K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

三浦 篤
文学部 哲学科
教授
Last Updated :2025/07/11

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    三浦 篤, ミウラ アツシ

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所属・職名

  • 文学部 哲学科, 教授

学位

  • 1997年01月17日, 博士(美術史・考古学), パリ第4大学

職歴

  • 2009年, 2011年, 東京大学 大学院・総合文化研究科, 教授

本学就任年月日

  • 2024年10月01日

研究分野

  • マネ
  • 19世紀フランス絵画
  • ファンタン=ラトゥール
  • 芸術家像
  • 第二帝政
  • アトリエ
  • アカデミスム
  • 芸術諸学
  • 美術教育
  • ラファエル・コラン
  • フランス絵画
  • 肖像画
  • ジャポニスム
  • 美学
  • 日仏美術交流史
  • 集団肖像画
  • 第二帝政期
  • 近代絵画
  • ボヘミアン
  • 美術史
  • 日本近代洋画
  • 黒田清輝
  • 西洋美術史
  • ルノア-ル
  • 交流史
  • コラン
  • バジ-ル
  • 都市
  • ロートレアモン
  • パリ

研究活動

論文

  • Baudelaire et les peintres post-realistes, Atsushi Miura, L’année Baudelaire, 2025年07月01日, Honore Champion

Misc

  • 選択的摂取としての受容--日本近代洋画にフランス絵画がもたらしたもの (特集 日本におけるフランス--創造的受容--「フランシスム」研究の構築に向けて) -- (受容美学), 三浦 篤, 美術フォーラム21, 23, 36, 41, 2011年, 美術フォーラム21刊行会
  • まえがきにかえて フランス近代絵画と芸術家伝説 (特集 芸術家伝説), 三浦 篤, 西洋美術研究, 13, 8, 17, 2007年, 三元社
  • 「描かれた芸術家」を研究するまで--『近代芸術家の表象--マネ、ファンタン=ラトゥールと1860年代のフランス絵画』の余白に, 三浦 篤, UP, 35, 9, 57, 62, 2006年09月, 東京大学出版会
  • ルーヴル美術館の模写画家たち--1850年から1870年まで〔含 解題〕 (特集 オリジナリティと複製), Reff Theodore; 福間 美由紀; 三浦 篤, 西洋美術研究, 11, 50, 65, 2004年, 三元社
  • 座談会 視ることの快楽--自画像の魅力・カタログの世界, 三浦 篤; 五味 文彦; 木下 直之, UP, 32, 8, 1, 19, 2003年08月, 東京大学出版会
  • まえがき 美術史とパレルゴン--境界と枠組みの思考 (特集 パレルゴン:美術における付随的なもの), 三浦 篤, 西洋美術研究, 9, 4, 7, 2003年, 三元社
  • インタビュー ジャン=クロード・レーベンシュテインに聞く〔含 解説〕 (特集 パレルゴン:美術における付随的なもの), Lebensztejn Jean-Claude; 三浦 篤; 森元 庸介, 西洋美術研究, 9, 8, 21, 2003年, 三元社
  • 絵画の脱構築--マネの《草上の昼食》とパレルゴン (特集 パレルゴン:美術における付随的なもの), 三浦 篤, 西洋美術研究, 9, 101, 125, 2003年, 三元社
  • 資料 パレルゴン文献リストと解題 (特集 パレルゴン:美術における付随的なもの), 木俣 元一; 栗田 秀法; 三浦 篤, 西洋美術研究, 9, 199, 209, 2003年, 三元社
  • エドゥアール・マネにおける写真と絵画 (特集 美術とパラゴーネ), 三浦 篤, 西洋美術研究, 7, 90, 107, 2002年, 三元社
  • 俳優の演技--J.J.エンゲルにおける身ぶりの考察〔含 解題〕 (特集 美術と身体表現), Saison Maryvonne; 三浦 篤; 中田 宏明, 西洋美術研究, 5, 93, 102, 2001年, 三元社
  • 現代美術とイコノクラスム〔含 解題〕 (特集 イコノクラスム), Gamboni Dario; 三浦 篤; 飛嶋 隆信, 西洋美術研究, 6, 110, 139, 2001年, 三元社
  • 「ラファエル・コラン展」ができるまで--日仏美術交流の実例, 三浦 篤, UP, 29, 1, 24, 29, 2000年01月, 東京大学出版会
  • 絵の中の絵〔含 解題〕 (特集 イメージの中のイメージ), Chastel Andre; 画中画研究会; 三浦 篤, 西洋美術研究, 3, 8, 33, 2000年, 三元社
  • 書評 Pierre Georgel, Anne-Marie Lecoq, La Peinture dans la Peinture (特集 イメージの中のイメージ), 三浦 篤, 西洋美術研究, 3, 165, 170, 2000年, 三元社
  • 失われた絵画とサロン批評--ファンタン=ラトゥールの《乾杯(真実礼讃)》をめぐって (特集 イメージとテキスト), 三浦 篤, 西洋美術研究, 1, 101, 124, 1999年, 三元社
  • 19世紀フランスの美術アカデミーと美術行政--1863年の制度改革を中心に (特集 美術アカデミー), 三浦 篤, 西洋美術研究, 2, 111, 129, 1999年, 三元社

著書等出版物

  • ヴィーナス・メタモルフォーシス―国立西洋美術館『ウルビーノのヴィーナス展』講演録, 浦 一章; 三浦 篤; 渡辺 晋輔; 芳賀 京子, 三元社, 2010年10月
  • 美術論集 (ゾラ・セレクション), 三浦 篤; 藤原 貞朗, 藤原書店, 2010年07月16日
  • Génétique de la peinture : actes du colloque international, sous la direction; de Miura Atsushi, UTCP (University of Tokyo Center for Philosophy), 2010年
  • Histoires de peinture entre France et Japon, Atsushi Miura, UTCP(The University of Tokyo Center for Philosophy), 2009年
  • 日仏美術交流史研究 : ジャポニスム、コラン、日本近代洋画, 研究代表者; 三浦篤, 三浦篤, 2009年
  • 近代東アジアにおける異文化要素の異化と同化 : 科学研究費補助金研究成果報告書, 研究代表者; 杉田英明, [杉田英明], 2007年
  • フランス近代美術史の現在 : ニュー・アート・ヒストリー以後の視座から, 永井隆則編, 三元社, 2007年
  • 近代芸術家の表象―マネ、ファンタン=ラトゥールと1860年代のフランス絵画, 三浦 篤, 東京大学出版会, 2006年09月
  • レプリカ―真似るは学ぶ (INAX BOOKLET), 三浦篤; 小島道裕; 木下直之; 中島誠之助; 住友和子編集室; 村松寿満子, INAX出版, 2006年03月15日
  • プーシキン美術館展 : シチューキン・モロゾフ・コレクション = Pushkin : masterworks of French impressionism and modernism from The State Pushkin Museum of Fine Arts, Moscow, 朝日新聞社事業本部文化事業部編集; 鴻野わか菜; ほか] 訳, 朝日新聞社, 2006年
  • ゴッホはなぜゴッホになったか―芸術の社会学的考察, 三浦 篤, 藤原書店, 2005年03月01日
  • 第二帝政期のフランス絵画における芸術家像 : マネとファンタンを中心に, 研究代表者; 三浦篤, 三浦篤, 2005年
  • クールベ (岩波 世界の美術), 三浦 篤, 岩波書店, 2004年11月25日
  • 印象派の歴史, 三浦 篤; 坂上 桂子, 角川学芸出版, 2004年11月
  • 画家が描いたヨーロッパ : 日本の美術 : 19世紀の憧れから21世紀の翔きへ, 三浦篤; ほか] 執筆, 美術年鑑社, 2004年
  • 自画像の美術史, 三浦篤編; 三浦 篤, 東京大学出版会, 2003年03月
  • 印象派とその時代 : モネからセザンヌへ = Impressionists and their epoch : from Monet to Cézanne, 佐藤雅洋; 平野到; 横山由紀子編集; 三浦篤; 中村誠監修, 美術出版社, 2003年
  • 「語りえぬもの」からの問いかけ―東大駒場「哲学・宗教・芸術」連続講義, 宮本 久雄; 甚野 尚志; 三浦 篤; 野矢 茂樹; 沼野 充義; 高橋 哲哉; 杉田 英明; 岡部 雄三; 今橋 映子; 門脇 俊介; 竹内 信夫, 講談社, 2002年03月
  • まなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts), 三浦 篤, 東京大学出版会, 2001年04月
  • モナ・リザ100の微笑 [本冊], ジャン・ミシェル・リベット; 三浦篤; 日本経済新聞社編, 日本経済新聞社, 2000年
  • ラファエル・コラン展 : Raphaël Collin, 福岡市美術館編集, 西日本新聞社, 1999年
  • マネ (アート・ライブラリー), 三浦 篤; 田村 義也, 西村書店, 1999年01月
  • 西洋美術史ハンドブック (Handbook of fine art), 高階秀爾; 三浦篤編; 高階 秀爾; 三浦 篤, 新書館, 1997年06月
  • 魅惑の19世紀フランス絵画 : ナント美術館展 = Histoires parallèles la peinture française du XIXe siècle au Musée des Beaux-Arts de Nantes, 福岡市美術館編集, 西日本新聞社, 1995年
  • エルミタージュ美術館秘匿の名画, アリベルト・コステネーヴィッチ解説; 天野知香; ほか] 訳, 講談社, 1995年
  • ゴッホ, 三浦 篤; 渡部 葉子, 中央公論社, 1991年02月
  • モナ・リザ100の微笑 CD-ROM, ジャン・ミシェル・リベット; 三浦篤; 日本経済新聞社編, 日本経済新聞社

競争的資金

  • 20KK0002, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 芸術作品の流通と美術コレクション形成-通時的/共時的分析とデータベース, コロナ禍のために予定通りの研究調査等は実施でいていないものの、本研究「芸術作品の流通と美術コレクション形成ー通時的/共時的分析とデータベース」の計画にある大原美術館との研究計画の再構築を行うことができた。画家の児島虎次郎がベルギーとフランスでどのような人間関係を構築し、とりわけ大原孫三郎のコレクション形成のための絵画購入がどのような経緯で行われたかは、既存の研究もあるものの、さらにベルギーとフランスでの研究で深化させる必要があることが、大原美術館側との打合せで確認された。大原美術館では、今までの研究成果を本研究のために活用する協力体制を組むことも確認された。児島虎次郎が留学していたヘント美術学校の資料室との連絡がとれており、2022年度に調査がされる予定である。海外研究協力者であるパリ高等師範学校の美術史学研究ユニットArtl@sとは日本におけるフランスの美術商の活動の共同調査を行うことができた。その情報はArtl@sのサイトで公開される。また、このArtl@sとの打合せで、情報工学のような理系分野の協力を視野に入れたパリ高等師範学校との共同研究の構築の必要性が確認された。この打合せがきっかけとなり、東京大学情報理工学系研究科のスッパキットパイサーン・ウォラポン特任講師とのIXTプロジェクトの共同研究が東京大学の学内で実現し、黒田清輝とラファエル・コランの類似性が高い絵を自動的に見つけることができるアルゴリズム開発がされることになった。本研究の成果は2022年度にコンピュータービジョンのワークショップにて報告される予定である。
  • 19K00170, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, アンリ・ファンタン=ラトゥール研究ー芸術交流の視点から, 2021年度はコロナ禍のために海外調査が困難な状況であり、これまで収集した文献、資料の整理・読解によって研究を続行した。ファンタン=ラトゥール関係の資料・文献を整理し、集団肖像画に関する19世紀当時のサロン批評、ファンタン夫人編纂の作品目録、展覧会カタログなどに基づき研究を進めた。 特に、ポスト・レアリスム世代の画家としてのファンタン=ラトゥールの友人関係を研究対象とした。昨年度から開始している、ファンタンが交流したドイツの画家オットー・ショルデラーとの書簡集(2011年)の読解を継続し、ファンタンとショルデラーの親密な友人関係を深く理解できた。また、両者ともに音楽好きであり、美術と音楽という本研究のテーマともつながる。 ファンタンと音楽に関しては、ヴァーグナー体験が重要で、1861年の「タンホイザー」パリ公演、1876年にバイロイトで観劇した「指輪」に関係する絵画・版画作品を洗い出し、詳しい文献調査を行った。ファンタンが好んだベルリオーズについても、同様の作業を行い、特にベルリオーズにオマージュを捧げた作品《記念日》(1876年)に関する資料を調べた。ヴァーグナー、ベルリオーズともに音楽評論家アドルフ・ジュリアンが伝記を刊行しているが、友人であるファンタンはそれらの著作にリトグラフのオリジナル作品を提供している。 一方、マネとファンタン=ラトゥールとの友情と共闘について、日仏美術学会のマネ・シンポジウムで発表を行った。1857年にルーヴル美術館で知り合った二人の画家はヴェネツィア派やベラスケスの絵を愛好する共通性を持ち、1860年代には革新的なレアリスム絵画で絵画界を揺るがしたマネと彼を囲むグループを擁護する集団肖像画(1864年、1865年、1870年)と単独の肖像画(1867年)を、ファンタンはサロン(官展)に発表しているのである。
  • 15K02133, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, マネの絵画と検閲 ー政治、社会、美術制度ー, マネの絵画と検閲に関して、政治、社会、美術制度という観点から総合的に調査し、考察した。 その結果、マネが第二帝政に批判的な立場から政治的な主題を取り上げ、暗示的なやり方で表現し、検閲を受けたことがわかった。また、ヌードや娼婦のテーマに積極的に取り組んで、それ以前にはない女性表象を行い、スキャンダルや非難を招いたこと、さらに聖性を帯びるべきキリスト像をリアリストのまなざしで扱って批判されたことも判明した。
  • 24520100, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, マネとポスト・レアリスムの画家たち, 1860年代のフランス絵画をクールベ以後の「ポスト・レアリスム」という切り口から捉え、マネ、ファンタン=ラトゥール、ドガ、ルグロ、ホイッスラーの5人の画家たちに共通する美意識や造形手法を総合的に考察した。その結果、絵画の枠組みの意識化と作品の切断、画像のアッサンブラージュ、画中画や鏡の挿入、多様なマチエールの併用等々の特質が浮かび上がった。西洋絵画史における「近代的なタブローの生成」とも言うべき現象が出現したのがまさに1860年代のフランスであり、マネを中核とする「ポスト・レアリスト」たちがそれを担ったのである。
  • 21520094, 文部科学省, 科学研究費補助金(基盤研究(C)), エドゥアール・マネ研究 ー 批評と受容の視座から, 今年度は《草上の昼食》と《オランピア》に関するサロン批評を徹底的に調査し、分析した。前者に関しては、1863年の落選者のサロンの批評の中に言及があり、男女のピクニックという主題の不道徳性、遠近法やデッサンなど技法の欠如などが批判の対象となったことが理解できたが、作者の意図、絵の意味が不可解だという反応も目立ち、通常の絵画の基準を逸脱するマネの作品の特質が明らかになった。1865年のサロンで大スキャンダルを起こした後者に関しては、相当数の批評が確認され、やはり西洋絵画のヌードの伝統を否定するその斬新さが、主題、様式の両面でさまざまに非難されている。《オランピア》については、ティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》との関係、サロン絵画との比較、娼婦の表象等々の観点から分析結果をまとめ、『ヴィーナスの変貌』(三元社)という論文集に掲載されることが決まっている。この他、マネにとってきわめて重要な画家ベラスケスが与えた影響を再考するための調査も行った。とりわけ1865年のスペイン旅行をはさんだ時期と晩年において、マネにとってベラスケスの存在がいかに大きなものであったのか、その本質的な共通性も含めて考察の成果を論文にまとめて発表した。さらに、1870年代の作品《オペラ座の仮装舞踏会》の2つのヴァージョンの様式を比較して、これまで下絵と見なされてきたブリジストン美術館所蔵作品が実験的な独...
  • 17320024, 文部科学省, 科学研究費補助金(基盤研究(B)), 日仏美術交流史研究 -ジャポニスム、コラン、日本近代洋画-, 本研究は19世紀後半の日本とフランスにまたがる美術交流の実態を、双方向的な視野の下に三つの側面から総合的に解明しようと企てた。すなわち、第1段階として、日本美術からフランス美術への影響現象であるジャポニスム(日本趣味)を研究が進んでいないアカデミックなサロン絵画を中心に調査した。フィルマン=ジラールのような重要な画家の例を発掘したほか、オリエンタリズムの延長としての異国趣味的なジャポニスムが広く存在したことが明らかになった。他にアジアの寓意像、絵の中の文字、陶磁器についてもジャポニスムとの重要な関連性が見出された。第2段階として、アカデミックな画家の中でも好んで日本の美術工芸品を蒐集し、かつ日本近代洋画家たちの指導者でもあったラファエル・コランについて分析した。その結果、コランのジャポニスムは異国趣味とは異なり、印象派のような造形的なジャポニスムとも異質であることが分かった。春信、光琳、茶陶への趣味が物語るように、それは日本美術と本質的に共鳴する美意識に基づく特異なジャポニスムである。その意味で、コランが日本人の弟子を多く育てたことは決して偶然ではない。そして第3段階として、逆にフランス美術の日本美術への影響現象である、フランス留学した日本の洋画家たちにおけるアカデミスム絵画の摂取について研究した。山本芳翠や黒田清輝を始めとする渡航画家たちは、ジェローム、ボナ、コラン、ピュヴ...
  • 15202007, 文部科学省, 科学研究費補助金(基盤研究(A)), 近代東アジアにおける異文化要素の異化と同化, 本研究課題は、当初大澤吉博教授(東京大学大学院総合文化研究科)を研究代表者として、着手された'が、平成17年3月末、大澤教授が急逝したため、17年度に急遼研究代表者を杉田英明に変更し研究プロジェクトの維持と継続を図った。研究計画の一時的な停滞は免れえなかったものの、最終年度に至って、おおむね良好な研究成果が得られたのは、ひとえに研究分担者の協力によるものである。本研究課題にもとついて開催された国際シンポジウム等は以下の通りである。平成16年1月10日 日台国際シンポジウム「異文化の異化と同化-日本と台湾」平成16年6月25日 日韓国際シンポジウム「前近代韓国文学におけるキャノンの形成:異文化要素の異化と同化」平成16年9月25日 国際シンポジウム「世界の中のラフカディオ・ハーンー」平成17年10月14日 日韓比較文学シンポジウム「異文化の同化と異化」このほか、本研究課題に関連して、平成16年5月19日〜21日にロンドン大学SOAS主宰の主宰の「アジア翻訳学会」、平成16年8月6日〜15日に開催されたICLA(国際比較文学会)香港大会に参加した。また、東大比較文学比較文化研究室において、およそ6件の研究発表会、講演会を主催した。これらの研究成果は、それぞれの学会の発表論文集、学術雑誌等に発表されたほか、平成18年に刊行されたr比較文学研究』88号(特輯:異文化の異化と同化)で発...
  • 14310211, 文部科学省, 科学研究費補助金(基盤研究(B)), フランス第二帝政下における都市の変容と文学・芸術, 2002年度に開始された本研究プロジェクトは、第二帝政期(1852-1870)のフランスにおいて推進された首都パリの大改造と同時代の諸文化、特に文学・芸術との関係を明らかにすることを目的としている。本研究の第一の大きな成果は、研究初年度の平成14年秋(10月4日から6日まで)に東京大学総合文化研究科・地域文化研究専攻の主催で行なわれた国際シンポジウム、「ロートレアモンーロマン主義から現代性へ」である。このシンポジウムには世界9力国から34名の研究者が参加し、このフランス詩人の作品に関して多角的な視点からの分析が提示された。とりわけ、われわれはパリの変容とそれが詩人の創造行為に及ぼした影響に焦点を当てた。本シンポジウムの成果は平成15年7月、374頁に及ぶフランス語の報告論文集としてフランスで刊行され、メンバーのうち石井と立花が論文を寄稿している。本研究の第二の成果は、石井と工藤が編集し、平成16年7月に東京大学出版会から刊行された論文集、『フランスとそのく外部>』である。この論文集には多様な分野(政治学、社会学、歴史学、人類学、精神分析学、文学など)にわたる12編の論文が収録され、メンバーの中では石井、工藤、鈴木が寄稿している。その主たる目的は、フランスをヨーロッパの他の国々やフランスの植民地との相関性において捉えることであった。平成18年3月には最終報告書を作成し、メンバー...
  • 14510074, 文部科学省, 科学研究費補助金(基盤研究(C)), 第二帝政期のフランス絵画における芸術家像-マネとファンタンを中心に-, 第二帝政期の芸術家像という問題に対して、(1)「オマージュ、マニフェスト」、(2)「ボヘミアン芸術家像」、(3)「肖像画」、(4)「アトリエ」という4つの視点からアプローチした。(1)に関しては、ファンタン=ラトゥールの集団肖像画《ドラクロワへのオマージュ》(1864)、と《乾杯(真実へのオマージュ)》(1865)について徹底的に調査し、芸術家集団肖像画としての特質を主題と造形の両面から分析した。画家ドラクロワや、「真実」の寓意像に対する礼讃というテーマを通して、ポスト・レアリストとしての美学的な主張が成されている点を浮き彫りにできた。(2)に関しては、ルノワールの《アントニー小母さんの酒場》(1866)とマネの《芸術家》(1875)を取り上げた。「ボヘミアン芸術家」という19世紀に特有の芸術家像を、田園のボヘミアンの例としてルノワールの作品を、都市のボヘミアンの例としてマネの作品を、当時の批評の調査と図像学的なアプローチによって分析した。(3)に関しては、画家たちの自画像とカロリュス=デュランの《ファンタン=ラトゥールとウルヴェイ》、さらにファンタンの《マネの肖像》(1867)を詳しく調査した。前者においては発想源の問題を通じてルーヴル美術館所蔵作品との関係を明らかにすることができ、後者においてはアカデミスムに対するマネの非妥協的な態度を反映した肖像画であることが論証できた...
  • 13410019, 文部科学省, 科学研究費補助金(基盤研究(B)), 描かれた都市――中近世絵画を中心とする比較研究, 人間が都市をどのようにイメージしてきたかを解明するために、日本・中国・ヨーロッパの典型的な都市図を取り上げ、作品を調査し、考察した。研究発表の総目録は、研究成果報告書に載る。以下、報告書所載の論文についてのみ述べる。佐藤康宏「都の事件--『年中行事絵巻』・『伴大納言絵巻』・『病草紙』」は、3件の絵巻が、後白河法皇とその近臣ら高位の貴族が抱いていた恐れや不安を当時の京都の描写に投影し、イメージの中でそれらを治癒するような姿に形作っていることを明らかにした。同「『一遍聖絵』、洛中洛外図の周辺」は、「一遍聖絵」の群像構成が、平安時代の絵巻の手法を踏襲しつつ本筋と無関係な人物を多数描くことで臨場感を生み出していることを指摘し、その特徴が宋代の説話画に由来することを示唆する。また、室町時代の都市図を概観しながらいくつかの再考すべき問題を論じる。同「虚実の街--与謝蕪村筆『夜色楼台図』と小林清親画『海運橋』」は、京都を描く蕪村晩年の水墨画について雅俗の構造を分析するとともに、明治の東京を描く清親の版画に対して通説と異なる解釈を示す。ほかの3篇の論文、馬渕美帆「歴博乙本<洛中洛外図>の筆者・制作年代再考」、板倉聖哲「『清明上河図』史の一断章--明・清時代を中心に」、三浦篤「近代絵画における都市と鉄道」も、各主題に関して新見解を打ち出している。
  • 11410016, 文部科学省, 科学研究費補助金(基盤研究(B)), 美術の展間に果たした芸術家による旅行の意義に関する包括的研究, 本年度はイタリア、パドヴァ大学のマリ・ビエトロジョヴァンナ氏を招聘し、12月4日東京大学において講演会を催行、氏は16世紀後半のネーデルラシトの画家たちによるローマおよびヴェネト地方旅行について発表した。この際、研究代表者・分担者が集い、氏と活発な議論を行なうとともに、研究の進捗具合と報告書作成等について協議した。日本美術の分野について:前年度の能登地方における長谷川等伯の調査等のとりまとめが行われた。山下による等伯調査の報告および佐藤による若中についての論文は報告書に掲載される予定である。西洋美術の分野について:8月に研究代表者がイタリア、フィレンツェ、シエナ、ヴェネツィアにおいて旅と関わる素描帖についての調査を行ない、前年度同様関連資料写真の収集に努めた。これらの分析により得られた知見の一部は報告書に掲載される予定である。秋山は2002年1月初頭にドイツ、カールスルーエで開かれた一連の展覧会を視察し、上部ライン地方の画家の移動および影響関係についての知見を深めるとともに、アルプス以北において活動した数少ないイタリア人画家としてのヤコポ・デ・バルバリについて、特にその人文主義的画家としての影響力に重点を置きつつ分析した。その成果は報告書に掲載される予定である。中村により遂行されてきたルーベンスのスペイン旅行についての研究も報告書に掲載される。また前年度から遂行されてきた研究...
  • 05710030, 文部科学省, 科学研究費補助金(奨励研究(A)), 19世紀中葉のフランス絵画における芸術実像の研究, 基礎的な研究対象とした、19世紀フランスのサロン絵画(1831年から1880年まで)における芸術家像の調査は完了した。サロンの目録から抽出した作例の体系的な分析により、19世紀に制作された芸術家を主題とする絵画作品の諸傾向が明らかになり、本研究の対象とした同時代の画家たちの集団肖像画の有する革新性が理解された。ファンタン=ラトゥ-ルの集団肖像画に関しては《ドラクロワ礼賛》(1864)の調査研究が終了し、新資料を提示しながら造形性と主題の扱い方の両面から作品の特質を浮き彫りにできた(1994年2月5日、美術史学会東支部例会にて「ファンタン=ラトゥ-ル作《ドラクロワ礼讃》再考」の題で口頭発表を行った。)また、同じ画家の《乾杯(真実礼讃)》(1865)についても、サロン評の網羅的な調査が完了したので、作品の受容という側面から遅からず研究成果をまとめたい。「芸術家の生活情景」を描いたルノア-ルの《アントニ-小母さんの宿屋》(1866)は、社会史的、図像的な資料をかなり収集できたので、ボヘミアン生活という観点からさらに分析を深めていきたい。「アトリエの表象」をテ-マにしたバジ-ルの《ラ・コンダミン街のアトリエ》(1870)とファンタン=ラトゥ-ルの《バティニョルのアトリエ》(1870)》の調査研究も進展した。前者に関しては、アトリエ内部の表象の特異性及び画中画の問題が浮かび上がり、その...