社会主義期ポーランドにおける人間形成―「宗教」と「世俗」のはざまで, 加藤久子, 東欧史研究, 45, 70, 76, 2023年03月
政治に分断されるカトリック教会―ポーランドにおけるポピュリスト政党と宗教保守層の動向, 加藤 久子, 上智大学ヨーロッパ研究所研究叢書(12)ヨーロッパの世俗と宗教, 113, 127, 2019年03月
現代史における宗教研究の可能性と課題―ポーランド史の視点から, 加藤 久子, 東欧史研究会, 40, 165, 170, 2018年03月
資料紹介/ポーランドのボードゲームに描かれるカトリック修道会の世界, 加藤 久子, 日本文化研究所年報, 9, 135, 143, 2016年09月
ポーランド人にとっての<アウシュヴィッツ>―アウシュヴィッツ=ビルケナウ ナチス・ドイツの強制絶滅収容所(1940-1945), 加藤 久子, 季刊民族学, 153, 18, 29, 2015年07月
資料紹介/河合博之駐ポーランド特命全権公使の改宗と客死(1933年)―『無原罪の聖母の騎士』誌より, 加藤 久子, 日本文化研究所年報, 7, 58, 66, 2014年09月
社会主義ポーランドの建設とロマ--「ジプシー」をめぐる政策とプロバガンダ, 加藤 久子, 現代史研究, 1, 14, 2007年, 現代史研究会
レーニン製鉄所と十字架--社会主義ポーランドにおける政治と宗教, 加藤 久子, ロシア・東欧研究, 36, 2007年, ロシア・東欧学会
研究ノート/社会主義ポーランドにおけるカトリック教会をめぐる報道--ノヴァ・フタでの教会建設過程に着目して, 加藤 久子, 東欧史研究, 27, 90, 103, 2005年03月, 東欧史研究会
ポーランドにおける社会主義政権の「終焉のはじまり」--カトリック教会をめぐる政治性の問題 (特集 宗教復興の潮流), 加藤 久子, 現代宗教, 2005, 107, 129, 2005年, 東京堂出版
戦後ポーランドにおけるコンビナート建設と都市形成--カトリック教会と労働者, 加藤 久子, ロシア・東欧研究, 34, 2005年, ロシア・東欧学会
社会主義政権下ポーランドにおけるカトリック教会 : 「三月事件」(1968年)に対する教会の見解に着目して, 加藤 久子, 宗教と社会, 10, 71, 92, 2004年06月, 「宗教と社会」学会
書評:ホロコーストの記憶の特殊性と普遍性に関する覚書, 加藤久子, 立命館言語文化研究, 36, 2, 9, 12, 2024年11月
テーマセッション:戦時下の教会―体制転換後のウクライナとその周辺国における宗教・国家・社会―, 井上まどか; 伊達聖伸; 大澤広嗣; 加藤久子, 宗教と社会, 30, 159, 163, 2024年06月
回顧と展望 現代 ロシア・東欧・北欧, 加藤久子, 史學雜誌, 132, 5, 389, 395, 2023年06月
翻訳:戦後日本におけるポーランド研究, エヴァ・パワシュ=ルトコフスカ著, 加藤久子訳, れにくさ, 10, 1, 2020年03月
コメント(近代ヨーロッパにおけるナショナリズムとキリスト教), 加藤久子, 史苑, 80, 2, 181, 183, 2020年03月
書評:高橋沙奈美著『ソヴィエト・ロシアの聖なる景観―社会主義体制下の宗教文化財、ツーリズム、ナショナリズム』, 加藤 久子, 宗教と社会, 25, 167, 170, 2019年06月
翻訳:戦後台湾における宗教の「近代化」とその課題, 齊偉先著; 加藤久子訳, 2016年度国際研究フォーラム「東アジアのグローバル化と宗教文化」報告書, 33, 39, 2018年02月
負の記憶をめぐる旅<アウシュヴィッツ>:ポーランド, 加藤 久子, 山本敏夫記念文学部基金講座「現代社会と宗教」2014-2015年度 戦争と宗教/聖地とツーリズム, 38, 40, 2016年01月
出張報告:ワルシャワ調査出張, 加藤 久子, 日本文化研究所年報, 8, 30, 32, 2015年09月
翻訳:日本の都市社会における宗教性と世俗性のゆらぎに関する考察, エリザベッタ・ポルク著; 加藤久子訳, 國學院大學デジタル・ミュージアム, 2012年
書評:関啓子・太田美幸編『ヨーロッパ近代教育の葛藤』 (特集 <教育と社会>学を考えるために), 加藤 久子, 〈教育と社会〉研究, 20, 33, 35, 2010年, 一橋大学〈教育と社会〉研究会
書評:Hanna Diskin, The Seeds of Triumph, Church and State in Gomulka's Poland(Central European University Press, 2001), 加藤 久子, ロシア・東欧研究, 32, 2003年, ロシア・東欧学会
渡辺克義・白木太一・吉岡潤編『ポーランドの歴史を知るための56章【第2版】 』, 加藤久子, 明石書店, 2024年09月
伊達聖伸・渡辺優『カトリック的伝統の再構成』(「西洋における宗教と世俗の変容」第1巻), 加藤久子, 勁草書房, 2024年01月
川田牧人・松田素二編『世界の冠婚葬祭事典』, 加藤久子, 丸善出版, 2023年12月
加藤有子編『ホロコーストとヒロシマ―ポーランドと日本における第二次世界大戦の記憶』, 加藤久子, みすず書房, 2021年12月
中欧・東欧文化事典編集委員会『中欧・東欧文化事典』, 加藤久子, 丸善出版, 2021年09月
木村至聖・森久聡編『社会学で読み解く文化遺産―新しい研究の視点とフィールド』, 加藤久子, 新曜社, 2020年11月
伊達聖伸編『ヨーロッパの世俗と宗教―近世から現代まで』, 伊達聖伸; 小川公代; 木村護郎クリストフ; 内村俊太; 江川純一; オリオン・クラウタウ; 加藤久子; 立田由紀恵; 井上まどか, 勁草書房, 2020年10月
渡辺克義編『ポーランドの歴史を知るための55章』, 加藤久子, 明石書店, 2020年09月
櫻井義秀編著『アジアの公共宗教――ポスト社会主義国家の政教関係』, 加藤久子, 北海道大学出版会, 2020年03月
國學院大學研究開発推進センター 編・ 古沢広祐責任編集『共存学4:多文化世界の可能性』, 加藤 久子, 弘文堂, 2017年03月
中野智世・前田更子・渡邊千秋・尾崎修治編『近代ヨーロッパとキリスト教――カトリシズムの社会史』, 加藤 久子, 勁草書房, 2016年10月
國學院大學日本文化研究所編・井上順孝責任編集『<日本文化>はどこにあるか』, 加藤 久子, 春秋社, 2016年08月
櫻井義秀・平藤喜久子編『よくわかる宗教学』, 加藤 久子, ミネルヴァ書房, 2015年03月
『教皇ヨハネ・パウロ二世のことば―1979年、初めての祖国巡礼』, 加藤 久子, 東洋書店, 2014年12月
井上順孝編『世界宗教百科事典』, 加藤 久子, 丸善出版, 2012年12月
山中弘・星野英紀・岡本亮輔編『聖地巡礼ツーリズム』, 加藤 久子, 弘文堂, 2012年11月
山中弘編『宗教とツーリズム―聖なるものの変容と持続』, 加藤 久子, 世界思想社, 2012年06月
フォーラム・ポーランド監修『フォーラム・ポーランド2008年会議録』, 加藤 久子, ふくろう出版, 2009年09月
Krzysztof Gawlikowski & Małgorzata Ławacz (ed.)“Japonia na początku XXI wieku”, 加藤 久子, Toruń: Wydawnictwo Adam Marszałek, 2008年09月
島薗進他編『宗教学文献事典』, 加藤 久子, 弘文堂, 2007年12月
渡辺克義編『ポーランド学を学ぶ人のために』, 加藤 久子, 世界思想社, 2007年03月
【コメント】多文化主義・多文化共生をめぐる政治の過去と現在―悲観でも楽観でもなく…, 加藤久子, 大東文化大学国際比較政治研究所・法学研究科政治学専攻 2024年度シンポジウム, 2024年10月17日
共生の物語をつむぎなおす―ポーランドに出現した2.5次元のユダヤ人街, 加藤久子, 國學院大學日本文化研究所 国際研究フォーラム「見られることで何が変わるのか―ツーリズムと宗教文化」, 2023年12月17日
複数の視点を持つ~AI時代に第2外国語を学ぶ意味, RIRC 開設25周年記念ミニシンポジウム「正確な宗教ニュースとは~AI時代を見据えて~」, 2023年12月02日
書評:林志弦著『犠牲者意識ナショナリズム』, 加藤久子, 東欧史研究会 9月例会, 2023年09月30日
【コメント】戦時下の教会――体制転換後のウクライナとその周辺国における宗教・国家・社会, 加藤久子, 「宗教と社会」学会 第31回学術大会, 2023年06月25日
ポーランドにおける価値の政治:人工妊娠中絶の政治争点化を中心に, 加藤久子, 日本政治学会 2022年度研究大会, 2022年10月02日
社会主義期ポーランドにおける人間形成――「宗教」と「世俗」のはざまで, 加藤久子, 東欧史研究会 小シンポジウム, 2022年04月23日
戦場化するウクライナと東欧社会, 加藤久子, 緊急公開シンポジウム「いま、ウクライナ情勢を考える」, 2022年04月13日
【コメント】大戦間期中東欧における反ユダヤ主義の展開, 加藤久子, 公開ワークショップ「大戦間期中東欧における反ユダヤ主義の展開」, 2021年01月
【コメント】近代ヨーロッパにおけるナショナリズムとキリスト教, 加藤 久子, 立教大学史学会シンポジウム, 2019年06月
ポーランド『三月事件』を結ぶ点と線―ワルシャワ・バチカン・エルサレム―, 加藤 久子, 国際シンポジウム「1968年再考―グローバル関係学からのアプローチ―」, 2018年12月
ポーランドにおける右派勢力とカトリック教会, 加藤 久子, 日本比較政治学会 第26回研究大会, 2018年06月
負の文化遺産と<パフォーマンス>―ポーランドにおけるホロコーストの記憶をめぐって―, 加藤 久子, 日本社会学会 第90回大会, 2017年11月
ポーランドのカトリック巡礼地が表象するdarkness, 加藤 久子, 研究会「社会主義文化における記憶と記念の比較研究」, 2017年07月
他者の歴史を展示するということ―ポーランドにおけるホロコースト・サイトの保存、展示, 加藤 久子, 仙人の会 11月例会, 2015年11月
社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育, 加藤 久子, 「宗教と社会」学会 第23回学術大会, 2015年06月
ポーランド人にとってのアウシュヴィッツ強制収容所の記憶~歴史叙述や記憶に関する社会学的検討, 加藤 久子, ロシア・東欧学会 第43回学術大会, 2014年10月
<アウシュヴィッツ>とともに暮らすということ―負の文化遺産と地元住民, 加藤 久子, 慶応義塾大学人類学研究会・三田哲学会, 2013年07月
負の文化遺産とツーリズム~『アウシュヴィッツ』は誰のものか~, 加藤 久子, 宗教とツーリズム研究会 第7回研究会, 2009年10月
社会主義期ポーランドのカトリック教会:新興工業都市における教会をめぐる諸活動, 加藤 久子, フォーラム・ポーランド 第4回全国会議, 2008年10月
(パネル・ディスカッション)ポーランドのカトリックと現在, 小森田秋夫; 家本博一; 加藤久子, フォーラム・ポーランド 第4回全国会議, 2008年10月
レーニン製鉄所と十字架~社会主義ポーランドにおける信仰とその政治化~, 加藤 久子, ロシア・東欧学会 第36回学術大会, 2007年10月
戦後ポーランドにおけるコンビナート建設と都市形成~カトリック教会と労働者~, 加藤 久子, ロシア・東欧学会 第34回学術大会, 2005年10月
社会主義ポーランドにおける新教会建設運動~ノヴァ・フタの十字架~, 加藤 久子, 「宗教と社会」学会 第13回学術大会, 2005年06月
権威主義体制下ポーランドにおけるカトリック教会~『三月事件』(1968年)後の教会内での見解の多様性に着目して~, 加藤 久子, 「宗教と社会」学会 第11回学術大会, 2003年06月
25K03602, 2025, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 世俗化とグローバル化のカトリック教会への影響:1960年代ポーランドを事例として
20K00076, 2020, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育とその現在への影響:公共宗教論再考
科学研究費助成事業, 基盤研究(C), 社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育:政治・社会変動のダイナミクスとして
科学研究費助成事業, 若手研究(B), 民主化と宗教の関係に関する考察:1970年代ポーランドを事例として
北海道大学スラブ研究センター, 「スラブ・ユーラシア地域(旧ソ連・東欧)を中心とした総合的研究」共同利用型, 資源化する「連帯」の記憶~現代ポーランド政治のなかの労組『連帯』
科学研究費補助金, 特別研究員奨励費, 社会主義ポーランドにおける政治・社会変動のダイナミクス-カトリック教会を事例に-
科学研究費補助金, 特別研究員奨励費, 社会主義政権下ポーランドにおける政治変動のダイナミクス-カトリック教会を中心に-
日本科学協会, 笹川科学研究助成, 社会主義政権下ポーランドにおける民主化の萌芽とカトリック教会~コンビナート都市での教会建設の過程に着目して~
JP25K03602, 世俗化とグローバル化のカトリック教会への影響:1960年代ポーランドを事例として
24K00012, 戦時下の教会―ウクライナとその周辺国における宗教・国家・社会, 本研究は、ウクライナとその周辺国を対象地域として、政教関係や宗教的実践がウクライナ戦争下でどのように再編・新生・変容しつつあるのかを明らかにする。その目的を達成するため、(1)政教関係の再編成、(2)宗教コミュニティの新生・変容、(3)戦争のコメモレーション(記念・顕彰行為)という三つのテーマを設定する。;本研究では、信仰共同体・教義・儀礼のみを考察対象とするのではなく、戦争を遂行する国家そのものが帯びる宗教性に着目する必要があるという認識のもと、(1)は宗教社会学、戦争社会学のアプローチ、(2)は人類学、地域研究のアプローチ、(3)は宗教学、歴史学、文学のアプローチと複合的な手法を採る。
JP20K01482, 冷戦期の東欧における社会主義体制の比較研究:権威主義の強靱姓を解明するために, 本研究は、社会主義期の旧東欧諸国を事例として権威主義体制の強靱性を明らかにしようとするものである。従来の政治学の議論では、全ての国や地域は民主化されるべきであり、実際においても、その方向に向かっているという暗黙の了解が存在した。ところが、2010年代半ば頃より、民主主義の「後退」や権威主義体制の「しぶとさ」が盛んに議論されるようになってきている(例えば、モンク『民主主義を救え!』2019)。その点において、東欧の権威主義体制は今こそ参照すべき歴史的経験と言える。本研究では、史資料の公開やオーラルヒストリーによって急速に進みつつある歴史学上の成果を活かしつつ、当時における体制の内実に迫りたい。;本研究においては、旧東欧諸国を専門とする計6名による共同研究により、後期社会主義期における権威主義体制の強靱性を検討した。2010年代の半ば頃より民主主義の「後退」や権威主義体制の「しぶとさ」が盛んに議論されるようになってきていることに鑑み、この地域における非民主的体制が1989年まで持続した背景について、狭い意味での政治だけでなく、社会や文化の領域にも対象を広げる形で比較研究を実施した。コロナ禍により現地調査ができない時期があったため研究期間を1年延長したが、相応の研究成果を収めることができたと考えている。;小規模科研を6人で分担する形であったため、それぞれが基礎を積み上げていくことを最優先し、全体として大きな成果を出すという方式は採らなかった。個々の実績については別紙を参照して頂きたいが、共通の成果としては、2023年度にオーストリアの研究者フィリップ・テーア(Philipp Ther)氏を招いて国際研究集会(ワークショップ)を実施したこと、また、彼の主著(Die neue Ordnung auf dem alten Kontinent, 2016)の翻訳を行ったこと(実際の出版は2024年度)などが挙げられる。
JP20K00076, 社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育とその現在への影響:公共宗教論再考, 先行研究では、「民主化の第三の波」におけるカトリック教会は、反体制運動の主体として扱われてきた。これに対し申請者の研究の特徴は、党と教会の間での妥協や合意形成を中心に政教関係を再検討してきた点にある。;本研究においては、この点においてさらに歩を進め、妥協や合意形成といった自覚すらないままに進展する「人間形成(全人格的な人の育ち)」というプロセスに焦点を当てることで、社会の内部で宗教的価値と、それを否定する価値が対立や相克、融合などを繰り返しながら、どのように定着して行ったかという点を解明する。;本研究課題は、応募時において、公文書を中心とする一次資料の分析、1940~50年代生まれのインフォーマントへの聞き取り調査を中心とする実証研究を目指していたが、コロナ禍およびウクライナでの紛争の影響から、2022年度まで文献調査や理論的枠組みの検討を中心に研究を進めてきた。今年度は、2週間の現地調査により新たな一次資料を収集し、ワルシャワ大学を中心に現地での最新の研究動向を把握することができ、本来の研究課題に立ち返り、研究を進捗させることができたと言える。;他方、過年度の研究状況を反映し、研究成果は実証研究より歴史認識や研究動向を扱うものが多くなった。論文として、生政治を中心課題とし、社会主義期の政教関係が現在のポーランドの政治や社会に与える影響について論じた「ポーランドの政教関係から見た公共宗教論の現在地―民主化運動のレガシーの行きつくところ―」を発表した(図書所収)。また、『史学雑誌』にロシア・東欧・北欧の現代史を扱う研究動向論文を寄稿した。口頭報告としては、第二次世界大戦や民族間関係をめぐる歴史認識を扱った林志弦著『犠牲者意識ナショナリズム』の書評報告、文化遺産・観光資源の観点からポーランドにおける歴史や民族間関係についての発表を行った。「宗教と社会」学会におけるテーマセッション「戦時下の教会―体制転換後のウクライナとその周辺国における宗教・国家・社会」のコメントでは、政治と行政、またそれらと宗教の関係を軸に、現代社会の公共宗教の特徴や変化について紹介した。;アウトリーチ活動として、東欧の宗教的慣習・習俗を扱った事典項目を執筆した。また、(公財)宗教情報リサーチセンターの開設25周年記念ミニシンポジウム「正確な宗教ニュースとは~AI時代を見据えて~」において、国外ニュースの情報収集におけるファクトチェックのあり方について提言を行った。;OCVID-19とウクライナ危機の影響により、長らく現地調査ができない状況が続いていたが、今年度は、2週間の現地調査を行い、公文書を中心とする新たな一次資料を収集し、本来の研究計画に立ち返る形で研究を進めることができた。また、過年度の文献調査・理論的枠組みに関する検討の成果を図書、論文、口頭報告の形で発表することができたことから、おおむね順調と判断した。;現地調査が年度末となったことから、収集した資料の分析・成果発表にまで至らなかったため、研究期間を延長することとした。また、OCVID-19とウクライナ危機の影響による研究計画の変更により、本研究課題の1~3年度目に進めた文献研究の成果についても、引き続き発表していきたいと考えている。
JP20H00003, 西洋社会における世俗の変容と「宗教的なもの」の再構成-学際的比較研究, 本研究は、加速する時代のなかで西洋社会の「世俗」が新局面に入ったという認識の地平に立ち、多様な地理的文脈を考慮しながら、「世俗的なもの」と「宗教的なもの」の再編の諸相を比較研究するものである。ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸の政教体制を規定している歴史的文脈の違いを構造的に踏まえ、いわゆる地理的「欧米」地域における世俗と宗教の関係を正面から扱いつつ、周辺や外部からの視点も重視し、「西洋」のあり方を改めて問う。;本研究は、加速する時代のなかで西洋社会の「世俗」が新局面に入ったという認識の地平に立ち、多様な地理的文脈を意識しながら、「世俗的なもの」と「宗教的なもの」の再編の諸相を次の3つの観点から明らかにした。(1)特にカトリック文化圏における「宗教的伝統」の再構成のあり方を解明した。(2)近現代の西洋において「他者化」ないし「周辺化」されてきたムスリムがいかに西洋社会に定着すると同時に、社会とのあいだに葛藤を抱えているのかを明らかにした。(3)「世俗」の進展そのものが環境や人間の条件を変えつつあるという認識に立ち、西洋社会における無宗教の増大も踏まえつつ、宗教と世俗の再編のあり方を分析した。;従来の研究では、私たちが理解している「宗教」が、西洋の世俗的な近代の時代の刻印を強く受けていることは強調されてきたが、世俗の時代の歴史的な展開につれて、「宗教的なもの」や「世俗的なもの」が、西洋においても流動化してきていることについては十分な関心が払われてこなかった。本研究では、「世俗」の時代の「宗教」概念を自明視せず、「ポスト世俗」の時代における「宗教的なもの」と「世俗的なもの」の関係の諸相を西洋世界のさまざまな事例をもとに具体的に描き出すことによって、「世俗」や「世俗的なもの」をも包み込んだ宗教研究のあり方を示すことができた。
18H00730, 近代ヨーロッパにおけるカトリシズムの変容と持続をめぐる社会史的考察, 本研究の目的は、近代ヨーロッパ社会における宗教性のあり方を、カトリシズムを例として歴史的に検討することにあった。その際、特に着目したのは、宗教的心性や世界観が醸成される私的な生活領域である。分析の結果、明らかになった点は以下のとおりである。;(1)カトリシズムの宗教性は、様々な儀礼や実践を通して人々の生活習慣に深く根づいており、世俗化の進む近代以降においても、それは容易には揺るがなかった。(2)カトリックという宗派に依拠した組織、集団、その教義や規範は、近代社会を生きる人々を物心両面で支える一方、個人としての彼らの生き方を縛るくびきともなった。;本研究は、従来の西洋近現代史研究では看過されがちであった宗教に着目し、カトリシズムを例として、宗教を視野に入れた新たな近代ヨーロッパ史像の構築を試みたものである。その意義は以下の2点にまとめられる。;(1)ヨーロッパ社会の形成過程における宗教性を、様々な地域・局面をとりあげて個別・実証的に可視化したことにより、「世俗化のトップランナー」としてのヨーロッパ像を相対化し、より精緻にとらえ直すための視座を提示した。(2)宗教研究における歴史的考察の有効性を例示的に示した。
17K02228, 社会主義期ポーランドにおけるカトリック教育:政治・社会変動のダイナミクスとして, 理論面では、公共宗教論や、ポピュリズムと宗教に関する最新の研究を参照しつつ、ポーランドのカトリック教会の政治参加についてどのように論ずることができるかを検討した。また、これを踏まえ、ヨーロッパの「プロテスタント圏」と「カトリック圏」における政教関係の差異に関する分析を行った。;実証研究においては、2017年度に2度、2018年度に1度の現地調査を行い、そこで収集した史料や、判例・法文などを参照しつつ、20世紀ポーランドにおける宗教教育の歴史的変遷と、それが現代社会にどのような影響を与えているかを示す論文を執筆した。;キリスト教世界は旧教圏とプロテスタント圏に大別される。しかし宗教社会学の理論構築に事例を提供してきたのは圧倒的にプロテスタント圏であった。さらに、激しい聖俗対立の結果、ライシテの概念を生み出したフランスをカトリックの代表例として扱うことで、それはキリスト教圏全体を説明する理論として扱われてきた。;19 世紀以降、ナショナリズムと結びつく形でカトリシズムが顕在化し、社会主義期においてもカトリック教会が公的空間に場所を獲得してきたポーランドはその例外として扱われてきたが、むしろ非キリスト教圏における政教関係と通底しており、近代化や世俗化に関する理論を問い直すことが可能であることを示した。
26284117, 近代ヨーロッパ社会の形成・変容過程における宗教の役割―カトリシズムの社会史的考察, 本研究の目的は、近代ヨーロッパ社会の形成・変容過程における宗教の役割を、特にカトリシズムに着目して歴史的に検討することにあった。分析の結果、明らかになった点は以下のとおりである。;(1) 生活習慣や儀礼、文化を通じて継承されるカトリシズムは、世俗化の進む19世紀以降のヨーロッパにおいても、一定の社会的影響力を保持していた。 (2) 時代と地域によって偏差はあるものの、カトリシズムの影響力は、教育、労働、政治、福祉など、幅広い領域に及んでいる。(3)カトリシズムは、近代社会の諸原理に反発しながらも、部分的にはその論理を受け入れ、近代ヨーロッパ社会の形成をともに担ったといえる。
25870724, 民主化と宗教の関係に関する考察:1970年代ポーランドを事例として, ポーランドを事例とし、従来の民主化研究の中で十分に検討されてこなかった、国家(党)、社会と教会の関係が漸進的に変化する過程に着目することで、民主化プロセスにおける宗教の機能について再検討した。;主要な成果は以下の2点である。;(1)1978年の教皇ヨハネ・パウロ2世の選出から翌79年の初めての祖国訪問に至るまでの政教間での交渉プロセスを解明した単著を出版した。(2)公立学校における宗教教育が禁じられる中で、公教育以外のあらゆる場所へと宗教教育の場が拡散されて行くプロセスを解明し、論文として発表した。