K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

林 行成
経済学部 経済学科
教授
Last Updated :2024/05/16

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    林 行成, ハヤシ ユキナリ

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所属・職名

  • 経済学部 経済学科, 教授

学歴

  • 1998年04月, 2004年03月, 一橋大学大学院, 経済学研究科
  • 1996年, 立教大学, 経済学部, 経済学科

学位

  • 2000年03月28日, 修士(経済学), 一橋大学, 経済学関係

職歴

  • 2024年04月, 國學院大學, 経済学部, 教授
  • 2020年04月, 2024年03月, 広島国際大学, 健康科学部医療経営学科, 教授
  • 2019年10月, 2024年03月, 広島大学, 経済学部, 客員教授
  • 2018年04月, 2024年03月, 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 非常勤講師
  • 2016年04月, 2020年03月, 広島国際大学, 医療経営学部医療経営学科, 教授
  • 2011年04月, 2016年03月, 広島国際大学 医療経営学部医療経営学科 准教授
  • 2009年04月, 2011年03月, 広島国際大学 医療福祉学部医療経営学科 准教授
  • 2004年04月, 2009年03月, 広島国際大学, 医療福祉学部医療経営学科, 専任講師
  • 2003年04月, 2004年03月, 東洋大学, 経済学部経済学科, 非常勤講師
  • 2003年04月, 2004年03月, (財)医療科学研究所, 特別研究員

本学就任年月日

  • 2024年04月01日

研究活動

論文

  • 医療の公共性と公的供給に関する経済学的考察, 林行成; 景山愛子, HIU健康科学ジャーナル, 3, 25, 38, 2024年03月
  • 診療報酬制度:インセンティブ構造からの分析, 増原宏明; 細谷圭; 林行成, 社会保障法研究, 18, 141, 187, 2023年10月, 信山社
  • 薬価基準制度がもたらすインセンティブ構造-総額管理手法を見据えて-, 林行成; 細谷圭; 増原宏明, 社会保障法研究, 18, 189, 223, 2023年10月, 信山社
  • 医療機関の共同購入と薬価基準制度, 林行成, 医療経営学論叢, 14, 29, 40, 2021年04月
  • 医療用医薬品の納入価格と流通チャネル形態, 櫻井 秀彦; 丹野 忠晋; 増原 宏明; 林 行成; 山田 玲良, JSMDレビュー, 3, 1, 11, 18, 2019年, 日本商業学会,

    本稿では医薬品卸と薬局間の医療用医薬品の納入価格の影響要因について実証研究を行った。降圧薬の薬価とその卸価格の差の薬価に対する割引率を分析対象とした。薬局に対する,ある医薬品メーカーの薬剤の割引率は,その薬局がメイン卸(最も高いシェアの卸企業)としている卸企業がその医薬品メーカーとどのような資本関係(系列関係)にあるかによって大きく影響を受けていた。強い系列卸をメイン卸とする薬局は,そのメーカーの医薬品を割引されない一方で,弱い系列や非系列の卸をメインとする薬局は大きな割引を得ていた。また,特許で保護されている薬剤には数量割引が確認された。更に,複数の薬剤を一括して取引して価格を決める総価取引は,割引率に大きな影響を与えないことが示された。

  • 医療用医薬品の流通分析:─卸の機能と情報提供サービスに関する実証研究─, 櫻井 秀彦; 丹野 忠晋; 増原 宏明; 林 行成; 恩田 光子; 山田 玲良, 流通研究, 19, 1, 15, 24, 2016年, 日本商業学会,

    わが国の医薬品流通においては,総価取引,未妥結・仮納入や過大なアローアンスなどの問題点が長きに渡って指摘されてきた。本研究で病院と薬局を対象とした調査を行い,卸との取引実態や情報提供の評価に関する回答データを収集し,取引実態の影響要因を探った。

    単品単価取引を基準として,全品総価(一律値引き),全品総価(除外あり),単品総価(品目で値引き)を比較対象とした選択肢を従属変数とする分析を行った。総じて施設規模や取引卸数等の基本的な競争要因が取引形態に影響を及ぼすことが示された。

    次に,納入前に価格が決定している場合と,未妥結・仮納入との比較について分析を行った。DPC,土日休日配送対応,医薬品に関する情報提供の評価が未妥結・仮納入の抑止に有効であった。

    以上から,病院や薬局の規模の大きさは,総価取引を助長すること,自由な取引による取引数の増加や後発医薬品の普及は有効な施策であると考えられる。

  • 保険者医療費データによる生涯医療費シミュレーションのための統計理論, 増原宏明; 小西幹彦; 丁井雅美; 林行成, 日本医療経営学会誌, 9, 1, 47, 56, 2016年
  • 医療機関における大規模災害時の緊急参集システム, 丁井雅美; 北村晃; 小笠原雅人; 増原宏明; 小西幹彦; 林行成, モバイル学会誌, 5, 1, 1, 8, 2015年
  • 医療用医薬品流通における交渉力と薬価基準制度, 丹野忠晋; 林行成, Studies in Applied Economics 応用経済学研究, 8, 115, 127, 2015年
  • 医療経営における成果主義的報酬システムの検討, 林行成; 丁井雅美; 小西幹彦; 増原宏明, 日本医療経営学会誌, 7, 1, 15, 22, 2013年, 日本医療経営学会
  • 医療経営における費用配賦の統計学的考察:観察不可能な費用と有限混合分布モデル, 増原宏明; 丁井雅美; 小西幹彦; 林行成, 日本医療経営学会誌, 7, 1, 23, 29, 2013年, 日本医療経営学会
  • 日本の医療用医薬品の卸売企業の現状とその経済学的分析, 丹野忠晋; 林行成, 跡見学園女子大学マネジメント学部紀要, 15, 151, 175, 2013年
  • 医療用医薬品の流通に対する経済学的視点, 林行成; 丹野忠晋, 医療経営学論叢, 5, 17, 30, 2012年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科, In this article,we examine the pharmaceutical distribution in Japan with an economic point of view. In thepharmaceutical distribution in Japan, there have been various vertical restraints as trade practices:rebate/allowance system between pharmaceutical manufactures and wholesalers,lump-sum bulk buying anddelivery without price agreement between wholesalers and medical institutions. These trade practices arerelated with price regulation system for ethical drug in Japan. The price regulation is characterized by revisionrule which depreciates the price of ethical drug. This article investigates a structure of incentives ofpharmaceutical manufactures and considers socially desirable pharmaceutical distribution with an economicperspective.
  • 公共的活動におけるモラル・モチベーション, 林行成; 奥島真一郎; 山田玲良; 吉原直毅, 経済研究, 61, 4, 1, 19, 2011年, 岩波書店, 公共的経済活動における諸個人の意思決定が,単に消費に関する主観的選好の充足という動機に基づくのみならず,道徳的動機にも基づく経済社会においては,標準的な合理的経済人モデルにおいて望ましいと考えられていた「市場原理」的なメカニズムは,必ずしも優れた成果を発揮しない事が示される.すなわち,道徳的動機が帰結に関する場合には,公共的経済活動に対する報酬体系として,成果主義的な制度よりは,むしろ固定的報酬体系の方が,フリーライド問題の解決をより容易にする.また,企業組織の所有形態も,経営者に強い利潤動機を与える私有企業よりも,経営者に残余請求権を与えない公有企業の方が,モラル・ハザード問題の解決をより容易にする可能性がある.また,道徳的動機が行為それ自体に関する場合,環境改善等のCSR活動に無関心な純粋利潤最大化企業よりもそれに貢献する社会的責任企業の方が,より勤勉な労働者達を魅了し,結果的により高い生産性を実現する可能性がある.This paper gives an overview of the recent literature on theoretical analysis of morally motivated public actions. It presumes that individuals have not only their subjective and self-interested preferences on consumption spaces, but also morally motivated preferences based on some intrinsic value judgments. Given such a setting, the paper examines some pioneering works on how the existence of individuals with moral motivation has effects on economic resource allocations in the context of free-riding problems in public service provisions, moral hazard problems in private ownership versus public ownership, Corporate Social Responsibility, etc.
  • 医療の機能分化に関する厚生経済分析, 林行成, 医療経済研究, 22, 1, 79, 90, 2010年, 医療経済研究機構
  • 医療提供における公共心の役割, 林行成, 医療経営学論叢, 3, 25, 40, 2010年
  • 地方分権化と自治体立病院改革:契約理論を用いた経済理論分析, 林行成, 医療経営学論叢, 2, 11, 26, 2009年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科
  • 最適な救急医療体制の構築に関する一考察, 林行成, 医療経営学論叢, 1, 9, 20, 2008年
  • 自治体立病院の再編統合に関する一考察, 林行成; 谷田一久, 医療経営学論叢, 1, 1, 8, 2008年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科, Recently, in Japan, consolidation of public owned hospitals can be observed as an increasing phenomenon. Our goal of this paper is to provide an original economic model and analyze the effect of consolidation of public owned hospitals theoretically. In this paper, firstly we show that, if the cost to access to hospitals decreases and the consolidation upgrades a capability of hospital, then the consolidation is efficient to improve welfare for inhabitants of the distinct. However, we also show that, if the congestion cost increases by the consolidation enough, then the consolidation is inefficient. Then, we discuss the validity of consolidation from a viewpoint with economic welfare.
  • 国民の利益に適う混合診療のあり方とは:混合診療の問題と対応策, 林行成, LRL(Labor Research Library), 第8号, 8, 13, 16, 2005年, 全労済協会
  • 保険の経済理論から見た「混合診療」, 齋藤裕美; 林行成; 中泉真樹, 田近栄治・佐藤主光編『医療と介護の世代間格差:現状と改革』第6章,東洋経済新報社, 2005年
  • 疾病リスクの多様性と混合診療, 林 行成, 医療と社会, 14, 3, 127, 138, 2004年, 医療科学研究所
  • 混合診療禁止制度に関する経済理論的考察, 林 行成; 山田 玲良, 医療と社会, 13, 3, 73, 85, 2003年, The Health Care Science Institute, 本稿の目的は,日本の医療制度において保険適用外診療の供給体制を規定する混合診療禁止制度について,経済理論的な評価を与えることにある。混合診療禁止制度とは,初診から治療の完了に至る一連の診療過程において,保険診療と保険適用外診療との併用,つまり混合診療を原則禁止とする制度である。混合診療禁止制度のもとで混合診療を患者が受診すると,保険診療に該当する診療にも保険適用が認められず,一連の診療によって生じる医療費の全額を患者が自己負担することとなる。混合診療禁止制度は,国民皆保険制度のもとで,保険適用外診療の一般化が,所得格差を通じた受療機会の不平等を招来することを防ぐ仕組みとして従来正当化されてきた。本稿では,混合診療禁止制度を定式化し,混合診療を容認するような制度として差額徴収ルールを考え,制度比較分析を通して,受療機会の平等性に対する制度的効果を経済理論的に明らかにする。本稿で示される主要な結論は,以下の2点である。(1)平均所得水準が高くなるほど,もしくは低額な診療であるほど,混合診療を容認することが社会的に是認されやすくなる。(2)最低所得水準にあるような患者が公的保険適用範囲の限界水準の診療を受診できる場合,混合診療を容認することによってむしろ受療機会の平等性が改善する状況が存在する。
  • 医療費格差と診療行為の標準化:腎不全レセプトデータと用いた比較分析, 細谷圭; 林行成; 今野広紀; 鴇田忠彦, 医療と社会, 12, 2, 121, 137, 2002年, 公益財団法人 医療科学研究所, 本稿は,国民健康保険加入者の診療報酬明細書(レセプト)に基づく個票データを使用することにより,北海道・千葉・福岡の3道県における医療費の地域間格差および医療機関間格差の実態を要因分解的に明らかにする。レセプトデータを用いた分析に対して,しばしば指摘される重要な問題点は,レセプトに記載される疾病名と実際罹患している疾病との間に隔たりが存在するということである。本稿はこの点に鑑みて,レセプト記載疾病名と実際の疾病名との一致性を可能な限りみたすと考えられる腎不全患者のデータを使用して,地域間,医療機関間での医療費配分の実態を分析する。本稿での主要な結論は以下の通りである。(1)全データでの分析において,入院・外来を問わず地域間での医療費格差が確認された。特に北海道の高医療費特性と千葉の低医療費特性が明瞭に示された。また,福岡・外来で相対的に過剰とも思われる低医療費診療供給の存在が明らかになった。(2)レセプト上位医療機関に限定した分析でも,医療費格差の存在は顕著で,特に千葉では低医療費特性と同時に医療機関間の診療上の均一性を確認した。したがって,これらの間に何らかの因果関係が考えられよう。(3)慢性腎不全における透析患者の分析から,診療方法の標準化は医療費の平準化に有効性を発揮することが明らかになった。このことは,DRGs/PPSの有効性に関して1つの積極的根拠を与えるものである。
  • レセプトデータによる医療費改定の分析, 鴇田忠彦; 細谷圭; 林行成; 熊本尚雄, 経済研究, 53, 3, 226, 235, 2002年

Misc

  • 社会保障の現在と将来 (第43回医療経営セミナー「これからの医療と医療ビジネス」), 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢 = The bulletin of Department of Health Services Management, Hiroshima International University, 7, 45, 58, 2014年, 広島国際大学医療経営学部医療経営学科, 第43回医療経営セミナー会場:広島国際大学広島キャンパステーマ:「これからの医療と医療ビジネス」
  • 国際的に見た日本の医療 -医療費の国際比較-, 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢, 6, 53, 60, 2013年03月31日, 広島国際大学医療経営学部医療経営学科, 2012年度広島国際大学公開講座『咲楽塾』日程:2012年12月1日(土)会場:広島国際大学 広島キャンパステーマ:「お金から考える病気と入院-入院するための費用とその国際比較-」
  • 公私協働医療提供体制に向けて--チーム医療の課題と展望 ([2010年度]医療経営セミナー抄録 第40回「協働的な地域医療提供体制の構築--公的医療機関と私的医療機関の役割を考える」および第41回「公私協働による医療提供体制の構築へ向けて」), 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢, 4, 129, 138[含 抄録], 2011年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科
  • 公私協働による医療提供体制の効率性, 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢, 4, 37, 48, 2011年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科

著書等出版物

  • 医薬品マーケティングにおける市場・売上予測と戦略策定, 技術情報協会, 技術情報協会, 2019年02月
  • 医療経済学15講 (ライブラリ経済学15講APPLIED編), 細谷 圭; 増原 宏明; 林 行成, 新世社, 2018年11月01日
  • 医療経済評価の具体的な活用法, 技術情報協会, 技術情報協会, 2014年12月
  • MBAのためのミクロ経済学入門〈2〉ゲーム・情報と経営戦略, 中泉 真樹; 尾近 裕幸; 熊本 尚雄; 林 行成; 細谷 圭; 細谷, 圭; 増原, 宏明, 東洋経済新報社, 2009年02月01日
  • MBAのためのミクロ経済学入門〈1〉価格と市場, 中泉 真樹; 増原 宏明; 尾近 裕幸; 熊本 尚雄; 林 行成; 細谷 圭; 増原, 宏明, 東洋経済新報社, 2008年03月01日
  • 病院管理―医療秘書・医療事務実務教育講座, 白髪昌世, メディカルエデュケーション, 2008年02月01日
  • 医療と介護の世代間格差, 田近, 栄治; 佐藤, 主光, 東洋経済新報社, 2005年08月26日
  • 日本の医療改革―レセプトデータによる経済分析, 鴇田 忠彦, 東洋経済新報社, 2004年08月01日

競争的資金

  • 23K01718, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 公立病院による地域医療への貢献度に関する実証分析-非財務指標を用いた評価-
  • 22K01466, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明
  • 21K01554, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 公立病院改革と地域医療の経済分析, 研究プロジェクトの開始年度である2021年度では、理論分析のための分析モデルの構築の準備的作業、実証分析のためのデータ構築の準備を主に行った。 まず理論分析については、既存研究の調査を行いつつ、分析のための経済理論モデルの構築を検討した。より具体的には、「α×自己利益+(1-α)×他者利益」とする目的関数を持った医療機関のクールノー・モデルを想定し、初期的な分析を実施した。ここでαは利己心の大きさを表すパラメータであり、公的使命を有する医療機関ほどαが低くなる想定している。本年度では、ある1つの医療機関のαの変化が、他の医療機関や地域医療水準に与える影響を検証し、初期的な結果を得ることができた。今後は、αの大きさや医療機関の規模の多様性を考慮することで、地域特性や市場構造によって公立病院改革のインパクトを明らかにしていきたい。また、公立病院改革を扱った経済理論的分析のなかで、ホテリング・モデルを用いた理論分析が多くなされており、既存研究のサーベイを通してホテリング・モデルによる分析の応用可能性を検討した。 次に、実証分析については、COIVD-19による死亡率について都道府県ごとに地域格差が発生していることに着目して、医療供給体制とCOVID-19死亡率の関係性について基礎的なデータ分析を実施した。死亡率は人口密度などの影響だけでなく、医療提供体制、とりわけ公立病院の病床数シェアの規模に関係する可能性を見出した。各地域で公立病院改革の度合いは異なることから、こうした公立病院改革の内容が、各地域の医療提供体制にどのような影響を及ぼし、COIVD-19への対応力にどのような差異をもたらしたのかを検証するための準備作業として、データと資料の準備作業を実施した。
  • 16K03647, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), イノベーションと規制が影響を与える垂直的取引理論ー望ましい医薬品産業のあり方, 本研究の実績は3点にまとめられる.第1に医療用医薬品の流通における様々な取引慣行を実証分析により明らかにした.薬局・病院が取引している医薬品卸数やジェネリック医薬品の取り扱い量が総価取引から単品単価取引の移行を促していることである(櫻井 et al. 2016).薬局に対する,ある医薬品メーカーの薬剤の割引率は,その薬局がメイン卸(最も高いシェアの卸企業)としている卸企業がその医薬品メーカーとどのような資本関係(系列関係)にあるかによって大きく影響を受けていることを解明した(櫻井 et al. 2019). 第2に,創薬にとって重要なイノベーションと医療に特に関連するスピルオーバーの関係について理論的な分析を行った.R&D投資の効率性が高く,かつ波及効果が大きい技術に関しては,独占の経済厚生はクールノー競争やシュタッケルベルグ競争の経済厚生よりも大きくなることを示した(Ikeda et al. 2019).特許侵害の損害賠償請求制度について,逸失利益の回復と不当利益の剥奪の比較を行った.イノベーション企業がこの二つの制度を選べるときに,スピルオーバーが小さい技術に関してはその企業は逸失利益を回復する手段を選ぶことを明らかにした(Tanno and Yasaki 2017,学会発表). 第3は関連する理論研究が蓄積された.労働者の異なったスキルがある経済に関するナッシュ遂行理論の研究を行った(Yoshihara and Yamada 2019).シュタッケルベルグリーダーシップが垂直的な市場構造の下でどのように内生的に定まるか考察を行った.上流企業が逐次的に投入物価格を提示する経済では効率的な下流企業がリーダーとなるシュタッケルベルグ均衡が現れることが分かった(Tanno and Suzuki 2018,学会発表).
  • 26380387, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), モラル・モチベーションを基礎とした医療政策の設計, 本研究は、経済理論的な分析枠組みを用いて、医療におけるモラル・モチベーションの役割を明らかにし、医療政策のあり方を検討した。まず、DPC/PDPS制度のもと医療機関が利潤最大化行動を採用すれば過剰に入院日数を短縮させる可能性を示し、DPC/PDPS制度における医療機関の持つモラル・モチベーションの役割を明らかにした。また、モラル・モチベーションを持つ医療機関を拡大させる上で、医療機関の持つモラル・モチベーションを高めるような政策の重要性が示された。
  • 25380317, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 医療用医薬品流通の経済分析, 理論パートでは医薬品卸と医療機関の間の交渉力の差によってどのように上流の製薬メーカーの利潤に影響を与えるかについて定性的な結果を得た.現行の薬価制度では卸の交渉力が高いほど上流の製薬メーカーの利潤は高くなる.実証分析による主要な結論は,病院や薬局の規模が大きいほど総価取引になる確率が高まることである.一方で,取引する卸の数が多くまたは後発医薬品の利用割合が高いほど単品単価取引に移行する確率が高くなる. 四大医療用医薬品卸は上流の製薬メーカーに様々な情報を提供しており,その対価が大きな利益の源泉になっていることが明らかになった.
  • (財)医療科学研究所研究助成, 特定療養費制度の拡張と医療機関行動に関する経済学的研究
  • 23K01718, 公立病院による地域医療への貢献度に関する実証分析-非財務指標を用いた評価-, 近年、厳しい国家財政を背景に、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対し、経営改革が進められている。本研究は公立病院改革が、地域医療や他の地域の医療機関に与える影響を、様々な指標とインタビューを用いて検証していく。医療の機能分化が進む中、地域医療は、複数の医療機関が有機的に連携することが求められている。公立病院改革により、公立病院の経営状況が改善しても、他の医療機関へ負の影響を与えるような改革は社会的に評価されるべきものではない。本研究は、地域医療に対する公立病院の貢献をより広い視野から様々な尺度により評価し、今後の公立病院のあり方に対して新たな知見を見出すことを最終的な目的としている。
  • 22K01466, イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明, 「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」と題する本研究の目的は,経済厚生の観点からイノベーションを創出し,普及させていく上で,競争とその保護がどのように機能するかを理論・実証的に解明することである.その目的を達成するために研究を4つのパートに分ける.第1に競争と経済厚生の関係をイノベーションからどのように捉えられるかの理論研究を進める.第2に特許保護制度の経済厚生面での特徴を理論的把握する.第3に既存企業と新興企業に関するイノベーションの創出と既存設備の利用に関する特徴と経済厚生に与える影響を理論的に解明する.第4に医療用医薬品のサプライチェーン問題を実証的に考察する.;本研究課題「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」の初年度(2022年度)の実績は質・量ともに満足のいくものであった.医療ITのイノベーションが普及しない理由を実証的に解明した.地域連携医療情報ネットワークの停滞要因を横浜市のデータや北海道の事例で明らかにした.イノベーションと厚生の関係に競争がどのような役割を果たすかを非イノベーター企業数の増加として捉える研究を行なった.企業数が増加して競争が激しくなるときに経済厚生が増加する簡明な条件を導出した.イノベーションの普及としてジェネリック医薬品の安定供給に関する実証研究を遂行して,医療機関の調達戦略がどのようにその安定供給に寄与するかを特定した.;現代的な課題への取り組みとしてCOVID-19パンデミックに際しての日本の医療供給体制の特徴を明らかにした.日本の現状を踏まえるとルールに基づく感染症対策が有効であることが示唆できた.;イノベーションとその普及を他者への別払いと捉えて,その先手と後手の優位を明らかにした.ある種の別払いゲームでは後手の不利益が存在することをゲーム理論的に証明した.イノベーションジレンマが存在する状況で,新規事業の開始のための投資が既存事業規模によってどのように影響を受けるかを研究した.;近年の新しいイノベーションである望むだけ支払う方式あるいはPWYW(Pay what you want)方式の研究を実施して,その導入が店舗にどのような影響を与えるかを明らかにした.;研究計画の第1の目的の実証面に関する研究を遂行して査読付き専門誌にその成果を公表する事ができた.また,第1の目的の理論面に関しては研究をすすめて学会報告をすることができた.第2,3の目的に関しては各研究分担者がそれぞれの問題意識に則って研究を遂行することができた.;この調子でさらに研究を深めたい.今年度(2022年度)に学会発表した成果は査読付き専門誌に公表する.研究会を開けなかったので,各研究者の研究をまとめ上げることは難しかった.次年度(2023年度)は研究会を開催して共同研究としての成果を出していきたい.
  • 21K01554, 公立病院改革と地域医療の経済分析, 本研究は、公立病院改革が地域の社会厚生に与える経済効果について理論、実証の両面から検証していく。行財政改革が進められるなか、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対しても経営の効率化をはかるべく公立病院改革が進められている。地域の医療は1つの医療機関によって完結するものではなく、地域全体の医療機関の有機的な繋がりによって形成される。仮に公立病院改革が地域の医療に負の影響を与え社会厚生を悪化させるならば、公立病院の経営が改善されたとしても肯定的な評価を下すことはできない。本研究は、公立病院改革をより広い視野から評価し、現代の医療政策に対して新たな経済学的知見を見出すことを目的とする。;研究プロジェクト2年目である2022年度では、前年度の理論分析を踏まえた拡張分析を実施しつつ、地方公営企業年鑑による公立病院のデータの準備を整え、公立病院改革に関する予備的な実証分析を行った。以下、その概要について述べる。;前年度に行ったクールノー・モデルによる理論分析を拡張し、医療機関数一定のもとでの1つの医療機関の公共心の低下が及ぼす地域医療水準への影響を検証した。特に、医療機関間の競争環境の高まり、各医療機関の利益低下を及ぼし、地域全体への医療水準の低下を招く可能性を示すとともに、正の外部性が発生するような領域では改革の負の影響はより強くなることを示した。;また、従前より行っていた医療機関の共同購入に関する研究成果を踏まえ、医薬品の購入に関する公立病院の存在意義について、理論的な分析として一定の成果を得ることができた。具体的には、薬価基準制度のもと医療機関の共同購入行動に制限がかかるなか、公立病院の購買行動が市場価格の低下を低める可能性を示し、その結果を日本医療経営学会、日本医療・病院管理学会において研究報告を行った。;一方、実証分析については、地方公営企業年鑑のデータを用いて、地方独立行政法人、地方公営企業法全部適用への改革が行った病院の地域分析に関する準備的作業を行った。似通った人口や年齢構成などの医療圏を抽出する作業を行い、改革を行った地域と行っていない地域で医療水準にどのような差が生じているのかについて、予備的な検証を行った。現時点では、時系列的な影響などを除外しておらず、十分な分析結果を得られているわけではないものの、来年度に向けての分析準備は整いつつあると考えられる。;本務校での業務が想定以上に多くなり、研究の遂行に支障が生じており、研究の進捗がやや遅れが生じている。しかし、理論的研究は予定以上に進んでいたり、新型コロナウイルスの感染拡大も収まりつつあるなか、医療機関関係者へのヒアリングも幾らか実施できたことは大きな成果であった。;2023年度は本研究プロジェクトの最終年度である。このため、理論的研究、実証的研究について、以下のような最終的な分析を行っていく予定である。;理論分析については、独占的競争市場や寡占モデルによる産業組織論的な先行研究を踏まえた経済理論モデルを通して、公立病院の存在意義や公立病院改革の影響について分析を進め、経済理論から見る公立病院改革の効果について包括的な研究成果としてまとめ、論文化し専門雑誌に投稿まで進めていきたい。;また、実証分析では、2022年度で準備した分析をより精緻化し、特に独立行政法人化の地域に与える効果検証を行う予定である。また、今年度の理論分析の結果を踏まえ、より外部性の強いと考えられる医療領域において、公立病院改革の影響について分析していく必要性が示唆された。このように、理論分析で得られた結果を実証分析によって立証し、より公立病院改革の持つ意義と問題を追及していきたい。
  • 16K03647, イノベーションと規制が影響を与える垂直的取引理論ー望ましい医薬品産業のあり方, 医療用医薬品の医薬品卸と病院・薬局間の取引形態と納入価格を実証的に明らかにした.大きな医療機関の規模は,単品単価取引から全品総価(一律値引き)になる傾向がある.医療機関がメイン卸としている卸が製薬メーカーからの資本を受入れている場合には,そのメーカーの医薬品の納入価格の割引率は低い.;理論的分析においては,高いR&D投資効果と高いスピルオーバー効果がある場合には,独占の経済厚生がクールノー競争やシュタッケルベルグ競争のそれよりも高くなることを発見した.特許制度の分析において特許保護の程度が低い場合は,イノベーターは不当利得の返還よりも逸失利益の回復制度をより好むことを解明した.;第1の学術的意義は,医療用医薬品の卸段階の流通について日本で初めて実証分析を行ったことである.2本の査読付き学術専門誌に掲載された成果は,従来不透明であると言われてきた医療用医薬品の流通には問題があるが経済合理性もまたあることを発見した.政策当局は薬価制度の維持のために単品単価取引は望ましいと考えているが,卸と医療機関の交渉力の在り方によりどちらかに有利な取引方法が選択されている.また,学術的な新しい視点として卸の資本構成がその値引きに大きく影響を与えることも明らかにした.;理論的な分析は,R&D比率が高い医薬品産業において有効な特許保護を解明し,また望ましい経済構造を同定することができた.
  • 26380387, モラル・モチベーションを基礎とした医療政策の設計, 本研究は、経済理論的な分析枠組みを用いて、医療におけるモラル・モチベーションの役割を明らかにし、医療政策のあり方を検討した。まず、DPC/PDPS制度のもと医療機関が利潤最大化行動を採用すれば過剰に入院日数を短縮させる可能性を示し、DPC/PDPS制度における医療機関の持つモラル・モチベーションの役割を明らかにした。また、モラル・モチベーションを持つ医療機関を拡大させる上で、医療機関の持つモラル・モチベーションを高めるような政策の重要性が示された。
  • 25380317, 医療用医薬品流通の経済分析, 理論パートでは医薬品卸と医療機関の間の交渉力の差によってどのように上流の製薬メーカーの利潤に影響を与えるかについて定性的な結果を得た.現行の薬価制度では卸の交渉力が高いほど上流の製薬メーカーの利潤は高くなる.実証分析による主要な結論は,病院や薬局の規模が大きいほど総価取引になる確率が高まることである.一方で,取引する卸の数が多くまたは後発医薬品の利用割合が高いほど単品単価取引に移行する確率が高くなる.;四大医療用医薬品卸は上流の製薬メーカーに様々な情報を提供しており,その対価が大きな利益の源泉になっていることが明らかになった.

学外活動

学協会活動

  • 日本医療・病院管理学会
  • 日本経済学会
  • 日本医療経営学会
  • 医療経済学会
  • 日本医療マネジメント学会

学外委員等活動

  • 2023年04月, 9999年, 広島赤十字・原爆病院, 地域医療支援病院運営委員会委員
  • 2023年03月, 9999年, 広島県看護協会, 将来構想検討委員会委員
  • 2022年06月, 2022年12月, 広島県, 高度医療・人材育成拠点の運営形態のあり方検討会 委員
  • 2021年11月, 2022年10月, 日本学術振興会, 科学研究費委員会専門委員
  • 2014年04月, 2021年03月, 全国健康保険協会広島県支部, 健康づくり推進委員会委員長
  • 2016年10月, 2017年03月, 広島市立病院機構, 広島市立新安佐市民病院(仮称)基本設計業務公募型プロポーザル審査委員会副委員長
  • 2016年04月, 2017年03月, 広島県, ヘルスケアポイント制度検討委員会委員長
  • 2007年04月, 2008年03月, 岡山市, 岡山市民病院あり方専門会議専門委員