K-ReaD( Kokugakuin University Researcher’s Achievement)

林 行成
経済学部 経済学科
教授
Last Updated :2025/09/29

研究者基本情報

氏名

  • 氏名

    林 行成, ハヤシ ユキナリ

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所属・職名

  • 経済学部 経済学科, 教授

学歴

  • 1998年04月, 2004年03月, 一橋大学, 大学院経済学研究科, 博士後期課程 単位取得後退学
  • 1991年04月, 1996年03月, 卒業, 立教大学, 経済学部, 経済学科

学位

  • 2000年03月28日, 修士(経済学), 一橋大学, 経済学関係

職歴

  • 2003年04月, 2004年03月, 東洋大学, 経済学部経済学科, 非常勤講師
  • 2003年04月, 2004年03月, (財)医療科学研究所, 特別研究員
  • 2004年04月, 2009年03月, 広島国際大学, 医療福祉学部医療経営学科, 専任講師
  • 2009年04月, 2011年03月, 広島国際大学, 医療福祉学部医療経営学科, 准教授
  • 2011年04月, 2016年03月, 広島国際大学, 医療経営学部医療経営学科, 准教授
  • 2016年04月, 2020年03月, 広島国際大学, 医療経営学部医療経営学科, 教授
  • 2018年04月, 2024年03月, 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 非常勤講師
  • 2019年10月, 2024年03月, 広島大学, 経済学部, 客員教授
  • 2020年04月, 2024年03月, 広島国際大学, 健康科学部医療経営学科, 教授
  • 2024年04月, 國學院大學, 経済学部, 教授

本学就任年月日

  • 2024年04月01日

研究活動

論文

  • 医療の公共性と公的供給に関する経済学的考察, 林行成; 景山愛子, HIU健康科学ジャーナル, 3, 25, 38, 2024年03月, 広島国際大学
  • 診療報酬制度:インセンティブ構造からの分析, 増原宏明; 細谷圭; 林行成, 社会保障法研究, 18, 141, 187, 2023年10月, 信山社
  • 薬価基準制度がもたらすインセンティブ構造-総額管理手法を見据えて-, 林行成; 細谷圭; 増原宏明, 社会保障法研究, 18, 189, 223, 2023年10月, 信山社
  • 医療機関の共同購入と薬価基準制度, 林行成, 医療経営学論叢, 14, 29, 40, 2021年04月, 広島国際大学
  • 医療用医薬品の納入価格と流通チャネル形態, 櫻井 秀彦; 丹野 忠晋; 増原 宏明; 林 行成; 山田 玲良, JSMDレビュー, 3, 1, 11, 18, 2019年, 日本商業学会,

    本稿では医薬品卸と薬局間の医療用医薬品の納入価格の影響要因について実証研究を行った。降圧薬の薬価とその卸価格の差の薬価に対する割引率を分析対象とした。薬局に対する,ある医薬品メーカーの薬剤の割引率は,その薬局がメイン卸(最も高いシェアの卸企業)としている卸企業がその医薬品メーカーとどのような資本関係(系列関係)にあるかによって大きく影響を受けていた。強い系列卸をメイン卸とする薬局は,そのメーカーの医薬品を割引されない一方で,弱い系列や非系列の卸をメインとする薬局は大きな割引を得ていた。また,特許で保護されている薬剤には数量割引が確認された。更に,複数の薬剤を一括して取引して価格を決める総価取引は,割引率に大きな影響を与えないことが示された。

  • 医療用医薬品の流通分析:─卸の機能と情報提供サービスに関する実証研究─, 櫻井 秀彦; 丹野 忠晋; 増原 宏明; 林 行成; 恩田 光子; 山田 玲良, 流通研究, 19, 1, 15, 24, 2016年, 日本商業学会,

    わが国の医薬品流通においては,総価取引,未妥結・仮納入や過大なアローアンスなどの問題点が長きに渡って指摘されてきた。本研究で病院と薬局を対象とした調査を行い,卸との取引実態や情報提供の評価に関する回答データを収集し,取引実態の影響要因を探った。

    単品単価取引を基準として,全品総価(一律値引き),全品総価(除外あり),単品総価(品目で値引き)を比較対象とした選択肢を従属変数とする分析を行った。総じて施設規模や取引卸数等の基本的な競争要因が取引形態に影響を及ぼすことが示された。

    次に,納入前に価格が決定している場合と,未妥結・仮納入との比較について分析を行った。DPC,土日休日配送対応,医薬品に関する情報提供の評価が未妥結・仮納入の抑止に有効であった。

    以上から,病院や薬局の規模の大きさは,総価取引を助長すること,自由な取引による取引数の増加や後発医薬品の普及は有効な施策であると考えられる。

  • 保険者医療費データによる生涯医療費シミュレーションのための統計理論, 増原宏明; 小西幹彦; 丁井雅美; 林行成, 日本医療経営学会誌, 9, 1, 47, 56, 2016年, 日本医療経営学会
  • 医療機関における大規模災害時の緊急参集システム, 丁井雅美; 北村晃; 小笠原雅人; 増原宏明; 小西幹彦; 林行成, モバイル学会誌, 5, 1, 1, 8, 2015年, モバイル学会
  • 医療用医薬品流通における交渉力と薬価基準制度, 丹野忠晋; 林行成, Studies in Applied Economics 応用経済学研究, 8, 115, 127, 2015年, 日本応用経済学会
  • 医療経営における成果主義的報酬システムの検討, 林行成; 丁井雅美; 小西幹彦; 増原宏明, 日本医療経営学会誌, 7, 1, 15, 22, 2013年, 日本医療経営学会
  • 医療経営における費用配賦の統計学的考察:観察不可能な費用と有限混合分布モデル, 増原宏明; 丁井雅美; 小西幹彦; 林行成, 日本医療経営学会誌, 7, 1, 23, 29, 2013年, 日本医療経営学会
  • 日本の医療用医薬品の卸売企業の現状とその経済学的分析, 丹野忠晋; 林行成, 跡見学園女子大学マネジメント学部紀要, 15, 151, 175, 2013年, 跡見学園女子大学
  • 医療用医薬品の流通に対する経済学的視点, 林行成; 丹野忠晋, 医療経営学論叢, 5, 17, 30, 2012年, 広島国際大学, 本稿では、日本の医薬品流通を経済学的観点から考察した。日本の医薬品流通においては、製薬企業と卸売業者間で、リベート、アローアンス、総価取引、価格未妥結仮納入といった垂直的な取引慣行として存在してきた。これらの取引慣行の形成には、医療用医薬品の価格を下落させる薬価基準制度における改定ルールが関わっている。本稿は、日本の薬価基準制度下における製薬企業のインセンティブ構造を検証し、社会的に望ましい医薬品流通のあり方を経済学的観点から考察する。
  • 公共的活動におけるモラル・モチベーション, 林行成; 奥島真一郎; 山田玲良; 吉原直毅, 経済研究, 61, 4, 1, 19, 2011年, 一橋大学経済研究所, 公共的経済活動における諸個人の意思決定が,単に消費に関する主観的選好の充足という動機に基づくのみならず,道徳的動機にも基づく経済社会においては,標準的な合理的経済人モデルにおいて望ましいと考えられていた「市場原理」的なメカニズムは,必ずしも優れた成果を発揮しない事が示される.すなわち,道徳的動機が帰結に関する場合には,公共的経済活動に対する報酬体系として,成果主義的な制度よりは,むしろ固定的報酬体系の方が,フリーライド問題の解決をより容易にする.また,企業組織の所有形態も,経営者に強い利潤動機を与える私有企業よりも,経営者に残余請求権を与えない公有企業の方が,モラル・ハザード問題の解決をより容易にする可能性がある.また,道徳的動機が行為それ自体に関する場合,環境改善等のCSR活動に無関心な純粋利潤最大化企業よりもそれに貢献する社会的責任企業の方が,より勤勉な労働者達を魅了し,結果的により高い生産性を実現する可能性がある.
  • 医療の機能分化に関する厚生経済分析, 林行成, 医療経済研究, 22, 1, 79, 90, 2010年, 医療経済学会
  • 医療提供における公共心の役割, 林行成, 医療経営学論叢, 3, 25, 40, 2010年, 広島国際大学
  • 地方分権化と自治体立病院改革:契約理論を用いた経済理論分析, 林行成, 医療経営学論叢, 2, 11, 26, 2009年, 広島国際大学
  • 最適な救急医療体制の構築に関する一考察, 林行成, 医療経営学論叢, 1, 9, 20, 2008年, 広島国際大学
  • 自治体立病院の再編統合に関する一考察, 林行成; 谷田一久, 医療経営学論叢, 1, 1, 8, 2008年, 広島国際大学
  • 国民の利益に適う混合診療のあり方とは:混合診療の問題と対応策, 林行成, LRL(Labor Research Library), 第8号, 8, 13, 16, 2005年, 全労済協会
  • 保険の経済理論から見た「混合診療」, 齋藤裕美; 林行成; 中泉真樹, 田近栄治・佐藤主光編『医療と介護の世代間格差:現状と改革』第6章,東洋経済新報社, 2005年, 東洋経済新報社
  • 疾病リスクの多様性と混合診療, 林 行成, 医療と社会, 14, 3, 127, 138, 2004年, 医療科学研究所
  • 混合診療禁止制度に関する経済理論的考察, 林 行成; 山田 玲良, 医療と社会, 13, 3, 73, 85, 2003年, The Health Care Science Institute, 本稿では,日本の医療制度において保険適用外診療の供給体制を規定する混合診療禁止制度について,経済理論的な評価を行った。本稿での主要な結論は,以下の2点である。 (1)平均所得水準が高くなるほど,もしくは低額な診療であるほど,混合診療を容認することが社会的に是認されやすくなる。(2)最低所得水準にあるような患者が公的保険適用範囲の限界水準の診療を受診できる場合,混合診療を容認することによってむしろ受療機会の平等性が改善する状況が存在する。
  • 医療費格差と診療行為の標準化:腎不全レセプトデータと用いた比較分析, 細谷圭; 林行成; 今野広紀; 鴇田忠彦, 医療と社会, 12, 2, 121, 137, 2002年, 公益財団法人 医療科学研究所, 本稿は,国民健康保険加入者の診療報酬明細書(レセプト)に基づく個票データを使用することにより,北海道・千葉・福岡の3道県における医療費の地域間格差および医療機関間格差の実態を要因分解的に明らかにした。 本稿での主要な結論は以下の通りである。(1)全データでの分析において,入院・外来を問わず地域間での医療費格差が確認された。特に北海道の高医療費特性と千葉の低医療費特性が明瞭に示された。また,福岡・外来で相対的に過剰とも思われる低医療費診療供給の存在が明らかになった。(2)レセプト上位医療機関に限定した分析でも,医療費格差の存在は顕著で,特に千葉では低医療費特性と同時に医療機関間の診療上の均一性を確認した。したがって,これらの間に何らかの因果関係が考えられよう。(3)慢性腎不全における透析患者の分析から,診療方法の標準化は医療費の平準化に有効性を発揮することが明らかになった。このことは,DRGs/PPSの有効性に関して1つの積極的根拠を与えるものである。
  • レセプトデータによる医療費改定の分析, 鴇田忠彦; 細谷圭; 林行成; 熊本尚雄, 経済研究, 53, 3, 226, 235, 2002年, 一橋大学経済研究所

Misc

  • 社会保障の現在と将来 (第43回医療経営セミナー「これからの医療と医療ビジネス」), 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢 = The bulletin of Department of Health Services Management, Hiroshima International University, 7, 45, 58, 2014年, 広島国際大学医療経営学部医療経営学科, 第43回医療経営セミナー会場:広島国際大学広島キャンパステーマ:「これからの医療と医療ビジネス」
  • 国際的に見た日本の医療 -医療費の国際比較-, 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢, 6, 53, 60, 2013年03月31日, 広島国際大学医療経営学部医療経営学科, 2012年度広島国際大学公開講座『咲楽塾』日程:2012年12月1日(土)会場:広島国際大学 広島キャンパステーマ:「お金から考える病気と入院-入院するための費用とその国際比較-」
  • 公私協働医療提供体制に向けて--チーム医療の課題と展望 ([2010年度]医療経営セミナー抄録 第40回「協働的な地域医療提供体制の構築--公的医療機関と私的医療機関の役割を考える」および第41回「公私協働による医療提供体制の構築へ向けて」), 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢, 4, 129, 138[含 抄録], 2011年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科
  • 公私協働による医療提供体制の効率性, 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢, 4, 37, 48, 2011年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科

著書等出版物

  • 知っておきたい医療リテラシー:日本の医療の効率と公平を問う, 林 行成, 日本評論社, 2025年06月24日
  • 医薬品マーケティングにおける市場・売上予測と戦略策定, 技術情報協会, 技術情報協会, 2019年02月
  • 医療経済学15講 (ライブラリ経済学15講APPLIED編), 細谷 圭; 増原 宏明; 林 行成, 新世社, 2018年11月01日
  • 医療経済評価の具体的な活用法, 技術情報協会, 技術情報協会, 2014年12月
  • MBAのためのミクロ経済学入門〈2〉ゲーム・情報と経営戦略, 中泉 真樹; 尾近 裕幸; 熊本 尚雄; 林 行成; 細谷 圭; 細谷, 圭; 増原, 宏明, 東洋経済新報社, 2009年02月01日
  • MBAのためのミクロ経済学入門〈1〉価格と市場, 中泉 真樹; 増原 宏明; 尾近 裕幸; 熊本 尚雄; 林 行成; 細谷 圭; 増原, 宏明, 東洋経済新報社, 2008年03月01日
  • 病院管理―医療秘書・医療事務実務教育講座, 白髪昌世, メディカルエデュケーション, 2008年02月01日
  • 医療と介護の世代間格差, 田近, 栄治; 佐藤, 主光, 東洋経済新報社, 2005年08月26日
  • 日本の医療改革―レセプトデータによる経済分析, 鴇田 忠彦, 東洋経済新報社, 2004年08月01日

競争的資金

  • 23K01718, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, 公立病院による地域医療への貢献度に関する実証分析-非財務指標を用いた評価-
  • 22K01466, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業, イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明
  • 21K01554, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 公立病院改革と地域医療の経済分析, 研究プロジェクトの開始年度である2021年度では、理論分析のための分析モデルの構築の準備的作業、実証分析のためのデータ構築の準備を主に行った。 まず理論分析については、既存研究の調査を行いつつ、分析のための経済理論モデルの構築を検討した。より具体的には、「α×自己利益+(1-α)×他者利益」とする目的関数を持った医療機関のクールノー・モデルを想定し、初期的な分析を実施した。ここでαは利己心の大きさを表すパラメータであり、公的使命を有する医療機関ほどαが低くなる想定している。本年度では、ある1つの医療機関のαの変化が、他の医療機関や地域医療水準に与える影響を検証し、初期的な結果を得ることができた。今後は、αの大きさや医療機関の規模の多様性を考慮することで、地域特性や市場構造によって公立病院改革のインパクトを明らかにしていきたい。また、公立病院改革を扱った経済理論的分析のなかで、ホテリング・モデルを用いた理論分析が多くなされており、既存研究のサーベイを通してホテリング・モデルによる分析の応用可能性を検討した。 次に、実証分析については、COIVD-19による死亡率について都道府県ごとに地域格差が発生していることに着目して、医療供給体制とCOVID-19死亡率の関係性について基礎的なデータ分析を実施した。死亡率は人口密度などの影響だけでなく、医療提供体制、とりわけ公立病院の病床数シェアの規模に関係する可能性を見出した。各地域で公立病院改革の度合いは異なることから、こうした公立病院改革の内容が、各地域の医療提供体制にどのような影響を及ぼし、COIVD-19への対応力にどのような差異をもたらしたのかを検証するための準備作業として、データと資料の準備作業を実施した。
  • 16K03647, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), イノベーションと規制が影響を与える垂直的取引理論ー望ましい医薬品産業のあり方, 本研究の実績は3点にまとめられる.第1に医療用医薬品の流通における様々な取引慣行を実証分析により明らかにした.薬局・病院が取引している医薬品卸数やジェネリック医薬品の取り扱い量が総価取引から単品単価取引の移行を促していることである(櫻井 et al. 2016).薬局に対する,ある医薬品メーカーの薬剤の割引率は,その薬局がメイン卸(最も高いシェアの卸企業)としている卸企業がその医薬品メーカーとどのような資本関係(系列関係)にあるかによって大きく影響を受けていることを解明した(櫻井 et al. 2019). 第2に,創薬にとって重要なイノベーションと医療に特に関連するスピルオーバーの関係について理論的な分析を行った.R&D投資の効率性が高く,かつ波及効果が大きい技術に関しては,独占の経済厚生はクールノー競争やシュタッケルベルグ競争の経済厚生よりも大きくなることを示した(Ikeda et al. 2019).特許侵害の損害賠償請求制度について,逸失利益の回復と不当利益の剥奪の比較を行った.イノベーション企業がこの二つの制度を選べるときに,スピルオーバーが小さい技術に関してはその企業は逸失利益を回復する手段を選ぶことを明らかにした(Tanno and Yasaki 2017,学会発表). 第3は関連する理論研究が蓄積された.労働者の異なったスキルがある経済に関するナッシュ遂行理論の研究を行った(Yoshihara and Yamada 2019).シュタッケルベルグリーダーシップが垂直的な市場構造の下でどのように内生的に定まるか考察を行った.上流企業が逐次的に投入物価格を提示する経済では効率的な下流企業がリーダーとなるシュタッケルベルグ均衡が現れることが分かった(Tanno and Suzuki 2018,学会発表).
  • 26380387, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), モラル・モチベーションを基礎とした医療政策の設計, 本研究は、経済理論的な分析枠組みを用いて、医療におけるモラル・モチベーションの役割を明らかにし、医療政策のあり方を検討した。まず、DPC/PDPS制度のもと医療機関が利潤最大化行動を採用すれば過剰に入院日数を短縮させる可能性を示し、DPC/PDPS制度における医療機関の持つモラル・モチベーションの役割を明らかにした。また、モラル・モチベーションを持つ医療機関を拡大させる上で、医療機関の持つモラル・モチベーションを高めるような政策の重要性が示された。
  • 25380317, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), 医療用医薬品流通の経済分析, 理論パートでは医薬品卸と医療機関の間の交渉力の差によってどのように上流の製薬メーカーの利潤に影響を与えるかについて定性的な結果を得た.現行の薬価制度では卸の交渉力が高いほど上流の製薬メーカーの利潤は高くなる.実証分析による主要な結論は,病院や薬局の規模が大きいほど総価取引になる確率が高まることである.一方で,取引する卸の数が多くまたは後発医薬品の利用割合が高いほど単品単価取引に移行する確率が高くなる. 四大医療用医薬品卸は上流の製薬メーカーに様々な情報を提供しており,その対価が大きな利益の源泉になっていることが明らかになった.
  • (財)医療科学研究所研究助成, 特定療養費制度の拡張と医療機関行動に関する経済学的研究
  • 23K01718, 公立病院による地域医療への貢献度に関する実証分析-非財務指標を用いた評価-, 近年、厳しい国家財政を背景に、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対し、経営改革が進められている。本研究は公立病院改革が、地域医療や他の地域の医療機関に与える影響を、様々な指標とインタビューを用いて検証していく。医療の機能分化が進む中、地域医療は、複数の医療機関が有機的に連携することが求められている。公立病院改革により、公立病院の経営状況が改善しても、他の医療機関へ負の影響を与えるような改革は社会的に評価されるべきものではない。本研究は、地域医療に対する公立病院の貢献をより広い視野から様々な尺度により評価し、今後の公立病院のあり方に対して新たな知見を見出すことを最終的な目的としている。
  • 22K01466, イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明, 「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」と題する本研究の目的は,経済厚生の観点からイノベーションを創出し,普及させていく上で,競争とその保護がどのように機能するかを理論・実証的に解明することである.その目的を達成するために研究を4つのパートに分ける.第1に競争と経済厚生の関係をイノベーションからどのように捉えられるかの理論研究を進める.第2に特許保護制度の経済厚生面での特徴を理論的把握する.第3に既存企業と新興企業に関するイノベーションの創出と既存設備の利用に関する特徴と経済厚生に与える影響を理論的に解明する.第4に医療用医薬品のサプライチェーン問題を実証的に考察する.;本研究課題「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」の初年度(2022年度)の実績は質・量ともに満足のいくものであった.医療ITのイノベーションが普及しない理由を実証的に解明した.地域連携医療情報ネットワークの停滞要因を横浜市のデータや北海道の事例で明らかにした.イノベーションと厚生の関係に競争がどのような役割を果たすかを非イノベーター企業数の増加として捉える研究を行なった.企業数が増加して競争が激しくなるときに経済厚生が増加する簡明な条件を導出した.イノベーションの普及としてジェネリック医薬品の安定供給に関する実証研究を遂行して,医療機関の調達戦略がどのようにその安定供給に寄与するかを特定した.;現代的な課題への取り組みとしてCOVID-19パンデミックに際しての日本の医療供給体制の特徴を明らかにした.日本の現状を踏まえるとルールに基づく感染症対策が有効であることが示唆できた.;イノベーションとその普及を他者への別払いと捉えて,その先手と後手の優位を明らかにした.ある種の別払いゲームでは後手の不利益が存在することをゲーム理論的に証明した.イノベーションジレンマが存在する状況で,新規事業の開始のための投資が既存事業規模によってどのように影響を受けるかを研究した.;近年の新しいイノベーションである望むだけ支払う方式あるいはPWYW(Pay what you want)方式の研究を実施して,その導入が店舗にどのような影響を与えるかを明らかにした.;研究計画の第1の目的の実証面に関する研究を遂行して査読付き専門誌にその成果を公表する事ができた.また,第1の目的の理論面に関しては研究をすすめて学会報告をすることができた.第2,3の目的に関しては各研究分担者がそれぞれの問題意識に則って研究を遂行することができた.;この調子でさらに研究を深めたい.今年度(2022年度)に学会発表した成果は査読付き専門誌に公表する.研究会を開けなかったので,各研究者の研究をまとめ上げることは難しかった.次年度(2023年度)は研究会を開催して共同研究としての成果を出していきたい.
  • 21K01554, 公立病院改革と地域医療の経済分析, 本研究は、公立病院改革が地域の社会厚生に与える経済効果について理論、実証の両面から検証していく。行財政改革が進められるなか、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対しても経営の効率化をはかるべく公立病院改革が進められている。地域の医療は1つの医療機関によって完結するものではなく、地域全体の医療機関の有機的な繋がりによって形成される。仮に公立病院改革が地域の医療に負の影響を与え社会厚生を悪化させるならば、公立病院の経営が改善されたとしても肯定的な評価を下すことはできない。本研究は、公立病院改革をより広い視野から評価し、現代の医療政策に対して新たな経済学的知見を見出すことを目的とする。;研究プロジェクト2年目である2022年度では、前年度の理論分析を踏まえた拡張分析を実施しつつ、地方公営企業年鑑による公立病院のデータの準備を整え、公立病院改革に関する予備的な実証分析を行った。以下、その概要について述べる。;前年度に行ったクールノー・モデルによる理論分析を拡張し、医療機関数一定のもとでの1つの医療機関の公共心の低下が及ぼす地域医療水準への影響を検証した。特に、医療機関間の競争環境の高まり、各医療機関の利益低下を及ぼし、地域全体への医療水準の低下を招く可能性を示すとともに、正の外部性が発生するような領域では改革の負の影響はより強くなることを示した。;また、従前より行っていた医療機関の共同購入に関する研究成果を踏まえ、医薬品の購入に関する公立病院の存在意義について、理論的な分析として一定の成果を得ることができた。具体的には、薬価基準制度のもと医療機関の共同購入行動に制限がかかるなか、公立病院の購買行動が市場価格の低下を低める可能性を示し、その結果を日本医療経営学会、日本医療・病院管理学会において研究報告を行った。;一方、実証分析については、地方公営企業年鑑のデータを用いて、地方独立行政法人、地方公営企業法全部適用への改革が行った病院の地域分析に関する準備的作業を行った。似通った人口や年齢構成などの医療圏を抽出する作業を行い、改革を行った地域と行っていない地域で医療水準にどのような差が生じているのかについて、予備的な検証を行った。現時点では、時系列的な影響などを除外しておらず、十分な分析結果を得られているわけではないものの、来年度に向けての分析準備は整いつつあると考えられる。;本務校での業務が想定以上に多くなり、研究の遂行に支障が生じており、研究の進捗がやや遅れが生じている。しかし、理論的研究は予定以上に進んでいたり、新型コロナウイルスの感染拡大も収まりつつあるなか、医療機関関係者へのヒアリングも幾らか実施できたことは大きな成果であった。;2023年度は本研究プロジェクトの最終年度である。このため、理論的研究、実証的研究について、以下のような最終的な分析を行っていく予定である。;理論分析については、独占的競争市場や寡占モデルによる産業組織論的な先行研究を踏まえた経済理論モデルを通して、公立病院の存在意義や公立病院改革の影響について分析を進め、経済理論から見る公立病院改革の効果について包括的な研究成果としてまとめ、論文化し専門雑誌に投稿まで進めていきたい。;また、実証分析では、2022年度で準備した分析をより精緻化し、特に独立行政法人化の地域に与える効果検証を行う予定である。また、今年度の理論分析の結果を踏まえ、より外部性の強いと考えられる医療領域において、公立病院改革の影響について分析していく必要性が示唆された。このように、理論分析で得られた結果を実証分析によって立証し、より公立病院改革の持つ意義と問題を追及していきたい。
  • 16K03647, イノベーションと規制が影響を与える垂直的取引理論ー望ましい医薬品産業のあり方, 医療用医薬品の医薬品卸と病院・薬局間の取引形態と納入価格を実証的に明らかにした.大きな医療機関の規模は,単品単価取引から全品総価(一律値引き)になる傾向がある.医療機関がメイン卸としている卸が製薬メーカーからの資本を受入れている場合には,そのメーカーの医薬品の納入価格の割引率は低い.;理論的分析においては,高いR&D投資効果と高いスピルオーバー効果がある場合には,独占の経済厚生がクールノー競争やシュタッケルベルグ競争のそれよりも高くなることを発見した.特許制度の分析において特許保護の程度が低い場合は,イノベーターは不当利得の返還よりも逸失利益の回復制度をより好むことを解明した.;第1の学術的意義は,医療用医薬品の卸段階の流通について日本で初めて実証分析を行ったことである.2本の査読付き学術専門誌に掲載された成果は,従来不透明であると言われてきた医療用医薬品の流通には問題があるが経済合理性もまたあることを発見した.政策当局は薬価制度の維持のために単品単価取引は望ましいと考えているが,卸と医療機関の交渉力の在り方によりどちらかに有利な取引方法が選択されている.また,学術的な新しい視点として卸の資本構成がその値引きに大きく影響を与えることも明らかにした.;理論的な分析は,R&D比率が高い医薬品産業において有効な特許保護を解明し,また望ましい経済構造を同定することができた.
  • 26380387, モラル・モチベーションを基礎とした医療政策の設計, 本研究は、経済理論的な分析枠組みを用いて、医療におけるモラル・モチベーションの役割を明らかにし、医療政策のあり方を検討した。まず、DPC/PDPS制度のもと医療機関が利潤最大化行動を採用すれば過剰に入院日数を短縮させる可能性を示し、DPC/PDPS制度における医療機関の持つモラル・モチベーションの役割を明らかにした。また、モラル・モチベーションを持つ医療機関を拡大させる上で、医療機関の持つモラル・モチベーションを高めるような政策の重要性が示された。
  • 25380317, 医療用医薬品流通の経済分析, 理論パートでは医薬品卸と医療機関の間の交渉力の差によってどのように上流の製薬メーカーの利潤に影響を与えるかについて定性的な結果を得た.現行の薬価制度では卸の交渉力が高いほど上流の製薬メーカーの利潤は高くなる.実証分析による主要な結論は,病院や薬局の規模が大きいほど総価取引になる確率が高まることである.一方で,取引する卸の数が多くまたは後発医薬品の利用割合が高いほど単品単価取引に移行する確率が高くなる.;四大医療用医薬品卸は上流の製薬メーカーに様々な情報を提供しており,その対価が大きな利益の源泉になっていることが明らかになった.
  • JP23K01718, 公立病院による地域医療への貢献度に関する実証分析-非財務指標を用いた評価-, 近年、厳しい国家財政を背景に、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対し、経営改革が進められている。本研究は公立病院改革が、地域医療や他の地域の医療機関に与える影響を、様々な指標とインタビューを用いて検証していく。医療の機能分化が進む中、地域医療は、複数の医療機関が有機的に連携することが求められている。公立病院改革により、公立病院の経営状況が改善しても、他の医療機関へ負の影響を与えるような改革は社会的に評価されるべきものではない。本研究は、地域医療に対する公立病院の貢献をより広い視野から様々な尺度により評価し、今後の公立病院のあり方に対して新たな知見を見出すことを最終的な目的としている。;2023年度は研究期間の1年目であり、公立病院改革による公立病院の行動変容について、周辺の医療機関、そして地域の医療水準にどのような影響を与えるのかを、財務指標や医療の質を表す非財務指標を用いて地域社会への貢献度を検証することを目的としていた。その点を踏まえ、まず近年のコロナ禍における公立病院の地域における貢献度を検討することに着手し、地域の国公立病院の割合が高いほど、人口当たりの新型コロナウイルス感染症による死亡者数は有意に低下することを示し、地域の医療提供体制において国公立病院の割合が一定以上必要であるという示唆が得られ、論文作成及び論文誌掲載という成果を得ている。;また、公立病院を含む医療機関全般の地域への貢献は幅広い定義が可能であり、医療の質を表す非財務指標だけでなく、その貢献度を測定するための多様な非財務指標の特定が将来的に必要であると考えている。このことを踏まえ、公立病院の地域への貢献は第一に地域医療に対するものであること、そして地域に根付く公立病院としての付随的な貢献として、地域環境を医療機関の立場から良くする行動や取り組みに区分した場合、その後者について採用可能性のある評価尺度について、例えば、Sustainable Development Goals(SDGs)やCorporate Social Responsibility(CSR)などの取り組みを参考にして、様々な地域貢献に関する評価尺度について予備的な調査を行うことができたことも論文の投稿及び論文誌掲載という成果につながっている。;更に今後は一定の地域における医療機関間の影響を明らかにすることを目的としていることを踏まえ、各所に対し情報提供を依頼するための調整も着実に進んでいることから、翌年度以降にはデータセットが可能となる見通しで、研究の進捗は順調であると考えている。;既に述べたとおり、直近の公立病院のコロナ禍における地域医療への貢献については一定の成果が得られており、今後は次のステップとして、地域を広島県に限定して、公立病院改革の影響を公立病院を中心とした地域医療と財務状況において明らかにすることを予定しており、必要な情報収集を目的とした各病院との調整も順調に進んでいるため。;2024年度は、2023年度にコロナ禍における公立病院の地域における役割や意義を確認したところを、更に年齢調整、所得調整などのデータ補正を行い、パンデミック下での公立病院の存在意義について統計的に検証したいと考えている。またそれに付随して、都道府県データの追加(ワクチン接種率など)を検討し、コロナ死亡率の要因解析をより精緻化していきたいと考えている。また、感染率の低い地域と公立病院改革の関係性の詳細な調査や各地域の公立病院改革の内容の調査と医療水準のデータの収集を行う予定であり、更に、類似研究のサーベイを行い、統計分析手法の検討も行う。;将来的には研究対象とする地域を広島県に限定し、公立病院改革を要因として、公立病院の経営状況が地域にどのように影響を及ぼすかを明らかにするために、その前提として、まずは公立病院の財務状況の変化や影響、そして、公立病院の経営状態を評価する非財務指標を抽出し、それらの指標に見られる変化や影響について、公開されているデータもしくは非公開のデータ(インタビューの実施や医療機関に情報提供を依頼の上、データを調達する)を活用して、公立病院の地域医療への貢献度を評価するためのデータセットと分析を進めていく。また、新たな視点として、2023年度の研究実績に含まれている、地域に根付く公立病院としての付随的な地域貢献として、地域環境を医療機関の立場から良くする行動や取り組みを評価する側面にも着目し、公立病院の地域との共生について、公立病院改革を通して、幅広い視点から地域への貢献度を評価する仕組みについても検討を加えたいと考えている。
  • JP22K01466, イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明, 「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」と題する本研究の目的は,経済厚生の観点からイノベーションを創出し,普及させていく上で,競争とその保護がどのように機能するかを理論・実証的に解明することである.その目的を達成するために研究を4つのパートに分ける.第1に競争と経済厚生の関係をイノベーションからどのように捉えられるかの理論研究を進める.第2に特許保護制度の経済厚生面での特徴を理論的把握する.第3に既存企業と新興企業に関するイノベーションの創出と既存設備の利用に関する特徴と経済厚生に与える影響を理論的に解明する.第4に医療用医薬品のサプライチェーン問題を実証的に考察する.;本研究課題「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」の第2年目(2023年度)の実績は質・量ともに満足のいくものであった.医療イノベーションに関しては医薬品の効果や使用法に関する実証的研究の成果を公表した.また,日本でのコロナ対応に関する供給体制がどのような効果をもたらしたかについても公にすることができた.;第3にイノベーションの普及に関してジェネリック医薬品不足の原因を究明する研究を実施した.その研究は査読付き学術専門誌に投稿され,修正要請を受けた後,再投稿され,現在は審査結果を待っている状態である.第4に特許保護のあり方と研究開発投資の研究に関しては,研究成果をまとめて国際的な査読付き学術専門誌に投稿した.2024年4月に論文審査プロセスに入った旨の報告を受けている.第5に競争とイノベーションの関係についての研究をまとめて国際的な査読付き学術専門誌に投稿した.その後,さらなる研究を付け加えて再投稿先を検討している.第6に医療情報ネットワークに関してはネットワーク参加と地理的な特徴の関係の研究をまとめている段階である.日本ホスピタリティ・マネジメント学会の論文奨励賞(2023年8月)や日本医療情報学会の優秀ポスター賞(2023年6月)を受賞した.第7に病院の公共性とコロナ対応に対する新たな視点を得て紀要論文とした.;本研究チームの研究環境について述べる.2023年(令和5年)9月に信州大学松本キャンパスにおいて研究会を開いた.また,2023年(令和5年)12月に北海道科学大学サテライトキャンパスにおいて研究の打ち合わせを行なった.さらに,2024年(令和6年)2月に広島国際大学呉キャンパスにおいて研究会を開いた.;研究期間の第2年目において,実施状況と共同研究の相互作用が非常に良好であり,全体として高い水準の成果を達成していると言える.;本研究課題「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」の第2年目(2023年度)の現在までの進捗状況は,当初の計画以上に進展している.コロナ対応の研究など派生的な研究の社会的な要請などにより研究成果が増えた.質的にも,研究は査読付き学術専門誌のプロセスを順調に進み,成果を生み出している状況である.また,研究代表者および分担者がそれぞれの問題意識に基づいて行う研究と,研究会を通じた相互作用が成果を生んでいると考えられる.イノベーションはコロナ対応で見られるように社会的な問題解決において大いに力を発揮する.そのような社会的な問題を解決する研究を続けていけば,本研究課題はさらに進展すると考えている.;本研究課題「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」の第3年目(2024年度)以降の研究の推進方策を以下に述べる.第1に,第2年目(2023年度)のいくつかの研究が査読プロセスに入っているので,それらを公表できるように努めたい.第2に,これらを発展させる理論的および実証的な追加研究を計画している.現在は当初の計画を超えて進んでいるが,更なる高みを目指したい.しかし,第1の査読付き学術専門誌に受理されるのが最優先である.第3に,本研究課題の実施する中で新たな研究課題の芽が生まれたため,これを発展させる研究を行う予定である.例えば,医療IT活用において患者の入退院に関して医療連携を効率的に実施できる状況がある.そのような状況を目に見える形で示すため,証拠に基づいたデータ整備と解析を行いたい.また,公的な病院と私的な病院の形態に関して異なるパフォーマンスが生まれる状況が確認できた.このような経済現象を更に解明することも企図したい.第4に第3年目も研究会を組織して研究代表者および分担者が効率的に共同研究を実施したり,研究のアイディアを高め合う活動を行ないたい.
  • JP21K01554, 公立病院改革と地域医療の経済分析, 本研究は、公立病院改革が地域の社会厚生に与える経済効果について理論、実証の両面から検証していく。行財政改革が進められるなか、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対しても経営の効率化をはかるべく公立病院改革が進められている。地域の医療は1つの医療機関によって完結するものではなく、地域全体の医療機関の有機的な繋がりによって形成される。仮に公立病院改革が地域の医療に負の影響を与え社会厚生を悪化させるならば、公立病院の経営が改善されたとしても肯定的な評価を下すことはできない。本研究は、公立病院改革をより広い視野から評価し、現代の医療政策に対して新たな経済学的知見を見出すことを目的とする。;本研究では、公立病院を地域社会全体という視点からその存在意義や影響力について検証した。まず、公立病院改革が自己利得の追求を強める結果となれば、地域に悪影響を与える可能性を示した。また、現行の薬価基準制度は薬価引き下げという点で公立病院改革と制度的補完性を有しており、公立病院改革の持つ薬価引き下げとそのインパクトについて明らかにした。さらに、各都道府県での新型コロナウイルス感染症による人口当たり死亡者数に対して、国公立病院の病院割合や病床数割合が有意に関係することを明らかにし、パンデミックにおける国公立病院の重要性を実証的に示した。;公立病院に関する経済学的研究では、公立病院単体の経営効率性に注目する研究しかなされてこなった。地域医療は地域の複数の医療機関の繋がりで構成されることに鑑みれば、公立病院改革が地域医療全体にどのような影響を与えるかを検証しなければならない。本研究では、公立病院を地域社会全体という視点からその存在意義や影響力を検証した点に、学術的にも社会的にも大きな意義がある。また、近年の新型コロナウイルス感染症といった公的役割が強調される環境のなかで、公立病院の存在意義をデータから検証でき、今後の公立病院の改革のあり方に対して政策的な示唆も導くことができたものと考えられる。

教育活動

担当授業

  • 医療の経済, 2024, 社会にとって望ましい医療を、効率的そして公平に提供するためには、適切な仕組みが必要となります。この講義では、経済学的な視点から医療サービスの特性を踏まえ、医療サービスの取引に関する問題を明らかにした上で、現在の医療制度の問題と今後の医療のあり方を分析・検討します。
  • 経済理論入門, 2024, 「経済理論入門」は、私たちが直面する様々な「経済問題」を分析し、解決策を考えるための「道具」である「経済理論=ミクロ経済学+マクロ経済学」の基礎的部分を学習します。すごく大事なこと ==>「道具」は役に立たなければ意味がない!|私たちの住んでいる経済社会は市場社会といわれます。「ミクロ経済学」の主要な分析対象はこの市場です。それぞれの家計(消費者)がどんな買い物をするか、それぞれの企業(生産者)がどんなふうにモノやサービスを提供するかを考えながら、需要と供給が出会う場としての市場でどのように価格が形成されるか、そうした市場の長所と短所は何かを分析します。それらをふまえ、たとえば貿易の自由化をどう評価すべきかなどについて、あなた自身で考えることができるようになります。「マクロ経済学」は、GDPなどの概念に代表されるように、経済の全体の動きを大づかみに理解するためのものです。日本の経済を全体としてみた場合の「景気」、「雇用」、「金利」、そして「為替相場」などが相互にどのように関係しているのかを学びながら、経済をマクロ的に見る目を養ってゆきます。政府の財政政策や日本銀行の金融政策などについて、あなた自身で評価できる(意見がもてる)ようになります。|この「経済理論入門」の学修後、「ミクロ経済学」と「マクロ経済学」を本格的に学んで、あなたの分析力をいっそう磨いてください。
  • 基礎演習B, 2024, 【授業内容】| 「基礎演習B」では、「基礎演習A」で修得した大学生に求められる基礎的学修スキル(基礎学力に加えて、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」)を前提として、実際に企業・行政・NPOなどの外部組織から与えられた課題に対して、解決策を導き立案するための課題解決型学習(PBL:Problem-Based Learning)を行います。社会では答えのない課題に取り組む機会が増えます。この授業ではこうした社会に存在する課題に対する取り組み方を学びます。具体的には主体的かつ根気強く取り組み、他者に働きかけ、設定した目標に対して計画的かつ協働して実行していくスキルを定着させていきます。 | また、この授業では課題解決策のプランについて、全てのクラスで代表チームを選出し、全体で発表するプレゼン大会を実施します。プレゼン大会では課題提供先の組織の方々の前で発表し、もらったコメントを受けて自分の基礎的学修スキルや学修態度を相対化させます。これによって、自分に不足しているスキルや態度を把握するとともに、それらを今後の大学生活で補い、成長するための契機とします。| さらに、現実に外部組織が抱えている課題を理解し、それに対する解決策を立案する過程で幅広い問題意識の醸成を図り、プロジェクト終了後はそうした問題意識をレポートに落とし込み、専門教育へ誘導する取り組み(教員任意設定課題)を各クラスで行います。| 1年間を通して取り組む「基礎演習A」と「基礎演習B」によって、経済学部での学びと社会との関連性を知り、國學院大学経済学部が掲げる「経済と経済学に関する基礎力と日本経済に関する知見を兼ね備えた、社会に貢献する専門的教養人」の陶冶を目指します。||【授業1回分実施方法について】|本授業の回数は15回ですが、そのうちの1回は授業1回分の課題を課します。
  • 演習ⅡA, 2024, 人口減少と高齢化が進む日本社会において医療問題は最も重要な社会問題であるだけでなく、医療に関わるビジネスは日本に残された数少ない成長産業の1つとも言える。本演習では、今後ますます存在感の増す医療分野をテーマに、経済学的な分析を通して理解を深め、これからの日本社会のあり方についてメンバー全員で検討していく。|医療の経済分析には、まずは医療制度の知識にととまらず制度的なインセンティブ構造を体系的に理解することが求められる。また、経済分析手法を実際に実践できる経済学に関する基礎力と応用力が必要である。本演習は、医療をテーマに医療問題をより深く分析考察することを通して、論理的思考技術、ディスカッション能力、プレゼンテーション能力を高めていく。|具体的な取り組みとしては、社会保障や医療に関わる経済学的な専門書の輪読や、社会保障に関わるテーマを設定したグループワークやディスカッションを行う。こうした演習を通して、社会保障というスコープから日本の現代社会に関わる問題を論理的に理解しながら、経済学的に分析する力を修得していく。
  • 基礎演習A, 2024, 【授業内容】| 「基礎演習A」では、大学生に求められる基礎的学修スキル(スタディスキル)について、グループワークを主体として修得します。ここでいう基礎的学修スキルとは、ノートの取り方、情報検索・収集の仕方、専門書の読み方、情報整理の仕方、論理構成の立て方、レポート・レジュメ(報告資料)・スライド作成の仕方、発表の仕方といった大学での学びに必須の「基礎学力」だけでなく、そうした基礎学力や専門知識を生かす力=「社会人基礎力」を指します。| 社会人基礎力とは経済産業省が定義したもので、「前に踏み出す力」(一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力)、「考え抜く力」(疑問を持ち、考え抜く力)、「チームで働く力」(多様な人々とともに、目標に向けて協力する力)からなり、大学生活だけでなく社会に出ても必要となります。| この授業では、全体を通じて4人程度の少人数のグループワークをもとに基礎学力の修得を図り、後半では課題解決型学習(PBL:Problem-Based Learning)を中心として社会人基礎力を涵養します。| この「基礎演習A」と後期に開講される「基礎演習B」を通じて、経済学部での学びと社会との関連性を知り、國學院大學経済学部が目指す「経済と経済学に関する基礎力と日本経済に関する知見を兼ね備えた、社会に貢献する専門的教養人」の陶冶を目指します。||【授業1回分実施方法について】|本授業の回数は15回ですが、そのうちの1回は授業1回分の課題を課します。
  • 演習ⅡB, 2024, 人口減少と高齢化が進む日本社会において医療問題は最も重要な社会問題であるだけでなく、医療に関わるビジネスは日本に残された数少ない成長産業の1つとも言える。本演習では、演習ⅡAに引き続き、今後ますます存在感の増す医療分野をテーマに、経済学的な分析を通して理解を深め、これからの日本社会のあり方についてメンバー全員で検討していく。|医療の経済分析には、まずは医療制度の知識にととまらず制度的なインセンティブ構造を体系的に理解することが求められる。また、経済分析手法を実際に実践できる経済学に関する基礎力と応用力が必要である。本演習は、医療をテーマに医療問題をより深く分析考察することを通して、論理的思考技術、ディスカッション能力、プレゼンテーション能力を高めていく。|具体的な取り組みとしては、社会保障や医療に関わる経済学的な専門書の輪読や、社会保障に関わるテーマを設定したグループワークやディスカッションを行う。こうした演習を通して、社会保障というスコープから日本の現代社会に関わる問題を論理的に理解しながら、経済学的に分析する力を修得していく。
  • 演習II(4), 2024, 前期の内容については(演習ⅡA 渋谷 木5 林行成)を参照してください。後期の内容については(演習ⅡB 渋谷 木5 林行成)を参照してください。
  • 経済経営数学入門, 2024, 日常生活や仕事でAI(人工知能)などを生かせることがもとめられるような時代になって、「文系だから」、「嫌いだから」、「苦手だから」と言って数学学習を避けることは、もはや許されなくなってきた。数学の知識は、就職して(社会人になって)ビジネスのいろいろな課題に直面したときにこそ威力を発揮するとも言われている。この科目では、そうした卒後も視野に入れつつ、方程式や1次関数などの中学レベルの知識から始め、経済学、経営学、会計学を含むじつにさまざまな分野で役立っている数学の初歩を学び(再学習し)、数学的な思考力を鍛える。| なお、担当教員によって授業形態、授業の進め方、成績評価などで違いがでてくるが、授業の内容等は同じである。授業は、授業内容に即した資料(講義ノート)を提示し、担当者が解説するかたちですすめる。課題等を含め授業にかんする重要なことは、授業時やKSMAPYⅡを通じてお知らせするので必ずチェックのこと。
  • 経済経営数学入門, 2024, 日常生活や仕事でAI(人工知能)などを生かせることがもとめられるような時代になって、「文系だから」、「嫌いだから」、「苦手だから」と言って数学学習を避けることは、もはや許されなくなってきた。数学の知識は、就職して(社会人になって)ビジネスのいろいろな課題に直面したときにこそ威力を発揮するとも言われている。この科目では、そうした卒後も視野に入れつつ、方程式や1次関数などの中学レベルの知識から始め、経済学、経営学、会計学を含むじつにさまざまな分野で役立っている数学の初歩を学び(再学習し)、数学的な思考力を鍛える。| なお、担当教員によって授業形態、授業の進め方、成績評価などで違いがでてくるが、授業の内容等は同じである。授業は、授業内容に即した資料(講義ノート)を提示し、担当者が解説するかたちですすめる。課題等を含め授業にかんする重要なことは、授業時やKSMAPYⅡを通じてお知らせするので必ずチェックのこと。
  • 演習Ⅰ, 2024, どのような進路に進むとしても最も重要なスキルの1つに、「問題を自ら発見し考える力」を挙げることができる。この演習では、この問題発見能力と論理的思考能力を高めるべく、社会保障をテーマに掲げ、社会保障問題から日本経済の課題と展望をメンバー全員で検討していく。|具体的な取り組みとしては、社会保障や医療に関わる入門的専門書の輪読や、社会保障に関わるテーマでのグループワークやプレゼンテーション、ディスカッションを行う。本演習を通して、社会保障というスコープから日本の現代社会に関わる問題を論理的に理解しながら、経済学的に分析するための基礎力を修得していくことを目的とする。

学外活動

学協会活動

  • 日本医療・病院管理学会
  • 日本経済学会
  • 日本医療経営学会 理事, 2024年06月01日
  • 医療経済学会
  • 日本医療マネジメント学会 評議員, 2013年04月01日

学外委員等活動

  • 2024年06月01日, 全国健康保険協会広島支部, 健康づくり推進協議会
  • 2023年04月, 広島赤十字・原爆病院, 地域医療支援病院運営委員会委員
  • 2023年03月, 広島県看護協会, 将来構想検討委員会委員
  • 2022年06月, 2022年12月, 広島県, 高度医療・人材育成拠点の運営形態のあり方検討会 委員
  • 2021年11月, 2023年10月, 日本学術振興会, 科学研究費委員会専門委員
  • 2014年04月, 2021年03月, 全国健康保険協会広島県支部, 健康づくり推進委員会委員長
  • 2016年10月, 2017年03月, 広島市立病院機構, 広島市立新安佐市民病院(仮称)基本設計業務公募型プロポーザル審査委員会副委員長
  • 2016年04月, 2017年03月, 広島県, ヘルスケアポイント制度検討委員会委員長
  • 2007年04月, 2008年03月, 岡山市, 岡山市民病院あり方専門会議専門委員