医療用医薬品の流通に対する経済学的視点, 林行成; 丹野忠晋, 医療経営学論叢, 5, 17, 30, 2012年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科, In this article,we examine the pharmaceutical distribution in Japan with an economic point of view. In thepharmaceutical distribution in Japan, there have been various vertical restraints as trade practices:rebate/allowance system between pharmaceutical manufactures and wholesalers,lump-sum bulk buying anddelivery without price agreement between wholesalers and medical institutions. These trade practices arerelated with price regulation system for ethical drug in Japan. The price regulation is characterized by revisionrule which depreciates the price of ethical drug. This article investigates a structure of incentives ofpharmaceutical manufactures and considers socially desirable pharmaceutical distribution with an economicperspective.
医療用医薬品の流通に対する経済学的視点, 林行成; 丹野忠晋, 医療経営学論叢, 5, 17, 30, 2012年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科, In this article,we e・・・
医療用医薬品の流通に対する経済学的視点, 林行成; 丹野忠晋, 医療経営学論叢, 5, 17, 30, 2012年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科, In this article,we examine the pharmaceutical distribution in Japan with an economic point of view. In thepharmaceutical distribution in Japan, there have been various vertical restraints as trade practices:rebate/allowance system between pharmaceutical manufactures and wholesalers,lump-sum bulk buying anddelivery without price agreement between wholesalers and medical institutions. These trade practices arerelated with price regulation system for ethical drug in Japan. The price regulation is characterized by revisionrule which depreciates the price of ethical drug. This article investigates a structure of incentives ofpharmaceutical manufactures and considers socially desirable pharmaceutical distribution with an economicperspective.
公共的活動におけるモラル・モチベーション, 林行成; 奥島真一郎; 山田玲良; 吉原直毅, 経済研究, 61, 4, 1, 19, 2011年, 岩波書店, 公共的経済活動における諸個人の意思決定が,単に消費に関する主観的選好の充足という動機に基づくのみならず,道徳的動機にも基づく経済社会においては,標準的な合理的経済人モデルにおいて望ましいと考えられていた「市場原理」的なメカニズムは,必ずしも優れた成果を発揮しない事が示される.すなわち,道徳的動機が帰結に関する場合には,公共的経済活動に対する報酬体系として,成果主義的な制度よりは,むしろ固定的報酬体系の方が,フリーライド問題の解決をより容易にする.また,企業組織の所有形態も,経営者に強い利潤動機を与える私有企業よりも,経営者に残余請求権を与えない公有企業の方が,モラル・ハザード問題の解決をより容易にする可能性がある.また,道徳的動機が行為それ自体に関する場合,環境改善等のCSR活動に無関心な純粋利潤最大化企業よりもそれに貢献する社会的責任企業の方が,より勤勉な労働者達を魅了し,結果的により高い生産性を実現する可能性がある.This paper gives an overview of the recent literature on theoretical analysis of morally motivated public actions. It presumes that individuals have not only their subjective and self-interested preferences on consumption spaces, but also morally motivated preferences based on some intrinsic value judgments. Given such a setting, the paper examines some pioneering works on how the existence of individuals with moral motivation has effects on economic resource allocations in the context of free-riding problems in public service provisions, moral hazard problems in private ownership versus public ownership, Corporate Social Responsibility, etc.
公共的活動におけるモラル・モチベーション, 林行成; 奥島真一郎; 山田玲良; 吉原直毅, 経済研究, 61, 4, 1, 19, 2011年, 岩波書店, 公共的経済活動における諸個人の意思決定が,単に消費に関する主観的選好の充足という動機に基づくのみならず,道徳的動機にも基づく経済社会においては,標準的な合理的経済人モデルにおいて望ましいと考えられていた「市場原理」的なメカニズムは,必ずしも優れた成果を発揮しない事が示される.すなわち,道徳的動機が帰結に関する場合には,公共的経済活動に対する報酬体系として,成果主義的な制度よりは,むしろ固定的報酬体系の方が,フリーライド問題の解決をより容易にする.また,企業組織の所有形態も,経営者に強い利潤動機を与える私有企業よりも,経営者に残余請求権を与えない公有企業の方が,モラル・ハザード問題の解決をより容易にする可能性がある.また,道徳的動機が行為それ自体に関する場合,環境改善等のCSR活動に無関心な純粋利潤最大化企業よりもそれに貢献する社会的責任企業の方が,より勤勉な労働者達を魅了し,結果的により高い生産性を実現する可能性がある.This paper gives an overview of the recent literature on theoretical analysis of morally motivated public actions. It presumes that individuals have not only their subjective and self-interested preferences on consumption spaces, but also morally motivated preferences based on some intrinsic value judgments. Given such a setting, the paper examines some pioneering works on how the existence of individuals with moral motivation has effects on economic resource allocations in the context of free-riding problems in public service provisions, moral hazard problems in private ownership versus public ownership, Corporate Social Responsibility, etc.
自治体立病院の再編統合に関する一考察, 林行成; 谷田一久, 医療経営学論叢, 1, 1, 8, 2008年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科, Recently, in Japan, consolidation of public owned hospitals can be observed as an increasing phenomenon. Our goal of this paper is to provide an original economic model and analyze the effect of consolidation of public owned hospitals theoretically. In this paper, firstly we show that, if the cost to access to hospitals decreases and the consolidation upgrades a capability of hospital, then the consolidation is efficient to improve welfare for inhabitants of the distinct. However, we also show that, if the congestion cost increases by the consolidation enough, then the consolidation is inefficient. Then, we discuss the validity of consolidation from a viewpoint with economic welfare.
自治体立病院の再編統合に関する一考察, 林行成; 谷田一久, 医療経営学論叢, 1, 1, 8, 2008年, 広島国際大学医療福祉学部医療経営学科, Recently, in Japan, consolidation of public owned hospitals can be observed as an increasing phenomenon. Our goal of this paper is to provide an original economic model and analyze the effect of consolidation of public owned hospitals theoretically. In this paper, firstly we show that, if the cost to access to hospitals decreases and the consolidation upgrades a capability of hospital, then the consolidation is efficient to improve welfare for inhabitants of the distinct. However, we also show that, if the congestion cost increases by the consolidation enough, then the consolidation is inefficient. Then, we discuss the validity of consolidation from a viewpoint with economic welfare.
混合診療禁止制度に関する経済理論的考察, 林 行成; 山田 玲良, 医療と社会, 13, 3, 73, 85, 2003年, The Health Care Science Institute, 本稿の目的は,日本の医療制度において保険適用外診療の供給体制を規定する混合診療禁止制度について,経済理論的な評価を与えることにある。混合診療禁止制度とは,初診から治療の完了に至る一連の診療過程において,保険診療と保険適用外診療との併用,つまり混合診療を原則禁止とする制度である。混合診療禁止制度のもとで混合診療を患者が受診すると,保険診療に該当する診療にも保険適用が認められず,一連の診療によって生じる医療費の全額を患者が自己負担することとなる。混合診療禁止制度は,国民皆保険制度のもとで,保険適用外診療の一般化が,所得格差を通じた受療機会の不平等を招来することを防ぐ仕組みとして従来正当化されてきた。本稿では,混合診療禁止制度を定式化し,混合診療を容認するような制度として差額徴収ルールを考え,制度比較分析を通して,受療機会の平等性に対する制度的効果を経済理論的に明らかにする。本稿で示される主要な結論は,以下の2点である。(1)平均所得水準が高くなるほど,もしくは低額な診療であるほど,混合診療を容認することが社会的に是認されやすくなる。(2)最低所得水準にあるような患者が公的保険適用範囲の限界水準の診療を受診できる場合,混合診療を容認することによってむしろ受療機会の平等性が改善する状況が存在する。
混合診療禁止制度に関する経済理論的考察, 林 行成; 山田 玲良, 医療と社会, 13, 3, 73, 85, 2003年, The Health Care Science Institute, 本・・・
混合診療禁止制度に関する経済理論的考察, 林 行成; 山田 玲良, 医療と社会, 13, 3, 73, 85, 2003年, The Health Care Science Institute, 本稿の目的は,日本の医療制度において保険適用外診療の供給体制を規定する混合診療禁止制度について,経済理論的な評価を与えることにある。混合診療禁止制度とは,初診から治療の完了に至る一連の診療過程において,保険診療と保険適用外診療との併用,つまり混合診療を原則禁止とする制度である。混合診療禁止制度のもとで混合診療を患者が受診すると,保険診療に該当する診療にも保険適用が認められず,一連の診療によって生じる医療費の全額を患者が自己負担することとなる。混合診療禁止制度は,国民皆保険制度のもとで,保険適用外診療の一般化が,所得格差を通じた受療機会の不平等を招来することを防ぐ仕組みとして従来正当化されてきた。本稿では,混合診療禁止制度を定式化し,混合診療を容認するような制度として差額徴収ルールを考え,制度比較分析を通して,受療機会の平等性に対する制度的効果を経済理論的に明らかにする。本稿で示される主要な結論は,以下の2点である。(1)平均所得水準が高くなるほど,もしくは低額な診療であるほど,混合診療を容認することが社会的に是認されやすくなる。(2)最低所得水準にあるような患者が公的保険適用範囲の限界水準の診療を受診できる場合,混合診療を容認することによってむしろ受療機会の平等性が改善する状況が存在する。
社会保障の現在と将来 (第43回医療経営セミナー「これからの医療と医療ビジネス」), 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢 = The bulletin of Department of Health Services Management, Hiroshima International University, 7, 45, 58, 2014年, 広島国際大学医療経営学部医療経営学科, 第43回医療経営セミナー会場:広島国際大学広島キャンパステーマ:「これからの医療と医療ビジネス」
社会保障の現在と将来 (第43回医療経営セミナー「これからの医療と医療ビジネス」), 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢 = The bulletin of Department of Healt・・・
社会保障の現在と将来 (第43回医療経営セミナー「これからの医療と医療ビジネス」), 林 行成, 広島国際大学医療経営学論叢 = The bulletin of Department of Health Services Management, Hiroshima International University, 7, 45, 58, 2014年, 広島国際大学医療経営学部医療経営学科, 第43回医療経営セミナー会場:広島国際大学広島キャンパステーマ:「これからの医療と医療ビジネス」
16K03647, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), イノベーションと規制が影響を与える垂直的取引理論ー望ましい医薬品産業のあり方, 本研究の実績は3点にまとめられる.第1に医療用医薬品の流通における様々な取引慣行を実証分析により明らかにした.薬局・病院が取引している医薬品卸数やジェネリック医薬品の取り扱い量が総価取引から単品単価取引の移行を促していることである(櫻井 et al. 2016).薬局に対する,ある医薬品メーカーの薬剤の割引率は,その薬局がメイン卸(最も高いシェアの卸企業)としている卸企業がその医薬品メーカーとどのような資本関係(系列関係)にあるかによって大きく影響を受けていることを解明した(櫻井 et al. 2019).
第2に,創薬にとって重要なイノベーションと医療に特に関連するスピルオーバーの関係について理論的な分析を行った.R&D投資の効率性が高く,かつ波及効果が大きい技術に関しては,独占の経済厚生はクールノー競争やシュタッケルベルグ競争の経済厚生よりも大きくなることを示した(Ikeda et al. 2019).特許侵害の損害賠償請求制度について,逸失利益の回復と不当利益の剥奪の比較を行った.イノベーション企業がこの二つの制度を選べるときに,スピルオーバーが小さい技術に関してはその企業は逸失利益を回復する手段を選ぶことを明らかにした(Tanno and Yasaki 2017,学会発表).
第3は関連する理論研究が蓄積された.労働者の異なったスキルがある経済に関するナッシュ遂行理論の研究を行った(Yoshihara and Yamada 2019).シュタッケルベルグリーダーシップが垂直的な市場構造の下でどのように内生的に定まるか考察を行った.上流企業が逐次的に投入物価格を提示する経済では効率的な下流企業がリーダーとなるシュタッケルベルグ均衡が現れることが分かった(Tanno and Suzuki 2018,学会発表).
16K03647, 日本学術振興会, 科学研究費助成事業 基盤研究(C), イノベーションと規制が影響を与える垂直的取引理論ー望ましい医薬品産業のあり方, 本研究の実績は3点にまとめられる.第1に医療用医薬品の流通における様々な取引慣行を実証分析により明らかにした.薬局・病院が取引している医薬品卸数やジェネリック医薬品の取り扱い量が総価取引から単品単価取引の移行を促していることである(櫻井 et al. 2016).薬局に対する,ある医薬品メーカーの薬剤の割引率は,その薬局がメイン卸(最も高いシェアの卸企業)としている卸企業がその医薬品メーカーとどのような資本関係(系列関係)にあるかによって大きく影響を受けていることを解明した(櫻井 et al. 2019).
第2に,創薬にとって重要なイノベーションと医療に特に関連するスピルオーバーの関係について理論的な分析を行った.R&D投資の効率性が高く,かつ波及効果が大きい技術に関しては,独占の経済厚生はクールノー競争やシュタッケルベルグ競争の経済厚生よりも大きくなることを示した(Ikeda et al. 2019).特許侵害の損害賠償請求制度について,逸失利益の回復と不当利益の剥奪の比較を行った.イノベーション企業がこの二つの制度を選べるときに,スピルオーバーが小さい技術に関してはその企業は逸失利益を回復する手段を選ぶことを明らかにした(Tanno and Yasaki 2017,学会発表).
第3は関連する理論研究が蓄積された.労働者の異なったスキルがある経済に関するナッシュ遂行理論の研究を行った(Yoshihara and Yamada 2019).シュタッケルベルグリーダーシップが垂直的な市場構造の下でどのように内生的に定まるか考察を行った.上流企業が逐次的に投入物価格を提示する経済では効率的な下流企業がリーダーとなるシュタッケルベルグ均衡が現れることが分かった(Tanno and Suzuki 2018,学会発表).
22K01466, イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明, 「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」と題する本研究の目的は,経済厚生の観点からイノベーションを創出し,普及させていく上で,競争とその保護がどのように機能するかを理論・実証的に解明することである.その目的を達成するために研究を4つのパートに分ける.第1に競争と経済厚生の関係をイノベーションからどのように捉えられるかの理論研究を進める.第2に特許保護制度の経済厚生面での特徴を理論的把握する.第3に既存企業と新興企業に関するイノベーションの創出と既存設備の利用に関する特徴と経済厚生に与える影響を理論的に解明する.第4に医療用医薬品のサプライチェーン問題を実証的に考察する.;本研究課題「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」の初年度(2022年度)の実績は質・量ともに満足のいくものであった.医療ITのイノベーションが普及しない理由を実証的に解明した.地域連携医療情報ネットワークの停滞要因を横浜市のデータや北海道の事例で明らかにした.イノベーションと厚生の関係に競争がどのような役割を果たすかを非イノベーター企業数の増加として捉える研究を行なった.企業数が増加して競争が激しくなるときに経済厚生が増加する簡明な条件を導出した.イノベーションの普及としてジェネリック医薬品の安定供給に関する実証研究を遂行して,医療機関の調達戦略がどのようにその安定供給に寄与するかを特定した.;現代的な課題への取り組みとしてCOVID-19パンデミックに際しての日本の医療供給体制の特徴を明らかにした.日本の現状を踏まえるとルールに基づく感染症対策が有効であることが示唆できた.;イノベーションとその普及を他者への別払いと捉えて,その先手と後手の優位を明らかにした.ある種の別払いゲームでは後手の不利益が存在することをゲーム理論的に証明した.イノベーションジレンマが存在する状況で,新規事業の開始のための投資が既存事業規模によってどのように影響を受けるかを研究した.;近年の新しいイノベーションである望むだけ支払う方式あるいはPWYW(Pay what you want)方式の研究を実施して,その導入が店舗にどのような影響を与えるかを明らかにした.;研究計画の第1の目的の実証面に関する研究を遂行して査読付き専門誌にその成果を公表する事ができた.また,第1の目的の理論面に関しては研究をすすめて学会報告をすることができた.第2,3の目的に関しては各研究分担者がそれぞれの問題意識に則って研究を遂行することができた.;この調子でさらに研究を深めたい.今年度(2022年度)に学会発表した成果は査読付き専門誌に公表する.研究会を開けなかったので,各研究者の研究をまとめ上げることは難しかった.次年度(2023年度)は研究会を開催して共同研究としての成果を出していきたい.
22K01466, イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明, 「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」と題する本研究の目的は,経済厚生の観点からイノベーションを創出し,普及させていく上で,競争とその保護がどのように機能するかを理論・実証的に解明することである.その目的を達成するために研究を4つのパートに分ける.第1に競争と経済厚生の関係をイノベーションからどのように捉えられるかの理論研究を進める.第2に特許保護制度の経済厚生面での特徴を理論的把握する.第3に既存企業と新興企業に関するイノベーションの創出と既存設備の利用に関する特徴と経済厚生に与える影響を理論的に解明する.第4に医療用医薬品のサプライチェーン問題を実証的に考察する.;本研究課題「イノベーションの創出と普及に関する競争と保護の関係の解明」の初年度(2022年度)の実績は質・量ともに満足のいくものであった.医療ITのイノベーションが普及しない理由を実証的に解明した.地域連携医療情報ネットワークの停滞要因を横浜市のデータや北海道の事例で明らかにした.イノベーションと厚生の関係に競争がどのような役割を果たすかを非イノベーター企業数の増加として捉える研究を行なった.企業数が増加して競争が激しくなるときに経済厚生が増加する簡明な条件を導出した.イノベーションの普及としてジェネリック医薬品の安定供給に関する実証研究を遂行して,医療機関の調達戦略がどのようにその安定供給に寄与するかを特定した.;現代的な課題への取り組みとしてCOVID-19パンデミックに際しての日本の医療供給体制の特徴を明らかにした.日本の現状を踏まえるとルールに基づく感染症対策が有効であることが示唆できた.;イノベーションとその普及を他者への別払いと捉えて,その先手と後手の優位を明らかにした.ある種の別払いゲームでは後手の不利益が存在することをゲーム理論的に証明した.イノベーションジレンマが存在する状況で,新規事業の開始のための投資が既存事業規模によってどのように影響を受けるかを研究した.;近年の新しいイノベーションである望むだけ支払う方式あるいはPWYW(Pay what you want)方式の研究を実施して,その導入が店舗にどのような影響を与えるかを明らかにした.;研究計画の第1の目的の実証面に関する研究を遂行して査読付き専門誌にその成果を公表する事ができた.また,第1の目的の理論面に関しては研究をすすめて学会報告をすることができた.第2,3の目的に関しては各研究分担者がそれぞれの問題意識に則って研究を遂行することができた.;この調子でさらに研究を深めたい.今年度(2022年度)に学会発表した成果は査読付き専門誌に公表する.研究会を開けなかったので,各研究者の研究をまとめ上げることは難しかった.次年度(2023年度)は研究会を開催して共同研究としての成果を出していきたい.
JP23K01718, 公立病院による地域医療への貢献度に関する実証分析-非財務指標を用いた評価-, 近年、厳しい国家財政を背景に、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対し、経営改革が進められている。本研究は公立病院改革が、地域医療や他の地域の医療機関に与える影響を、様々な指標とインタビューを用いて検証していく。医療の機能分化が進む中、地域医療は、複数の医療機関が有機的に連携することが求められている。公立病院改革により、公立病院の経営状況が改善しても、他の医療機関へ負の影響を与えるような改革は社会的に評価されるべきものではない。本研究は、地域医療に対する公立病院の貢献をより広い視野から様々な尺度により評価し、今後の公立病院のあり方に対して新たな知見を見出すことを最終的な目的としている。;2023年度は研究期間の1年目であり、公立病院改革による公立病院の行動変容について、周辺の医療機関、そして地域の医療水準にどのような影響を与えるのかを、財務指標や医療の質を表す非財務指標を用いて地域社会への貢献度を検証することを目的としていた。その点を踏まえ、まず近年のコロナ禍における公立病院の地域における貢献度を検討することに着手し、地域の国公立病院の割合が高いほど、人口当たりの新型コロナウイルス感染症による死亡者数は有意に低下することを示し、地域の医療提供体制において国公立病院の割合が一定以上必要であるという示唆が得られ、論文作成及び論文誌掲載という成果を得ている。;また、公立病院を含む医療機関全般の地域への貢献は幅広い定義が可能であり、医療の質を表す非財務指標だけでなく、その貢献度を測定するための多様な非財務指標の特定が将来的に必要であると考えている。このことを踏まえ、公立病院の地域への貢献は第一に地域医療に対するものであること、そして地域に根付く公立病院としての付随的な貢献として、地域環境を医療機関の立場から良くする行動や取り組みに区分した場合、その後者について採用可能性のある評価尺度について、例えば、Sustainable Development Goals(SDGs)やCorporate Social Responsibility(CSR)などの取り組みを参考にして、様々な地域貢献に関する評価尺度について予備的な調査を行うことができたことも論文の投稿及び論文誌掲載という成果につながっている。;更に今後は一定の地域における医療機関間の影響を明らかにすることを目的としていることを踏まえ、各所に対し情報提供を依頼するための調整も着実に進んでいることから、翌年度以降にはデータセットが可能となる見通しで、研究の進捗は順調であると考えている。;既に述べたとおり、直近の公立病院のコロナ禍における地域医療への貢献については一定の成果が得られており、今後は次のステップとして、地域を広島県に限定して、公立病院改革の影響を公立病院を中心とした地域医療と財務状況において明らかにすることを予定しており、必要な情報収集を目的とした各病院との調整も順調に進んでいるため。;2024年度は、2023年度にコロナ禍における公立病院の地域における役割や意義を確認したところを、更に年齢調整、所得調整などのデータ補正を行い、パンデミック下での公立病院の存在意義について統計的に検証したいと考えている。またそれに付随して、都道府県データの追加(ワクチン接種率など)を検討し、コロナ死亡率の要因解析をより精緻化していきたいと考えている。また、感染率の低い地域と公立病院改革の関係性の詳細な調査や各地域の公立病院改革の内容の調査と医療水準のデータの収集を行う予定であり、更に、類似研究のサーベイを行い、統計分析手法の検討も行う。;将来的には研究対象とする地域を広島県に限定し、公立病院改革を要因として、公立病院の経営状況が地域にどのように影響を及ぼすかを明らかにするために、その前提として、まずは公立病院の財務状況の変化や影響、そして、公立病院の経営状態を評価する非財務指標を抽出し、それらの指標に見られる変化や影響について、公開されているデータもしくは非公開のデータ(インタビューの実施や医療機関に情報提供を依頼の上、データを調達する)を活用して、公立病院の地域医療への貢献度を評価するためのデータセットと分析を進めていく。また、新たな視点として、2023年度の研究実績に含まれている、地域に根付く公立病院としての付随的な地域貢献として、地域環境を医療機関の立場から良くする行動や取り組みを評価する側面にも着目し、公立病院の地域との共生について、公立病院改革を通して、幅広い視点から地域への貢献度を評価する仕組みについても検討を加えたいと考えている。
JP23K01718, 公立病院による地域医療への貢献度に関する実証分析-非財務指標を用いた評価-, 近年、厳しい国家財政を背景に、不採算となりやすい政策医療を担う公立病院に対し、経営改革が進められている。本研究は公立病院改革が、地域医療や他の地域の医療機関に与える影響を、様々な指標とインタビューを用いて検証していく。医療の機能分化が進む中、地域医療は、複数の医療機関が有機的に連携することが求められている。公立病院改革により、公立病院の経営状況が改善しても、他の医療機関へ負の影響を与えるような改革は社会的に評価されるべきものではない。本研究は、地域医療に対する公立病院の貢献をより広い視野から様々な尺度により評価し、今後の公立病院のあり方に対して新たな知見を見出すことを最終的な目的としている。;2023年度は研究期間の1年目であり、公立病院改革による公立病院の行動変容について、周辺の医療機関、そして地域の医療水準にどのような影響を与えるのかを、財務指標や医療の質を表す非財務指標を用いて地域社会への貢献度を検証することを目的としていた。その点を踏まえ、まず近年のコロナ禍における公立病院の地域における貢献度を検討することに着手し、地域の国公立病院の割合が高いほど、人口当たりの新型コロナウイルス感染症による死亡者数は有意に低下することを示し、地域の医療提供体制において国公立病院の割合が一定以上必要であるという示唆が得られ、論文作成及び論文誌掲載という成果を得ている。;また、公立病院を含む医療機関全般の地域への貢献は幅広い定義が可能であり、医療の質を表す非財務指標だけでなく、その貢献度を測定するための多様な非財務指標の特定が将来的に必要であると考えている。このことを踏まえ、公立病院の地域への貢献は第一に地域医療に対するものであること、そして地域に根付く公立病院としての付随的な貢献として、地域環境を医療機関の立場から良くする行動や取り組みに区分した場合、その後者について採用可能性のある評価尺度について、例えば、Sustainable Development Goals(SDGs)やCorporate Social Responsibility(CSR)などの取り組みを参考にして、様々な地域貢献に関する評価尺度について予備的な調査を行うことができたことも論文の投稿及び論文誌掲載という成果につながっている。;更に今後は一定の地域における医療機関間の影響を明らかにすることを目的としていることを踏まえ、各所に対し情報提供を依頼するための調整も着実に進んでいることから、翌年度以降にはデータセットが可能となる見通しで、研究の進捗は順調であると考えている。;既に述べたとおり、直近の公立病院のコロナ禍における地域医療への貢献については一定の成果が得られており、今後は次のステップとして、地域を広島県に限定して、公立病院改革の影響を公立病院を中心とした地域医療と財務状況において明らかにすることを予定しており、必要な情報収集を目的とした各病院との調整も順調に進んでいるため。;2024年度は、2023年度にコロナ禍における公立病院の地域における役割や意義を確認したところを、更に年齢調整、所得調整などのデータ補正を行い、パンデミック下での公立病院の存在意義について統計的に検証したいと考えている。またそれに付随して、都道府県データの追加(ワクチン接種率など)を検討し、コロナ死亡率の要因解析をより精緻化していきたいと考えている。また、感染率の低い地域と公立病院改革の関係性の詳細な調査や各地域の公立病院改革の内容の調査と医療水準のデータの収集を行う予定であり、更に、類似研究のサーベイを行い、統計分析手法の検討も行う。;将来的には研究対象とする地域を広島県に限定し、公立病院改革を要因として、公立病院の経営状況が地域にどのように影響を及ぼすかを明らかにするために、その前提として、まずは公立病院の財務状況の変化や影響、そして、公立病院の経営状態を評価する非財務指標を抽出し、それらの指標に見られる変化や影響について、公開されているデータもしくは非公開のデータ(インタビューの実施や医療機関に情報提供を依頼の上、データを調達する)を活用して、公立病院の地域医療への貢献度を評価するためのデータセットと分析を進めていく。また、新たな視点として、2023年度の研究実績に含まれている、地域に根付く公立病院としての付随的な地域貢献として、地域環境を医療機関の立場から良くする行動や取り組みを評価する側面にも着目し、公立病院の地域との共生について、公立病院改革を通して、幅広い視点から地域への貢献度を評価する仕組みについても検討を加えたいと考えている。