組みを受講者のアンケート結果等から分析し、今後の連携強化のあり方や改善方策等について言及した。
「臨床的道徳授業論のすすめ」, 『道徳ジャーナル』, 第32号, 6, 9, 2004年09月01日, 学習研究社, わが国の道徳教育が低迷している要因として、お題目主義や実践に結び付かない心理主義が横行している現状を指摘し、目の前にいる子どもの中に入り込み、同じ目線で道徳授業を構想していく必要性を提言した。また、そのような授業構想を臨床的道徳授業論と称し、子どもの思考・判断というコンテクストに沿って展開する意義を論じた。
「表現活動構想で創る道徳授業」, 月刊『道徳教育』, №435~№442, 1995年08月01日, 明治図書, 学校教育における道徳教育の現状を分析し、その担い手である教師に道徳教育への理解を深めてもらいたいという視点から、今日の学校教育での道徳教育の意義やその重要性、道徳指導の在り方、道徳資料開発の方法等について理論と実践との両面から論じた。特に、道徳指導における教育評価の問題については具体的な評価尺度等を示して論述した。
道徳科教育学研究 第2巻, 道徳科教育学を考える会(編集代表 田沼茂紀、柳沼良太), ネクパブ・オーサーズプレス, 2023年12月07日, 田沼茂紀、柳沼良太、浅部航太、浅見哲也、髙宮正貴、張夢渓, わが国道徳教育の方法論的視点はコンテンツベースの道徳的価値教化型授業が主流である。だが、複雑化・多様化する現代社会にあっては個々が自らの価値観に基づいて価値選択できるコンピテンシー・ベース型の学習観形成が急務となっている。そこで論者はこれまで、1主題1価値の道徳学習に終わらない単元構成による複数時間複合価値構成による「パッケージ型ユニット」を提唱してきた。子供が直面する現代的な道徳課題が複雑・多様化している今日、学習者個々の主体性に基づく価値探求型の学びが不可欠であると考えるからである。論者はこれまで各学年道徳科授業時数を大単元として捉え、各学期を中単元と位置付けてその下に月毎にパッケージ型ユニットを配するという道徳科カリキュラム・マネジメントを提案してきたが、本論考では取り上げる道徳学習課題によって各教科等の「別葉」に示された道徳学習を意図的・関連的まとまりとして体系化することを着想した。つまり、道徳学習をカリキュラム・マネジメントの視点から学校教育活動全体の視点で束ね、実践化していく方法論的構想である。論者はこれを「マルチユニット型道徳学習モデル」と名付け、本論稿にて提案した。
道徳科教育学研究, 田沼茂紀, 株式会社PUBFUN ネクパブ・オーサーズプレス, 2023年05月20日, 柳沼良太、浅見哲也、飯塚秀彦、竹井秀文、片山健治, わが国の道徳教育の要として誕生した「特別の教科 道徳=道徳科は、新たな教科として小学校で6年目、中学校で5年目となっているが、教科教育としての指導理論や指導方法論を規定する学問的基礎付けとなるのが未だ定立されていない。そこで、道徳科教育を支える道徳科教育理論や道徳科方法学理論を構築する必要性を広く周知し、新たな学問分野となる道徳科教育学を定立すべくその学問的基礎研究として問題提起したのが本書であり、担当章での主張である。
道徳は本当に教えられるのか, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2023年01月24日, 田沼茂紀他12名, タイトル『道徳は本当に教えられるのか』のサブタイトルは、「未来から考える道徳教育への12の提言」である。コロナ禍、国際紛争、差別や貧困の問題等々、様々な社会的課題を前に生きづらさがかつてないほど表出されるのが現代である。そんな多様な価値観がぶつかり合う現代社会において、そしてこれからの未来社会において、道徳教育はどう変わっていくべきなのか、どのような変革の可能性を秘めているのかという命題を哲学、教育学、心理学等の異なる分野の研究者にバックキャスティングの視点からオムニバス風に論じてもらったのが本書である。各専門分野からそれぞれに述べられているKey Wordは、主体性、エージェンシー、道徳的判断力、道徳性、子どもの哲学、ICT、ケアリング、VR、問題解決志向、日本道徳教育史、韓国のコンピテシーベース、市民教育、モラルラーニングスキル等である。教え込みや「心の教育」の曖昧さから脱却し、未来志向的な羅針盤となる道徳教育の在り方について学際的に論じた1冊である。
道徳科授業づくりオムニバス, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2022年12月20日, 田沼茂紀他16名, わが国の小・中学校教育課程に「特別の教科 道徳」=道徳科が位置づけられて、小学校で5年目、中学校で4年目となった。その間、道徳科教科書導入を巡るその利活用方法や道徳科学習評価についての目先にある現実的な問題点に関係者の関心が集中し、肝心の道徳科授業づくりをどう構想していくのかという議論が活発になされてきたとは言いがたい現実があった。そこで本書では教科教育学としての道徳科を充実させるという視点から、授業方法理論を多様に構想してその実践成果はどうであったのかをオムニバス形式にまとめ、学校教育関係者へ具体的な実践提案をするというまとめ方を貫いた。16の実践提案は小・中学校という学校種を問わずに日々の授業で活用できることを前提に、丁寧手で具体的な取りまとめ方をしている。なお、執筆者は日本道徳教育学会神奈川支部の中堅・若手の執筆を自ら志願した実践家たちである。
『365日の全授業』DX 小学校道徳, 田沼茂紀, 明治図書出版, 2022年07月01日, 田沼茂紀他14名, 全国の全ての学校でスタートしたGIGAスクール構想であるが、その取組は教師個々のICT活用能力や学校のICT活用環境によってかなり左右されている現状がある。特に道徳科においては「心の教育」という先入観が先行し、ICTをなぜ活用しなければならないのかといった反発も少なくない。しかし、教材提示や学習者相互の情報共有および情報交換・意見交流・学習履歴情報データの蓄積等々を勘案すると、そのメリットはとても大きく、今後においても大いに期待できるものである。本書では、多様な学習展開を意図した道徳科ではなぜICT活用が重要なのか、道徳科学習においてICT活用をすることで「考え、議論する道徳」がどのように実現できるのかを小学校編として低学年12実践事例、中学年および高学年各15実践事例を紹介して各学校での道徳科ICT活用の促進を訴えた。
中学校道徳指導スキル大全, 田沼茂紀, 明治図書, 2022年05月01日, 田沼茂紀他17名, 令和2(2020)年度より全面実施となった中学校学習指導要領「特別の教科 道徳」であるが、想定外のコロナ感染症拡大の事情もあって、教科教育としての道徳科は学校教育課程に十分根付いて指導成果をあげるに至っていない現状がある。そんな状況下でアフターコロナを見据え、学級担任として道徳科授業の意義をとのように理解し、どのように授業構想することで生徒に生きて働く道徳性を培うことができるかを詳細に解説した。本書で取り上げた道徳科授業づくり指導スキル構成は、「授業構想・教材研究スキル」「導入スキル」「教材提示スキル」「発問・問い返しスキル」「板書スキル」「話し合い(語り合い)スキル」「振り返りスキル」「終末スキル」「書く活動スキル」「表現活動スキル」「評価スキル」「教材教具作成スキル」「ICT活用スキル」の13項目70スキルである。
道徳科教育学の構想とその展開, 田沼茂紀, 北樹出版, 2022年04月10日, 本書は小・中学校「特別の教科 道徳」=道徳科を理論面と実践面の両面で支える教科教育学の視点から、新たな道徳科教育学理論を構想している。この道徳科教育学理論を構成するのは道徳科教育内容構成学と道徳科教育方法学であり、教育学をバックボーンに置きながら哲学、倫理学、心理学、社会学等の隣接学問領域の知見を援用しながら理論構築したところに学術的な意義を見いだしている。第1章では道徳科教育学の基礎づけについて、第2章ではわが国道徳教育の推進構造についての理解、第3章では道徳科教育推進のための基礎的な理解について、第4章では道徳科教育学構想の視点とその実践方略、第5章では課題探求型道徳科学習指導案の具体構想と今後の検討課題について論じている。本書の最大の学術的意義は、これまで学習指導要領における教育課程の範疇からしか語られてこなかった「特別の教科 道徳」を社会科学の視点から教科教育学として体系づけて論じたところにある。
特別の教科道徳 板書で見る全時間の授業のすべて 中学校3年, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2022年03月20日, 田沼茂紀他12名, 中学校3年生の「特別の教科 道徳科」に係る年間指導計画と各時間の板書計画例・発問例を取りまとめた実践書で、初任者からベテランまでに対応した授業実践指南書である。著者が担当した第1章では中学校3年生の発達段階的な特徴や留意すべき指導事項について、第2章では道徳科授業づくりの基本的な考え方やその展開構想の進め方について論述した。中学校教師授業指南書である授業バイブルでもある。
特別の教科道徳 板書で見る全時間の授業のすべて 中学校2年, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2022年03月20日, 田沼茂紀他12名, 中学校2年生の「特別の教科 道徳科」に係る年間指導計画と各時間の板書計画例・発問例を取りまとめた実践書で、初任者からベテランまでに対応した授業実践指南書である。著者が担当した第1章では中学校2年生の発達段階的な特徴や留意すべき指導事項について、第2章では道徳科授業づくりの基本的な考え方やその展開構想の進め方について論述した。中学校教師授業指南書である授業バイブルでもある。
特別の教科道徳 板書で見る全時間の授業のすべて 中学校1年, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2022年03月20日, 田沼茂紀他12名, 中学校1年生の「特別の教科 道徳科」に係る年間指導計画と各時間の板書計画例・発問例を取りまとめた実践書で、初任者からベテランまでに対応した授業実践指南書である。著者が担当した第1章では中学校1年生の発達段階的な特徴や留意すべき指導事項について、第2章では道徳科授業づくりの基本的な考え方やその展開構想の進め方について論述した。中学校教師授業指南書である授業バイブルでもある。
インクルーシブな道徳科授業づくり, 田沼茂紀, 明治図書出版, 2021年10月05日, 田沼茂紀他17名, 近年の小学校教育において顕著な傾向となっているのが、通常学級に在籍する何らかの軽度障がいを抱えた児童の存在である。ASD、ADHD、LD等の障がいを抱える児童は、その障がいの状況によって学習時に何らかの「困り感」を抱えている。それらの軽度障がい児も含めた全ての児童にインクルーシブ教育の視点で寄り添い、個々に抱える困り感を少しの工夫で解消しながら全員参加の授業づくりができるようにと提案し、具体的な実践事例も提示しながら解説したのが本書である。本書では特に読字障がい、書字障がい、算数障がい、発達協調運動症等のLD障がいを抱える児童に着目し、特に日常の教科学習で支障を来しがちな道徳科授業に焦点を当てながら、インクルーシブな視点から一人一人の困り感解消を念頭に個別最適な授業づくりについて詳細まで論述した。
問いで紡ぐ中学校道徳科授業づくり, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2021年07月01日, 田沼茂紀他14名, 令和元(2019)年度より全面実施となった中学校道徳科の基本的な授業づくり理論を解説し、その理論的に基づく道徳科授業構想の進め方を詳細に説明した。本章で解説した授業理論とは、①生徒の主体的・対話的で深い学びを実現するための「課題探求型道徳科授業理論」、②生徒の協同的な学びを促進する前提となる共通学習課題を設定するために個々の「問い」をグループモデレーションしていくための方法理論、③課題探求型道徳科授業を創造してカリキュラム・マネジメントを促進するための「パッケージ型ユニットによる授業理論」を具体的な事例等を示しながら詳細に述べた。また、第2章ではその諸理論に基づく実践事例を各学年4事例ずつ、特別支援学級事例を1事例、モデル実践紹介して全国の各教室で展開できるよう便宜を図った。
新道徳教育全集第5巻『道徳教育を充実させる多様な支援』, 田沼茂紀, 学文社, 2021年06月30日, 全集全5巻中の第5巻, 日本道徳教育学会全集編集委員会/田沼茂紀他32名, 日本道徳教育学会全集編集委員会によって新道徳教育全集全5巻組みとして刊行された中の第5巻『道徳教育を充実させる多様な支援』の編者として、担当巻の編集と分担分を執筆した。本全集は第1巻「道徳教育の変遷・展開・展望」、第2巻「諸外国の道徳教育の動向と展望」、第3巻「幼稚園、小学校における新しい道徳教育」、第4巻「中学校、高等学校、特別支援学校における新しい道徳教育」を受けての本巻刊行である。本巻は第Ⅰ部「大学の教員養成における道徳教育」、第Ⅱ部「教員研修における道徳教育」、第Ⅲ部「家庭における心を育てる取組」、第Ⅳ部「社会における心を育てる取組」で構成されている。編者として全体の編集構成と共に第Ⅰ部「大学の教員養成における道徳教育」の「概要」及び第1章「道徳教育を巡る教員養成の歴史と課題」について本巻を俯瞰できるような視点をもたせつつ、概略を論述した。
板書とイラストでよくわかる365日の全授業/小学校道徳5・6年, 田沼茂紀, 明治図書 , 2021年03月01日, 小学校道徳「365の全授業」シリーズ3冊組みの5・6年分冊である。, 田沼茂紀他14名, 平成30(2018)年度より「特別の教科 道徳」=道徳科が義務教育諸学校で開始されたが、新たな教科道徳科の授業実施については学校現場での戸惑いや混乱も少なくない。そこで、小学校道徳科の活性化と充実促進を意図して小学校道徳「365の全授業」シリーズ3冊組みを刊行した。本書は3冊組みの5・6年分冊である。本書では編者として第1章「子どもが主人公になれる道徳科授業づくり」を執筆したが、その内容は高学年児童の道徳性発達についての理解、「問い」から紡ぐ「考え、議論する道徳科」高学年授業づくりのポイント、教科教育としての道徳科の特質を踏まえた「指導と評価の一体化」の在り方について論じた。
板書とイラストでよくわかる365日の全授業/小学校道徳3・4年, 田沼茂紀, 明治図書, 2021年03月01日, 小学校道徳「365の全授業」シリーズ3冊組みの3・4年分冊である。, 田沼茂紀他14名, 平成30(2018)年度より「特別の教科 道徳」=道徳科が義務教育諸学校で開始されたが、新たな教科道徳科の授業実施については学校現場での戸惑いや混乱も少なくない。そこで、小学校道徳科の活性化と充実促進を意図して小学校道徳「365の全授業」シリーズ3冊組みを刊行した。本書は3冊組みの3・4年分冊である。本書では編者として第1章「子どもが主人公になれる道徳科授業づくり」を執筆したが、その内容は中学年児童の道徳性発達についての理解、「問い」から紡ぐ「考え、議論する道徳科」中学年授業づくりのポイント、教科教育としての道徳科の特質を踏まえた「指導と評価の一体化」の在り方について論じた。
板書とイラストでよくわかる365日の全授業/小学校道徳1・2年, 田沼茂紀, 明治図書, 2021年03月01日, 小学校道徳「365の全授業」シリーズ3冊組みの1・2年分冊である。, 田沼茂紀他14名, 平成30(2018)年度より「特別の教科 道徳」=道徳科が義務教育諸学校で開始されたが、新たな教科道徳科の授業実施については学校現場での戸惑いや混乱も少なくない。そこで、小学校道徳科の活性化と充実促進を意図して小学校道徳「365の全授業」シリーズ3冊組みを刊行した。本書は3冊組みの1・2年分冊である。本書では編者として第1章「子どもが主人公になれる道徳科授業づくり」を執筆したが、その内容は低学年児童の道徳性発達についての理解、「問い」から紡ぐ「考え、議論する道徳科」低学年授業づくりのポイント、教科教育としての道徳科の特質を踏まえた「指導と評価の一体化」の在り方について論じた。
道徳科重要用語事典, 田沼茂紀, 明治図書, 2021年01月01日, 全1巻, 田沼茂紀他20名, 平成30年度より小学校教育課程で、平成31/令和元年度より中学校教育課程で全面実施となった「特別の教科 道徳」=道徳科では、従前からの教科外教育「道徳の時間」から教科教育へと転換した事情もあって、教科教育学としての「道徳科」に関わる専門用語についての見解が明確でなくて教育現場で混乱の様相を呈しているような面もあった。そこで、わが国の近代教育制度成立以降の道徳教育史を繙いたり、道徳教育学に隣接する学問的知見を取り込んだり、諸外国での道徳教育の取組を紹介したりして重要用語事典として1冊にまとめ上げたのが本書である。
問いで紡ぐ小学校道徳科授業づくり, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2020年07月15日, 共著者/鈴木賢一他12名, 平成30(2018)年度より全面実施となった小学校「特別の教科 道徳」=道徳科では道徳的資質・能力に裏打ちされた道徳性の形成が求められている。そのような道徳学習を展開するためには、子供の「問い」に基づく主体性を前提にしなければならない。そこで本書第1章理論編では、子供の「問い」に基づく主体的な学びを展開するための指導方法論として「課題探求型道徳科」を提案した。そのような課題探求型道徳科授業を可能にしていくためには、まず道徳的な問題に対する子供の「問い」をもたせることが必要である。そして、それら個々の「問い」を協同学習によって探求するための共通学習課題へと導くためにC.Gipps(1994年)が提唱する定性的な学習評価の際の評価者のばらばらな規準・基準を摺り合わせ・調整して調和させるグループ・モデレーション手法を援用することとした。それを受けて、学習主体者である子供が互いに自らの「問い」を披瀝し、検討し合うことで協同学習を成立させるための共通学習課題を設定する学習プロセスとその具体的な手立てについて論じた。第2章実践編では13名の共著者が具体的な道徳科授業実践事例を紹介している。
中学校 子どもの心にジーンと響く道徳小話集, 田沼茂紀, 明治図書, 2019年12月19日, 田沼茂紀他15名, 平成31(令和元)年度に中学校道徳科は全面実施となった。特別の教科に移行したことで、教科書を中心とした道徳科の授業展開がなされるようになったが、生徒に多面的・多角的な道徳的思考を促すための教材が多様となったために扱いにくいと感じている教師が多いことを受け、教科書教材と組み合わせて使用できる補助教材集が望まれるという実態を受けて本書を刊行するに至った。内容としては補助教材として道徳小話の意義や役割、道徳小話と教科書教材の併用活用方法の工夫、道徳科授業活性化への視点等について言及した。
小学校 子どもの心にジーンと響く道徳小話集, 田沼茂紀, 明治図書, 2019年09月17日, 田沼茂紀他12名, 道徳科授業では協同思考活動を実現するため、共通の道徳的追体験としての道徳教材を活用する。その場合、子供の一人一人の道徳的なものの見方・感じ方・考え方は多様でアリ、主教材のみでは道徳的思考を深化できないような事も少なくない。そんな時に道徳副教材(道徳小話)を組み合わせて活用することで道徳科授業に活力ももたらし、子供の道徳学びを促進する効果が大きい。そのような前提に立って道徳副教材としての道徳小話そのものを紹介し、それを用いた実践事例も提示して小話集として刊行した。
新指導要録全文・解説と通知表の作成, 田沼茂紀, 教育開発研究所, 2019年08月01日, 田沼茂紀他23名, 第2章では、小・中学校学習指導要領改訂に伴う「指導要録」改訂について小学校道徳科の主な変更内容と指導要録作成の際に求められるポイント、留意事項等について論述した。また、第3章においては「指導要録」と連動して作成が求められる通知表作成について小学校道徳科の記入方法とその留意事項等を論述した。ポイントは、個を認め励ますことを前提とした個人内評価による肯定的な自己評価、相互評価、教師による客観的評価である。
「特別の教科 道徳」通知表記入文例, 田沼茂紀, 明治図書, 2019年06月10日, 富岡栄他12名, 2019年度より全面実施となった中学校道徳科においては、教科書を用いたその指導方法のみでなく、生徒の道徳学習評価をどのように進めるのかも大きな喫緊課題となっている。本書ではそのような学校サイド、教師個々の困り感に即応できるよう、第1章「特別の教科 道徳」の評価では、生徒の学習評価についての考え方、1時間の指導での評価、生徒のパフォーマンスや収集データ活用、学習評価を生かした授業改善、通知表と指導要録の使途目的の差違等について具体的に詳述した。
学校教育学の理論と展開, 田沼茂紀, 北樹出版, 2019年05月15日, 本著は学校教育学という視点から教育学、教育思想、教育方法学、学習評価、教師教育学という学校教育を取り巻く各々の専門分野を統合する形で「学校教育学」としてその知見を取りまとめたものである。学校教育は各学校の教育課程によって適切にマネジメントされ、その教育カリキュラムを基底で支えているのが教育思想である。その教育思想を学校教育として適切に運用していくためには教育方法学や学習評価論の考え方、それを体現する教師を育てる教師教育学の知見が不可欠である。それらの統合を目指して本著では有機的関連性をもたせながら学校教育学理論として論述した。
主体的・対話的で深い学びを実現する中学校「道徳科」授業, 田沼茂紀, 教育開発研究所, 2019年05月01日, 田沼茂紀他30, 第1編1節4「『道徳科』における考え・議論する授業」では、アクティブで認知的な思考を積極的に促すことで生徒の論理的な道徳的思考を可能にし、道徳的変容や行動変容を実現することについて論述した。第3節15「議論する言語活動と多様な見方・考え方の理解」では、道徳的価値を一面的に捉えがちな生徒の道徳的なものの見方・感じ方・考え方を柔軟で多様な視点で考えさせることで個々の道徳的価値観の高め合いが可能となることを「他者対話と自己内対話」というキーワードで論じた。
道徳科授業スタンダード(中学校編), 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2019年03月15日, 平成30(2018)年度から移行した小学校についで平成31(2019)年度より全面実施される中学校道徳科において、生徒の「資質・能力」を育むための授業と評価方法について課題探求型道徳科授業理論とパッケージ型ユニットによるカリキュラム・マネジメントの指導方法論を提唱した。
道徳科授業スタンダード(小学校編), 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2019年03月15日, 平成30(2018)年度より全面移行した小学校道徳科において、子供の「資質・能力」を育むための授業と評価方法について課題探求型道徳科授業理論とパッケージ型ユニットによるカリキュラム・マネジメントの指導方法論を提唱した。
中学校道徳学習指導書「『特別の教科 道徳』はじめの一歩」, 田沼茂紀, 光村図書, 2019年02月25日, 光村図書道徳科教科書中学校「きみがいちばんひかるとき」を効果的に展開するためには、各学校の道徳科カリキュラムを充実させることが必要である。特に道徳科授業を充実させることが道徳科学習評価の妥当性を担保するという観点から、これまでの学習指導要領内容項目を順次取り扱うような発想ではなく、現代的な課題や生徒の興味・関心に基づく内容項目に有機的関連性をもたせた複数時間による指導形態、「パッケージ型ユニット」によるカリキュラム理論を展開した。
個性ハッケン!50人が語る長所・短所(全5巻), 田沼茂紀他, ポプラ社, 2018年09月01日, 5巻, ポプラ社編集部, 子供が公立図書館や学校図書館で自分から手にし、各界の最前線で活躍している50人の人がインタビューされて語った自分の生き方、自分の個性についての考え方や主張を読み深め、各項目末についている道徳的学びを深めるための設問をもとにしながら自分探しができることを意図して編集したものである。各界の分野毎にスポーツ、医療、芸能、文化、科学といった視点から各巻をまとめた。
やさしく学ぶ特別活動, 田沼茂紀, ミネルヴァ書房, 2018年03月30日, 赤坂雅裕、田沼茂紀他11名, これからの特別活動で求められるの変化の激しい時代にあっても逞しく生き抜くための資質・能力としての「生きる力」の育成である。そのような視点から、特別活動を中核にしながら、各教科、特別の教科道徳、総合的な学習(探究)の時間とどう関連付けることで資質・能力形成ができるのかをカリキュラム開発の視点から詳細に論じた。特に、カリキュラム・マネジメントの視点から「事前活動(Preparation)」⇒「本活動(Action)」⇒「事後活動(Reflection)」というPARサイクルの重要性につい言及した。
未来を拓く力を育む特別活動, 田沼茂紀, 北樹出版, 2018年03月30日, 平成29(2017)年3月に全面改訂された小・中学校等学習指導要領、平成30(2018)年3月全面改訂の高等学校学習指導要領においては、「社会に開かれた教育課程」の実現が強調されている。特に、これからの変化の激しい時代にあっては、人間関係構築力、社会参画力、自己実現力といった集団や視野会の一員として身構え、実践基礎力等の生きて働く資質・能力形成が不可欠な視点となってくる。それらを育み・育てていくのは学校教育課程の中の特別活動の時間である。ただ、特別活動の内容は多岐にわたるので、その内容の詳細を理解しないと「活動あって学びなし」にもなりかねない。そこで、本書は教育学、心理学、哲学、倫理学等の諸学問領域の知見を援用しながら、これからの特別活動をどのように有意義なものとして展開させたらよいのかとという視点から理論展開した。
新教科書の授業プラン 小学校特別の教科道徳, 田沼茂紀, 明治図書, 2018年03月09日, 押谷由夫、田沼茂紀他18名, 平成30(2018)年度が供用開始される小学校道徳教科書で自分が代表編集者として携わった光村図書『きみがいちばんひかるとき』の注目ポイントを紹介した。具体的には、「考え、議論する道徳」を創るために、1つ目は子どもの学びに寄り添える教科書にしたこと、2つ目は多様な教材で子どもの学びを後押しする教科書にしたこと、3つ目はユニット構成でカリキュラム開発を支援できるようにしたこと、この3点をその必然性と共に詳細に論じた。
道徳科授業のネタ&アイデア100 小学校編, 田沼茂紀, 明治図書, 2018年03月09日, 田沼茂紀(編者)他16名, 平成30(2018)年度より、義務教育学校の小学校においては道徳科がスタートする。これから始まる道徳科授業、従前の「道徳の時間」の指導方法論的なよさを引き継ぎ、これまでとは育成すべき資質・能力という点でひと味違う、子どもが待ち遠しくなるような道徳科学習を実現するために、何をどう工夫するのかという側面で「導入」、「教材提示」、「話合い活動」、「板書」、「ノート&ワークシート」、「終末」、「教具」、「説話」という8視点から授業改善提案をした。
道徳科授業のネタ&アイデア100 中学校編, 田沼茂紀, 明治図書, 2018年03月09日, 田沼茂紀(編者)他16名, 平成30(2018)年度より義務教育学校の小学校においてスタートする道徳科、中学校では1年遅れて平成31(2019)年4月より全面実施される。これから始まる道徳科授業、従前の「道徳の時間」の指導方法論的なよさを引き継ぎ、これまでとは育成すべき資質・能力という点でひと味違う、子どもが待ち遠しくなるような道徳科学習を実現するために、何をどう工夫するのかという側面で「導入」、「教材提示」、「話合い活動」、「板書」、「ノート&ワークシート」、「終末」、「教具」、「説話」という8視点から授業改善提案をした。
小学校道徳学習指導書「『特別の教科 道徳』の授業をはじめよう!」, 田沼茂紀, 光村図書, 2018年02月25日, 光村図書道徳課編集部および田沼茂紀他12名, 光村図書道徳科教科書「きみがいちばんひかるとき」を効果的に展開するためには、各学校の道徳科カリキュラムを充実させることが必要である。特に道徳科授業を充実させることが道徳科学習評価の妥当性を実現できるという観点から、こりまでの学習指導要領内容項目を順次取り扱うようなカリキュラムではなく、現代的課題や子供の興味・関心に基づく内容項目に有機的関連性をもたせた複数時間による指導形態、「パッケージ型ユニット」によるカリキュラム編成の有用性を詳述した。その基底にある考え方こそ、「指導と評価の一体化」カリキュラム編成論であることを強調して述べた。
指導と評価の一体化を実現する道徳科カリキュラム・マネジメント(小学校編), 田沼茂紀, 学事出版, 2017年09月06日, 編者他12名, 道徳科授業改革の小学校編として取りまとめられた本書では、これから展開される「特別の教科 道徳」=「道徳科」を円滑に実施するための指導方法や教材分析、学習評価方法について具体的な実践事例を交えながら詳述した。特に、その実践を支えるオリジナルな指導理論として子供の主体的な道徳的学びを実現する「課題探求型道徳科授業」とカリキュラム・マネジメントの視点から道徳科の弾力的な指導を実現する「パッケージ型ユニット」とを提唱した。
指導と評価の一体化を実現する道徳科カリキュラム・マネジメント(中学校編), 田沼茂紀, 学事出版, 2017年09月06日, 編者他10名, 道徳科授業改革への転換に遅れが目立つ中学校編として取りまとめられた本書では、これから展開される「特別の教科 道徳」=「道徳科」を円滑に実施するための指導方法や教材分析、学習評価方法について具体的な実践事例を交えながら詳述した。特に、その実践を支えるオリジナルな指導理論として子供の主体的な道徳的学びを実現する「課題探求型道徳科授業」とカリキュラム・マネジメントの視点から道徳科の弾力的な指導を実現する「パッケージ型ユニット」とを提唱した
道徳科授業のつくり方, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2017年08月10日, 三ツ木純子他6名, 平成30(2018)年度より小・中学校の教育課程で順次実施される「特別の教科 道徳」=道徳科において「主体的・対話的な深い学び」を創造し、「考え、議論する道徳」を実現するための指導方法論改善を本書では「道徳科単元型学習」として提案した。具体的な提案内容は、「道徳科における指導と評価の一体化」を実現するために課題探求型道徳科授業で授業構想することで子供のパフォーマンス評価を導き出し、それを単元型学習としてのパッケージ型ユニットとリンクさせて展開することで効果的に推進できるという考え方についてである。この提案を単なる理論編に留まらせず、小・中学校現場での具体的な授業実践事例で取りまとめた実践編と結び付けることで確かな道徳科指導理論として提唱できるようにした。
考え議論する道徳科授業の新しいアプローチ10, 田沼茂紀, 明治図書, 2017年07月07日, 諸富祥彦他29名, 平成30(2018)、31(2019)年度よりより全面実施される小・中学校道徳科の指導法について、様々実践的に試みられている授業アプローチの一つとして「パッケージ型ユニット」という小単元方式による指導方法論を提唱した。その主な理論構想は、道徳科で取り扱う現代的課題をユニットテーマとして構成し、複数の道徳的価値項目から調和的に指導することで実効性を担保しようとするものである。本書ではその理論的提唱に続けて、小学校(尾崎正美先生)と中学校(及川仁美先生)での実践事例が掲載され、理解の一助として役立つような構成となっている。
「考え、議論する道徳」を実現する, 田沼茂紀, 図書文化, 2017年06月20日, 「考え、議論する道徳」を実現する会(田沼他15名), 平成27(2015)年3月の学習指導要領一部改正で教科となった道徳科を改革するためにどう考え、どのように内容を捉え、どのような方法理論を構築していけばよいのかといったコンセプトで道徳科授業活性化法を論じた。特に本講では教科教育の視点から「課題探求型道徳科授業」方法論を提唱し、同じように教育カリキュラムの視点から「道徳科パッケージ型ユニット」によるカリキュラム・マネジメントについて言及した。
中学校道徳 アクティブ・ラーニングに変える7つのアプローチ, 田沼茂紀, 明治図書, 2017年05月18日, 中野真悟他13名, 授業の形骸化が指摘される中学校道徳授業を道徳科に移行することを契機に、アクティブ・ラーニングへと転換するための具体的な指導方法理論として展開した。受け身の道徳から生徒が主体的に参加する道徳科授業へ、正解を探す授業から納得解を考える道徳科授業へ、教材の読み取り授業から考え・議論する道徳科授業へと転換するために、新たな道徳科指導方法理論として「課題探求型道徳科授業」とカリキュラム・マネジメントの発想に基づく「パッケージ型ユニット」によるカリキュラム構成法について提案した。
道徳科充実に向けた実践と評価の具体的展開, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会, 2017年03月20日, 第22号, 茨城大学で開催された日本道徳教育方法学会第22回研究発表大会において研究委員長として企画した課題研究「道徳科充実に向けた実践と評価の具体的展開」のテーマ設定趣旨説明と実施概要について企画者・コーディネーター両方の立場で取りまとめた研究報告である。この課題研究では、小・中学校それぞれの道徳授業実践家、大学研究者、学会研究委員に多様な視点から道徳学習評価の進め方について提案をしてもらい、そこから今後期待される道徳授業の「指導と評価の一体化」の在り方について協議を進めることができた。その課題研究の視点は、①道徳科の趣旨を生かした道徳学習評価のの目的は何か、②道徳学習評価が可能となる授業展開で考えられる指導のポイントは何か、③道徳学習評価を促進するために移行期間中に取り組むべき課題とは何か、これら以上の3点であった。
道徳授業評価ガイドブック「特別の教科 道徳」授業評価の進め方, 田沼茂紀, よしみ工産, 2017年02月28日, 課題番号26381285, 道徳授業評価研究会同人(三ツ木純子、龍神美和、鎌田賢二、木下美紀、及川仁美、岡田多恵子、丸山隆之), 本報告書は2部構成となっており、第1部は基盤研究C採択者である田沼茂紀による道徳科授業評価研究理論が取りまとめられている。その研究概要は、まず道徳授業評価の意義と目的性を明らかにし、その授業評価方法論を構築するという立場から、①道徳科授業で子供達に育む資質・能力、②子供の道徳的学びの表出方法、③子供の道徳的学びの見取り方法、という3視点から歴史的背景も踏まえながら理論展開した。また、第2部ではその道徳科授業評価理論を教育実践の場で以下に展開できるかという視点で、道徳授業評価研究会同人による3年間に及ぶ実践研究成果を取りまとめて考察した。
道徳科で育む21世紀型道徳力, 田沼茂紀, 北樹出版, 2016年04月20日, 平成27年3月告示の小・中学校学習指導要領一部改正で新たに創設された「特別の教科 道徳」=道徳科の理論的な側面、その実践方法論について2部構成で取りまとめた。第1部「道徳科の理論編」では、道徳科成立の背景やその教育的意義、指導と評価方法論等について詳述した。まだ、諦2部ではこれからの道徳科を支える道徳教育諸理論、道徳教育の歴史、道徳教育教師論、諸外国の道徳教育についての概観、今後の道徳教育の課題等々について広く俯瞰できるように論述した。
小・中学校道徳科 アクティブ・ラーニングの授業展開, 田沼茂紀, 東洋館出版, 2016年03月26日, 三ツ木純子、遠藤信幸、木下美紀、小川朋子、尾崎正美、鎌田賢二、龍神美和、幸坂創平、及川仁美、岡田多恵子、丸山隆之, 次期学習指導要領の基本的な考え方となる「21世紀型能力観」を具現化する上で欠かせないActive Learningの考え方を新たに創設された「特別の教科 道徳」=道徳科でどのように具現化し、実践することで「分かる!拡がる!深まる!」授業が創造できるかという視点から理論的部分を詳述した。特に本書では、従前の発想では重視されてこなかったパッケージ型ユニット(単元型学習)で子供の道徳的な学びのための思考が働き、その結果として心が動くことを意図した新たな方法論的考え方を提案した。
学習指導要領一部改正の趣旨を生かす「特別の教科 道徳」の具体的展開(課題研究のまとめ), 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会, 2016年03月20日, 第21号, 日本道徳教育方法学会第21回研究発表大会において開催された課題研究シンポジウムのテーマ設定の趣旨、その実施概要について取りまとめた。特にテーマ設定については学習指導要領一部改正によって「特別の教科 道徳」が創設されたことを背景に、その趣旨を生かす道徳授業の具体的な展開はどうあけばよいのかという点を強調した。それを受けた研究実践提案と研究協議の柱立てを、①道徳科の趣旨を生かすということについて、②具体的な道徳授業展開の工夫について、③道徳科が求める教材について、④指導と評価について全面実施までに取り組む課題について、と4視点からテーマに迫ることを提案した。
「特別の教科 道徳」授業&評価完全ガイド, 田沼茂紀, 明治図書, 2016年02月12日, 富岡栄他14名, 平成27年3月に小・中学校学習指導要領一部改正によって創設された「特別の教科 道徳」の喫緊の課題は、教科教育としての道徳科授業の構想とその授業評価法の構築である。特に道徳科授業評価は、子どもの内面的な道徳性の成長を対象とすることから、数値等による評定はできにくい。個々の道徳性の高まりを「道徳的学び」としてどう見取り、どう継続的な成長へと導いていけるのかという視点から、その授業構想の考え方と評価法を一体のものとして実践していくための方法論について論述した。
中学校 新学習指導要領の展開「特別の教科道徳編」, 田沼茂紀, 明治図書 , 2016年02月01日, 柴原弘志他24名, 平成27年3月の中学校学習指導要領一部改正によって創設された「特別の教科 道徳」の指導展開を進めるための基本的な考え方やその方法論について論述した。執筆を担当した問題解決的な道徳科指導や現代課題に関する内容の取扱いは、道徳科創設にかかわって特に指導のあり方が難しいとされている部分でもあり、指導に当たっての基本的な押さえ方や指導上の留意事項について丁寧に詳述した。
新教科道徳はこうしたら面白い, 田沼茂紀, 図書文化, 2015年11月10日, 押谷由夫、諸富祥彦、柳沼良太、七條正典、西野真由美他23名, 従前の「道徳の時間」の時間が「特別の教科 道徳」=道徳科に移行することを受け、教科型道徳授業における評価について論じた。特に学校教育全体で行う道徳評価と道徳授業で行う「道徳的学び評価」との差違、道徳的学びをどのような評価観点をもって、どのような方法論で見取っていけばよいのか「二次元マトリックス法」を提案して論述した。「学びの内容」を縦軸に、個の成長要素を横軸にしてクロスさせながら観点設定する評価方法論である。
道徳教育充実の鍵を「教科化」に託すための方法論的検討とその課題 ー教科型道徳授業への実践的アプローチの検討とその課題ー, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会, 2015年03月31日, 第333号, 日本道徳教育学会第84回大会(大会テーマ「教科化時代の道徳教育を考える」)第2日目「シンポジウム2」のシンポジストとして発表した内容の要旨集である。提案内容は、「道徳の時間」から「道徳科」への移行は、授業構造の転換をもたらすこと、そのためには「道徳教育学」の視点が不可欠であること、道徳的学びの本質とは何かという共有が必要であること、道徳教育忌避感情や軽視傾向を是正していくことが必要であることを主軸に理論提案した。
実効性と系統的発展性が伴う教科教育学の視点からの道徳授業改革提案, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会, 2015年03月25日, 第20号, 本稿は日本道徳教育方法学会第20回研究発表大会の課題研究においてテーマ「教科化時代の道徳授業をどう進めるか」に即してパネリストとして発表した研究提案の抄録としてまとめたものである。抄録内容は3部構成で、1点目はこれまでの道徳授業がなぜ実効性の伴う系統的・発展的指導ができなかったのかというこれまでの背景について分析した。2点目は、道徳授業の内容と方法を基底で支える道徳教育学の構築が必然的であることを指摘した。3点目は、実効性のある道徳授業を構築するために「逆向き設計」論の援用が不可避であることを提案した。
やってみよう!新しい道徳授業~教科化時代の『私たちの道徳』の活用例~, 田沼茂紀, 学研, 2014年07月01日, 広中忠昭、東風安生、堀内俊吾他「みらいの道徳をつくる会」会員他14名, 道徳授業の「教科化」は、その改革を巡って全国の学校教育現場が混乱している。そこで本書では道徳授業が教科化することで何が変わり、何が変わらないのかを指摘すると共に、道徳授業の不易な部分についての解説した。また、これからの道徳授業で大切にしなければならない目標文責、内容分析、教材分析、評価の在り方等々の授業構想全般にわたる方法論を具体的な事例と共に解説した。特に、2014年度より全国の義務教育学校児童生徒全員に配布された新・心のノート『私たちの道徳』の充実活用を促すための手立てについても実践的指針を示した。
道徳教育理論と道徳教育方法論の融合型シラバスによる教職科目「道徳教育の理論と方法」の展開, 田沼茂紀, 東京学芸大学総合的道徳教育プログラム推進プロジェクト 教職科目「道徳の指導法」に関する指導モデル研究メンバー, 2014年03月01日, 報告書, 本報告書は、大学における教職科目「道徳の指導法」の望ましい指導モデルを確立するために各大学の取り組みの先進的特徴を取りまとめたものである。ここでは、校是となっている「主体性を保持した寛容性と謙虚さ、全体への奉仕の精神」を含意した本学の建学精神を踏まえた科目運営の特色を報告した。半期科目ではあるが、建学精神を体現するために、①論理的科学的思考力、②身体表現力をも含む自己表現力、③獲得した知識・技能の活用、④体験的課題解決・探究能力に支えられた「人間力の開発」という視点から、道徳教育の目標、内容、指導方法、教材分析等を行えることを意図した理論と実践融合型指導モデルを提案した。
心の教育と特別活動, 田沼茂紀, 北樹出版, 2013年04月15日, 学校教育における特別活動は道徳教育同様に、子どもの人格形成に不可欠な教育的営みとして展開される。学校教育は知育、徳育、体育のトライアングルが調和的に機能してこそ、人材育成が可能となるのである。学校教育における人づくりの原点「人は人に学んで人となる」を体現するための心の育みをどうすればよいのか、心の育みを核にした特別活動をどう進めればよいのか、本書ではこのような「心の育み」という視点から義務教育学校を中心とした特別活動による人づくり指導の在り方を論じた。
道徳教育への招待, 田沼茂紀, ミネルヴァ書房, 2012年10月30日, 佐藤幸治、米山光儀、島恒生、矢口悦子、伴恒信, わが国の道徳教育は、学校の教育活動全体を通して行われるのが基本である。よって、道徳教育の効果をあげるためには子どもが生活する場すべてを考慮し、それぞれの場面でどのような道徳教育が行われるのかをイメージマップとして教師集団で共有しておくことが必要である。担当した本章では、道徳教育の全体計画とは何か、各教科や教科外教育それぞれの特質と関連づけながら行われなければならない道徳教育の意味とは何か、その目標や内容の両側面から究明した。
豊かな学びを育む教育課程の理論と方法, 田沼茂紀, 北樹出版, 2012年10月01日, 本書のキーワードは、子どもの豊かな学びの創造である。学校知はその学校の教育課程によって規定されるが、それぞれのカリキュラム編成における学習内容としてのスコープとその学びの順序性や体系性としてのスコープをどのように構成するのかは、その指導を担う教師に委ねられている。本書では、学校教育における子どもの学びとは何か、学びはカリキュラムとしてどう構成されるのか、学びの成果をどうの見取り、それらを次なる学習へと発展できるのか、そのような手続きを入門者からベテラン教員まで幅広く学べるような内容構成でつまびらかにした。
戦後道徳教育を築いた人々と21世紀の課題, 田沼茂紀, 教育出版, 2012年06月23日, 赤堀博行、板倉栄一郎、岩佐信道、押谷慶昭、押谷由夫、貝塚茂樹、加藤一雄、金井肇、笹井和郎、七條正典、田井康雄、高島元洋、竹内善一、谷田増幸、永田繁雄、花澤秀文、林泰成、森岡卓也、横山利弘、渡部武, 戦後道徳教育実践史に偉大な足跡を残した道徳実践家、竹ノ内一郎の道徳授業創造理論の概要とその方法論的背景について言及した。竹ノ内の道徳教育研究の舞台は、常に教室であった。一貫して学校現場での授業実践にこだわり続け、「実践できる道徳人の育成」を標榜した。その実践理論となったのは、青木孝頼の提唱した「価値の一般化論」である。竹ノ内の考える道徳授業とは、道徳的価値追求に終始するのではなく、学習の発展として子ども自身の日常生活と接点をもちながら、具体的な日常的道徳生活場面をイメージさせて実践意欲を喚起することであった。本章では、このような竹ノ内道徳授業創造理論の全貌を整理・解明し、さらに再評価を試みた。
人間力を育む道徳教育の理論と方法, 田沼茂紀, 北樹出版, 2011年04月15日, わが国の道徳教育についてその目的や内容、近代道徳教育の歴史、他国道徳教育との比較等々の視点から概観し、これからの道徳教育の在り方やその方法について論考した。特に強調されているのは、価値達磨構想にに基づく複数価値多時間同時追求型アプローチに基づく道徳授業方法理論の提唱である。その新たな方法理論に基づいた具体的実践例を示しながら、今後の道徳授業の在り方まで言及した。
『各教科で行う道徳的指導』, 田沼茂紀, 教育開発研究所, 2009年07月01日, 押谷由夫、永田繁雄、新宮弘識、土田雄一、田沼茂紀、小寺正一、堺正之、吉永幸司、北俊夫、長嶋清、星野昌治、和田信行、峯岸創、遠藤友麗、小谷野茂美、安東茂樹、高橋健夫、渡邉正樹、太郎良博、橋本欣邦美、福田光男、山田敦子、藤森雅世、木村良平、広瀬仁郎、田中敬二、桔梗亜紀、木村慶、宇佐見博子、石黒真愁子、竹田俊彦、白木みどり, 道徳教育を核にして学校知の組織化をどう図るか、体験的実践の場として特別活動とどう密に関連づけて連携するか、多様な道徳的学びを拡充してどう道徳授業を活性化していけばよいのかといった視点から、各教科との関連性をもたせた道徳指導の在り方を論述した。
『小学校教育課程講座道徳』, 田沼茂紀, ぎょうせい, 2009年03月30日, 赤堀博行、朝倉喩美子、荒木篤人、池田ほなみ、大宮俊恵、押谷由夫、木下美紀、木村良平、日下哲也、古蔵雅子、小寺正一、後藤道洋、斎藤為之、斎藤真弓、堺正之、佐藤郷美、柴田八重子、島恒生、清水保徳、庄司量士、高野千恵美、田沼茂紀、徳弘茂生、成實孝之、西村日出男、野村智、服部敬一、馬場喜久雄、林和子、廣瀨仁郎、福田富美男、藤川敬之、宮島盛隆、毛内嘉威、山田幸治
『小学校新学習指導要領ポイントと授業づくり道徳』, 田沼茂紀, 東洋館出版社, 2009年01月20日, 赤堀博之、朝倉喩美子、石井梅雄、芋生修一、植田清宏、大宮俊恵、生越詔二、押谷由夫、加賀谷かおる、日下哲也、小寺正一、斎藤真弓、斎藤道子、堺正之、坂本哲彦、柴田八重子、島恒生、清水保徳、田沼茂紀、長谷徹、服部敬一、馬場喜久雄、林和子、廣瀨仁郎、福田富美雄、藤田美佐子、毛内嘉威、和井内良樹, これからの道徳教育においては、学習指導要領で述べられている「生きる力」を育むことが重要となってくる。その際、道徳授業改善の視点として道徳性の評価をどう進めていくのかが大きな課題となってくる。今後の実践的指導のあり方として、子どもの道徳性評価の具体的方法等を論述した。
『道徳教育入門』, 田沼茂紀, 教育開発研究所, 2008年07月01日, 押谷由夫、尾田幸雄、横山利弘、田沼茂紀、竹内善一、行安茂、平野良明、柳沼良太、廣川正昭、岩佐信道、金井肇、林泰成、大庭茂美、押谷慶昭、七條正典、植田清宏、木下美紀、柴田八重子、林敦司、大木眞理子、白木みどり、渡邊毅、板倉栄一郎、長島利行、花澤秀文, わが国の道徳教育の現状と問題点について指摘し、本質的問いとしての「道徳は教えられるか」に言及するとともに、これからの道徳教育や道徳授業改善の具体的な方略について提言した。また、今後の実践的指導の視点として、重点的指導、就学前教育からの一貫的指導、体験活動と関連づけた指導等を論述した。
「高知大学ミドル・リーダーシップ基礎講座プログラムの開発」, 田沼茂紀, 高知大学教育学部附属教育実践総合センター, 2008年03月01日, 田沼茂紀(1st)小島郷子・平井貴美代・古口高志・上村国之・川田弘人・野村ゆかり・尾崎美保・百田貴洋, アクション・リサーチの手法を前提に現職教員が特定課題を所属組織内で遂行するOJT研修と、大学でのコホートをベースとしたOff-JT研修を組み合わせ、実践と理論との往還を踏まえた省察や経験を共有化し、その中でリーダーシップ発揮に必要な諸能力開発を試みた。同時に、大学院生を授業の一環としてTAの立場でかかわらせ、研修マネージメント能力形成をも併せて目指した。
『保育と道徳』, 田沼茂紀, 保育出版社, 2006年04月01日, 押谷由夫・小田豊・森光義昭・田沼茂紀・尾島重明・大森彰人・茂木喬・田島信元・酒井玲子・越後哲治・貴島正秋・吉田武男・小川澄江・野口学・武田京子・岩立京子・神長美津子・日下哲也・金崎芙美子・湯川秀樹・若原道昭・竹内善一・稲田大祐・加藤泰彦・横山文樹・作美代子・木村勝彦・西田幸子・今泉利・遠藤美喜子・古橋紗人子・大竹節子・木村慶・松本淳・廣田住彦・石井正子・篠原孝子・井上孝之・鈴木眞理子・齋藤征人, 就学前教育における幼児理解の実際について、具体的な事例を用いながら解説した。また、幼児の「育ちをつなぐ」という視点での幼稚園・保育所と小学校教育の連携についても詳述した。さらに、保護者の幼児教育への積極的な参加の手立てについても言及した。
『小学校道徳実践指導資料集』, 田沼茂紀, ニチブン, 2006年03月01日, 伴恒信・太田佳光・小野健知・田沼茂紀 他50名。(共著者多数につき、主要執筆者のみ記載), 他の教育活動と異なり、その教育的意義から難しいとされる道徳教育評価の考え方、方法論について言及し、学校教育における具体的な手立てや実践的な指導の工夫について理論展開した。また、これから道徳教育評価についても方向性を示した。
『道徳・倫理の未来へ』, 田沼茂紀, 清水書院, 2005年03月01日, 上憲治・菊入三樹夫・兼松儀郎・林泰成・大川洋・関根明伸・永田繁雄・朝倉美香・龍崎忠・田沼茂紀・神崎英紀・佐久間裕之・藤原政行・茂木喬, 道徳教育を学ぶ学生の理解に資するため、道徳教育の概要、その教育方法論的(インカルケーション、価値の明確化、認知発達論等を踏まえながら)な考え方、道徳教育の歴史、道徳性発達についての視点を考慮しつつ、具体的な学習指導案の書き方および評価のあり方について論述した。
「地域教育推進支援プロジェクト調査研究報告書」, 田沼茂紀, 高知大学教育学部附属教育実践総合センター, 2005年03月01日, 田沼茂紀・小島郷子・平井貴美代・古口高志・植田幸作, 地域社会に根ざす教育学部にとって、地域教育委員会と連携した現職教員研修の推進は大きな課題である。高知県教育委員会と高知大学教育学部との10年経験者研修自己課題解決研修の取り組みを受講者のアンケート結果等から分析し、今後の連携強化のあり方や改善方策等について言及した。
『再考-田島体験学校~大正末期-昭和初期新教育運動の検証~』, 田沼茂紀, 川崎教育文化研究所, 2002年08月01日, 大正期から昭和初期にかけてのわが国の教育界は、デューイ等のプラグマティズムに基づく児童中心・経験主義的な教育理論を主な背景とした新教育運動に沸き立っていた。そんな潮流の中で、入澤宗壽・山崎博がシュプランガー等の提唱するドイツ文化教育学に立脚した体験教育理論(後に郷土教育思想も加わる)を提唱し、和魂洋才の人材育成を目指した田島体験学校での取り組みを取り上げ、教育思想的視点、教育方法論的視点の両面から検証した。
『小学校学習指導要領の展開 道徳編』, 田沼茂紀, 明治図書, 1999年10月01日, 押谷由夫・園田あけみ・上原よし子・田沼茂紀、他37名(共著者多数につき、主要執筆者のみ掲載), 小学校学習指導要領を学校教育の中で具体的に展開するための内容項目について解説し、その実践にかかわる留意事項についても言及した。担当した内容項目は、1の視点の「誠実・明朗」および「正直」についてである。また、絵本を用いた道徳資料の取り扱いについても解説した。
『社会生活と心の教育』, 田沼茂紀, 日本図書センター, 1999年09月01日, ピアジェ、コールバーグ、アイゼンバーグ等の理論的背景をもちながら、地域社会における子どもの道徳性、社会性の育みについて学校は家庭や地域社会とどのように関わればよいのか、また、学校教育の中でできることは何かを具体的な実践事例を用いて考察した。
『子どもの価値意識を育む』, 田沼茂紀, 川崎教育文化研究所, 1999年03月01日, 子どもの価値意識形成の最重要要因として、自尊感情の問題を取り上げ、学校における教育活動でどう高めていくことが可能かを学校の教育課程全体を通じた取り組み、道徳の時間の取り組み、その両面から論述した。特に教科・領域横断的なクロス・カリキュラムによる自尊感情形成促進プログラム開発事例等についても具体的に詳述した。
『豊かな個性を育む授業』, 田沼茂紀, 教育開発研究所, 1998年01月01日, 浅沼茂・内藤俊史・田沼茂紀 他35名(共著者多数につき、主要執筆者のみ掲載), 子どもの個性は自己表現力を発揮することで開花する点,表現活動を学習活動に構造化することで価値創造や自己肯定感の育みとなる点を具体的な実践事例を踏まえながら論じた。また、自己肯定感の高まりについて見取る多様で複眼的な手立て等についても言及した。
『中学校 道徳自作資料集』1~2年, 田沼茂紀, 明治図書, 1996年06月01日, 【1年】星崎健・橋本貞和・小向繁敏・田沼茂紀・長谷見道夫・青山直樹、 【2年】星崎健・橋本貞和・小向繁敏・田沼茂紀・長谷見道夫・青山直樹・伊藤一男・川上孝生・長尾洋子・小島一郎 , 子どもと等身大の主人公の具体的な生きる姿を批判、弁護、賞賛する中で道徳的な価値を学んでいくという資料即生活論を理論的背景に,生徒の日常生活に根ざした道徳的問題への気付きを促す資料集とその展開を論述した。中学校1~3年まで各学年別に分冊となっている。
道徳教育の方法論に関する研究, 田沼茂紀, コジマ印刷(私家版), 1995年03月01日, 学校教育における道徳教育の現状を分析し、その担い手である教師に道徳教育への理解を深めてもらいたいという視点から、今日の学校教育での道徳教育の意義やその重要性、道徳指導の在り方、道徳資料開発の方法等について理論と実践との両面から論じた。特に、道徳指導における教育評価の問題については具体的な評価尺度等を示して論述した。
道徳授業の方法論に関する研究~表現活動構想の視点から~, 田沼茂紀, コジマ印刷(私家版), 1995年03月01日, 義務教育段階における戦後道徳教育の変遷や道徳授業の方法論についての検討・分析を加え、子どもの道徳性形成の視点から自己表現力を基底にした表現活動構想による道徳授業の方法論について理論的側面と教育実践的側面の両面から論じた。
『表現構想論で展開する道徳授業』, 田沼茂紀, 川崎教育文化研究所, 1994年03月01日, 子どもの道徳性形成に寄与する道徳授業方法論改善を軸に、指導過程論の先行研究をすべて分析・考察し、子ども自己表現を重視する指導方法の重要性に言及した。そして、方法論的な視点から表現活動構想論の在り方を提唱した。その表現活動構想による授業展開過程は、ウォーミングアップ、基本表現、感得表現、発展表現、最終表現の5段階である。
『家庭を愛する心を育てる』, 田沼茂紀, 明治図書, 1990年11月01日, 押谷由夫・立石喜男・松本昇・渋谷肇彦・國吉ひで子・鋪野久男・内野宏史・宇土泰寛・伊藤葉子・石塚彰雄・橋本康男・佐藤吉郎・田沼茂紀 , 小学校学習指導要領第3章道徳の2「内容」に示された4の視点の高学年における家族愛に関する内容について、実践指導事例をもとに考察・論述した。特に思春期の入り口に立つ6年生での事例を取り上げ、家族への感謝の念をベースにした家族愛の在り方について考察した。
未来志向的な「マルチユニット型道徳学習モデル」の提案, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第102回大会(宮崎大学大会)ラウンドテーブル第1部会(部会テーマ「道徳教育の未来展望と道徳科教育学の構想」), 2023年11月11日, 日本道徳教育学会, 日本・宮崎市, 本発表では従前支配的であった1主題1価値の道徳授業を改善するため、これまで単元構成による複数時間複合価値構成による「パッケージ型ユニット」という道徳科カリキュラム論を提唱してきたことを受け、それを更に発展的にカリキュラム構想する方法論として「マルチユニット型道徳学習モデル」を提案した。概要を述べれば、道徳科では学習当事者個々の主体性に基づく価値探求型の学びが不可欠であるという立場で複数時間複合価値構成の小単元で展開する道徳的諸価値理解と道徳的価値探求を一つの学習パッケージとして提供してくという道徳科カリキュラム構想提案である。
その際に道徳科のみでの複数時間的組み合わせだけでなく、テーマに基づいた複数価値の視点から拡げて掘り下げる道徳科を核に他教科等との意図的な関連付けするクロスカリキュラム構成とすることで価値探求学習をダイナミックに展開する一方策として「マルチユニット型道徳学習モデル」を提案した。道徳科をカリキュラム・マネジメントしながら、学習者の課題探求意欲を喚起し、より確かな道徳学習深化を目指すところにこの「マルチユニット型道徳学習モデル」の斬新な授業構想提案がある。
価値探求型道徳科授業づくりのための道徳学習モデルの構築, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第101回大会シンポジウム, 2023年07月02日, 日本道徳教育学会, 日本・新潟市, わが国の道徳教育の要である道徳科が実施されて早中学校で6年目、小学校で5年目となっているが、教科教育に移行しての成果に対する手応えがあまり伝わってこない現状がある。その主たる要因は、道徳的価値を教化するという価値伝達型授業の呪縛から抜け出せないでいるからである。修身口授⇒修身科⇒道徳の時間と変遷してきた道徳教育のための指導時間であるが、その指導の基本型は価値伝達型道徳指導法にある。その問題点を指摘し、新たな指導方法論として価値探求型道徳科授業への転換必然性とその授業方法理論を提唱した。
道徳科教育学定立の必然性と喫緊の課題, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第100回記念大会ラウンドテーブル, 2022年11月19日, 日本道徳教育学会, 日本・東京都, 「道徳科教育学の理論と指導法」という企画テーマで開催されたラウンドテーブルであるが、そこでは「特別の教科 道徳」=道徳科が小・中学校教育課程に位置付けられて小学校で5年目、中学校で4年目となることを受け、これからの道徳科教育学定立に向けていま何をすべきなのかについて提言した。提案内容の趣旨は、「道徳科教育学定立の必然性と喫緊の課題」というテーマの下、教科に移行転換した道徳科で喫緊に取り組まなければならない課題として、道徳科教育方法学研究と並行して展開されるべき道徳科教育内容構成学研究が不可欠であるにも関わらず取り組まれていないことを強く訴えた。その根拠は、道徳科教育内容構成学研究を定着させないと明治時代の修身科から連綿と引き継がれてきた道徳的価値伝達型授業から、学習主体者を中核に置いた道徳的価値探求型道徳科授業に転換するためにはどうしても必要不可欠な研究視点でからである。
道徳科における協同的な学習の意義についての検討, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第99回(令和4年度春季)大会, 2022年06月26日, 日本道徳教育学会, 日本・東京都, 令和3(2021)年3月、中央教育審議会は「令和の日本型学校教育」について答申した。そこで強調されている「協働的な学び」は従前より用いていた「協同的な学び」を踏襲しつつ、統合したものであると理解される。しかし、小・中学校における道徳科授業での目的「児童生徒一人一人が道徳的諸価値と対峙し、自分事として望ましい在り方や生き方の実現を目指す」ことを念頭に置くならば、果たして他教科同様に1つの課題解決や目標に向かって各自が分担し最終的に結果を共有するような学び方が適切なのかという疑念があることを本発表では問題提起した。つまり、各教科では1単位時間の最終ゴールが学習内容の共有という内容的目標設定となるが、個として1単位時間に留まらない自らの在り方や生き方を語り合って深め合う道徳科学習では方向的な目標設定となることを勘案するなら、単なる各教科同様の包括的な協働学習ではなく、道徳学びがスタートフリー・ゴールフリーで展開される道徳科授業では協同学習としてのスタンスを明確に学習展開しなければならないことをわが国の道徳教育史や協同学習・協働学習史を繙きながら論じた。
道徳科教育学の構想に関する一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第97回(令和3年度春季)大会/発表要旨「大会要項」pp.98-99掲載, 2021年62月, 日本道徳教育学会, 日本・宇都宮市(宇都宮大学主催オンライン開催), 平成27(2015)年3月の学校教育法施行規則改正で、義務教育学校における「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」=道徳科へと移行した。既に小学校では平成30年度より、中学校では令和元年度より学校教育課程の教科教育として実施されている。ただ、学習指導要領やそれに基づく検定教科書、学習評価の導入等の法的整備は既になされているが、肝心要の「道徳科」を理論的に基底で支える学問領域の同定と構築が追いついていない現状にある。つまり、道徳科は学習指導要領をなぞるだけの教育学理論を有しない教育活動に留まっているのが現時点での実態である。そこで本研究では、道徳科教育学のディシプリンを構成する道徳科教育内容構成学と道徳科教育方法学をどのようにデザインしていくのかという視点から検討を行った。具体的には、ディシプリンとなる道徳科教育内容構成学と道徳科教育方法学に学び手である子供の道徳的体験や道徳的経験を並立的に配置することでより現実に即した「生きて働く学び」を創出するためのカリキュラム構想モデル「三次元一体化論」を構想し、道徳科教育学定立のためのイメージをより具体的かつ未来志向的に検討する必要性を主張した。
単元型道徳学習の「問い」を紡ぐグループ・モデレーション援用効果の検討, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第95回大会自由研究発表, 2020年07月05日, 日本道徳教育学会, 日本・東京都, 日本道徳教育学会第95回大会自由研究発表として公開された。ただ、コロナウィルス感染予防の観点から研究発表要旨集による紙上発表となった。研究発表内容は道徳科における「主体的・対話的で深い学び」の具現化された学習イメージとして想定する「考え、議論する道徳」を体現する指導方法理論として、個々の「問い」を共通学習課題へと高めていく方法論的手法となり得るV.Gipps(1994)の提唱するグループ・モデレーションの援用可能性について言及した。グループ・モデレーションは評価者である教師が定性的な学習成果を適正に評価するため考えられた評価規準・規準の策定手法であるが、それを主体的な学びでしか道徳性の形成ができにくい道徳科授業において学習者である子供自身が互いに個としての「問い」を摺り合わせ、調和的に調節することで共通学習課題設定へと導いていくための方法理論となるよう検討した。
「今ここに」を機能させるための道徳科カリキュラム・マネジメント, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第93回春季大会シンポジウム, 2019年06月30日, 日本道徳教育学会, 日本・柏市, 「カリキュラム・マネジメントで道徳科の充実を図る」と題する公開シンポジウム提案のポイントは、3点である。1点目は「道徳の時間」から道徳科へ移行転換したことを受け、この道徳科を充実させるためにはカリキュラム・マネジメントについてのその目的、内容・方法&評価を教科教育学の視点から再考しつつ新たに理論構築していく必要があること。2点目として、道徳科カリキュラム・マネジメントでは「真正の評価」論としての「逆向き設計」論を援用した全体指導構想と毎時間のリアルタイムな指導との双方向・調和往還的視点からのカリキュラム・マネジメント構想をする必要があること。3点目として、毎時間の道徳科授業を子供主体の「考え、議論する道徳」とするために学習テーマ⇒学習課題⇒共通解⇒納得解⇒新たな道徳課題という学習プロセスを踏まえる「課題探求型道徳科授業理論」と、1年間のカリキュラムを大単元⇒中単元⇒小単元と現代的な課題や子供の道徳的な発達の段階あるいは道徳的問題意識をベースにカリキュラム構想するパッケージ型ユニットを導入することでリアルタイムかつ柔軟なカリキュラム・マネジメントが実現できること。以上の3点である。。
特別支援教育における道徳学習促進に関する一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第93回春季大会, 2019年06月29日, 日本道徳教育学会, 日本・柏市, 「道徳の時間」から「特別の教科 道徳」へ移行転換したことで特別支援教育関係者の中でも通常級同様に推進しなければならないといった精神的呪縛が顕在化してきたいる。そこで本研究では誰のための、何のための特別支援教育なのかと言う原点に立ち返って、障がいを有する子供一人一人の個別なニーズに寄り添った柔軟性を前提とした教育活動としての「道徳学習」が促進されるよう発想転換すべきであることを提案した。また、個別なニーズに寄り添う道徳学習を充実させるための手立てとして多様な障がい、多様な発達の段階、多様な教師の創意工夫を盛り込んだ指導事例を意図的・計画的にデータベース化し、特別支援教育担当教師が眼前の子供の実態を踏まえながらチョイスして活用できるような支援システム構築の必要性を提案した。キーワードは、個別な道徳学習、合理的な配慮、ユニバーサルデザインに基づいた基礎的教育環境整備である。
学校教育におけるメンタルハザード・マネジメントをどう進めるか, 田沼茂紀, 日本安全教育学会第19回横浜大会, 2018年09月09日, 日本安全教育学会, 日本・横浜市, 阪神淡路大震災や東日本大震災等に起因する人災、神戸連続児童殺傷事件や長崎佐世保小6少女殺傷事件、中野富士見註いじめ自殺事件や大津中2いじめ自殺事件等々、今日の学校はこれまで経験したことのない多様化・複雑化したメンタルハザード要因と隣り合わせに日々の教育活動を展開している。そんな中で学校の教育課程は個別的理解に基づくメンタルハザード・マネジメントに即応できない構造となっているが、その根本的な問題解決の有効策として相互支援的なピアサポート導入の可能性を提案した。
子供の1年間の道徳学びが見えるような教科書活用へ, 田沼茂紀, 上越教育大学上廣道徳教育アカデミー道徳教育研究大会, 2018年08月20日, 上越教育大学, 日本・上越市, 2018年度より教科化された「特別の教科 道徳」=道徳科が全面実施となったが、各地でその実践を巡って混迷の様相を呈している。その主な理由は道徳科に教科書が導入され、それに伴って学習評価もしなければならなくなった事情があるからである。しかし、それ以上に従前の「道徳の時間」では便宜的に活用しやすい教材のみで組まれたカリキュラム指導に慣れてきた教師にとって、教科書をベースにしての系統的・発展的なカリキュラム編成や「指導と評価の一体化」に基づく学習指導は想定外のこととなっているからである。そのため、予測を超えた混乱が学校現場で生じている。このような教科書活用型道徳科授業への転換を阻む現実を前提に、本発表では課題探求型道徳科授業方法論をベースとしたパッケージ型ユニット手法によるカリキュラム構成法を改善策として提案した。
課題探求型道徳科授業の必然性とその方途としてのパッケージ型ユニット, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第89回大会プログラム・発表要旨集, 2017年07月01日, 日本道徳教育学会, 大会テーマ:「『特別の教科 道徳』におけるアクティブ・ラーニングを考える」の下で開催されたシンポジウムで提案したのが「課題探求型道徳科授業の必然性とその方途としてのパッケージ型ユニット」という内容である。今後実施される道徳科における教科教育型授業展開として道徳科教育内容学と道徳科教育方法学とを勘案するとパッケージ型ユニットによるscopeとsequenceの明確化と共に、学習課題の提示⇒共通追求課題⇒共通解の形成⇒納得解の紡ぎ⇒次時に向けた新たな課題設定という一連の学習プロラス論が不可欠である点が発表の論旨である。
道徳授業イメージに関する一考察~道徳教育忌避感情・軽視傾向の視点から~, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第87回大会, 2016年07月02日, 日本道徳教育学会, 平成27年3月の小・中学校学習指導要領一部改正によって、「道徳の時間」が「特別の教科 道徳」=道徳科へと改革された。これまでの道徳授業では、その特質を踏まえた指導がなされてこなかったといった指摘が繰り返しされてきた。今般の制度改革後の移行期間で、児童・生徒や小・中学校教師の道徳授業イメージに変化の兆しは見られたのであろうかという問題意識のもと、神奈川県内公立小・中学校の児童・生徒568名、教師53名を対象に2003年に同様の条件下で実施した「道徳授業イメージ調査」を再度実施した。その結果、児童・生徒の道徳教育忌避感情や軽視傾向にそれほど変化は見られなかったが、教師群は経験年数に関わらず道徳授業への関心が向けられつつあることが確認された。ただ、指導方法等についての戸惑いや自信のなさは相変わらずで、苦手意識が強いことが確認された。
道徳科の授業評価に関する基礎的研究 ー評価観点設定の視点からー, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第85回大会, 2015年06月27日, 日本道徳教育学会, 義務教育学校における「道徳の時間」が、「特別の教科 道徳」=道徳科に移行することとなった。その教科化に伴って生じてくるのが「道徳的学び」についての評価の問題である。従前の内容獲得型授業から資質・能力獲得型道徳授業としていくためにどのような評価観点を設定すればよいのかという視点で「個人内自己評価」の重要性について論を展開した。
道徳授業評価に関する基礎的研究~実践的アプローチの検討~, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第84回大会, 2014年11月29日, 日本道徳教育学会, 今後に義務教育学校で導入が予定されている「特別の教科 道徳」における道徳授業評価について、子どもの道徳的学びに視点を置きながら、子ども自身の肯定的な自己評価に基づくパフォーマンス評価とポートフォリオ評価の方法論を検討した。その前提となるのは、「真正の評価」論に依拠した「逆向き設計」論に基づくアセスメント評価である。そこでの道徳的学びに継続性や発展性を持たせつつ、さらなる自己評価を促すための道徳授業構想で不可欠な観点設定のための実践的方法論として本研究では縦軸に道徳学習内容要素、横軸に道徳的成長要素を配置した二次元マトリックス法を提案した。
道徳授業充実の鍵を「教科化」に託すための方法論的検討とその課題
~教科型道徳授業への実践的アプローチの検討とその課題~, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第84回大会, 2014年11月29日, 日本道徳教育学会, 学会第84回大会メインシンポジウムで発表した内容である。主な論点は、今般の道徳教科化という道徳授業改革における授業構造転換の必要性についてである。特にそこで求められるのは道徳教育学の視点で、教育内容学と教育方法学という学問的背景を持ちながら道徳的学びの本質を明確化した教科教育型道徳授業への転換であることを訴えた。道徳教育忌避感情や軽視傾向が生じているのは、そのような道徳授業のバックボーンとなる方法論的視点を欠いているためであることを指摘し、子ども自身の自己省察的・自己成長的な学びを喚起するような授業構想が不可欠であることを論じた。
教科化後の道徳授業についての展望~「特別の教科 道徳」の今後~, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会夏季研究会, 2014年08月02日, 日本道徳教育方法学会, 教育再生実行会議第1次提言以降の仮称「特別の教科 道徳」実現に向けての経緯を概観し、そこで求められる資質能力としての「ただ頭で分かるだけでなく、自らの生き方に照らして解り、それを具体的に体現しようとする意思力や道徳スキル」について解説すると共に、今後の教科「道徳」では従前のパターン化した授業よりも目標、内容、教材、方法、評価観点が明確な授業が重要となってくることを踏まえた実践的試行モデル(心情追求型、話合い組織化型、問題解決型、PISA型、教科型の各授業アプローチ)を提案した。
実効性と系統的発展性が伴う教科教育学の視点からの道徳授業改革提案, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会第20回研究発表大会, 2014年06月14日, 日本道徳教育方法学会, 本研究発表は、学会研究委員会企画による課題研究シンポジウムの提案として行った。道徳授業改革としての教科化の起因について検討し、喫緊の課題として教科教育学の視点から道徳教育内容学と道徳教育方法学を背景としたバッククラウンドとしての道徳教育学定立が不可欠であることを提言し、カリキュラム編成理論として知られるG.WigginsやJ.McTighe等による「逆向き設計」論の援用必要性を訴えた。
PBL方式による教員養成支援プログラムの実践とその課題, 田沼茂紀, 國學院大學第5回大会, 2013年11月09日, 國學院大學人間開発学会, 教職志望学生と現職教員とで教育研究会を大学内に発足させ、学生と現職教員双方の立場で学びがもてることを前提にした教員養成プログラム、PBL方式での教員養成支援プログラム1年半にわたって試行した。そして、そのプログラムに参加した教職志望学生と現職教員との意識変化やスキル向上等についての聞き取り調査等を通して成果を分析し、問題解決型の実践活動による教職としての実践的指導力形成における本プログラムの有効性について論じた。
道徳授業評価に関する一考察 ~「教科道徳」具現化のための基礎的研究~, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第82回大会, 2013年11月03日, 日本道徳教育学会第82回大会, 道徳授業の教育課程上の枠組みが再検討される中、子どもの道徳的学びを道徳授業でどう評価すればようのかを論じた。本研究では、個々の生き方の善さ、人格的成長の足跡を子ども自身が自覚し、内面的に高まろうと自らの内発的動機付けを強化するような評価方法を提案した。つまり、指導と評価の一体化を前提にしたパフォーマンス評価である。ポートフォリオ評価を前提としたパフォーマンス評価では、パフォーマンス課題とルーブリック指標に基づく真正の評価がなされるためのP(心構え段階)A(体験の経験化段階)R(節目毎のふり返り段階)プロセスが必要であることの提案である。
今後の道徳授業改善と学び評価の視点についての一考察, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会夏季研究会, 2013年08月24日, 日本道徳教育方法学会, 教育再生実行会議の提言を受けて文部科学省内に道徳教育充実に関する懇談会が設置される等、道徳の「教科化」への議論が様々展開されているが、その過程において子どもの道徳的な学びや学び評価の視点からの発言が少ないことをまず指摘した。そして、道徳的学びの本質を問い、その学びの意義に照らして道徳授業という枠組みの中でパフォーマンス評価、ルーブリック指標に基づく評価が必要であることを唱え、具体的な学び評価モデルを小学校低学年用、中学校用との2パターンを提案した。
重点的指導パッケージとしての複数価値多時間同時追求型アプローチによる道徳授業~パッケージ型重点的指導プログラムを可能にする資料活用の視点から~, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会第17回研究発表大会, 2011年06月12日, 日本道徳教育方法学会第17回研究発表大会, 鎌田賢二, 個々の子どもの道徳的課題意識に基づく学びを実現するため、コアとなる道徳的価値に連なる関連価値をも視野に置いた同時追求型重点的指導道徳授業プログラムを構想し、それを機能させるためにはどのような道徳教材が求められ、どう活用することで指導効果が期待できるのか実践的検証を踏まえつつ言及した。
重点的指導パッケージとしての多時間プログラムによる道徳授業の展開~多時間複数価値同時追求型アプローチによる展開~, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第76回大会, 2010年11月01日, 日本道徳教育学会第76回大会, 鎌田賢二
半期15回の道徳教育シラバスにどのような願いを託すのか~國學院大學における教職科目「道徳教育の理論と方法」の授業構想~, 田沼茂紀, 東京学芸大学「総合的道徳教育プログラム」全学フォーラム, 2010年02月01日, 東京学芸大学「総合的道徳教育プログラム」全学フォーラム
価値達磨構想に基づく複数価値多時間追求型道徳授業の実践, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第74回大会, 2009年11月01日, 日本道徳教育学会第74回大会, 鎌田賢二
学際領域としての「人間開発学」の定立に向けて, 田沼茂紀, 國學院大學人間開発学会第1回大会, 2009年11月01日, 國學院大學人間開発学会第1回大会公開シンポジウム
学校小規模化のメリットを生かす全校的な道徳学びの創造~小規模校における全校道徳授業実践を中心に~, 田沼茂紀, 日本教育学会第68回大会, 2009年08月01日, 日本教育学会第68回大会
価値達磨構想論による複数価値多時間追求型道徳授業の創造~複数価値からの学びを通して子ども自身が構築する道徳的価値観~, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会第15回研究発表大会, 2009年06月01日, 日本道徳教育方法学会第15回研究発表大会, 鎌田賢二
道徳授業の改善に結びつく評価の在り方, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会第15回研究発表大会, 2009年06月01日, 日本道徳教育方法学会第15回研究発表大会シンポジウム
絵本教材導入促進支援としての「教材化絵本選定基準尺度」の開発, 田沼茂紀, 日本教師教育学会第18回研究大会, 2008年09月01日, 日本教師教育学会第18回研究大会
小・中・高・大学生および教師の生命観についての検討~生命尊重教育カリキュラム開発の視点から~, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第69回大会, 2007年06月01日, 日本道徳教育学会第69回大会
現職教員研修を通して構築する地域教育 学部の未来像, 田沼茂紀, 教育大学協会四国地区研究集会徳島大会, 2006年12月01日, 教育大学協会四国地区研究集会徳島大会
小・中・大学生の生命観と生命尊重教育の在り方, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第68回大会, 2006年10月01日, 日本道徳教育学会第68回大会
教職志望学生の生命観についての検討 ~他者へのまなざしの視点から~, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会第12回研究発表大会, 2006年06月01日, 日本道徳教育方法学会第12回研究発表大会
絵本のもつ道徳学習促進効果についての検討, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第65回大会, 2005年06月01日, 日本道徳教育学会第65回大会
「道徳教育を未来の教師に託すための方法論的試み」, 田沼茂紀, 『日本教育大学協会四国地区研究集会研究集会記録集』, 2005年01月01日, 教員養成大学・学部にとって、教職志望学生の道徳教育への理解を得ることは重要である。なぜなら、道徳教育忌避感情を有した教師の指導を受けて育った学生の内面に培われた道徳教育忌避感情再生産の連鎖を断ち切らなければならないからである。その改善に向けた取り組みの事例等について論述した。
道徳教育を未来の教師に託すための方法論的試み, 田沼茂紀, 教育大学協会四国地区研究集会愛媛大会, 2004年12月01日, 教育大学協会四国地区研究集会愛媛大会
教職志望学生として生き方教育を問い直すことを促す指導法改善の試み, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第64回大会発表集録誌上発表(地震にて開催中止となったため), 2004年11月01日, 日本道徳教育学会第64回大会(新潟県中越地震発生により中止となり発表集録集にて文書発表)
自らの人生を語れる教師の育成~道徳教育を未来の教師へ託すために~, 田沼茂紀, 上廣倫理財団第9回道徳教育シンポジウム, 2004年08月01日, 上廣倫理財団第9回道徳教育シンポジウム
今求められる道徳教育の実践的指導-道徳教育実践上の諸課題と対応, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第62回大会シンポジウム, 2003年11月01日, 日本道徳教育学会第62回大会シンポジウム
教師の道徳教育忌避感情に関する分析と克服型授業モデルの検討, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会第9回研究発表大会, 2003年06月01日, 日本道徳教育方法学会第9回研究発表大会
道徳授業を支える児童と教師の心理的側面の検討PARTⅠ, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第60回大会, 2002年06月01日, 日本道徳教育学会第60回大会
道徳的体験の学習経験化を意図した道徳授業の試み, 田沼茂紀, 日本道徳教育方法学会第7回研究発表大会, 2001年06月01日, 日本道徳教育方法学会第7回研究発表大会
総合的な学習が及ぼす道徳学習促進効果に関する研究, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第57回大会, 2001年06月01日, 日本道徳教育学会第57回大会
道徳授業における道徳性形成要因に関する尺度の開発, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第56回大会, 2000年11月01日, 日本道徳教育学会第56回大会
道徳授業における道徳性形成促進要因に関する尺度の検討, 田沼茂紀, 日本道徳性心理学研究会大会, 2000年09月01日, 日本道徳性心理学研究会大会
道徳学習用パソコン・ソフトウェアの効果と課題, 田沼茂紀, 日本道徳教育学会第54回大会, 1999年11月01日, 日本道徳教育学会第54回大会
道徳授業におけるself-esteem促進プログラムの試み, 田沼茂紀, 日本教育心理学会第38回総会, 1995年11月01日, 日本教育心理学会第38回総会
児童のself-esteem形成に及ぼす道徳学習の効果に関する考察, 田沼茂紀, 第1回上越教育大学生徒指導研究会, 1995年08月01日, 上越教育大学生徒指導研究学会